→語彙力で補いきれないとは……
ずいぶんと多感なのですね。
テーマ; !マークじゃ足りない感情
→睡眠導入効果の覚書。
心に残る景色の数々で、アルバムを作る。
眠れない日、羊を数えるように、そのアルバムを瞼に思い浮かべる。
1枚、1枚とアルバムをめくるうちに、思い出の景色は夢へと溶け込んでゆく。
もし良かったら、君もどうぞお試しあれ。
君が見たいつかの景色を夢でもう一度……。
テーマ; 君が見た景色
→――ッッッ!!!!!!
ホンマにビビったときの、
喉に張り付いた叫び。
テーマ; 言葉にならないもの
→記憶の断片
お盆休み。
神社の祭り。
セルロイドのつやつやしたお面が並んでいる。風鈴売りの風鈴が、夜風に輪唱する。
片手にヨーヨー。何色かで波のように線をつけ、小さな水玉を飛ばした、よくある柄。パツンと張ったゴムの緊張感が手のひらに伝わる。
「その模様、カラフルな人魂みたいだね」
ヨーヨーを指差したのは、少女の白い手。
浴衣を締めるピンクの兵児帯が金魚のように揺れている。
彼女の顔も、神社の場所も覚えていないけれど、これは確かに私の記憶。
毎年、夏になると思い出す。
テーマ; 真夏の記憶
→短編・彼は混乱している。
夏休みに入って、幼馴染の3人で遊んだ。拓人と日菜と俺、3人とも別の中学に入学してから遊ぶ機会は減っていたので、久しぶりで楽しかった。誘ってきたのは拓人だった。
2人は幼稚園時代からの親友だし、話さなくても何でも伝わる。気を遣わない間柄って楽だ。
中学校のトモダチとは距離感が全然違う。空気読むとかしなくても、爆笑できて、とにかく最高だった。
近くの神社で祭りがあるから行こうなんて盛り上がりながら、公園でアイスを食べていたとき、俺はうっかりアイスを落としてしまった。バニラアイスでTシャツを汚してしまったので、トイレに洗いに行った。なかなか落ちなくて時間がかかった。
拓人と日菜のいるベンチに戻ると、なんか変な感じになっていた。2人とも妙にニヤニヤしてるっていうか……、慌ててるっていうか?? 変に顔が赤い。どうして2人で目配せしてんの? 何? その共犯者っぽいヤツ? 2人対俺、みたいな構図が出来上がってね?
なーんか、ヤな感じだなぁ。
「実は、さ……、俺と日菜、付き合うことになってさ」
はい??? 突然のトンデモ話についていけず、目を白黒させる俺に、拓人は簡単な説明をした。俺がトイレでアイスな汚れを落としている最中に告白したのだと。
「マジ?」
拓人の横で、日菜は顔を真っ赤にして無言で頷いた。
「えっと、まぁ、そういうわけだから」
「そういうわけかぁ」
どうしようもなく、俺はヘラヘラと笑ってみた。2人は親友だし、そりゃ仲いいほうがいいんとけど。う〜っ。
ビバ!幼馴染って盛り上がってたの、俺だけ? ―っていうか、アイスこぼさなきゃ、こんな変なタイミングでの拓人の告白はなかった?? まさに後悔先に立たず。確か英語で「こぼれたアイスクリームを嘆いても無駄だ」って言うんだっけ? 合ってるよな? なんか違う気もするけど、どうでもいいわ。それどころじゃねぇ。
いやいやいや、めでたいことなんだ、よなぁ?? よし! 祝おう!
「おめでとう??」
なんか語尾が上がったけど、気がつかれなかったようだ。照れながらの「ありがとう」が返ってきた。
あ~、神社の祭り、辛いなぁ。一緒に行くの断ったほうがいいかなぁ〜。
テーマ; こぼれたアイスクリーム