暗がりの中で
タッタッタ。
ザッ。ザッシュ。
ここ数日、会社から帰る駅からの道で誰かにつけらている気がする。いや、気のせいではない。確かに足音が後ろからついてくる。ストーカーだろうか。怖い。怖い。
一度振り返ったが、暗がりの中でよく分からない。でも足音は聞こえる。
走れば振り切れるだろうか。
角を曲がり走り出そうとした時、後ろから肩を捕まれた。
「ぎゃあ〜」
驚いて大きな声を出すと目の前に父がいた。
「驚ろかすなよ」
「ちょっとお父さん!急に声かけないでよ。ビックリするでしよ。ねぇ。お父さんのほかには誰かいなかった?」
「いや。いなかったな」
父は曲がった角の少し手前で私に気がついたそうだ。その時は誰もいなかったらしい。でも、でも足音が聞こえたの間違いではない。
家に帰り後ろをつけられていることを家族に話した。みんなが心配したが、おばあちゃんがニコニコしながら「それ、ベトベトさんね。大丈夫。怖いことはないよ」と言った。
え!?
なんだったて?
「ベトベトさんよ。今度来たら、お先にどうぞと言えばいいよ」
「それさぁ。テケテケじゃねえ。」
なんだって!
弟からでたのは、都市伝説だった。
確かにどちらも足音だけで姿形は見えないと言われているが、どちらも妖怪。
怖い。怖すぎる。
暗がりの中で出会うものは、人間でも妖怪でも怖い。平穏に生活したい。
10/29/2024, 1:26:29 AM