『時計の針』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
もし
時計の針を
元に戻せたなら
もっと
上手く
やれたかな?
あんなに
泣かずに
過ごせたかも?
―――いや、
きっと
そんなこと
ない。
あの時は
あの時で
精一杯
頑張ってた。
頑張ってたよ、
わたし。
だから
今
この時を
良く生きることに
集中しよう。
#時計の針
かち、かち、と、無機質で規則正しい音が響く。
居間には睦月《むつき》と楓《かえで》が二人だけ。お互い何も話さず、ゆっくりと時間が流れていく。
かち、かち、かち。
普段は気にもならない時計の針の音が、やけに大きく聞こえる気がして、睦月は壁掛けの時計に視線を向けた。いつもと変わらぬ一定の速度で針が進んでいくのを長めながら、ふと気になっていた疑問を口にする。
「おじさんは、何を怖がっているの?」
唐突な睦月の言葉に、楓はきょとりと目を瞬き首を傾げた。問われた言葉を思い返し、おじさんと呼ばれた冬玄《かずとら》の姿を浮かべ、苦笑する。
「燈里《あかり》が離れていってしまうこと、かな。少し前までは、燈里が唯一になることが一番怖かったみたいだけど」
「唯一って一番大切ってこと?どうしてそれが怖いことになるの?」
今度は睦月が首を傾げる。
睦月の目には、冬玄は誰よりも燈里を大切にしているように見えた。それは幸せそうで、切なげで、けれどもそれは恐怖ではなかったはずだった。
「怖いさ。僕だって燈里と近すぎることが時々怖くなることがあるよ」
「楓ねぇも怖いの?思いが通じ合うって、とても素敵なことだと思うけど」
睦月はまだ誰かをそこまで深く思ったことはない。けれど物語の中や大人たちの様子から、好きな人、大切な人と互いに思い合うことはとても素敵なことだと感じていた。
テレビで見た手を繋ぎ微笑みあう恋人たち。見ることは叶わなかったが、今朝の冬玄と燈里も同じような表情をしていたのだろうか。それを想像するだけで睦月はどこかむず痒い気持ちに襲われるものの、嫌な気はしない。
恋に恋をする無垢な睦月に、楓は妖についてどこまで伝えるのかを逡巡する。
知らないのであれば、知らない方が心穏やかに暮らせるだろう。だがこの家に住む上で、必要となることでもあった。
「睦月はさ、妖とか守り神とか……人間ではない存在についてどこまで知っているんだい?」
楓の問いに睦月は眉を寄せ、宙に視線を彷徨わせる。燈里から教えられた話。村で聞いていた先祖の話。そして、来訪神と地蔵の話。
見たもの聞いたものが、どこまでに当たるのかは分からない。分からないからこそ、聞いたま
まを言葉にしていく。
「人に寄り添ってくれる存在。人を好きだっていう気持ちを奇跡っていう形で表してくれる、優しい存在」
「燈里よりも偏屈な答えだね。妖ってのは、そんな砂糖菓子のように甘ったるい存在なんかじゃないよ」
思わず吐いた溜息に、睦月は不思議そうに首を傾げた。
本気で信じているのだろう。もう一度溜息を吐き、楓は訂正するために口を開きかけた。
「甘ったるくはないけど、人には優しいでしょ?人が願ったことをある程度は見返りを求めないで応えてくれるんだから。それに、同じ人よりも正直だよ」
しかしそれが言葉になるより早く、睦月は感じたままを口にする。それは夢見がちな見当はずれの言葉ではない。睦月なりに真剣に考え見てきたものの答えに、楓は呆れながらも柔らかく笑った。
「楓ねぇ?」
「面白い考え方だと思ってさ……確かに、正直ではあるかな。求められるから応えるってのが妖の本質だからね」
くすりと笑いながら楓は立ち上がり、睦月の頭を雑に撫でて台所へと向かう。
しばらくしてお茶と菓子をいくつか乗せた盆を持ち戻ってくると、睦月の前にお茶と歌詞を置いて元の席へと戻った。
「求めたものに応えることが妖にとって重要なんだ。求めたのが誰かなんて大したことじゃない。だから一人だけを想うってことは、とてもリスクのあることなんだ」
「リスク?」
