『海の底』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
海の底へ沈むにつれて静けさは増していく。
はるか上空にあるように見える水面とそれまでの景色、雑音のない静けさがこれ以上ない心地良さをもたらす。
心地よい、ずっとここにいていたいと心から思う。
だがやがて肺から酸素がなくなりたちまち全身を苦しさが襲う。周りに広がる景色は相変わらず美しいし、煩わしいノイズも存在しない。
だが苦しい。
そしていつか私は溺れ死ぬ。
私にとって心地良さとは苦しさだ。
そしてこの心地良さをずっと享受し続けること、それは死を意味する。
夜の闇に落ちていく。眠っているような眠っていないような夜だった。
もう一人の寝息だけ鮮やかで。
それ以外の音が消えて光も消える。
もう大切なものなどない。降り落ちる空気の澱が滲む奥底で、すべてが終わった夜に沈む。
マリンスノーって知ってる?
海底に雪が降るなんてロマンチックだよね。
海を模したスノードームを指して笑う君に、
その雪の正体を教えることは出来なかった。
<海の底>
【海の底のひとりぼっちより】
ひとりぼっちの海の底
誰かとつながりたくて
Bluetoothをオンにしたけど
私を受信する何モノもここにはなくて
やっぱりひとりぼっちの海の底
#海の底
海の底
深い深い海の底。
子どもの頃は、
何があって、どんなところなのかと、
想像を巡らせていた。
地底人とかいるのかな…とか。
見たこともない生物で一杯なのかなとか。
現在。
技術の発展により、
随分と鮮明に海の底が分かるようになった。
確かに技術の発展は素晴らしい。
だが、私の、
夢もロマンも地底人も海の藻屑となり、
消え去った。
paki
暗くて何も視えない。
水圧に潰されて息が苦しい。
それでも、まだ生きてる。
一匹のイルカは深海を目指した。
そこに何があるのか知りたくて。
命と引き換えに知ることを選んだ。
イルカが海の底に着いたとき。
自分の世界がどれだけ狭かったのかを知った。
もう嫌だ。というか、無理だ。
こんなことになるならもういっそのこと海の底に沈みたいくらいだ。それくらい、今回のことは僕の中で受け入れ難かった。
10年間片想いしていた彼女が結婚することになったのだ。相手は、僕の弟。
おめでとうお幸せに。定例的なお祝いの言葉すら出ないほど僕は驚いた。だって、なんだって君の生涯の相手が僕の弟なんだよ。まぁ僕も僕で、よく10年間も思い続けたもんだとは思うが。それにしたって身内とあの子が結婚。つまりあの子は僕の義妹になる。嫌だ、激しく嫌だ。これからは“お義兄さん”なんて呼ばれてしまうのだろうか。それを想像しただけで頭痛を呼び起こしそうになる。
でもこれで、ようやく10年にも渡った僕の仄かな恋物語は幕を閉じるというわけだ。結局、受身の姿勢じゃいつになっても報われないんだということがよく分かったよ。そうだよな、弟は僕に比べてずっと肉食系で社交的だ。そういう男が選ばれるということなのか。それが夜の中の仕組みなのか。
「はあ……」
溜息虚しく、何かしようと思いとりあえず散らかってる部屋の片付けをすることにした。僕が、弟よりもう少し饒舌だったら。あと少し背が高かったら。未来は変わっていたのだろうか。そんなことを考えても何も意味ないけど。でもたしかに、彼女のことを好きだったから。これまでの人生の中でTOP3に間違いなく入る衝撃のデカさだ。目眩がまだ収まらない。ゆるゆると立ち上がり鏡の前に立つ。情けない顔の僕がそこにいた。
「失恋って、幾つになっても辛いもんなんだな」
鏡の向こうの僕は今にも泣きそうだった。世界一惨めで不細工な僕だった。
『海の底』
頭上に広がる青は、空の青ではない。
ここでは何もかもが青に染まっている。舗装された道路も、高くそびえ立つビルも、電気で動く車も、鏡に映った自分の顔さえも。
だが、実際にそれらが青色をしているわけではない。
深い海の底にたった1つ届く青色の光が、この街を青色に染め上げているのだ。
ぼくは海の底にあるこの街で生まれた。海から出たことは一度もない。だから本当は本物の空の色を知らない。
ただ昔、人間が地上で生活していたことは知ってるし、その時の映像も見たことがある。
