『暗がりの中で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
何も見えない未来
何が起こるのか誰も知らない
予言はあれども
それが自分にどう影響するのか
知る術は無い
光を照らけど見通せない
過去という背後は彩づいているが
未来は永遠の闇
誰もが手探りで歩む
踏み外すことなく
進めることを切に願う
「暗がりの中で」
: 暗がりの中で
真っ暗がりなぼくの心の中に
小さな光が灯ったんだ
まるで蝋燭の火が
優しく揺れるように…
丸みのある淡いオレンジ色が
ぼくに語りかけるように近づいてきて
ぼくの鼻先にキスしたんだ
なんだか照れ臭かったけど
とっても嬉しかった
寂しさで紡がれた鎖が
するするとほどけていったとき
誰かがぼくの頭を優しく撫でながら
名前を呼んでいるのが聞こえた
なおくん、おはよう…
心地好さに包まれながらそっと目を開けると
零れそうな笑顔を向けながら
ぼくを見つめるおばあちゃんがいた
ぼくは独りぼっちじゃないんだ
そう思ったとたん
ぼくのお腹がため息を漏らした
さあさあ、ご飯にしましょうね
ぼくはおばあちゃんの後を追いかけた
桜月夜
『暗がりの中で』
膝を抱えてうずくまる貴方に灯りをあげましょう。
この蝋に火を灯せばきっと、
貴方を害するすべてのものから守ってくれる。
そんなおまじないみたいな灯りを貴方に。
軈て蝋は溶け、火は消え、灯りは失われるでしょう。
そうしたらまた灯りを届けにきます。
だから貴方は何も心配しないでいてね。
後ろから わぁぁぁ
ってな感じで驚かされて
なにー?って振り向いたら
そこには誰も居なかった、、、
朝日が登るころ、女は海にいた。
家の前はすぐに砂浜になっており、小さないすとポットを持って、サンダルのままサクサクと波打ち際まで歩いていく。
まっさらな生まれたての砂浜に、女のつけた足あとだけが刻まれている。なにかの秘密の暗号みたいに。
鳥たちの鳴き声が、朝の張りつめた空気の中に響きわたり、そのはるか上をゆうゆうと鳶が旋回している。
女はいすを置いて座り、熱いコーヒーをポットからカップに注いだ。少し肌寒い朝で、手をカップで温めながら上がってくる湯気を吸い込みつつ、ゆっくりとコーヒーを飲んだ。
朝日が徐々に辺りを照らし始める。
光が波に反射して輝き、薄く漂う雲は赤や紫、黄金色に照らされていた。
女の顔も身体も、東雲の空の色に染まっていた。砂浜や小さな蟹や石も、その空間すべてが。
女の内には闇があった。
それは女から女へと代々受け継がれ続けられた闇であった。
人は皆闇から出でてくるものであるが、この世に落ちた瞬間、光を受けると闇も闇として存在しはじめ、それを恐れはじめる。
だが、女の内にはそうした闇が生き続けた。子宮という混沌を抱えて。
生命の循環は、太古の時代から「母―娘」のつながりによって保たれてきたのだ。
だが、女はその闇を忌々しく思っていた。
自分もあの男のように闇なぞ、自らとは関係がないような顔をして生きていたかった。心底、闇を憎悪してみたかった。
しかしその男もまた、女の内の闇にひかれてくるのだ。
炎に群がる哀れな蛾のように。
女は闇を内に隠し、平気な顔をして生きている。
そして男を受け入れ、やさしく暗闇で包みこんでやった。
太陽はますます強く辺りを照らし始め、女はますます美しく輝いていた。
暗がりの中で夕飯を食べる。
子育ても終わり、夫婦二人暮らし。
いつからか旦那が、ダイニングキッチンの大きな照明をつけなくなった。
今は流し台の上の小さな灯りのみだ。
節約だとわかってるけどさ。
そんなんじゃご飯も美味しくないよ。
だから旦那が家に居ない時は思いっきり明るくする。
先が見えず
怖くて悲しくて
涙がとまらなかった
そんな時
何を頼りにすればよいのだろう
暗闇の中小さな掌を見つめて
浮かんでは消える儚い追憶の影に
今も目が逸らせず
#暗がりの中で
明かりを消してベッドに横たわり、お気に入りの睡眠催眠の動画を開く。
落ち着いた男性の声に誘導されて、心地よく寝落ち出来るので、最近毎晩聴くようになった。
「今日も一日お疲れ様でした。ここからはあなたのための時間です。一緒に眠りの旅へと出掛けましょう」
優しい音楽と共に誘導が始まり、簡単な呼吸法と、体の部位に意識を向けるボディスキャンを経て、イメージの世界へと旅立つ。
「あなたは月明かりに照らされた、美しい森の中を歩いています…」
起きているのか眠っているのか、ちょうど中間のような感じで、ふわふわと導かれてゆく。
森の小道を抜けると、小さなコテージがあって、そこには暖かな暖炉と柔らかなベッドがあって…。
いつもそう続くはずのところで、男性の声がこう言った。
「あなたは更に森の奥深く、暗い洞窟の中へと入って行きます」
あれ…?バージョンアップされたのかな?