「誰の求めでも、どんなことでも応えられればそれでよかったのがただ一人だけってなったら、その子がいなくなったら本質から崩れてしまうだろう?……まあ、それは建前で、その子が大切過ぎて失うことが耐えられないっていうのが正直な所だけど」
失った瞬間に変質し、堕ちるのだろう。
こともなく告げる楓を見て、睦月は小さくそうか、と呟いた。
楓の目を見据える。すべてを見通すような目をして、睦月は静かに呟いた。
「妖って、削がれていることを理解しているんだね」
悲しみが深過ぎて泣けない。感情が削がれて、まだ生きているのに生きていけない。
以前楓が分からない感覚だと切り捨てたものだった。それを突きつけられ、楓は息を呑む。
かち、かち。
時計の針が、居間に響く。睦月も楓も、何かを話す気配はない。
かち、かち、かち。
動き続ける時計に、二人はそれぞれ視線を向ける。
燈里が戻るのはまだ先だ。冬玄の件があるから、いつもよりも遅くなるのかもしれない。
はぁ、と楓は息を吐いた。のろのろと湯呑みに手を伸ばし、口をつける。それを合図にしたかのように、睦月も湯呑みを取り、口をつけた。
微かに泣く声が聞こえた気がした。
目を開ける。だが辺りは暗く、誰の姿も見えない。
――鬼は……。
聞こえた声に視線を向ける。
暗がりにぼんやりと何かが漂っている。何かを探しているようにも、ただ風に流されているようにも見えるそれ。
気になって、一歩足を踏み出した。
「駄目だよ。燈里ねぇ」
手を繋がれ、立ち止まる。振り返れば、暗闇の中でもはっきりと睦月の姿が見えた。
「駄目だよ。あれは違う。分からないけど、そんな気がする」
首を振り、睦月は駄目だと繰り返す。それを不思議に思いながらも、もう一度何かへと視線を向けた。
その正体を見極めようとするかのように、目を凝らす。暗闇に慣れてきた目が漂う何かの輪郭を捉え、その正体に目を見張る。
――鬼はどこ。
それは、所々が欠けた翁の面だった。只管に鬼を探してふらふらと彷徨っている。
――鬼はどこ。わたしの可愛い子供たちに酷いことをする、鬼に成った西は何処にいるの。
虚ろな声音。西という言葉に理解した。
脳裏に浮かぶのは、昔見た夢。過去の記憶。
社の中心で蹲る小さな影を飲み込む翁の面。
無感情に告げられた、豊穣の約束を果たすため西が頂くという言葉。
「燈里ねぇ?」
不安げな睦月の声に答える代わりに、繋いだ手に力を込める。
視線は翁の面に注がれたまま。何も言えずに立ち尽くしていた。
――北。
不意に面の動きが止まる。
――北がいれば、西は変わるかしら。北に叱られれば、たくさん折檻されれば、西も反省してくれるかしら。
面がこちらを見つめた。
ふらつくように宙を漂いながらも、ゆっくりと近づいてくる。小さな悲鳴と共に手を引かれる感覚はあったが、足は根を張ったように一歩も動かない。
――北。北の愛し子。
面が呼びかける。願いに似た響きで、語られる。
――貴女を連れていけば、北は戻ってきてくれるかしら。
面が近づく。
夢で見た影が伸びてくるのを感じる。
「燈里ねぇ!」
睦月の叫ぶ声がする。
――あの子たちのために。
影に囚われる、その瞬間。
吹き抜ける風と共に舞う白が視界を覆い、意識が暗転する。
「燈里」
呼ばれて、燈里は目を開けた。
静かにこちらを見つめる冬玄の姿に目を瞬く。
「冬玄?」
辺りに視線を巡らせれば、そこは見慣れた職場の一室。かちかちと音を立てる時計に目を向ければ、冬玄を待ってから三十分も経っていなかった。
「冬玄、私……」
「帰るぞ。あいつらが待ってる」
優しいながらも有無を言わさぬ冬玄に、燈里はただ頷いた。
差し出される手を取り、立ち上がる。
かちかちと、何故か強く感じる時計の針の音を背に、無言のまま家路に就いた。
20260206 『時計の針』
進まない、進まない。
時計の針が何回も回っても。
まだ彼は帰ってこない。
旦那が出掛けて大分経ったと思うんだ。
何だかやる気も出ないし机に突っ伏して時計や暦だけを見つめてる。
そんな私を見兼ねて後ろから遠慮がちに声が掛かる。
「団長…新作はまだやらないんですか?」
