→短文・え〜っ、私のオススメのお店ですかぁ〜? すっごく美味しい中華?のお店なんですけどぉ、興味ありますぅ? あっ、めっちゃ期待した目で頷きますねぇ、ハハハ。ん~~、悩むなぁ。いやぁ、お店を紹介したいんですけどぉ……、独占欲?ヒトに教えたくないって言うかぁ、ホラ、sns とかでバズっちゃったら、なんかヤじゃないですかぁ。私の隠れ家でいてほしいっていう、ファン心理?みたいな。あっ、とりあえずそこの居酒屋行きません? チェーン店ですけど、そこそこ美味しいし。ね?
(・-・ꐦ)イラッ
テーマ; 秘密の場所
→短編・文字ぐるみ
控室でラララは悩んでいた。どうも仕事に熱が入らないのだ。
ラララの仕事は、着ぐるみならぬ文字ぐるみを着て、人の軽やかな気分を代弁することである。何か良いことがあったとき、気分が上々のとき、もしくはハミングするときなどがラララの出番だ。
就職したての頃は楽しかった。人のポジティブな面に花を添えるやりがいを感じていた。しかし長くこの仕事に携わるうちに疑問が生じてきたのだ。明るすぎやしないか、と。
思えばこの仕事に就くとき、面接官はこんな話をしていた。
「感情を伝える仕事は非常に忍耐を要します。さらに一面特化の仕事なので離職率は高いです。実は先日もヨヨヨ担当者が精神的苦痛を理由に退職したばかりでしてね。そういつも悲しんではいられないと。あなたはラララですから少しはマシでしょうが……」
感情表現には自分よりも他者を重んじる滅私奉公的な側面がある。小説でも映画でも中心はキャラクタであって、作者ではない。
「あーぁ、ムムムにしとけば良かったなぁ。もしくはニャニャニャとか」
ため息に呟きを乗せたラララの背後にスタッフの声がかかった。
「あっ! ラララさ〜ん! もうすぐ東京◯ィズ◯ーラン◯のパレード始まるんで、準備お願いしまぁす」
「ラララ……」
はいはいと返事を返そうとしたが、仕事スイッチの入った彼はもう「ラララ」しか発声できなかった。
テーマ; ラララ
→短文・風は伝播する。
風は、
ウワサを、便りを、風船を、お台所の夕餉の支度を、花火の音を、小学校の校庭の土を、野外フェスティバルの興奮の声を、スズメのおしゃべりを、車のエンジン音を、鼻歌を、ラーメン屋のスープの香りを、
風は伝播する。
そして、心をツンツンと刺激する。
風は、
季節を、春風を、花びらを、蜂のさえずりを、
そして……ハッ、ハックション!!!
あっ、もうムリ、
花粉が鼻を刺激して……、洟が……――
テーマ; 風が運ぶもの
→短編・So, you wanna know the outcome of the discussion with her?
You know, it's a universal truth that not every question has an answer, right?
Hey! Stop peeking at my phone!
What's wrong with me having a dating app on here?
テーマ; question
・2/5〜Oh my gosh! What should I do?〜の続き
I'm so scared.
My girlfriend just sent me a message
saying,
'We need to talk heart to heart.'
I have a bad feeling about this. I'm
really really freaking out!
What should I do?
→短編・約束破り
「たのもー!」
約束破りがやってきた。その腰には黒帯ならぬ、テープ状のコーラグミ。頭にタケノコ型のチョコを巻き、手には長細いポテトのスナック菓子。防御用の盾に堅焼きのせんべいとは敵ながら心憎い。
しかし私も負けてはいない。
いや、負けたくない。
もう負けるわけにはいかない!
私は私と約束したのだ! オヤツ減らすって。ダイエットするって! だって、もうすぐ春やねんもん。セーターでごまかし、コートで隠す荒業ができひんようになるねんもん。
さぁ、約束破りめ! 正々堂々、勝負じゃ!
…………チョコ&せんべいループ技、憎し……
あ、明日こそ!!!
テーマ; 約束