: 暗がりの中で
真っ暗がりなぼくの心の中に
小さな光が灯ったんだ
まるで蝋燭の火が
優しく揺れるように…
丸みのある淡いオレンジ色が
ぼくに語りかけるように近づいてきて
ぼくの鼻先にキスしたんだ
なんだか照れ臭かったけど
とっても嬉しかった
寂しさで紡がれた鎖が
するするとほどけていったとき
誰かがぼくの頭を優しく撫でながら
名前を呼んでいるのが聞こえた
なおくん、おはよう…
心地好さに包まれながらそっと目を開けると
零れそうな笑顔を向けながら
ぼくを見つめるおばあちゃんがいた
ぼくは独りぼっちじゃないんだ
そう思ったとたん
ぼくのお腹がため息を漏らした
さあさあ、ご飯にしましょうね
ぼくはおばあちゃんの後を追いかけた
桜月夜
10/29/2024, 3:26:16 AM