「旦那がまだ帰ってない」
あの演目は、新しく考えた演目は最初に旦那に見て欲しい。
誰よりも真っ先に。
そして憎らしい笑顔で褒めて欲しいんだ。
お前の演技はやはり最高だと。
今回の戦地は厳しいと彼は言った。
いつも余裕そうに笑う彼のその瞳は本当に厳しいのだとそう語っているようだった。
「旦那に会いたい…」
今回で遠征に出向くのは終わりと言っていた。
すべて終わるのだと。
出来るだけ早く帰って来ると。
そもそもの始まりは自分の失態だった。
他国の舞いを顔見知りだけの会合だと油断して舞ってしまったから。
それが敵対する国の舞いである事に。
ただのお手本のつもりでひと舞いしただけのそれが火種となって。
旦那は私を庇って無理難題な積荷を運びに戦地へ行った。
「お前はまた考えもなしに行動するな!責任も取れないくせに!!」
と私を罵倒して決別して会いに来てくれなかったのに、それでも赦してそばに居てくれるその旦那が。
今はそばに居ない。
早く帰って来るって言ったじゃないか。
新作楽しみにしてるって言ったじゃないか。
そうではない。
そうではないのだ。
旦那は無事でいるだろうか。
早くあなたの為に舞いたいのに。
時計の針はまだ一向に進んではくれない。
逢いたい。
憎らしいその顔に。
🍁(時計の針)
【時計の針】
時計の針のように、
貴方と何回でも出会えたらいいのに。
一日に十二回必ず出会えたら。
時計の針
「あと3分」
時計の針がカチカチと音を立て時を刻む。
「あと2分」
あと2分経って、日付が変わるとキミの誕生日。
誰よりも早くおめでとうが言いたくて、時計とにらめっこしていた。
「あと1分…30秒…10、9、8、7…3、2、1」
で、あらかじめスマホに表示させておいた、キミの電話番号を押す。スマホから呼び出し音が鳴り、キミが出るのをワクワクしながら待つのだった。
1分回れば不安がちらつき、
1時間回れば焦燥に変わり、
12時間回れば何もできていない自分に絶望する。
24時間回ってやっと、何も変わらない相棒に安堵する。
時間がほとんど止まっている、けれど死まであとどれくらいかのところにいる相棒のそばで、1日1日をゆっくりと積み重ねる。
今日も相棒は死ななかった。死なないままでいてくれた。オレに事を成すまでの猶予をくれた。
何としてでも、生き返らせないと。
お互いに、これ以上無意味な「時間」を過ごさないために。
オレがお前の「時間」を元に戻して、お前がオレの「時間」を進めるんだ。
【時計の針】
【時計の針】
どんなことをしていても、時計の針は動く。
何かに夢中になるほど楽しくても、
失敗した自分が惨めに思えて悲しくても、
物事が思い通りに行かなくて腹を立てても、
この文章を考えていても、
何もしたくなくて、ぼんやりと時計を眺めていても。
時計の針はずっと止まらず動いている。
いつの間にか、過去のことになっている。
学校とかで、
「時計を見て行動しなさい」とか
「時間内にこの問題を解きなさい」とかよく言う。
確かに大切だと思うけど、
たまには時計の針のことなんか考えずに過ごしたい。
いつから、「時計の針」のことを意識するようになってしまったんだろうか。
そんな事を考えていても、時計の針は動く。
ずっと、私を置いてけぼりにしていく。
時計の針は止まってくれない
絶えず未来は現在になり、現在は過去になる
その事実を時計は冷酷に私に告げる
もうこんな時間だ
何も思いつかないまま時間だけ過ぎていきます;;
もう19時になっちゃうよ;;
時計の針
【時計の針】
進まないでくれと願い
針を目で追う時の残酷さに打ちのめされても
文字盤から目を背ける
己と向き合うために
【時計の針】
(※性的表現有り🔞)
今日のアイツはオレに沢山注文する。
飯を作って、体の準備して、淫らな服を着せて…
本当にオレに何させようとしてんだ。
アイツが帰っくるまでオレはすました顔をして
お楽しみの準備をしなきゃならない。
…正直萎える。
オレは別に嫌ではないが、
アイツはそうしないとオレが抱けないのか?
