『泣かないよ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ねぇりゅうちゃん、私もう泣かないよ」
そんな事を言われたのは二十年程前だろうかと龍之介は過去を思い返した。この言葉の持ち主は昔よく遊んでいた小柄な女の子だった。いつも桜色の着物を着ていて其れがよく似合っていたことは覚えている。彼女は余り器用な方ではなかったのでいつも龍之介に頼っては近所のガキ大将とやらに揶揄われていた。
この言葉は一見自立を試みる耳ざわりの良い言葉に聞こえるが、其れは一種の依存の存在をほのめかす言葉であった事に数年経ってから気が付いた。龍之介はそれきり女に泣かれるとこの言葉を思い出す。不図頭の奥底から彼女の声が響くのだ。いや声はもう覚えてないらしい。それ程前の事なのに龍之介の頭に残っては、時々姿を見せて彼を悩ませていた。
龍之介は困っていた。女の涙が見れなくなったので、泣かせないよう神経を使い、誰も見ていない真っ暗闇で己の心をすり減らすのだ。今彼女は何処で何をしているのかなんて全く検討も付かないのに。
泣かないというのはそんなに良いものなのか、努力するものなのかと龍之介は時々夜中に彼女に問いかけている。
→耳にこだま
雑踏のなか、逞しいひと言が耳に飛び込んできた。
「泣かないよ」
その声は女性のようでもあったし、少年のようでもあった。歌うような朗らかさと数多のざわめきに逆らうような力強さが、どことなく挑発的でもあり同時に確固たる信念を感じさせる。
不思議な声音に惹きつけられ、思わず辺りを見回した。もちろん声の主は見つからない。
泣かないよ。
雑踏を遮り、私の耳のなかで何度もその声はこだましていた。
泣かないよ。
テーマ; 泣かないよ
泣かないよ
野良猫の遠吠えが1ダースの霰になって食卓に並んだ場合のことを考える。荒唐無稽である。
どこからともなく飛来した破壊光線が、忌々しい屋舎を破壊したことを考える。これもまた荒唐無稽である。
青白い顔面を映写する鏡の前で無理やり笑顔を作る。実に不気味である。
過去の分岐点に想いを馳せながら実体のない双眼鏡を首にかけるような仕草をして、首筋を貫通するある筈のない紐の感覚を一身に受ける。
生温いコーヒーの表層だけに口をつけ、インターフォンに呼ばれて足早に逃げる。
私はあなたのことを何も知らない。
私はあなたのことを何も知らなかった。
指の切り傷からペンに付着した血液も、いらないと残されていた弁当も、今に思えば実に愉快な思い出であった。
さらば。これは私個人の話である。
7 「泣かないよ」
私は、三年前に祖母を病気で亡くした。
ちょうどゴールデンウィークのときで、一日に会って、二日は学校、
学校が終わったら、三日にまた会えるはずだった。
でも、祖母は二日に息を引き取った。
“なんで”って何回も思った。
祖母は病気を患っていた。
“病気”
それは、人の命を奪えてしまうほど強力な力を持った物。
心の中で何度も、何度も思った。
“病気がこの世から消えてなくなればいいのに”って。
そうすれば、私みたいに悲しい思いをする人がいなくなると思ったから。
でも、そんなことはできない。
研究者でも、医者でも、どんな医療従事者でも
“病気”をこの世からなくすなんてできない。
私はそんな現実に腹が立って、
夜、ベットに入って一人で泣いた。
祖母の笑顔、思い出を思い出しながら。
数日間、泣くのを止めることができなかった。
そんな簡単に忘れてはいけないものだと思ったから。
私と同じように、母も泣いていた。
その時、私は初めて“母の涙”を見た。
強いと思っていた母の。
でも、時間が経つにつれて、祖母は頑張ってあの日まで生きたんだと
思うようになって、涙を流す回数も少しずつ少なくなってきた。
天国にいる祖母へ伝えたい、私たちはもう「泣かないよ」と。。
2026.3.17.Tue.
