僕がいるのはどこなのだろう。
暖かさも冷たさもなにも感じない。
少しでもなにかに指先で触れたならば、その途端にボロボロと崩れていくのだ。
香りがない。
風がない。
すん、と己の肺へ空気を入れるも硬水を飲んだ時のように異物感だけが残った。
胸が痛い。
誰かに用意された食事を前に座る。
いつもと異なる箸に違和感を持ちつつ、ドロドロとした緑色のものを口にする。
噛みごたえがない。
味がない。
いつのまにか食事が終わっている。
「 」
なにかを発しようとした。
音になる前に消えて唇がかすかに動いただけ。
梟のキーホルダーが机から落ちた。
落ちただけだった。
あったのは静けさだけ。
ぐるりと周囲を見渡す。
こんなにもなにもない場所だったろうか。
どこを見ても変わらない同じ景色。
そのことに気がついた時、足元が崩れ出した。
落ちていく感覚に、なにかがせりあがってくる。
そもそも僕は落ちているのだろうか。
上へ上へと登っているのではないだろうか。
何も見えない暗闇が眼前に広がっている。
手を伸ばせば、案外壁に触れることができるのではないか。
僕はどこにいるのだろうか。
終わることのない無色の世界に飲み込まれた。
4/18/2026, 2:37:35 PM