すでに眠りに落ちかけている私は、ぼんやりとしか考えられない。
「暗がりの中には、大きな黒い獣が潜んでいます…あなたはその赤い口に向かって、一歩づつ進んで行きます…」
え…?こんなの知らない…。
少し気味悪くなり、動画を消そうと思ったが、金縛りにあったように、瞼さえ開かない。
「あなたはどんどん黒い獣に近づいて行きます…」
ヒヒッと声が嗤う。
「もういいだろ、さっさと喰われろ」
ベッドの中でピクリとも動けないまま、私は大量の汗が吹き出すのを感じた。
生臭い熱い息が、頬に触れたのだ。
ここに入ってどのくらい経ったのだろう。灯りといえば小さなランタンぐらいで、洞窟の中はほとんど真っ暗に思えた。昔読んだ小説では、洞窟に閉じ込められた悪者がコウモリも捕まえて食べたのに飢えて死んでいたっけ。冷たい岩壁をつたってゆっくりと前に歩んでいく。ときおり完全な暗闇に包まれると、地図もコンパスも意味がないようにみえた。ロープを頼りにして、それでもこのような場所からは一刻もはやく抜け出さなくてはともがいて、とても長い時間進み続けた。
そしてそれは、突然あらわれた。あまりに急なことで自分が死んでしまったのかと錯覚さえしたほどであった。
そこには青碧に輝く水だまりと、他に類をみないような大きな鍾乳洞が厳かにもたたずんでいた。見上げると、陽の光が射し込んでいるのがおぼろげに分かった。
「美しい……。」
思わずため息がこぼれた。この景色を形容する言葉を俺は知らない。
やっぱり冒険家って最高!
暗がりの中で
明かりのない部屋で紙に巻かれた葉がチリチリと音を立てて燃えていく。
暗がりの中で
今日は小説向けのお題か。しかし現代で暗がりというと電気を消した部屋くらいしか思い付かないな。
あとは深夜の路地裏とか暗がりのイメージだけどそもそも路地裏ってなんだ?名前はよく聞くし漫画とかでも割りと出てくるからイメージだけはあるけど路地裏なんて実際にいったことないから実際にどんな場所なのかは全然わからん。
まぁ路地裏はともかく現代で暗がりってあんまないよな。どこも電気の光にあふれてるから夜でもそれなりに明るい。
とはいえそこまでちゃんとしてるのは金持ちが暮らしてるエリアだけか。現代日本は格差社会だからな。貧民が住むエリアは暗がりくらいどこかにはあるんだろうな。
それとこれはお題と関係ないけど最近買い物の支払いをモバイルスイカにした。クレカは原因不明で使えないこと多くなってたから電子マネーに切り替えた。
通販とかだと普通に使えるからカードになんらかの汚れか破損があるのかもしれない。見た感じ汚れてないし破損もないんだけどな。
でもカードが使えないのは事実だから対応しないわけにはいかない。だからいろいろ考えてモバイルスイカにした。
こういうのって使う前は現金でいいだろって思うけど実際に使ってみるとめちゃくちゃ便利で今まで現金使ってたのがバカみたいに思えるくらい便利だよな。
とはいえ不測の事態に備えて現金も持ってるけどもうメインの支払いは電子マネーだわ。これでもう財布に金がいくらあるかとか考えなくていいから気楽だ。
暗がりの中で、光を見つけた。
闇に慣れすぎたこの身には、
とてもとても眩しくて、
近寄りがたく思えるけれど。
その光が、
あまりに美しかったものだから。
焦がれて、焦がれてたまらなくなってしまった。
たとえこの身が、
光の中で生きられなかったとしても。
それでも構わない、後悔しない。
だから私は、
迷わず光に身を委ねた。
【暗がりの中で】
誰といても
現在(いま)の環境下に置いて
結局気づけば 孤独感や寂しさに襲われる
暗がりから抜け出せたと
目の輝きを取り戻したかに思えたはずが
また戻る
気持ちの持ちようだ
考え方・捉え方1つで
人はそこからいつでも心持ちだけは抜け出せる
暗闇の中を
手探りで探すあの日見た光
思い出しては瞬いて
失っては消えて
その繰り返しの点滅の中で
一瞬だけよぎる君の横顔
笑っているような泣いているような
目を細めた君が
胸の奥深くまで熱く焼きついた
テーマ暗がりの中で
暗がりの中で君に会うと
サビ柄なので全然わからない
君は暗がりの中でも余裕
私は君を見失わないように
君についていく
暗は君の枷にならない
→哲学的と言えば聞こえはいいが……
小学生の頃、寝る前に行う習慣があった。それは暗がりの中で周囲に同化すること。そんなことを始めた理由は、透明人間のように自分を消してみたいという興味からだ。
手順は布団と自分の確認に始まり、その境界線をいかにして消していくかという思考に移る。
そこで、『考える』という行為自体が布団とのシンクロの障壁だと思い至る。思考を透明にせねば、自分が無機物と一体化することは叶わないと考えたのだ。はい、一歩後退。
さらに次の疑問が生まれる。そもそも一体化しようという能動的意識が、布団と自分の決定的な違いを生んでしまってはいないだろうか? 意識を消すというのは、どういうことだ? 死ぬことか? いや、それは違うような気がする。生きながらにして、自然物と一体化するのだ。煮詰まって、十歩くらい後退。
そして暗がりの中で、後退ばかりの思考実験に悶々としながら、小学生の私は眠りに落ちてゆく。
なんやろね、メンドクサイやっちゃなぁ。
ホンマ、もうさっさと寝ぇや、当時の自分。
テーマ; 暗がりの中で
ちいちゃいころの トラウマ
ねずみばあさんが わらうよ
ちいちゃいてをにぎって ねむったよ
ねずみばあさんが わらうから
ねずみばあさんは わらいつづけてる
いまも きえてくれないの
むかしと おなじで いやなのに
ねえ なんで わらってるの
えがおになじみすぎて
わらってないと こわれちゃうから?