「泣かないよ」
私はもう何があっても泣かないと決めた。
小さい頃から泣き虫で人よりたくさん泣いてたんだけど、今は違う。
泣いてる姿は誰にも見られたくないんだよね。
大抵人は泣いてる人をみると何があったのか気なるし、心配してくれる。
だけどその人にとってはそれが逆に悲しくなったりするんだよね。
優しくされると、もっと涙が溢れちゃうんだよね、
【書く練習】
今日の書く練習はお休みします。
泣かないよ
「俺がいなくなったら、アンタ泣くか?」
「全然」
即答すんなよ。と心で毒付く。
「だってさぁ」
背後から手を伸ばし、耳元で囁くように言った。
「お前がいなくなったら、宇宙の果てまで探しにいく」
見えなくてもわかる。すごくにこにこしている。
「泣いてるヒマなんかないだろー?」
「はは…こえーよ」
苦笑いしか出来なかった。
まぁ、なんでもいいよ。
アンタが泣かないなら、なんだって。
なかないよ
だって、今生の別れでもないじゃない。
いつしか強気に放った言葉を跳ね返るようにして思い返す。
泣かないことが正解だったかは分からないが区切りであるその日に、振り返って泣くことを嗤うほどに私は偉くはなかったと思う。
今になると思う。何でもない日でも、今生の別れではない別れでも、戻らぬものを惜しむ事は別に恥じるべきではなかったなと。今だって進む時間を戻せる訳でもないし、あの日友達だった人たちと今も友達だということもない。
惜しむ機会は沢山あったが、振り返って寂しくなるほどには別れもあったが、その一つ一つを大事にはできなかった気がする。
だから思う、惜しむ機会を、日々を慈しんで泣くほど惜しむ手間を逃がしたくはないなぁと。
歳を取りすぎただろうか。いや、なんだか寂しいが清々しい。
何処かで桜が咲く季節がやってくる。
さぁ、別れの春だ。今年はどうだろう。…まぁまず強がりを直すところをはじめようか
――わかれの春ね
お題【泣かないよ】
泣かないよ
泣いてないよ
少し自分が弱いだけ。
あなたのことを考える
自分が自分じゃなくなる
あなたを苦しめて、私が別の何かになってまでこの心は必要なのだろうか。
あなたから離れるべきなのでしょうね
気づきましょう。
離れましょう。
涙はとうに枯れてしまったみたいです。
泣かないよ(オリジナル)
高校時代の友人の結婚式に参加してきた。
今は帰りの電車内。当時の同じグループの仲間と、何気ない思い出話に花を咲かせていた。
「それにしても、いい式だったよねぇ」
私は式を思い出し、しみじみと言った。
友も頷き、ニヤリと笑う。
「奥さん、めちゃくちゃ可愛い人だったよね。目がクリッとしてるところ、あいつのタイプよな」
「わかる。でもたぶん八重歯もポイント高いと思う」
「確かに!」
私たちは顔を見合わせて笑った。
「そういやさ、なっち、彼の事好きじゃなかった?」
「……良く覚えてるね」
そう。私は彼の事が大好きだった。
しかし、彼との間で理想の友人関係を築きすぎてしまい、その関係を壊す事が怖くなって、一度も告白しないまま卒業してしまった。
結果、今の奥さんとの馴れ初めも、喧嘩やトラブルなどの途中経過も全て知っている。
「大丈夫?」
「何が?」
「いや、今も好きだったら失恋だよなって思ってさ…泣いていいよ」
「嫌だなぁ。泣かないよ」
もう散々傷ついて泣きまくった後だからね。
けれど、これは自業自得でもある。
私の選択の結果だ。
彼のことを好きな女友達など奥さんにとっては迷惑だと思うので、彼との親友関係はこれを機にフェードアウトしようと思う。
「…まぁ、気軽に呼び出せる友人が一人減ったという意味では寂しくなるかな」
「…なっちも彼氏つくろ?合コンするよ?」
「頼んだ」
そして私は、色々と察した友と、深い握手を交わすのだった。
【泣かないよ】
…人前では
絶対泣きたくないのに涙もろいから困る
涙も笑いもなんだけどツボに入ると止まんない
泣いたの見られたくないのに溢れちゃった時は
背中を向けて暫く側に寄り添ってもらえるの
嬉しいかもなぁ
声はかけないで、ほんとに止まらなくなるから
ぱしん、と乾いた音がその場の空気を変えた。その音は紛れもない眼鏡をかけた少女の行動によって発せられたものだ。
少女の前にはミルクティーのような色をしてゆるくカールされた髪が目立つ少女が、左頬を赤くしたまま呆然と立ちすくんでいる。
しかしすぐにはっとするとミルクティーの髪色をした彼女は眼鏡をかけた少女を睨みつけ、同じようにその少女の左頬を叩いた。
