昨日へのさよなら、明日との出会い』の作文集

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昨日へのさよなら、明日との出会い』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/22/2023, 7:26:22 PM

射干玉の闇に取り残されるのはわたしだけだ。
ああ泣かないでおくれ、わたしは嬉しいのだから。
あなたは前に進まなければならない。

夜明けを見るのはあなただけだ。
喜びの歌をきくのはあなただけだ。

さあ光の雫を飲みなさい、明日を迎えるにはそれしかない。

静謐な昨日は別れを告げた。



#昨日へのさよなら、明日との出会い

5/22/2023, 7:06:04 PM

明日こそは新しい自分を手に入れるのだと誓った。
何度も失敗してきた。でも次こそは必ず成功させる。
自傷、過量服薬、首吊り。そのどれもうまくいかなかった。これが失敗したら最後、もう私は閉鎖病棟という名の「安全な繭」の中に閉じ込められて、一生自由を奪われるに違いない。
最後のチャンス。そう思うと体の震えが止まらない。傷だらけの体で、私はどうにか建物の屋上に侵入した。ちょうど夜と朝の境目の滲んだ空に出迎えられる。ああ、なんて綺麗なんだろう。あの空に今日の私を沈めて、明日からはこの世界に存在しない自分を手に入れるのだ。
靴を脱ぐ。フェンスによじ登る。さあ、あとは飛び立つだけ。私は迷いなく地を蹴って、東雲色の空に包まれた。
ありがとう、昨日までの自分。そしてさようなら。
こんにちは、私のいない明日。

5/22/2023, 6:16:41 PM

20230523【昨日へのさよなら、明日との出会い】未完

※注意※異世界幻想創作短編。



 肩から落ちかけた鞄の紐をすんでのところ掴まえ、ホッと息をつく。父から継いだ物は、なるべく汚したくなかった。もう何度も繕い、縫い目だらけではあるが。

 ふと何か聞こえた気がして、赤土のはだけた道を振り返る。

 ただただ、幅が広いだけの乾いた長い公道が続いている。せっかく植えた脇の街路樹も栄養が足りずに、長い間、貧弱な姿を晒している。雨の乏しい荒野の端で、得られるものは少ないだろう。

 「どうした」

 低く響く男の声に、ハッとする。

 歩調の合わない旅の共が、道の先からこちらを目を細めて見ている。切れ長の目が更に細くなってるを見て、いずれそのまま一本線になってしまうのではないかと、時々、空想しては心の中で密かにほくそ笑んだ。

 「なんだ?」

 男の眉根が寄ったのに気付き、慌てて答える。

 「何だか、声がした気がして。いや、やっぱり空耳かも。気にしないで」

 始まったばかりの声変わりで早口に話したため、妙に上擦った可笑しな声が出て喉を抑える。埃も吸ったのか、咳が出た。

〜続

5/22/2023, 5:51:24 PM

明日なんて来なければいい。いつも、そう思っていた。
だって、生きてていい事なんて一つもなく誰からもできない子呼ばわりされてきてもう限界だったからだ。
だからもう明日を見ないようにするためには死ぬしかないと考えて誰もいない教室にいたその時、
「───ねぇ、死にたいって考えてる?」
「は?」
前を見ると、そこには同じクラスの子がいた。彼女は明日転校する子で、周りからは誰にも好かれ、たくさん友達がいる高嶺の花だった。
「そうだとしたらなんなのよ。」
「だったらさ、私とお話しない?」
「急に話しかけてきて変なの、ってちょっと!」
「さあ! 外に行こ?」
なんなのだ、本当に。そう思っているうちに引っ張られ
校庭に着いていた。面倒くさいと考えながらも気がつけば彼女の隣に座っていた。
彼女の肌は白くて、光に当たると消えそうだった。
「一度呼んで見たかったのよ。友達を!」
「ふざけないでよ。勝手に連れてきたんでしょ。」
「まぁまぁ、さあどうして死にたいのか聞かせて。」
苛々しながらも来てしまったからには質問に答えるしかないと思い、話し始めた。
「思春期によくある話よ。つまらなくて死にたくなる事、それよ。分かった? じゃあ帰るわ。」
「本当に?」
「何が! これが理由よ、聞いて分からないの? ふざけてないでさっさと帰らせて。友達でもないくせに!」
「そうやってすぐ怒る所、悟られたくないの? 弱い所。」
「やめてよ。」
なんなの、なんなのよ。苛々する。
「私、あなたが死にたいって知ってた。だから、ペットボトルに毒を入れたの。私もそれを飲んだから一緒に死ぬよ。最期に、あなたと友達になりたかったわ。」
ああ、本当だ。なんだか意識が遠くなる。殺されて死ぬなんて思いもしなかった。でも、悪くない。だって彼女も一緒なんだから。目を閉じる、もう明日は来ない。


