『沈む夕日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
橙色に包まれながら、
目を細めて。
近づけるようにって
背伸びしながら歩いた日々は
もう戻ってこない。
帰りも、隣に立てなくなるんだ。
気付けは空は群青色に染まっていた。
その割合は、もう8割にも及ぶ。
こうやって想うのも、
今夜で終わりか。
あ。もう、夜が来る。
沈む夕日
#21
彼と二人で沈む夕日を見ていた。
ふと隣を見ると彼が居なかった
ああ、沈んでしまったのか
あなたは目を覚ましました。
それから私の顔を見て
「お前は誰だ」
と言いました。
あなたは記憶を失っていて、私のことも忘れていました。
「あなたの妻でございます」
「お前が!? 俺の許嫁はどこだ? 俺がお前のような醜女を選ぶはずがない」
この社会では美醜によって扱いが異なりますから、
美しい者は美しさを求め、
醜い者は嫌われて笑われ者になることもあるし、それを歌う舞台演劇だってあります。
そして、周囲の親族が口々に説明していました。
特にあなたの妹は、
「お兄様? いい機会でなくって? この際、離縁なさってもよろしいと思いますわ」
「もう、援助金を頂いて我が侯爵家は立て直しができたわ、それに醜女なんて我が侯爵家にはふさわしくないですもの」
とニッコリと社交界の華と称賛されている笑顔で言いました。
それを聞いて事実通り政略結婚で結ばれた私を見て、
「そういう事情があったのか、でないとまさか、俺がお前のような……」
「醜女を選ぶはずがない?」
喉が支えてしまったようなので続きを代弁させていただきました。
医師の方々があなたに今の状況を説明したことで目に見えてあなたは落ち着いていきました。
「ゴホン」
失礼なことを言った自覚があるのでしょう。
目を閉じて咳払いして誤魔化すのはあなたの悪い癖です。
そして目をそろりと開けて、
「行くあてはあるのか? 確かに君との関係は考え直すかもしれないけど、すぐに追い出したりはしないから、しばらくは屋敷にいて良い」
その無駄に優しい心遣いが以前のあなたと変わっていなくてじんわりと温かくなる。目元も熱くなるので、下を向いて
「気を遣ってくださってありがとうございます」
と見られないように言いました。
二人の思い出があるお屋敷のテラスに私はいました。
沈む夕日がキラキラと反射しているのを見て過去が蘇ってきて、胸が締めつけられました。
正直言ってお屋敷に居るのがこんなに辛いと思いませんでした。
侍女が気を遣ってくれて先程から心配そうに紅茶をいれてくれました。
私は椅子に座って外を眺めながら紅茶を飲んでもう三杯目になります。
「旦那様はすぐに良くなられますよ。奥さまのことを大切にされていました。仲睦まじいご様子をしっかりとこの目で見ていましたから」
侍女の優しさに苦しさが和らいできました。
「でも、もう退院されているのに屋敷には帰ってきてないわ」
最後の言葉が若干震えてしまったけど、私は恐れていました。
もう私たちの関係は終わってしまったのではないかと。
脆く儚い時間だったのではないかと。
沈む夕日
山の端に、ゆっくり沈んでゆく夕陽が眩しい…そして、空に拡がるオレンジから群青へのグラデーション…変わりゆく姿に、つい目が離せない…夕方の雑踏、曖昧になってゆく影や、ひんやりする空気…どうして..も…何処からか湧き上がる切ない気持ちと、終わりゆく一日に、ほっとする瞬間…
海の磯の匂いを運ぶ生ぬるい風が、ふと俺の頬をかすめた。あたりにはツンと鼻の奥に突き刺さるような血の匂いが充満している。目を開けると、そこにはただ赤くにじむ空があった。
あぁ、生き残ったのか。
その実感が湧くと同時に、一気に凄まじいまでの情報量が押し寄せてきた。右腕がとてつもなく痛い、のどが渇いて仕方がない、なにか飲みたい、息が苦しい、体が鉛のように重い、誰か、誰かいないのか、生きている仲間は。