そして先程の鋭い目つきが嘘のように、大きな瞳から涙がボロボロと溢れていた。綺麗なミルクティー色の髪もボサボサになっている。
そんな様子など気にすることなく、眼鏡をかけた少女は少し深く息を吸ってから落ち着いた声で言い放った。
「泣かないよ、私はあなたみたいに弱くないから。」
そう言って少女は落書きだらけでボロボロの参考書が入れられてる鞄を手に持ち、講義室を出て行った。
梅雨の時期の空は基本的に淀んでいる気がする。雨雲から逃げるように閑散とした場所に建っているマンションの5階を目指した。可愛いらしいキーホルダーがついた鍵を鍵穴に差し込んで回して、靴を乱雑に脱ぎ捨てる。
ドタドタと廊下を過ぎてリビングへの扉を開けると、大きなソファの背もたれに腕を回すような体制をした人物が座っていた。
その人は眼鏡の少女を見ると、ニヤリとしながら「おかえり」と言った。ハスキーで少し低めなその声色に、胸にあった異物が流れるような感覚を覚える。
「…ただいま。」
「ずいぶん楽しそうなことになったみたいね。」
「何それ、嫌味?」
「まさかまさか。」
そう言ってテーブルにあったタバコを1本取り出し、ライターで火をつけた。タバコの煙と共に微かなブルーベリーのような甘ったるい匂いが香ってくる。
「で、何があったの?またいじめの延長線?」
緩やかな口ぶりとは裏腹に質問の内容は鋭い。そのチグハグさに少女は顔を顰めたが、振り払うように首を横に振った。否定の意味も込めて。
「違う。いじめぐらいならあんなことしない。」
「ぐらいって…本当、負けん気が強いって言うか、なんて言うか。で、何があったのよ。」
その質問にどう答えていいか分からなくなった。素直に言っていいものなのか。でもそうしてしまったら、目の前のこの人が傷つくかもしれない。
そう思うと何故か喉が張り付いて言葉が出てこなくなった。
「……また、アタシのことで何か言われたんだ?」
そんな台詞に少女は否定が出来なかった。否定出来なかった代わりにソファに膝立ちをしながら、その人の肩に頭を乗せるようにして抱きついた。
「…あいつら、ナツさんのこと、バカにした。」
「あらら、それはまた…1回あんたの忘れ物届けに行っただけなのにすっかり有名人ね。大学1年生って暇なの?」
「知らない。あいつらは暇なんじゃない?」
「まあ、暇じゃなきゃ他人のことなんて見る余裕ないわよね。」
そう言ってナツと呼ばれたその人は少女の頭を撫でた。少しゴツゴツとした手は、未だに目の前の綺麗な顔とはかけ離れていて違和感を覚えてしまう。それでも安心する温もりであることには変わりなかった。
「で?具体的には何だって?」
「…変態のオカマだって。オカマなのに女が好きで、女みたいな顔とか話し方なのに女と付き合ってるなんて変態に決まってるって。」
「あら、思ってたより辛辣。」
「…だから、ぶってやった。」
拗ねたようなその口ぶりにナツは吹き出した。そして大声で笑い出したのだ。
それとは正反対に少女はどんどん顔が歪んでいく。
「あっははは!!!あんたやるじゃん!」
「…うるさいな、笑わないでよ。」
「んぐ、んふふ…ごめんごめん。でも、かっこいいんだもの。愛されてるのね、私。」
「…当たり前でしょ、馬鹿。」
「あらら、ずいぶん素直。明日は雨かしら?」
「嫌ーねー」と大袈裟に嘆いて見せる。その様子に少女はまた顔を歪めて、子供のように顔を背けた。
「さーて笑わせてもらったし、愛されていることも分かったことだし?今日の夜ご飯はオムライスにでもしようかなあ。」
わざとらしい言い方であるにも関わらず“オムライス”という言葉に少女はぴくりと反応する。それを見逃さないように続けて「ケチャップじゃなくて、デミグラスソースのやつがいいわねえ」と言えば少女の顔は完全にナツの方を向く。
「本当?オムライス。」
「ええ、本当。」
「……デミグラスソース、たっぷりがいい。」
「もちろん知ってる。晴れてきたし、一緒に材料の買い出し行く?」
そう言って立ち上がるナツに釣られてベランダの窓を見れば、分厚かった雲はなくなり晴れ間が差していた。
その眩しさに大学で我慢してた涙が出そうになるのを、「行く」という言葉と共に飲み込んだのだった。
〈泣かないよ〉
声は上げない あなたに聞こえるかもだから
あなただけは やさしい夢に送りたいから
泣かないよ 泣いていない 泣いてなんかね
けども 空腹はみたされてるのにからっぽだ
喉もかわいていないのに 枯れゆく気持ちで
わたし死ぬのかな このまま 死ぬの?
