海の底』の作文集

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海の底』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

1/21/2024, 3:51:16 PM

海の底
意識の底
事象の底
水に包まれて
目覚めた時には時間も消えていた

何故息が必要ないのか
何故美しいモノが居るのか
自分は何故ここに居る?
何がどうなった
あの人はどこでどうしてる

寒くないのは不思議じゃない
…ここ何処だ

美しいモノが言った
「やっと開けたか、拒んだ子よ」
心当たりがあることだが
「ことばを変えよう、己を赦せぬ子よ」
そうか、そうだな
「問うたな。子細だ」

海戦は別に劣勢ではなかった。むしろ優勢に進んでいた。当艦に死者も負傷者もなく、旗艦指示に従って移動を始める準備作業の僅かな時間中、直近艦で火が出た。誘爆の危機。周囲は僚艦がいくつも近くあって、単体で回頭するのも無理。第一、この風では火事を起こしている艦から無難な距離を取るにも時間がかかりすぎる。縦列の多段に渡る陣は風下側の船脚を鈍重にしている。仕方ない、人員の喪失は戦力の喪失だ。火災艦の反対側に居る僚艦へ全員を退避させた。艦は無事ならまた乗り込めばいい。
 自分が最後に移乗しようと火災艦に背を向けた時、爆発した。火災艦は平底船で、火薬庫は喫水線より上に格納するほか無い型だったから、船は派手に四方へ吹き飛ぶ。爆発で破砕された船材も音を立てて飛ぶ。音が来た、と思ったら自分の左肩頸がふっ飛んで、二度目の爆発衝撃で海へ落ちた。

「罪悪感の割にはきれいに死んだな」
そうらしいな
で、ここ何処だ。それに、この声は誰だ
「ここは我の領分なるところだ。海で生きるものの友だよ。ここに率直の匂いを嗅いだ子供よ、楽しかったろう?」
…楽しいと言えばそんなときもあったし、そうじゃないときもあったぞ
「さて、逝くには引きを持っているようだ。挨拶くらいはしてくるが良いよ」
なんとなく胸に手をやるとジャラと触る。見ると深く暗い青の石が嵌まった装飾品が頸にかかっている。この石飾りの来し方を思い出した。これはずいぶん大切なものの筈だ。あの人の手許に…返せるのか?
「それは励ましのよすがになりそうだ。祝福とともにするなら助力しよう」
助けを受けよう。…えーと名前は
「イアラだ。IALA」
こちらが名づけるのではないのだな
「我はそういう“概念の焦点”などではないのだよ。さあ、行っておいで。彼女が夢と現の狭間にあるところへ」

ひどく懐かしく感じる寝顔の近くの棚に、それを置いた。ボタボタと水も一緒に落ちる。これじゃ幽霊話みたいじゃないか。俺はそんなおどろおどろしい者じゃないぞ。…不本意だが仕方ない、これ以上水の跡を残さないように、もう行くか。どうか、彼女の日々に幸福の多いことを。本当は、人生を共にできたらと望んだが、こうなってはどうしようも無い。どうか、幸せに。どうか、どうか…

「良いようだね。じゃ、次へ逝くんだ。たくさんの土産話を話すのだよ。愛したものごとのことを、余さず、たくさん。我はおまえさんの他の人生にも居る。いつでも呼ぶと良い。まあ、呼ばれなくてもあれこれと働きかけるのだがね」

イアラは通路を開いた。海の底からどこかに向かう通路を。まだ航海があるんだな、と思いながら、進み出した。

1/21/2024, 2:30:03 PM

海の底

――人魚の肉を食らうと不老不死になる。まことしやかに囁かれる噂だ。馬鹿馬鹿しい話だと誰かが言う。これは真に不老不死になるもう一つの噂話――

 生命が誕生したのは、深い深い海の底だった。深海にある高熱の水が吹き出すところが生命の起源であると言われている。
 そんな「生」の象徴であるこの深海で、一人の冷たくなった人間が「死」を迎えようとしていた。
「ちょっとあんた!」
 甲高い声が海水を震わせる。大きく立派な尾ビレが水を掻き、大きな体を推して進む。死にかけの人間はその声に反応することなくゆっくり、ゆっくりと沈んでいった。
「しっかりしなさいな! あんた、分かるかい?」
 沈んでいく人間を優しく抱きかかえたのは、上半身が人間、下半身が魚の姿をした正真正銘の人魚である。