その暴虐にしばらく耐えていると、少しづつ脳が身体の感覚に慣れてきた。右腕は全く動かないが、左腕なら少しは動かせそうだ。水が飲みたい。一刻も早く。俺はぎこちなく立ち上がると、あたりを見渡した。水がある!国中の兵士が飲んでも絶えないほどの水が。まだ思考力の戻らない頭はとにかく水を求めて、俺に海へ行くように命じた。海の水が辛いことは知っている。でも、少しでも渇きが癒せるなら。強烈な欲求に支配された俺の体は理性が止めるのも無視して海へ向かっていた。
ドスッ
足元で鈍い音がした。いや、さっきまでもしていたはずだ。五感が遠のくほど極限の感情に支配されていただけで。不思議な感覚だ。こういう感覚は以前も何度か覚えたことがある。そういうときはいつも極限の状態で、その感覚の命じるままに体を動かすだけで俺は生き残ってきた。今、この感覚が命じているのは足元を見ることだ。少し頭がスッキリしてきたような気がする。何度か息を吸ったり吐いたりすると、気持ちも落ち着いてきた。ゆっくり足元を見る。そこには先程から何度も踏んづけてきた、見慣れた軍服があった。しかし、何やら腕に腕章をつけている。これは、補給隊のものだ。もしかしたら近くに馬車が。急いで馬車を探すと、それは思いのほか早く見つかった。荷は荒らされているが、あまり減っていないようだった。あった、水だ!これでようやく一息つける。
水の入った袋を片手に馬車から移動すると、近くから波の音が聞こえてきた。後ろを振り向くと、そこにはまるで使命を終えたかのようにゆっくりと沈む夕日があった。こんなおっかない太陽は見たことがなかった。おぼつかない足取りで砂浜に座る。まるでこの世界に一人取り残されたかのようだった。
今日が終わる。
1時間前のことすらはっきり覚えていない。
何となく1日か過ぎていく。
だけど、この衝撃は忘れない。
毎日訪れるこの瞬間。だけど、もっとも短い光景。
目を瞑っていても太陽の光か瞼を通り越して明かりを灯してくる。鬱陶しくもあるこの時間が、何よりも好きだ。
今日もまた沈む夕日。明日もまた沈む夕日。
当たり前だけど、その当たり前が美しい。
だから、今日も当たり前に生きた自分は美しいんだと思える。
瞬く間に過ぎてしまう
空が赤色に溶ける一瞬
闇の帳がおりるまでの
ほんの僅かな儚いもの
誰そ彼の夕暮れは
昼間と夜をつなぐと曖昧な刻
沈む夕日
すべての罪悪は意思から生まれる。だからあたしは何も考えない。
あの日、山の稜線に日が昇るころ、あたしとあの人はここで出会うはずだった。あたしは、いつもこの世界の仕組みを知りたがっていた。そしてあたしはあの人に「とっておき」のいいものを見せてあげると言われて、まだ日も差さない時間にここで待っていたのだ。
しかしどうだろう。いつまで経ってもやってこない彼女に痺れを切らせて、あたしは辺りを探しに出た。少し探して、そこで見たのは数人の男と彼女の変わり果てた姿だった。
あたしの頭に血が上ったのはあの一度切りだ。
ちゃんと意識はあった。あたしは自分の意思で、自分の手で、その男達を殺した。あたしが待っていた場所も含めてそこ一帯は立ち入り禁止の禁域で、あの人はただ掟破りで殺されたと知ったのはそのすぐ後だった。
罪を犯したのはあの人を殺した男達ではなく、あの人だった。それを知った時、あたしも罪人になったのだ。
同時に、あの人が立ち入り禁止区域なんかに呼び寄せた理由も永遠に分からなくなってしまった。
あたしは罪人だ。だからあの日からあたしは何も考えなくなった。すべての罪悪は意思から生まれると知ったから。
そしてあたしはもうずっと朝日を見ることもできず、今もこうして暮れなずむ禁域で金色の夕日を眺めている。懺悔の代わりとでも言うのだろうか。とても馬鹿馬鹿しい。
『沈む夕日』(創作)
沈む夕日に伸びる影
それを避けるように
ずっと後ろを歩く私
逢魔が時のこの瞬間
長い長い影が揺れる