生と死はおもてとうら
いずれも剥がせない命への情動で
死にたい気持ちのてっぺんに来たらば
あなたの崩れた相好が見下ろしたところに在る
太陽と月みたい ね
あなたの光で延命する 反射の虚構で生を踊る
明日も生きてみたいから おはようと言ってね
泣かないよ
子供の頃泣き虫でした。
ちょっとしたことで涙が出てました。
今思えば、言語化できないから泣いて感情を表に出してたんだと思います。
年の近い子から揶揄われ、大人から叱られました。
最初こそ泣いていましたが、泣けば泣くほど悪循環だと気づいたら泣けなくなりました。
泣かなくなれば、皆から成長したねって褒められ嬉しかった。
でも骨が折れても、大切な人が居なくなっても泣かなくなりました。
周りはあんなに泣くなと言ってたのに、泣けなくなった
自分を見て今度は薄情やら気味が悪いと言いました。
泣かないことが正解だと思ってました。でも、どうやら極端なのは良くなかったのだと思います。
大人になった今はポーカーフェイスが上手くなったので社会で生きていく上では便利です。
適度に嘘泣きもできるようになりました。
泣かないことが正解とも限らないようですから。
でも大人になった自分より、昔の子供の頃の自分の方が、よく笑って、よく泣いて実に人間らしかった…
今は他の人を模倣して毎日を生きている。
真似して学習して、我ながら出来の悪いAIみたいです。
私は泣かないよ。でも本当はもう泣き方が分からないよ。
泣かないよ
どんなに悲しくても
辛いことがあっても
君の前では泣かないよ。
だって僕が泣いてると、君が悲しむから。
見せていいのは嬉し涙だけって決めてるの。
*泣かないよ*
泣かないよ。
自分に何度も言った言葉。
寂しいときの泣きじゃない
辛いけど
泣く事さえも悔しい時
泣いたら止まらなく
辛さばかり増えていく気がして
1人で言葉にして乗り越えようと
何度も言った。
泣いてないし
泣かないよって
結局泣いてたけど
乗り超えてきた大事な言葉、
わたしは泣かないし、あなたも泣かせない。
ね、わたしを信じて。
泣かないよ
どんなことがあっても、泣かないよ
どんなに苦しいことがあっても、泣かないよ
悲しくて胸が張り裂けそうでも、泣かないよ
大好きな友達がいなくなっても、泣かないよ
ずっと傍にいた家族でも、愛していた貴方でも…
どうでも良くなって 気持ち悪くて
触れたくなくて 関わりたくなくて
感情がのらなくなって 嫌になって
無いことにしたくて 思い出したくなくて
…もう、泣けないんだよ
『泣かないよ』
昔から泣き虫で、些細なことでよく泣いていた。
そんな自分が嫌で、泣くのを我慢するくせが出来た。
だからね、あなたに何を言われようとも、
私は泣かないよ。絶対に泣かない。
私の、ちっぽけな強がり。
年の離れた姉から電話があった。
「そっちはどう?一人で大丈夫?」
「大丈夫だよ。一人じゃないし」
「一人じゃない?」
「彼氏と一緒にいるの。幼なじみの彼と付き合っている」
姉はちょっと黙ってしまった。そしてため息一つ。
「そう…」
「ごめんね、姉さん」
「謝らなくていいのよ。私はいつでも貴女の味方だし。…でも何かあったら遠慮なく相談して」
「大丈夫。私は幸せだよ。泣かなくてもいいくらい」
「よかった。じゃあ、また電話するからね」
「うん、また電話してね」
電話を切ってふうっと息をつく。彼は今お風呂に入っている。何か飲もうかな。
「あれ?電話してた?」
「うん、ちょっとお姉ちゃんから」
「そっか。いつかご家族にも挨拶に行かないとな」
「まだ早いよー」