「初めてだね、こんなに綺麗な体が降ってくるのは」
 人魚は人間が息をしていないのを確認して、より深い海の底へと連れていった。人間の体は硬直し、空気のない虚空に向かって口がポカンと開いている。
「心配なさんな。ここは生の象徴の地。きっとあんたにも力をくださるはずさ」
 人間は全く反応を示さなかった。人魚は人間に絶えず声をかけ続け、暗く重い海の底へとぐんぐん泳いだ。やがて、ほんの少し海水の温度が高くなる。
 その瞬間、人間の足がビクンと大きく跳ねた。両足を揃えて水を蹴るように暴れ始める。人魚は必死に人間を抱きかかえてほくそ笑んだ。
「始まったね」
 人間は大きく暴れに暴れ、数分間暴れた後に急に覚醒したように目を見開き、動きを止めた。
「あんた、分かるかい?」
「は……?」
「お、良かった。泳げそうか?」
 人間はおそるおそる足を動かした。両足がくっついて離れず、バタ足ができそうもない。仕方なくドルフィンキックをしてみると「上手上手!」と人魚は嬉しそうに笑い声を上げた。
「まだ一人じゃ泳げないか。引っ張るから着いてきな」
 わけも分からず人魚に手を引かれ、人間は黒い大海の中を泳ぎ出した。それは悍ましくも神秘的で、真冬の夜空のような海だった。

 それから十日もすると、かつて人間だった男の足は完全にくっついて魚のヒレも生えてきた。人魚の助けがなくても自分である程度泳げるようになった。
「慣れてきたな。飲み込みが早い。いいことだ」
「……うん」
「もう少し上に上がってみるか」
 人魚はケラケラと笑い、男を誘導する。男は不貞腐れたように頬を膨らませながらも素直に人魚に着いていった。
「俺、人魚になるの?」
「おぉ、そうだ。人魚の話、知ってんのかい。なら話は早いね」
「ファンタジー世界じゃあるまいし」
「ふぁんたじい? それは分からないが、ほら、あんたの足を見てみな。それは人魚の足だろう」
「どうなってんだよ」
 男は夢の中にいるような浮遊感で、まだ現状を飲み込めてはいなかった。やがて海の中に可視光が届き、人魚の美しい鱗が輝いて見えた。かと思えばすぐに水面がやってきて、2人は大海の中心で水の上に顔を出した。気分が悪くなるくらいの晴天で、水面の光が反射して目に眩しい。

「久しぶりの空気だ! どうだい、気分は」
「……うん」
「うんと言うだけでは分からないよ。どうなんだい」
「……なんで俺生きてんだろう、って思う」
 水の中とは声の通り方が違う。互いの声がカラカラと聞こえる。眩しい日差しを煙たがるような男に対して、人魚はキラキラと楽しそうに笑顔を浮かべていた。
「はぁ! さてはあんた、死にたがりか。物好きだね」
「別に、好きでやってるわけじゃない」
「いやいや、貶すつもりはないんだ。あたしもそうだったさ。あたしの命で村が助かるって言うんだからさ、自ら海に沈んでやったね」
「はぁ……? 何それ。いつの時代?」
「さぁ、いつだろうね。あんたからしてみれば」
 人魚は笑顔を崩さないまま、郷愁に浸るようにどこか遠くを見つめた。男はふと恐ろしくなった。立つ毛もないのに全身が鳥肌になるような感覚だった。
「ねぇ、あの……あなた、何歳ですか」
「なんだ、そんなつまらんことを知りたいのかい? 悪いけど、もう数えてないよ」
「あの……あの、俺、死にたかったんですけど」
「あぁ、そりゃ御生憎様だね。あんたもう死ねないよ。あたしもね」
 人魚は美しく微笑んだ。眩しい光が反射して、男は目を逸らしたくなった。
「ほら、不老不死ってやつさ。いや、一度死んでるから不死ではないか」

 かつて無から生命を生み出した深い海の底は、今や降りてきた生命を蘇らせ、無限の命を与えている。
 人魚となった2人は、つがいの人魚として世界各地で都市伝説となっている。あるときは水面に2人で漂っており、あるときは肉を食らおうとした人間に「馬鹿馬鹿しい」と吐き捨て、またあるときは海底の調査の途中で目撃される。
 という噂話だ。

1/21/2024, 1:59:07 PM

「うみの底にはね、まだだれもしらない小さな世界があるんだよ!はるはいつかそこに
行ってみるんだ!」
「そうか。それじゃぁ波流、今度の休み、みんなで海を見に行ってみよう!」
「ほんとに!?やったぁ!たのしみ!」