影の主は沈む夕日に照らされて
私の牙の届かぬとこへ
ああ口惜しや口惜しや
(脳が働かず、何も浮かびませんでした。)
「沈む夕日」
「君と夕日を見たかったのに、夕日が沈みはじめてる」
私はしょんぼりして言った。
「でも、沈む夕日でも綺麗だよ」
君は言った。
「そうだね。次は綺麗な夕日を君と見たいな」
私がそう言うと、君は頷いた。
沈む夕日を見ると、夜がくると思う。
夜は怖いと感じる事が多くて嫌だったけれど、君と一緒にいるから、夜も怖くなくなった。
私は沈む夕日を見ながら、君と手を繋いで、そう思った。
沈む夕日
コレをみると、夜がくる。
夜行性の生物にとっては、嬉しいものである。
人間も然りである。
人間は昼行性ではあるが、光を自由に操る術を手に入れた。
おかげで、ある者は夜の街に繰り出し、ある者は睡眠を貪り、各々が自由を謳歌する。
夜は昼以上に、人間が生き生きとする時間ではなかろうか。
私たちの足元の影が伸びて、少しづつ夜と混ざってゆく。どうにも、日暮らしの声が私を一層寂しくさせた。
夏の終わり 君との思い出もこれっきり。
顔の見えない君は、何も言わないままに背を向けた。
私たちに、次はあるのだろうか。また、こうして過ごす日が来るのだろうか。
私たちは段々と大人になって、無邪気に遊ぶことも少なくなってしまう。だから私は怖い。
今までのことが、全て夢のようになって消えるのが。
長くて短い、子供時代。
また君とホタルを見れたらいいのにな。
君と走り回って、なんだって楽しくて、祭りの日には心が弾んだ私は、数十年後 どこへ行ってしまうのだろう
あの日鳴いた日暮らしは、今年は一、二ヶ月早く鳴いている。
変わっていくのだ。私も周りも。
時が経つにつれて思い出をなぞれるものすらも無くなってゆく。君もいつか、私の知らない人になってしまうのだろうか。
私の愛したこの場所も、百年後には何も残らないのだろうか。
ジャリと靴越しで鳴る砂に、髪をあおる潮風。
目の奥すらも焼けそうな、大きく深いオレンジ色。
それらが今、こうして自分を包み込んでいる。
「本日は晴天なり」なんて言葉がピッタリ似合うくらいには、正しく雲もなく澄んでいた。
だったら、もしかすると、そんな風に絵に描いたような光景が観られるのかもしれない。
ふと何気なく考えてしまった時点で、これから起こす行動とその多くが切り替わっていたんだろう。
取りあえず目を閉じて深呼吸をしたその瞬間、よくもまあ本当に「こんなところ」までやって来れたなと、自ら冷静さを取り戻した。
何故か無性に見てみたくなって。
だから来た。
突発的な思考ってのも、案外バカにできないな。
【沈む夕日】
沈む夕日を見ながら
帰りたくないねーて呟くと
ね、分かる笑 って君が言う
高校卒業以来ぶりに会って朝から遊んだ
普段なら面白くないはずの歴史博物館みたいなとこも
「ね、こんなかで誰が1番強そうかせーので指さそ」
なんてしょうもない会話だけどめっちゃ楽しくて
ずっと笑いすぎて心臓が痛いぐらいだった
帰りたくないなんて駄々こねてすっかり日は暮れてしまった
でも、やることもないので彼を車で家まで送ってあげた
高校時代は2人で遊ぶなんてことなかったから
なんか変な感じだけどまた遊べるかな
自分の家についてふとドリンクホルダーに目をやると
彼のリップクリームが入ってた
リップクリーム忘れてるよ
___あ!!ほんとや忘れとった
笑笑しっかりしてください、今から届けに行こうか?
___ごめん笑 ううん、今日は夜遅いから 次いつ会える?
いつでもあいてるよ
___じゃ明日
いいよ
君と歩く帰り道
私の顔は赤く染まるから
真っ赤なの夕日のせいだよと
照れ隠し
君にバレてないといいな
天の弱な私の気持ち
#2『沈む夕日』
沈む夕日
「ん…、あれは…、」
ベランダでタバコを吸っていると、沈む夕日が見えた。
夕日なんて、見たのは何ヶ月ぶりだろうか。
いや、何年ぶりか…?