「…え?」
目が覚める。どうして? 死んだんじゃないのか。周りを見ると紙切れがある。
「残念でした、また明日を生きなさい。
追伸:それは睡眠薬を混ぜただけ。あと、私はあなたのこと好きよ。」
「ふふっ、あははは!」
やられた。あの女。私を騙したのね。してやられたはずなのに私は笑っていた。そうか、私のこと好きなのか。
だったら、偏見なんかせずに話して見れば良かった。
何も見えなくなってしまっていたのね、私は。
「生きてやるわよ、目にもの見せてやる。」
私は初めて昨日にさよならをする。明日に出会うために。いつか、あの女に「久しぶり」を言うために。

『昨日へのさよなら、明日との出会い』

5/22/2023, 5:46:05 PM

「おやすみなさい」

カーテンをしめる
夜の帳とともに今日に終わりを告げる

よかったことも
よくなかったことも
夜の闇に閉じ込めて
昨日に持っていってもらおう

目を閉じて、昨日となった日にさようなら

カーテンを開けたら
明日になった今日に出会えるんだ


/『昨日へのさよなら、明日との出会い』





コップにいっぱいの水がある

それはあなたの心模様

透明に見えるその水は何色?


/5/21『透明な水』

5/22/2023, 5:40:16 PM

[※grbl二次創作/成代/twst× grbl]


パチン、と指を弾く。
軽快な音とは裏腹に、遠く離れた場所から破壊音が鳴り響いた。
建物が崩れ瓦礫と化し、苦痛と恐怖で叫ぶ醜いならず者共の断末魔。
赤黒い雨が辺りに降り注ぎ、鉄の臭いを漂わせる。

スッと胸が軽くなった気がした。
別に自分は何かを壊す音を『幸福』と捉えている訳ではないけれど、人攫いと臓器売買を繰り返す醜悪な連中を潰したことで仄暗い爽快感を覚えたのは確かだった。
これは決して善行などではない。
そもそも人の命を摘み取っている時点で自分は罪人と大差無い。
ただ目先で降りかかる理不尽が不快で、善人を喰い物にする存在を許せなかっただけであり、全てが身勝手な自己満足でしかない。

──何せ自分は、どうしようもないことに『ヴィラン』としてしか振る舞えないのだ。

この行為を容認しろとも、許せとも言わない。
いずれ"オレ"は全ての罰を受けよう。


だから、いずれ出会う見知らぬ貴方。
どうか必ず、この命を終わらせておくれ。



 ※ ※ ※


子供の頃、家族で砂浜を歩いていた時に巻き貝を踏み砕いてしまったことがある。
その音がやけに大きく聞こえて、当時の自分は思わず身を竦めた。
すぐに聞こえた両親の心配そうな声で何とか肩の力が抜けたものの、心臓は鼓動を早めたままだった。
今思えば、それは予兆だったのかもしれない。

両親に答えようと振り返った瞬間、何かが破裂したような音が響き、鉄と洋墨が混ざったような異臭がした。

最初に目に入ったのは呆然とした様子の母だった。
何かの飛沫を被ったのか顔や服は赤く染まっていて、視線は一点に固定されていた。
その視線を辿った先に父の姿は無く、居たのは────インク瓶を模した頭部を持つ化け物だった。


『──ぁ、』


思考が停止した。
漠然と『あの化け物に父が殺されたのだ』と認識はしたものの、『何故?』という問いが頭を占めていた。
何故父は死んだ?
何故アレはここに居る?
何故、何故、何故、何故────。