オレにインキュバスのチカラを
無理やり発揮させないでほしい。
オレも生物だ。疲れてしまう。
そもそもいつまでこうして待ってればいいんだ。
酒のつまみを作って、体の準備して、
淫らな服を着て、メイクして…
なぜアイツに抱かれる為に
ここまで準備しなきゃならないんだ?
準備なんていらない。
強いて言うならゴムとローションだけ
準備してればいい。
オレはいきなり脱がされて抱かれたいのにさ…。
7年やってるパートナーのはずなのに
全然わかってないな?
オレの『旦那様』よ?
『時計の針』
午前零時の少し前、部屋の隅でカチリと重い音が響いた。
中古屋で安く買った柱時計だ。
秒針の動きが妙にぎこちない。
普通、針は円を描いて進むものだが、この時計の針は何かを必死に押し退けているように見える。
一秒ごとに、針が震える。
まるで目に見えない何かに食い込んでいるかのような抵抗感。
盤面を覗き込むと、短針と長針が重なる瞬間、かすかに何かが潰れるような湿った音が聞こえた。
よく見ると、文字盤の隙間から赤黒い細い糸のようなものが滲み出している。
それは針に絡みつき、進みを止めようと抗っていた。
針は、時を刻んでいるのではなかった。
文字盤の裏側に閉じ込められた何かを、鋭利な刃先で切り刻み続けているのだ。
静寂の中、私は魅入られたようにじっとソレを凝視していた。
まいにち同じときを刻む
時計の針、色々な事があるけど
1秒ごとに過去になっていく
良かったことは思い出に
悪かったことは消し去る
都合のいい話だが
そうしたいそう願う
時計の針
たまに、やたら秒針の音の大きい腕時計ってありますよね?
いっとき気になっても、ずっと鳴ってる音って無意識にノイズキャンセリングしてしまうようでしばらく気にならない。
でもまたふとした時、この腕時計の秒針の音デカいなーって気になる。
自分の時計の音の時より他人の時計の時の方が気になったりして。
秒針の音が気になるときはパラレルワールド感が強い時。
ふと、自分が今感じている現在がさっきまでの世界と地続きであったか心許なくなったり。
家に1人でいたら外の世界が存在してるか心許なくなったり。
よく知っているはずの家族がもしかして中身別人になったかと心許なくなったり。
ごく短くそんな瞬間が訪れるとき、人間の脳の儚さについて考える。
確かな昨日の続きが今日であるし、1人の人はずっと同じ人間であり続けるし、とにかく誰も保証してくれない確かさの上に物事を考え続ける。
めっちゃおめでたい。
正常化バイアスとか思考の合理化とかいう表現も出来るかもしれないが、なんかもっとノーテンキさを感じる。
力づよー。
エアコンの排気音と、『時計の針』が進む音。ふと我に返って本から顔を上げ、静かだ…と月並みな感想を持つ。窓の外は雪。家の中の自分は、諸々を重ね着してベッドの上、掛け布団をコタツ代わりにしての読書。カラスの鳴き声がして、こんな雪の日なのに彼らは寝ぐらから外へ出掛けているのか、と思う。ああでも、彼らの寝ぐらは、こんなに温かくはないはずだ。こうして静けさを享受するより先には、温かい寝ぐらがなくてはならない。与えられた寝ぐらとこの日々は、当たり前などではない。それを思い知る日が、どうかこの身に訪れませんように──うなされて起き、一寸うたた寝をしていたのだと気づく。相変わらずに、時計の針の進む音がしている。
ボクが死んだら
この時計の針は
止まるのだろうか
ははは
止まるわけないか
この時計の針は
電池が切れるまで
ずっと ずっと
動き続けるだろう
そういうものだ
時計の針
男は先日、黒いリュックサックをショッピングモールに置いた。それから男は1時間ごとに2回、その後30分ごとに数回リュックサック周辺を彷徨いていた。午後6時頃のこと、そのリュックサックは警備員に発見され、回収された。そのリュックサックにはビニール袋、ぬいぐるみ、ペットボトルが2本入っていたため、そのようにアナウンスされた。男はしっかりアナウンスまで聞くと、満足したように自宅に帰った。
そして今日、またリュックサックが置かれた。ただ今回は1つではなく、リュックサックのような形状のものが10個程置かれた。それは午後4時頃の出来事で、そのままその足で管理事務所へ向かった。
今日、管理事務所にある男が尋ねてきた。男は震えた声で、
「少し前、リュックサックを無くしました。もしかしたらここに届いているかもしれない。色は黒です。」
と言った。あるよ。ぬいぐるみが入ったやつだろう?高畠先輩が言うと
「そうです。ありがとうございます。」
と受け取った。男は焦ったような手つきでペットボトルを飲み干した。私たちが呆気にとられているとポケットから刃物を取り出し、
「毒が回りました!脳に回りました!」
と言いながら首を切った。