ねずみばあさんのせいで
いまでも えがおがすこしこわいんだ
えがおをみるのも
ぼくがわらうのも……
暗がりの中で
タッタッタ。
ザッ。ザッシュ。
ここ数日、会社から帰る駅からの道で誰かにつけらている気がする。いや、気のせいではない。確かに足音が後ろからついてくる。ストーカーだろうか。怖い。怖い。
一度振り返ったが、暗がりの中でよく分からない。でも足音は聞こえる。
走れば振り切れるだろうか。
角を曲がり走り出そうとした時、後ろから肩を捕まれた。
「ぎゃあ〜」
驚いて大きな声を出すと目の前に父がいた。
「驚ろかすなよ」
「ちょっとお父さん!急に声かけないでよ。ビックリするでしよ。ねぇ。お父さんのほかには誰かいなかった?」
「いや。いなかったな」
父は曲がった角の少し手前で私に気がついたそうだ。その時は誰もいなかったらしい。でも、でも足音が聞こえたの間違いではない。
家に帰り後ろをつけられていることを家族に話した。みんなが心配したが、おばあちゃんがニコニコしながら「それ、ベトベトさんね。大丈夫。怖いことはないよ」と言った。
え!?
なんだったて?
「ベトベトさんよ。今度来たら、お先にどうぞと言えばいいよ」
「それさぁ。テケテケじゃねえ。」
なんだって!
弟からでたのは、都市伝説だった。
確かにどちらも足音だけで姿形は見えないと言われているが、どちらも妖怪。
怖い。怖すぎる。
暗がりの中で出会うものは、人間でも妖怪でも怖い。平穏に生活したい。
雷鳴が轟く。
降り止まぬ雨が辺りに不快な音をばら撒き続けている。ひやりとする空気が鼻先を掠め、私はその冷たさに身震いした。
この時期の長雨は厄介である。闇は辺り一面を覆い、雨音は静寂を邪魔してくる。
夜目の効く私でさえも、目を凝らさねば遠くを見止めることが難しくなる。
なればこそ、常日頃から周囲に気を張り—。
『うぉわっ!?びっくりした……ゆかりさん、いつからそこいたの』
明滅が一つあった後、辺りがパッと明るくなる。その先には我が同居人—リュウノスケがいた。
かつて外を闊歩していた私を、あろうことか抱え上げ攫っていった極悪人である。
飯を与え、寝床を用意する献身っぷりに致し方無く同居を許しているが、飯を確保するためかしょっちゅう外へと繰り出している。その癖私の外出は許さない狭心さ。
目を細める私に情け無い声をかける。私より図体がデカい癖していつも私に驚いている気の小さい奴だ。
『どしたん?ゆっちゃん何か見つけたん?』
窓辺で外を確認していた私にリュウノスケが何か問いかける。
この『どしたん』という問いかけを奴はいつもする。大方『何か不具合があったか』とか『何をしている』という意味だろう。
私は答えた。
「見よ。酷い雨だ。外には出るなよ」
『雨だねぇ。朝には止むといいねぇ』
私の頭を撫でながらリュウノスケが何かにゃむにゃむと答えた。暢気な声色なのを見るに、恐らく私の忠告は理解していない。なんて知能の低い生き物だ。
「リュウ、暗がりで隙を見せるな。一瞬で狩られるぞ」
『ん?何?餌ならあと30分で出るよ』
エサ、と言った。私が食事を催促していると思っているのか。なんてポンコツなんだ。
嗚呼、駄目だこの生き物は。良くここまで生きてこれたものだ。やはり私が見張ってやらねば。
—故に私は目を光らせる。この暗がりの中、この低脳なデカブツを守るために。
≪暗がりの中で≫
暗がりの中で
左も右も崖
足を踏み外したら助からない状況の闇、闇、闇
ただただ闇
たよりの杖をさしだして
あなたの人生とはなんの関係もない
外野からの声に耳をかたむけ
そろりそろりと進んでいく
ただただ進んでいく
助言の声の意図もわからぬまま
ただただ進んでいく