そこまで考えて、母の絶叫と何かを砕く音が耳に届いた。

母は四肢を末端から潰されていた。
"オレ"の、目の前で、化け物が振り下ろす鶴嘴で、足で、丁寧に、均一に、ぐちゃぐちゃ、に──────。



『にげ、な……さ、ぃ……ろ、べり、ぁ』




それから先は、覚えていない。
辺りに広がるインクが混ざった血溜まりと、無数に散らばるガラス片から、自分はあの化け物を殺したのだろう。

あの日から、自分の周りでは不幸が起きる。

死に希望を見出す者。
先に逝った最愛の後を追う者。
────インク瓶頭の化け物に突然変異し、自我を失い、多くの人を手にかけた者。


言葉を尽くしても死を救いとする子供は意志を曲げることは無かった。全てを忘れてしまう前に最愛の人の許へ逝きたいという老人も同様に。
──だからせめて、苦しむことなく眠れるよう即効性の毒を用意して、その最期を見送った。
自我を無くした彼等を皆殺しにした。
──化け物としてではなく、人間として終わらせてやるべきだと思ったから、手加減は一切しなかった。

一般人を喰い物にする者共を潰して来た。
──他人の幸福を貪り悦に浸るその態度に虫唾が走ったから。

全て、壊して来た。



忘れないように、彼等の声を、音を、"クラポティ"へ録音する。
他人から見ればこれも悍ましいコレクションに見えるだろう。
けれどオレは、この行為を止める気は無い。

これは彼等が居たことを証明するための物だ。
明日を迎えることなく、彼岸へ渡った彼等が遺して逝ったものだからだ。



だからオレは、"オレを終わらせる者"が現れるまで、この行いを止めることは無いだろう。


────だって『ヴィラン』を倒すのは、いつだって『主人公/ヒーロー』だろう?





明日か、数ヶ月後か、数年後か────。
いつか"オレ"のもとへ訪れるであろう"見知らぬ貴方"。

出会ったのならどうか必ず、この命を終わらせておくれ。





【昨日へのさよなら、明日との出会い】2023.05.23




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いずれ支部の方に加筆修正して投げるかもしれない(予定は未定)

5/22/2023, 5:16:18 PM

※ポケモン剣盾二次創作・マクワとセキタンザン
※飲酒の描写があります


雪交じりの冷たい風がびゅうびゅうと吹き荒れる。
降り積もった雪は、下の方が押しつぶされてしまい、もう凍り付いていた。厳しい指示の声が切り裂くように響いていく。
その真ん中に立ちはだかり、振り返るひとの影があった。



電子音が聞こえて、世界が突然切り替わる。セキタンザンがぱちぱちと瞬きをすれば、そこはよくよく見知ったマクワの部屋の真ん中だった。
バディは片手にグラスを、片手にモンスターボールを持ち、一人掛けのソファに座っていた。窓の外は真っ暗で、かなりの夜更けだということがわかる。

「……寝ていましたか?」

白い顔を赤らめて、緩んだ灰簾石の目がセキタンザンを見つめた。床には、いくつか空き瓶が転がっている。どうやら晩酌に呼ばれたらしい。時々マクワが行う気分転換だ。
大きな頭を振って答えた。

「よかった。きみへの……ラブレターが出てきたのですよ。せっかくだから捨てる前に見てもらおうと思って」
「シュポォ?」

マクワは椅子の横に置いてあった、埃のついた箱を持ち上げて、そのまま蓋を開ける。
いつもだったらあの分厚さのものはティッシュを使って払ってしまうだろうから、だいぶ酔っぱらっているのだろうな、とセキタンザンはなんとなしに理解した。
そもそも昔、隠していたはずのものを改めて渡すなんて、普段の彼ならありえないことだった。
蓋の下から出てきたのは、ばらばらと不揃いの黒い石たちだった。
人間が使う記号……文字は特に書かれていない。人間の言う手紙というものには、必ず文字が書かれていて、それをやり取りするものだということくらいは知っていた。

「いつだったかなあ……もう忘れちゃいましたけど……きみにモンスターボールに入ってもらった後だったかな。
ぼくの……ぼくたちの新しい門出に気持ちが高ぶったぼくは、きみにもっと喜んでもらいたくて……きみが好きそうな石をあちこちで拾い集めてたのです。
手紙ではないですが、ぼくなりに気持ちを伝えるためのものでした。
中には鉱物商店で買ったものもあったはず……でも結局タンドンが草を食べるということがわかってその石たちは仕舞い込まれました」

肉付きの良い白い手が、小さな石ころをひとつ持ち上げた。小さな粉が落ちていく。
きっと石炭なのだろう。セキタンザンは自分の体からふわりと浮かんだ黒い粉末を見て思った。
自分自身と同じものは居心地はよいが、さほど特別なものではない。
けれどバディが気持ちを込めてくれたものは、煌めいて見えた。