通報を受け駆けつけると、確かに男の死体があった。気分が悪そうにしている女性に私の部下は水を飲ませていた。その事務所にいる、恐らく最も年配の男性に話を聞くと、男が突然首を切ったらしい。戦った痕跡を調べるため、男の袖をまくると、おびただしい数の切り傷が出てきた。私は男性に腕の傷のことを知っていますか?と尋ねたが、男性は知らない、いきなり首を切り出しただけです。と言った。部下と協力し男の服を脱がすと
6 10ヶ所 BOMB と読めるナイフで切ったような跡が付いていた。その途端無線で連絡が入り、見回りのため同行していた同期がフードコートで爆弾を発見した、という通報が入ってきた。部下は私と目を合わせると途端に走り出し、飛ぶように階段を降りていった。私は部下の意図を汲み取り、男の死体に6、10ヶ所、BOMBと書いてあります。6は恐らく6時のことです。至急応援を呼んでください。と連絡を入れた。
夫と直樹と買い物に来たが、何故か警官がぞろぞろと来る。警官の制服が好きな直樹は興奮していたが、危険だと判断し、警官から離れた。その事を夫に相談するも、揉め事でもあったんだろうと話を切り上げられてしまった。直樹がゴネるため、そのまま2階のゲームセンターに向かった。その途中リュックサックが落ちていた。私の嫌な予感は的中し、直樹はそれを取ろうとしていた。私は直樹を叱っていた。
5時50分。見つけた爆弾の数は8つ。男の言うことが真実ならあと2つの爆弾が爆発することになる。私は爆弾処理班の到着を待つ間、管理室からアナウンスを入れ、客を避難させた。本部からは混乱を避けるためなるべくアナウンスするなと言われていたが、一刻を争うためアナウンスをした。無線で探した場所を報告し合いながら爆弾を捜索していると、ある家族がいた。その母親が、直樹!避難しろって言われてるでしょ!と息子を怒鳴りつけていた。私は避難を優先させ、その子の手を引き、落ち着いてくださいと訴えかけた。子供は痛く冷静に、エスカレーターの途中に落し物あったよ。と教えてくれた。私はそれがその子の落し物だと思い、今から探しに行くね。とで待っててねといった。
爆弾が1つ見つかり、見つけた全ての爆弾は処理班によって解除された。あと1つ、あと1つだけ見つけなければ。
時刻は5時57分。恐らく残り時間は少ない。私は男の子の言葉を思い出し、悪寒が刺した。もしかしたらエスカレーターにある落し物は爆弾なのではないか。部下と共にしらみ潰しにエスカレーターを探すと確かにそこにあった。爆弾は全て見つけた。が、到底手が届くような位置ではない。エスカレーターの奥、手すりの隙間に落ちていた。私はそれを無線で知らせると、無線の処理班からは、恐らくもう解除が不可能だという旨の知らせを受けた。6時のチャイムが鳴った。私は動く地面を震える足で踏みしめて、エスカレーターの外に飛び出した。3mほどの高さから飛び、背後からは爆発音がした。
衝撃波を一身に受け、私の体は地面に打ち付けられた。
昨日、午後6時、気仙沼市のショッピングモールに爆破予告がされました。通報に駆けつけた警官の懸命な避難運動により、死者0名、負傷者1名となりました。
続いてのニュースです。
どんなに速く動いたって、結局刻む時間は一緒なのに。
長針と比べると、短針は止まっているみたいだ。
同じ時間を刻んでいるはずなのに。
1日に何回も何回も追い越されていると、短針が頑張っていないみたいじゃないか。
短針は長針にコンプレックスを感じているだろうな。
時計の針
規則正しく揺れる振り子を
手でそっと押さえてみて
それでも進み続ける秒針を
硝子越しに
ただ眺めているだけ
(後書き。)
ついあらがいたくなる(・ω・)
時計の針。
中学校の校庭を、二人の男子生徒が歩いている。
「明日の練習試合で、勝った方が美佳と付き合ういいな!」
僕は言った。
「分かった、よし、いいだろう。後で後悔するなよ!」
春馬は約束した。
武道館で剣道部の練習が行われている。
武士と春馬は防具を身につけ、竹刀を持っている。
互いに構えた。
美佳を始め、部員は固唾を飲んで練習試合を見守っている。
「始め!」
顧問の先生が試合を告げた。
中学生剣道のルール試合時間は3分。
面、小手、胴のいずれかに有効打を当てて二本先取した方が勝ちである。
「小手、面、胴」
「胴、面、小手」
息を飲む攻防、早すぎて見えないが互いに有効打はない。
「面!」
武士は上段に打った。
春馬はとっさに竹刀を上げる。
「小手!」
武士の竹刀が春馬の手首に当たった。
「小手一本!」
顧問の先生は判定した。
「おお−!!」
試合を観戦している生徒から歓声が上がる。
面に見せかけて小手狙いだったのか…。
アイツこんな技を隠してやがったのか。
練習では一度も見せてないのに…。
やられた!