そう、会話していた記憶がある。
確か俺が5歳になった年の夏。
まだ見ぬ“海”に抱いていた期待は計り知れないものだった。
初めて海を見た時、ただただ大きいって思ったことしか覚えてない。
でもその後何があったか分からないけど、不思議な経験をしたことは覚えている。
父いわく、俺はまっしぐらに海に飛び込んでいたらしい。
息が吸えなくて、波に引かれて、苦しくて、苦しくて、沈んで、沈んで。
沈んで、沈んだ先に俺は見た。
今となっては信じられないような
“海の中の世界”を。


はっ。
目が覚めると、家のベッドにいた。
…またこの夢か。
過呼吸気味で飛び起き、夢だったことに気づく。
背中は汗で濡れてて気持ち悪い。
もう何年も前のことなのに未だにこの夢を見る。
いや、正確には夢じゃない…はず。
確かの俺はこの体で行った…と思う。
今となっては信じがたいし、誰かに話そうもんなら
どう思われるかわからない。

結局溺れてからどう帰ったかは覚えていない。
気づいたら病院にいて、一瞬見えた海の世界以外
何も覚えていなかった。

ブーブーとなったスマホで我に返る。
[おい波流!まさか寝坊じゃないよな?
集合1時間前だけど大丈夫か?]
玲弥からか。
今日は男女2人ずつで海に行く。
海に行くのはあの時以来。
もう長いこと近づいてないけど、なんとなく
これを機に行ってみようと思った。
正直、ちょっと怖い。
でも興味はある。
誰でも経験あるだろ?
怖い映像を見る時、目を隠すけど指の隙間から
見ちゃうみたいな。
あれと同じ感じ。

時間もあんまりなかったから、ざっと準備を済ませて集合場所までバスで向かう。
すでに全員集合してて謝りながら合流する。
「おい波流〜どうしたんだよ?
お前が遅刻なんて珍しいな。なんかあったか?」
「なんにもないよ。大丈夫。」
「ならいいけど…」
「それよりさ、早く行こ。」
「そうだな。よし行くぞ!」
『おー!!』

そして俺らは歩き出した。
あの時と同じ海。
真夏の太陽が痛い中、そんなことも気にならないほど俺は緊張している。
だらだらと流れる汗は、この暑さのせいにしておこう。


「着いた〜!」
「わぁ〜!玲弥!海まで競走ね!」
「よしのった!よーいドンっ!」
「あちゃ〜2人とも行っちゃったね。」
「そうだな。とりあえず、シートひくか。
夏寧、シート持ってる?」
「もちろん!ちょっとまってね〜」
夏寧は俺の幼なじみ。
こいつだけは俺が海で何があったか知ってる。
まぁ信じてるのかはわかわないけど。

いつも通りのメンバーを見て、いくらか正常に戻る
夏寧が海に行くと言うので俺も行くと言ってみた。
無理しない方がいいよと言ってくれるけど
大丈夫と言って波際まで歩いてみる。キラキラと光る水に魅了されていると、楽しげな声が聞こえてくる。

「あっ夏寧たちきた!なつね〜!はいっ!」
「わっ!も〜急に水かけないでよ〜。こっちゃんに
やりかえし!」
「お前らだけずるいぞ〜!おらおら!」
「も〜玲弥やめてよ〜。髪までびちょ濡れじゃん!」
「わりぃわりぃ笑お〜い!波流も来いよ!」

あわよくばこのまま帰れたらと思ったけど、やっぱそうはいかないか。
俺はそろりそろりと慎重に足を進めていく。
あと少しと思った時、波に足を取られ尻もちを着く
そして笑われる。
くそっ。だから海は怖いんだよ。
とは言いつつ、結局最後まで楽しんでしまった
自分が少し悔しく思う。
途中でかき氷を食べたり、貝殻を拾って投げあったり、ビーチバレーをしたり。
また来たいなって思えたのが嬉しかった。

「寒くなってきたし、そろそろ帰るか〜。」
「だね〜。楽しかったぁ〜。」
「あっこっちゃん。見てみて!この貝殻そっくり!」
「ほんとだ〜……」

え、
突然、玲弥が海に向かって走り出した。
「玲弥!?」
「わりぃ!ちょっと待ってろ!すぐ戻る!」
見ると、海に溺れてる小さな男の子。
まだ誰も気づいてないようだった。
あの時のことが目に浮かぶ。