桃色の花を咲かせる桜、燃え盛る炎、黄色に茶色の網目が映えるキリン。ぼくの知らないたくさんの色がそこにはあった。
なぜ地上で暮らせないのかと大人に聞いたことがある。
だけど誰も答えてはくれなかった。ただ大人たちは真っ青な顔で互いに視線を送りあった。この街のすべてが元々真っ青だというのにこんな言い方をするのはおかしな話なんだけど、やっぱりあの顔は真っ青って言うのが正しいと思う。
このことを同い年で親友のたっちゃんに話してみたけど、たっちゃんは「ふ〜ん」と言っただけで、あんまり深く考えてないみたいだった。
だからといってはなんだけど、ぼくは自分で調べてみることにした。1度でいいから青以外の色を見てみたかったんだ。
ぼくはこの街で一番重要な施設(父さんがそう言ってた)にこっそり忍び込んだ。前にたっちゃんが空気口を使って忍び込むのについて行ったから簡単だった。まぁ、途中で頭を5回くらいぶつけたけど。
でもぼくは後悔した。秘密なんて知るもんじゃなかったって。
大人が何も答えなかった理由。いや、答えられなかった理由。
すべては大人のせいだ。こんな海の底深くで暮らさなければならなかったのは大人が原因だったんだ。
正しくは、今の大人がまだ子どもたった頃の大人がしたことらしい。
争いが絶えなかったその頃の地上で、その大人たちは間違った答えを選んで世界を壊してしまった。
壊したものは元には戻らない。それをぼくは知ってる。
だけどぼくはあきらめないって決めた。
だって青しかない世界なんてつまらないじゃないか。
いつかぼくらも大人になる。
でも大人みたいな大人にはならない。
ぼくはこの手で、色に溢れた世界を取り戻す。
海の底って暗くて冷たいってイメージがあるけど
本当かな?
光が届かないから暗い
水だから冷たい
本当に?
光源は太陽以外にもあるよ
水じゃなくてお湯かもしれないよ
ねぇ、一緒に確かめに行かないかい?
2024/01/21_海の底
Woman's heart has a deep ocean of secrets.
He saved me in a eyery way that a person can be saved.
〜Titanic〜
Roseのような恋をした。
心の海の奥底。
誰にも言わない、彼だけの場所がある。
人が人を救える最大限で、呪縛を解いてくれた。
生きる勇気をくれた。
彼なしでは私は今の私ではない。
尽きることはない感謝と愛情が眠る場所。
もう2度と会うことはなくとも。
【海の底】
月光の差し込む黒い海を君と二人で眺めていた。このまま暗くて深い海の底まで二人でどこまでも沈んでゆければ良いのにと望むくせに、本当にそんな道を選ぶ度胸は互いにないんだ。立場も、名声も、家族も、何一つだって切り捨てられない僕たちは、朝になればまたそれぞれの日常へと戻るだけ。
海の底の世界を夢想しながら、夜の海辺で二人きりで手を繋いでいる今この時間だけが、僕たちの交わす全てだった。
目覚めの悪い朝。
検討はついている。
最近、夢に出てくる山田くんのせい。
山田くんというのは、私の初恋の男の子で、中学校時代の私の心を奪ったたった1人の男の子。
運動部だった痩せ型の彼は、クラスの中心的なグループにいつつ控えめで、そんなところが好きだった。
(1度も同じクラスになったことはない)
私はそれはもうたくさんアピールしたけれど(今思うとあんなに積極的なことは出来そうにない)、でも、山田くんは奥手だったので私たちは毎日メールを送り合うだけの仲だった。
卒業式の時に最後にもう一度「好き」と伝えると、「俺も好きだったよ」と言われた。
呪いみたいな言葉。
それから10年、私はたくさん恋をしたし、今は大好きな彼と同棲をしていて今年結婚をする。
彼も2年ほど前に地元から離れたところで、私の知らない人と結婚をしたと聞いた。
山田くん。
私はもう覚えてないよ、君の顔も声も。
ずぅっと前に忘れてしまった。
それなのに私に呪いをかけた君は夢の中に出てきて、もがいてもどうしようもない苦しさだけを残して消える。
とても身勝手だと思う。
【海の底】
『海の底について』
海の底には、何があるんだろうか