「……たぶん、それだけじゃなくて。早くいわタイプを自分の味方にしたいという気持ちもあったのだと思います。昨日と別れる証明みたいなものが欲しかったんじゃないかな……」

これを言うと少しひどいかもしれませんが、とマクワは前置きをした。

「きみに……一日でも早く会いたかった。タンドンであって……でもタンドンじゃないきみに」
「シュポォー」

マクワはテーブルにグラスと石の入った箱を置き、椅子から立ち上がった。少しばかりふらつく足元に、セキタンザンは思わず立ち上がりかけたが、それよりもバディが自分の目の前に到着する方が早かった。

「ぼくと進化してくれてありがとう」

あまりにも柔らかい口元がそっと頬に触れて、離れていく。これを伝えれば、きっと機嫌を損ねるだろうと思ったが、彼の母親・メロンのことを思い出した。
峻厳だが、とても大らかで柔らかくやさしいひとがときおり気持ちをのせて贈ってくれるもの。その感触はひどく似ていた。

「きみはいつだってデカくてカッコよくて……素敵で強くて……。ぼくの憧れで……」
「シュポォ!」
「ごめんね。……こおりへの反発心だなんて……くだらない理由でぼくはきみを戦わせてしまって……フフ、本当にきみがバディで居てくれるのがふしぎなくらいで……ぼくもきみに押し付けて……だいじょうぶですか、ぼくといるの……たいへんじゃないですか」
「ボオ」

セキタンザンの固い両手が、マクワの両頬を抑えた。つまらないことを言う口を捕まえてやる。

「いたい……」

それからお返しにとばかり、真っ白でふわふわの頬へと、炎を飼う石炭の硬い口を近づけた。
同じことをしたら人間の柔らかい顔では痛むので、なるべく遠いところから、同じくらいの感触を伝えてやりたかった。

「フフ、きみはやっぱり硬くて……熱くて……さいこうだなあ……」

マクワの体が蕩け始めた。いや違う、セキタンザンは考えた。アルコールという不思議な液体で力を失っているだけだ。もこもこした絨毯の上に膝をついて座り込んでしまった。
随分と酒が回ってしまったのだろう、眠たそうに目尻がどんどん下がっていく。

「セキタンザン、きみと……明日へ会いに行きたい。ぼくたちの明日……たのしみだなあ」

頬を赤くして笑う顔は、何より柔らかくて温かい。
彼と彼の母を凍てつかせるこおりを溶かすものに、いつか自分がなれるかもしれない。
再びメロンを思い出したセキタンザンは、マクワごと抱きしめてしまうのだった。

5/22/2023, 5:09:55 PM

もっとあの時こうすれば良かった。
あの時こう言えば良かった。
どうしてあんな風に言ってしまったんだろう。

夜に開かれるベッドの上での反省会。

でも時計の針が12:00を示したらそれも終わりの合図。

シンデレラの魔法が12:00で解けたように、時計の針が12:00を示したら昨日の自分とはさよならしなくちゃ。

そして明日がやってくる。明日はどんな日になるかな。

もしかしたらまた反省だらけの1日になるかもしれない。

もしかしたらシンデレラが王子様に見つけてもらえた日のように生きてきた中で1番良い日になるかもしれない。

明日がどんな日になるか誰も分からない。
でも良い日になるって信じることは誰でもできる。

だから明日との出会いは素敵なものだって信じ続ける。


-昨日へのさよなら、明日との出会い-

5/22/2023, 5:05:48 PM

家から徒歩1分の所に住む男の子が居た。1年生の時から毎日一緒にランドセルを揺らしながら学校に通っていた。雪が降った時には登校中遊びすぎて遅刻しかけて大泣きする私をゲラゲラ笑いながら宥めてくれた。優しい人だった、人のことをよく見ていて良くも悪くも小さな変化に気がつきなんでも言ってしまう人で、よく思われず軽いいじめにあい小3から不登校になった。ランドセルを背負う日はほとんど無くなった。