溺れる

そうだ。そうだよ。俺の父さんは俺を助けて
溺れじ死んだ。俺が殺した。俺が殺したんだ。
ダメだ。ダメだダメだダメだ。
行っちゃダメ。行ったら死ぬぞ。
止めなきゃ。玲弥を。

「玲弥ー!!」
今までで1番大きな声だと思う。
心なしかさっきより波が大きく見える。
消して早くはない足が震えて上手く走れない。
待ってくれ。頼む。止まってくれ。生きてくれ。

すでに玲弥は男の子のところに行っていて、持って行った浮き輪を渡して、…ひと際大きな波が来た。
海に喰われる。男の子はこっちに近づいて来たけど
玲弥は、玲弥はどこだ!
琴葉と夏寧が気づいて近づいてくる。
「夏寧!あの男の子を!」
「待って波流!だって波流は海が、」
「うるさい!」

無我夢中で海に飛び込む。
「りょうや、りょう、りょうや!」
波に押されて、飲まれてダメだと思った時、
見つけた。

「玲弥!」
「波流!」
あと少しで手が届きそうな時、また大波がきた。
終わった。俺も海で死ぬんだ。
玲弥は助かるかな。なんで飛び込んだんだろ。
普通に助けを呼べばよかった。
あぁ死ぬんだ。ここで死ぬんだ。
息が吸えない。苦しい。沈む、沈む。
沈んで、沈んで沈んで。

ふと、何かに包まれる感覚がする。
優しげな声が何かを言っている。
あぁこれがお迎えってやつなのかな。
俺はもう死んだのかも。
そこで俺の意識は途切れた。

目を覚ますと、水族館のような青く透き通る世界にいた。
海で死んだから海なのか?
どうしていいかわからずあわあわしていると
ひとりの女性?のような人が現れる。
藍色の長い髪をおろしていて、ドレスのような
服を着ている。

「気がついたのね。波流様」
波流様?
「なんで俺の名前を?」
「そりゃぁ誰でも知ってるわよ。
今この国があるのは、もはや波流様のおかげと言っても過言ではないわ。」
「そ、それはどういうことですか?
多分人違いですよ?」
「いやいや。見間違えるはずがないですよ。
あなたはこの国のヒーローじゃないですか。」

訳が分からない。そもそもここはどこなんだ?
俺は何をしたんだ?そもそもなんで生きてるんだ?
いや、生きてるのか?

「ふふふ。何も分からないというお顔をしていますね。まぁそうだと思います。だって、ここでの記憶はすでに消されていますもの。」

記憶が…消されている?

「あなたは昔ここに来たことがあるのです。
そこであなたは、ここに大きな革命をもたらしたのですよ。」

全く理解ができず、開いた口が閉まらない。

「今のこの生活があるのは、まだ5つほどだった
あなたのおかげなのです。」

5つという言葉に、思い当たる節がある。

1/21/2024, 10:06:34 AM

沈む身体の赴くまま
堕ちていく

水面に射す
ひとすじの月明かりもやがては見えなくなった


『海の底』2024,01,21

1/21/2024, 10:01:45 AM

題『海の底』

「海の底には何か眠っているのだろうね?」
揺らめく波間を見据え、学者は言う。
思い描くのは先人たちの遺産か、まだ見ぬ地の先か。
水面のような、かつて仲間が手にした海色の宝玉のような、同じ色の瞳がきらりと光る。
「……さてな」
盗賊は手の届かない財宝になど興味がないとばかりにぼそりと呟く。
腕はたったの二本で、片方が塞がれば残りはひとつきりなのだから。

1/21/2024, 9:59:46 AM

海の底


誰も知らないところへ行きたい。
例えば海の底はどうだろう。
深く深く沈んでいったら、
真っ暗できっと静かだろう。

何も見えなくていい。
目も耳も無くなっても、
あなたに触れていられたらいい。



#152

1/21/2024, 9:58:45 AM

沈む、沈む、沈む

静かに心を鎮めて、奥深くに秘めたものを隠して
ゆっくりと光から遠のいて沈んでいく。
/海の底

1/21/2024, 9:57:09 AM

疲れが溜まった身体を
勢いのままソファーに沈める。

途端に睡魔が襲ってくる。
やらなければならない事が沢山あるが
今は睡魔に任せてこのまま眠ってしまおう。

目を閉じるとだんだんと意識が遠ざかっていく。
夢と現実の境目。海の中のようにふよふよと漂う。


海の底まで行ってそのまま消えてしまいたい。
そんな事を考え眠りにつく。




ー海の底ー

1/21/2024, 9:56:49 AM

「あ、リクちゃんきた」
 朝登校すると、友人のウミがあたしのもとに走り寄ってくる。
 何かあったのか?