普段部屋の中で生きてたら、そら見ることも少ないか。
夕日を眺めながらタバコを吸ってる奴って、何か黄昏れてる奴みたいじゃないか?笑
[ガラガラ]
不意にベランダの扉が開いた。
「ありゃ、こんな所に居たんだね。探したよ〜?」
そういえば、コイツにタバコを吸うって言ってなかったっけ。
「……すまん。」
「まぁまぁ、"ペット"から目を離しちゃったのは飼い主の僕のせいだから。今後はやめてね?」
あーあ、やっとこの地獄みたいな生活から逃げられると思ってたのに。
夕日が沈んでいく。もうすぐ夜が来るのだ。少し歩く足を早める。背後から、影が囁いた。
「大丈夫、暗くなっても私はそばにいるよ」
そうは言っても、光のない場所では出てこれないだろう。影が出てこれないときにあいつらが来たら、確実に私は無事じゃすまないのだ。一緒にいると言っても、手が出せないのでは意味がない。リスクを取るより、早く家に着く方が無難だ。
「もし私が出てこれなくても、一応スマホのライトで追い払えるでしょ」
呆れたような影の声を無視し、小走りとは言えないほどの早さで家に向かう。
それから、無事に家に着くと、中に入り息を吐いた。
ドアを薄く開け、外の様子を伺う。暗くなった路地にゆらゆらと真っ白な『ヒトガタ』たちが闊歩し始めていた。もう少し遅かったら、きっと襲われていたはず。
「危なかった…」
ドアを閉め、気づく。家の中が真っ暗だ。今日は早く帰るつもりだったので、電気はつけていない。これはまずい。あいつら、『ヒトガタ』は外だろうが家だろうが関係なく、暗い場所に寄ってくる。早く電気をつけないと…。照明のスイッチを手探りで探していると、ヒヤリとした何かに手を掴まれた。
「ひっ…!」
ぐいっと体を引っ張られ、バランスを崩す。目の前に真っ白なものがこちらを覗き込んでいる。ヒトガタだ!今、部屋は真っ暗で影は出てこれない。自分で何とかしないと…!ヒトガタの頭らしき部分が大きく膨らみ真ん中から裂け、真っ赤な三日月が現れた。笑ってるようなそれは…。今から補食されると気付き、体が動かなくなる。逃げられないと思わず目を閉じる。
「スマホのライト!」
背後から声が聞こえ、ポケットからスマホを取り出す。大きくなる真っ赤な三日月に向かってライトを付けると、耳障りな奇声と共に三日月は遠ざかり、急激に萎んでいった。ヒトガタが怯んでいる内にライトを使い、照明のスイッチを探し電気をつけた。パッとついた照明に照らされ、ヒトガタは苦しそうに縮こまりどろりと溶けた。溶けたそれは外へ逃げようと、床を這っていく。
「逃がさないよ」
背後の声の持ち主は、定位置である私の足元から離れ床を這う白いスライムのようなそれをずるりと吸い込んだ。しばらく咀嚼していたが、私と同じ姿をした影はごくんと飲み込んだ。
「ごちそうさま」
真っ黒な影の表情は見えないがニヤリと笑った気がした。
「助かったよ」
「だから、大丈夫って言ったでしょ」
影は定位置に戻った。
「これからも遅く帰ってきてもいいんだよ」
それだけは勘弁したい。今度出掛けるときは必ず電気をつけていこう。
沈んでゆく夕陽。
私達を見守って沈んでゆく。
沈むその姿までもが美しくて
私は目を細めた。
あぁ、居なくなってしまった。
明日も会いに行こう。
だいだい、あか、き、あお
ふわあっと広がって
駅のホームもじゅわっと包まれて
そんな柔らかい波にのせられて
みんな同じ方向を向くんだ
沈む夕日
夕日が沈めば夜がくる。夜は好き。
家族が揃うから。