家にプリントを届けに言っても殆ど顔を出さない。代わりに彼の母親が穏やかな笑顔で毎日ありがとうと行く度お菓子をくれた。
卒業式するまで毎日彼の家に通ったが、顔を合わせることはほとんど無かった。中学は近所の公立ではなく頭のいい私立に進学したと聞いてから尚更会わなくなった。
中学生になってからの私は小学校の自分とは真反対の性格になった。いつもニコニコみんなの中立ポジティブで明るくて優しく、男の子とは変な噂が立つのが嫌だから話さないように勤めた。そのおかげで女の子の誰とでも仲良くなれたし色んな人が悩みも打ち明けてくれるようになって、嬉しかった。反面自分の本心を打ち明ける場所が無くなってインターネットにしか居場所を作った。

「私がどんな性格か客観的に教えてもらえって課題が出てるから教えてください」
幼なじみたちにそう聞くと、
「優しい」「めっちゃポジティブ楽天的人生楽しそう」「そのままの君でいてね」という答えが返ってきた。100点満点の回答、そのままのイメージでいてくれ。
たまに、ネットではなく身近に素の自分を受け入れてくれる友達がいたらいいなと思ったがそもそもそれが出来ないから無理だと諦めていた。


成人式で彼と再会した。医学生になったと教えてくれた。私は看護だったので盛り上がった。それから約半年、演奏会に誘われたので行った。家を出るまで行くか迷ったがプロのトロンボーン奏者の演奏がタダで聴ける機会を無駄にはしたくなかった。

演奏会が終わってから家に帰るまで、色んな話をした。
「何科で働きたいの?」
「助産師になることしか考えてないけど、でも小児か産婦人科かな〜、精神科にも興味ある」
「精神科はやめておいた方がいいね、患者さんのために何とかしてあげたい!って考えて考えて共倒れ絶対するよ」
「いやそんなことはない、と信じたい」
「図星か」
「うるさい」
「君さ、本当はめっちゃメンタル弱くない??」
「弱くないよ前向き思考だよ何を見たらそうなるんだ」
「成人式の日謎にテンション高かったけどあれ作ってたでしょ、その時インスタ交換して投稿してる写真みてそうかな〜って思ってたけど今話してて確信に変わった」
「…へえ笑」
「あと泣き虫だよね、よく泣いてた記憶ある」
「うそ!?それは嘘だよ泣き虫じゃなかったもん」
「じゃあ今は泣き虫なんだ」
「うるさい相手の痛いところばっかりつっついてるとモテないよ!!」
「身長175cm以上の女の子なんてそうそういないからもう諦めてる」
「開き直るな自分が縮む努力をするんだ」

成人式の時も医療の話以外話していない、今日も帰り道のたった1時間、会話しただけ。16年一緒にいる友達にもそんなこと言われたことないのに。同時に猫かぶりが上手くいっていなかったのかとどうしようもない不安に襲われた。
確かにそうだと自分でも思う、共感する事を身につけられたのはいいものの感情移入しすぎて共倒れる、何かに深入りしすぎるし周りを気にしすぎる、なんでもしすぎてしまうからメンタルを病んで留年になった。
「多分ほかの人は気づいてないよ、それくらい些細なこと。俺もただ疑問に持ってて答え合わせしたらあってただけ。大丈夫だよ」
自分の何かが吹っ切れた、そんな気がした。
友達ができるかどうか、助産師になれるかどうか分からないしやることもなくてどうしようもなく怖くなる事、バイト先での人間関係の悩みを言ったら親身に相談に乗ってくれた。
「案外いいやつじゃん、ありがとうね」
「でしょ、俺いいやつなんだよ」
「自分で言ってるうちはモテないよ」
「175cm以下の子からモテてもしょうがないからな〜」
「身長より性格をみろよ笑」
「もちろん見てる」
「でも175cm以上の子がいいんでしょ、さっきも言ったがいっその事君が10cm縮みな医療は確実に進歩している」
「バスケやりたいから俺はこのままがいい寧ろまだ伸びたい」
「じゃあ諦めるしかない笑」

そんな私たちを見かけた中学からの知り合いから、「彼氏!?」というメッセージが飛んできて思わず2人で吹き出した。どこをどう見たらそんなふうに見えるのか。彼女の目は節穴なのかもしれない。
なんとなくきまづい雰囲気が流れたが、ちょうど最寄りに着いたので電車をおりてお開きとなった。





