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泣かないよ(オリジナル)

高校時代の友人の結婚式に参加してきた。
今は帰りの電車内。当時の同じグループの仲間と、何気ない思い出話に花を咲かせていた。
「それにしても、いい式だったよねぇ」
私は式を思い出し、しみじみと言った。
友も頷き、ニヤリと笑う。
「奥さん、めちゃくちゃ可愛い人だったよね。目がクリッとしてるところ、あいつのタイプよな」
「わかる。でもたぶん八重歯もポイント高いと思う」
「確かに!」
私たちは顔を見合わせて笑った。
「そういやさ、なっち、彼の事好きじゃなかった?」
「……良く覚えてるね」
そう。私は彼の事が大好きだった。
しかし、彼との間で理想の友人関係を築きすぎてしまい、その関係を壊す事が怖くなって、一度も告白しないまま卒業してしまった。
結果、今の奥さんとの馴れ初めも、喧嘩やトラブルなどの途中経過も全て知っている。
「大丈夫?」
「何が?」
「いや、今も好きだったら失恋だよなって思ってさ…泣いていいよ」
「嫌だなぁ。泣かないよ」
もう散々傷ついて泣きまくった後だからね。
けれど、これは自業自得でもある。
私の選択の結果だ。
彼のことを好きな女友達など奥さんにとっては迷惑だと思うので、彼との親友関係はこれを機にフェードアウトしようと思う。
「…まぁ、気軽に呼び出せる友人が一人減ったという意味では寂しくなるかな」
「…なっちも彼氏つくろ?合コンするよ?」
「頼んだ」
そして私は、色々と察した友と、深い握手を交わすのだった。

3/17/2026, 1:33:20 PM