「ウミはね、分かってない事がたくさんあるんだよ」
「突然何?
 あんたの何が分かってないって?
 不思議ちゃんキャラに転向したか?」
「違うよ。ウミじゃなくって、海、青い海の事」
 ああ、そっちか。紛らわしい。

「昨日、深海のテーマにしたドキュメンタリーを見たの」
「……昨日そんなのやってた?」
「撮りためた奴だよ」
「なるほど」
 すごいな、撮ったやつ見てるんだ。
 あたしは録画したら、それで満足して見ていないのに……

「とくに深海魚は全然分かってないの。
 人類はまだ深い海の底には気軽に行けないからね」
「ふーん」
 深海魚ね。
 やたらグロテスクなイメージしかない。
 解明されなくてもいいのでは?

「だから週末、捕まえに行こうよ。
 新種見つけて有名になろう」
 ウミがとんでもないことを言い出した。

「なんでだ。
 深海に行けるわけないだろ。
 さっき人類が気軽に行けないって言ったじゃん。
 あと魚には興味ない」
 そう言うと、ウミは『ええ』と意外そうな声を上げる。

「ロマンだよ」
「だからこそ興味が無い」
 ロマンで腹は膨れぬ。

「じゃあ何に興味あるのさ」
「そうだね。同じ深海なら、海の底に沈んだ船のお宝に興味がある」
「それもロマンじゃん」
「売り払えば金になる」
「夢が無い」
 ウミはがっかりしたようだったが、それが現実だ。
 好きな人には悪いけど。

「そんなに魚好きだったっけ、あんた。
 番組が面白かったの?」
「うん、それもあるんだけどさあ」
 彼女にしては珍しく言葉を濁す。

「あー、言いにくいなら別に」
「大丈夫。言い方を考えてただけだから」
「そっか」
 言い方考えるほどの事か……
 恐いな、今から何聞かされるんだろう。
 
「えっとね。出てきた深海魚、おいしそうだなって思って」
「は?」
「焼き魚とか、刺身で食べられるのかなとか、
「は?」
 予想以上だった。
 普通、深海魚見て食べたいと思うか?
 あたしは無い。
 だってグロイから。

「話してたらお腹減ったな。
 寿司食べるか」
「え?」
 そう言って、ウミは教室の後ろのロッカーから、保冷ボックスを持ってくる。
 あたしの前でボックスが開けられると、閉じ込められた冷気が頬を撫でる。
 見れば寿司のパックとともに、保冷材がぎっしり入っている。

「昨日番組見てから、寿司が食べたくなっちゃって。
 お昼に食べようと思ってもって来たの。
 食べる?
 たくさんあるから大丈夫だよ」

 そう言って寿司のパックを差し出されたあたしは、無言でそれを受け取る。
 ダイエットのため朝食を抜いた成長期の体は、目の前の寿司を食べたいと訴え、勝手に体が動き始める。

 自分の意志に反し動く手を見つめながら、ウミのことについて考えていた。
 彼女との付き合いは結構長く、ウミの事なら何でも知っていると思っていた。
 でもそれは勘違いだったらしい。
 ウミの底は計り知れない。
 寿司を頬張りながら、そう思うのだった。