見たことのない生き物でも潜んでいるのだろうか
その生き物は、日の目を浴びたいと思っているのか、はたまた、静かに暮らしたいから見つけるなと思っているのかもしれない。
生き物以外にも見つかっていないお宝があるのかもしれないと思ってみる。王冠や絵画などが埋まっているのかもしれない。
『海には、さまざまな想いたちが彷徨っているんだよ』と昔、とあるクラスメイトが教えてくれた。海を考えたり、観たりしていると、彼のことをよく思い出す。初めて、聞いたときは、『何を言ってるんだ』と思っていた。しかし、最近は、たしかになぁと考えが変わっていった。今なら、彼のその発言を讃えたいと思っている。
知らぬ間に、僕の想いも、海の底を彷徨っているのだろうか。
『海の底』 (シン・ゴジラ)
海へと沈められた核廃棄物の中に私は押し込められている。核の毒がこの身を蝕み命を奪い、残ったそれがもはや人の体ではなくなったためだ。核の呪縛が解けるのには長い時を要する。地上の夢を見ては暗い海の底で目覚めて落胆する日々の繰り返しは、見慣れない生物の来訪によって終わりを告げた。細長い魚のような形の生物は核廃棄物に近づくとそれらをついばみ始める。核の毒をもろともしない恐るべき生物は日を追うごとに姿形を肥大させていき、ついには私の身体も捕食し始めた。ただ時が過ぎるのを待つだけだったこの身がなにかの糧になるとは。驚くと同時にほんのりと嬉しかった。
『待たせたな』
その生物の一部となった大勢の中から聞き覚えのある声が脳裏に響く。遠い記憶に違いがなければ、それは私の夫の声だった。
『あなたも食べられてしまったんですね』
『おまえに会うためにはこうするのが最適解だったんだ』
『相変わらずのせっかちですこと』
ふふ、と笑い合う気配を感じる。核廃棄物を食べ尽くした生物は次の食料を求めて海の底から浮き上がり、夢にまで見た地上を目指すようだ。核の毒は撒き散らされることになるけれど夫は策を遺したと言う。
『だから思うままに、好きにするといい』
『……わかりました』
海から陸へ、そして空へと進む姿を想像する。鰭は手足となり、手足は翼となる。暗い海の底から陽の光差す大地と大空へ、私たちは進み始めた。
音も無く色も無く
底の見えない底が
怖いほど広がっている。
まだ見ぬ世界と
人間の歴史が
沈んでいる
圧迫感に締め付けられながら
私も沈む。
–海の底–
『海の底』
3年半付き合っていた彼氏と別れた。未だに別れの原因が分からない。あの人が最後に言っていた言葉も全く理解出来なかった。逃げるように去っていった彼の背中を見送ると、私は海の底に落ちたような気持ちになり、声が枯れるまで、涙が枯れるまで、気持ちが枯れるまで、ひたすら泣いた。
______やまとゆう
【海の底】
海の底へ堕ちていくような、そんな感覚を意識するようになったのはいつからだろう。呼吸を深く、意識を飛ばすように深く深く、光から暗闇に近づいていくあの感覚。自分の心と身体を整えるため、いつの間にか身についていた。
「はいっ、今日もいい数値ですね〜」
そう、血圧測定にはホントこれが欠かせないのだ。
おかげで本日も無事正常値だ。
海の底
そこはどんな世界だろう
ぱっと浮かんだのは
暗くてさみしい
冷たいイメージ
でも
行ってみなければ分からない
神秘的で素敵な世界かもしれない
そこに行かなければ知り得ないことって
たくさんあるね
#海の底
#86
海の底。このテーマ、以前に書いたなぁ。
そう、ちょうど去年の今の時期。しかも、この習慣を始めて2日目だった。そんな事まで覚えてる。
海底に設置されているポストのことを書いた。
そっか、習慣を始めて、1年が経ったのか…。
ちょっと、ズレた話になりましたね。
「海の底」
海の底には、何があるのだろう。
自分の中に眠る本当の自我のように、
深く深く押し込められた神秘に、心踊る。
神様と別れて、完全に何も見えなくなった。
曖昧だった境界がはっきりしてきて、私は、
さみしくて、むなしくて、どこか諦めたような大人達の仲間入りをしてしまった。
私の中で、確かにあった神様の記憶。
深い悲しみに亀裂が入り、津波のように何度も何度も押し寄せてくるに従って、私は少しずつ
——貴方を、忘れていく。