→哲学的と言えば聞こえはいいが……
小学生の頃、寝る前に行う習慣があった。それは暗がりの中で周囲に同化すること。そんなことを始めた理由は、透明人間のように自分を消してみたいという興味からだ。
手順は布団と自分の確認に始まり、その境界線をいかにして消していくかという思考に移る。
そこで、『考える』という行為自体が布団とのシンクロの障壁だと思い至る。思考を透明にせねば、自分が無機物と一体化することは叶わないと考えたのだ。はい、一歩後退。
さらに次の疑問が生まれる。そもそも一体化しようという能動的意識が、布団と自分の決定的な違いを生んでしまってはいないだろうか? 意識を消すというのは、どういうことだ? 死ぬことか? いや、それは違うような気がする。生きながらにして、自然物と一体化するのだ。煮詰まって、十歩くらい後退。
そして暗がりの中で、後退ばかりの思考実験に悶々としながら、小学生の私は眠りに落ちてゆく。
なんやろね、メンドクサイやっちゃなぁ。
ホンマ、もうさっさと寝ぇや、当時の自分。
テーマ; 暗がりの中で
10/29/2024, 1:29:19 AM