1/21/2024, 9:56:39 AM

生ける仄暗い感情と死せる理性の鎖が渦巻く紺青の果て。
怪物に取り込まれ、外身だけを残した海の狩人。踊る剣はその手から滑り落ち、紡ぐ声は世の理を覆す。

「どうして、どうして私を拒むの?」

旧き賢者は沈黙を以て応えた。

「潮はすべてを掻き消すの──そこに苦痛はなくて、歓びだけが在るの」

生命の在り方を根幹から抉り出し、削ぎ落とす。
なんと冒涜的であろうか。

「貴女は長い間苦しんできたのよ。だから……全てを手放して、私と共に深くへ──」

賢者は鞘から刀を抜き、その首に当てる。ヒトの矜持をその身を以て示し、痛みで誘惑を跳ね除ける。
紺青の中に滲む深緋は流れに逆らい、空を目指して昇る。

「いや、やめてちょうだい……貴女が傷付く姿は見たくないの」

首の傷は未だ痛むし、体は冷えを訴えるように震えている。それこそが己をヒトと証明できる数少ない手段。
混濁する意識の中で伸ばした手を、温かな手が握り返してくれた。



「奉ろわぬ神の一柱よ この地より居ね」

透き通る琥珀は、太陽の光を受けて揺らめいていた。
己の神域を、愛すべき主を侵害された怒りは計り知れない。穏やかで理知的な彼だが、神としての一面を見せつける。

「主は誰にも渡さん。魂の一欠片も、誰ぞに渡すものか」

肌を嫐るように照りつける感覚に、焼け焦げる痛み。目の前にいる男は本気だ。
それでもなお、記憶の中の自分は藻掻けと囁く。

「触りなさんな」

焼け饐えた匂いがする。
声を封じられた。歌うことも、喋ることもできなくなった狩人に勝ち目はない。

「主に手を出いたんや、覚悟決めて潔う散れ」


「夢路を攫う刃」
(※刀剣乱舞×明日方舟)

1/21/2024, 9:53:08 AM

知ってる?

宇宙の謎は解明されたことも増えて来たけれど、海の底は90%以上分からないことだらけなんだって。

怪談みたいに道だからこそ引かれるものがあるよね。

知識だけじゃ満たされない、このどうしようもない欲を満たすこと。

それを生きがいに私は生きていたいな。

1/21/2024, 9:52:28 AM

海の底って神秘だよね。

何があるか、何がいるか、それらがハッキリと分かっていないんだ。

夢とか、浪漫が詰まっているよね。

良いよねえ。

1/21/2024, 9:48:28 AM

海の底


見上げる光の粒
たゆたう間の理由
こごえる時間
まばゆい地図よどこ

1/21/2024, 9:47:54 AM

細かい砂
奇妙な生き物
静寂
薄暗い
不気味で心地よい世界

1/21/2024, 9:45:22 AM

お題:海の底

深く冷たい海の底。

ここでなら誰も私を見つけられない。

私の汚いこの恋心も誰にも知られないでしょ。

あなたの幸せを祈れない私を赦してね。

あぁ海の中から見上げた空はなんて青いのだろう。

あなたはあの空の下で生きていく。

私は暗い海の底へかえることにするわ。

1/21/2024, 9:40:37 AM

真夜中に聴くあなたの声は

低く落ち着いていて

とても心地よくて

目を閉じれば

しんと静かな闇の中

まるで海の底に沈むように

深い眠りに誘われる

1/21/2024, 9:37:33 AM

揺れる。ふわりと浮くのは無重力からか、単純な浮力か。昔、水中は重力がないと考えてた。いちばん身近な宇宙だと。教科書を読めば違うと分かったが、全くの別物でもないと思う。だって、青くて、暗くて、寒くて...。身動きも取れず、息もできない。苦しくて寂しい空間。でも何故だかそれが、心地よくて好きだった。
[題:海の底]

1/21/2024, 9:33:52 AM

2024/01/21(日)No3.『海の底』
※かなり暗い内容です
 ⚠苦手な人は読まないようにしてください
※フィクション
―――――――――――――――――――――
僕は時々、パニックを起こすことがある。
人混みや人前での発表など場面はそれぞれ違うが、その時必ず思うことがある。

―…海の底のようである、と。

不安…、暗くて何も見えなくなって、体が重い…
必死に抵抗しても喋ろうとしても呼吸ができなくてどんどん苦しくなっていく…溺れていく……

僕はいつも周りに助けられていた、、
ある友達はパニックを起こす僕を嫌うことも引くこともしなかった。不安になるといつも隣にいて「大丈夫」と言いながら笑いかけてくれた。
そして、海の底から救い出してくれた…

僕はそんな友達に甘えすぎていたのだろう、
中学校で出会ったその友達とは大学に入って社会人になって忙しくなるにつれて話すことが減っていった、、一人でパニックを起こしたとき、いつも隣にいてくれた友達のありがたさを理解した。

しかし後に、その友達は自らの命絶ったと聞いた
きっと優しすぎて生きることに疲れたのだろう。
「君も海の底で溺れていたのだろうか……?
 今更君に感謝してももう遅いのだろうか…?」
その問いに返事が返ってくることはなかった…

1/21/2024, 9:31:33 AM

「海の底」

海の底深く
冷たく
足がひんやりする
潜るのも大変

1/21/2024, 9:25:39 AM

#104 海の底


人生ゲームで転落人生
東京湾で死のうかな

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