アルミ合金のムニエル

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泣かないよ

野良猫の遠吠えが1ダースの霰になって食卓に並んだ場合のことを考える。荒唐無稽である。
どこからともなく飛来した破壊光線が、忌々しい屋舎を破壊したことを考える。これもまた荒唐無稽である。
青白い顔面を映写する鏡の前で無理やり笑顔を作る。実に不気味である。
過去の分岐点に想いを馳せながら実体のない双眼鏡を首にかけるような仕草をして、首筋を貫通するある筈のない紐の感覚を一身に受ける。
生温いコーヒーの表層だけに口をつけ、インターフォンに呼ばれて足早に逃げる。
私はあなたのことを何も知らない。
私はあなたのことを何も知らなかった。
指の切り傷からペンに付着した血液も、いらないと残されていた弁当も、今に思えば実に愉快な思い出であった。
さらば。これは私個人の話である。

3/17/2026, 1:51:57 PM