春馬は動揺している。
フフフ、名付けて『燕返し』だ!
春馬に勝つ為に練習していたのさ。
武士は笑みを浮かべた。
「二本目、始め!」
春馬の怒涛の攻撃が始まった。
武士は防戦一方だ。
なんという凄まじい攻撃だ。
気を抜いたらやられる!
もう試合終了じゃないのか!?
時計の針は動いているのか?
おのれ!燕返しだ!
武士は返し技で燕返しを打った。
だが、春馬はしっかりと防御した。
なに!たった一度見ただけでもう通用しないのか!
間違いなく天才だな!!
だが、あと少し粘れば終わりだ、僕の勝ちだ!
逃げ切るぞ!
その時。
「胴!」
春馬の竹刀が武士の胴に当たった。
その瞬間、ストップウォッチは試合終了を示した。
「胴一本!時間切れ引き分け!」
ウオ−!!
武道館は興奮に包まれた。
二人の決着はつかなかった。
時計変えようかな〜
ある時、ふと頭の中にこのような考えがよぎった。
あたしはまだ小学生なのに、親と離れ離れ。
少し寂しいけど、もう慣れた。
親戚の人はみーんな優しくて、あたしを甘やかしてばっかり。
おんなじ年の子もいるけど、なんだか感じ悪い子。
とりあえず毎日、小学高に行って友だちと話して。
毎日が退屈。
唯一楽しいと思えることは、買い物のとき。
明日は家具を買いに行く。
今使っている時計はおじいちゃんの形見の品。
でもず〜っと針は9時を指したまま。
今は、夜の2時だってのに。
9といえば、あたしのお母さんが死んだときのじかん。
でもこの時計を変えるといっても、捨てちゃうわけじゃない。
この時計をずっと見てると、なぜだか横で懐かしい声が聞こえてくる。
どこかできいたこえ。
「懐かしいな」
あ、まただ。
誰かの声が聞こえた。
でも、いつもよりはっきり聞こえる。
真横に誰かいる?…ふとそんな気がして横を見るとあの日死んだはずのお父さんがいた。
「なんでいるの?」
「なに寝ぼけてるんだよしっかりしろ〜…アハハ」
理由は知らないけれど過去に来ているみたいだ。
あの時計のせい?まぁいいや。
日付をみると、2034年2月9日。
明日は二人が死んじゃう日。
「ねぇ…明日やっぱリ行きたくない」
「どうしたの?」
「頭が痛いの…!」
私は嘘をついた。
「今から電話してキャンセルできるか聞いてみるね、ゆっくりしてて!」
「うん…また明日」
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次の日
「頭、大丈夫?
「うん、だいぶマシ」
「良かった、今日もゆっくりしといたほうが良いわ」
「うん」
パタン
「これで良いのかな‥」
『ハイ、貴方の親は救われましタ』
「…だれ?」
『時間を操る神です」
「なんだかおじいちゃんに似てる…」
『えぇ、この時計の持ち主に似るんです』
「へー、それよりなんでそんな事わかるの?」
『それは秘密です、とりあえず明日には現在に戻っています』
「その場合ママたちはどうなるの?」
『今の生活に、親が加わるだけです、とりあえず感謝してくださいね』
「うん…!」
とまぁ、続き書くと多分長すぎるので次のお題のときに繋げます。これは第一章ということで。 ではまた今度に