一尾(いっぽ)in 仮住まい

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12/27/2025, 10:38:16 AM

→凍鏡

永久凍土から岩盤を削り出し、ダイヤモンドダスト(但し、高純度の細氷結晶を使用のこと)で、極限まで研磨することにより、氷の世界を映す鏡となる。
最高級品は、この世界と氷の世界の往来を可能にすると言われているが、真偽のほどは不明。

テーマ; 凍てつく鏡

12/26/2025, 5:54:49 PM

→閻魔帳

月明かりを反射した雪原が、ベルベットのようになめらかにきらめいていて、うっとりするほど美しかった。
だからでしょうか? そこに包まれる誘惑から逃れることはできませんでした。あの人の柔肌だと錯覚したのかもしれません。
       〜ある男の取調欄より抜粋〜


テーマ; 雪明かりの夜

12/25/2025, 11:04:57 AM

→きよしこの夜

今日はここでも、知らない誰かと知らない誰かが祝福を贈り合ってるかな?

何もなくても、それだけで良い日だ。

   ――Merry Christmas🎄


テーマ; 祈りを捧げて

12/24/2025, 2:43:12 PM

→2025年12月24日(水)

今年のクリスマス・イブは水曜日なので、クリスマスパーティは週末の27日(土)にすることにした。参加人数はパートナーと私だけなので、そのへんの都合はつきやすい。呑み会は、翌日の遅寝まで含めて初めて寛げるのである( ー`дー´)キリッ

さて、そうとなると週末の暴飲暴食に備えて、これからの夕食は質素(食材&お財布)にしようと決める。
とりあえず今日は、今日の余りの粕汁と、サーモンの漬け丼と、きゅうりの酢の物。これでいいや。

「あっ、一応クリスマスカラーにしてくれたんやぁ」
パートナーは、今日の献立の色合いを見て喜んだ。
粕汁の白、サーモンの赤、きゅうりの緑……、ホンマや……、全く考えもしてなかった。
「そうやねん、和風クリスマスカラー」
うん、乗っかっておこう。

そうして私たちは、偶発的和風クリスマス食卓を囲んだ。
いつか遠い未来、今日の一幕を思いだしたいな。
ちょっと良い思い出として。

テーマ; 遠い日のぬくもり

12/23/2025, 2:24:25 PM

→コンタクト

夜、絵の具の群青色を塗り込めたような、のっぺりとした夜。
味気ない孤独を慰めようと、僕はキャンドルを灯す。
薄ぼんやりとした火に手をかざす。小さいくせに熱い。指と指の間の水かきのような部分が透ける。人間を引っ張って薄く薄く伸ばし、光にかざしてみたらどんな風になるだろうかと想像してみる。
しばらくすると、風もないのにキャンドルの灯りが揺れる。
やぁ、君。久しぶり。そっちの暮らしはどうだい?
あの世のことはコンプラ遵守のため話せない? へぇ? あの世もなかなか社会的なんだね。
この世の中への嫌気ではち切れてしまった君と、僕はこうして交信する。
このコンタクトのことは、誰にも話したことはない。
僕はリアリストであって、オカルト信奉者だと勘違いされるのは真っ平だからだ。


テーマ; 揺れるキャンドル

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