あ〜落ちが見つからない
本性ちゃんと見てくれたのが嬉しかったってことと、幼なじみは恋愛対象に見えないってことを書きたかったんです

私の中で幼なじみって、完璧恋愛対象外なんですよね
共通の友達が沢山いる、親同士もよく知ってる、なにより相手のことを知りすぎてる、友達期間が長すぎて手を繋ぐとか想像できない恥ずかしすぎる無理ってなる
すごくよく自分のことを理解してくれて、客観的に冷静にアドバイスしてくれる人が初めて身近に現れたんです
それは嬉しい、一緒にいるのも楽しくて
ここまで聞くと好きになっちゃえよ!って思いますよね
まわりは一緒にいるところを見て「彼氏!?」って聞いてくる、そりゃそう男と一緒に歩いてるんだもん
違うんですよね〜😭😭😭😭それが嫌で一緒に遊べないんです、そう言われちゃうと気まづくなっちゃうのがやだ、言わないでくれ頼むから🥲
恋愛対象に女の人が入るから女の子といる時に「彼女!?」って聞かれないのが不思議
世の中色んな人がいるんだよ
男性女性どちらにも恋をしない人もいるんだよ男女がみんな恋をしてると思わないでくれ〜🥲
いや思っちゃうのもわかるからなんとも言えない

人による価値観の違いだから理解されないことが多いんですけど、確かに友達から好きになった人も今までいたから根拠にならないかもだけど
ほんとに友達なんだよね、それ以上でも以下でもない
私が女の子じゃなくて男の子だったらいいんかって喧嘩売りたくなる
だったら男になってやるよってね
二人の関係性は2人にしか分からないこともあるっていう
男女の友情が成立すると私は思う
でも現実本当に人による!!!!!!!
誰もが成立するわけじゃない「ただの友達だよ」とか言っときながら恋仲に発展するカップルを何組も見届けたしそれで傷ついたこともあるから!!!被害者これ以上増えませんように
パートナーがいる人は相手の「ただの友達」って言葉は信じない方が100%いいですよ身のためです頼むから信じるなその後高確率でお互い恋心が芽生えて振られますわかったか世の中のカップルさんたち!!!!!肝に銘じるんだ!!!!!!
難しいねこれって本当に人によるから数学とか医学みたいに決定的な根拠も定義も作れない

もっと男女格差なくなって欲しいな
男子と2人で遊んでてもなんにも思われない世の中になって欲しいです、折角心許せる人間No2が出てきてくれたんだし

勿論それは難しくて、色恋狙って男子と遊んでる人の方が多分多いからね世の中
でも中には違う人もいるんだよってことを覚えていただけると幸いです🥲

5/22/2023, 4:59:09 PM

お題:昨日へのさよなら、明日との出会い

朝、日めくりカレンダーを1枚破いて今日の日付を確かめる。
手に握られた昨日に思いを馳せつつゴミ箱に投げ入れる。
ゴミ箱にはたくさんの昨日が捨てられている。

夜、カレンダーを1枚そっとめくって明日の日付を確かめる。
明日の朝カレンダーを破って明日が今日になる瞬間を想像する。
今日の自分と明日の自分は同じ人間なんだろうかなんて哲学的なことを考えながら明日の自分に「頑張れ」とエールを送った。












タイトル
夏休み最終日宿題やってない

5/22/2023, 4:51:53 PM

昨日と明日を結ぶ0時を

誰かは恨んでいるかもしれない


真新しい1日は誰かにとって

憎たらしい程美しいのだ


明日は昨日の事など考えないだろうが

誰かは昨日にも果ての昨日にも寂しさを覚えている


明日が怖くないと言えば

その誰かは泥棒の始まりになるだろう


誰かは明日もその遠い未来さえも

拒みたくて仕方ないのだ


不確定な未来に不安を抱き

眠れぬ夜を何度も越して

また明日に囚われる


その誰かは明日こそ救われるのだと

眠れない夢を見るのだ

5/22/2023, 4:45:06 PM

布団に入る
ふと、思い出す
明日のバイトのこと
忘れかけていたこと
めざましのこと
あの子のこと。
押し寄せてくる不安は濁流のよう
もう疲れた魚は押し流されてしまう
どこまでも

5/22/2023, 4:26:54 PM

しょぼしょぼと目を瞬かせた昴は、早く終わんねえかなあと俯いて欠伸した。
 新陽の儀式。
 新たな年を迎えて良い一年になるように、と願うのはいい。しかしだからといって、朝早くから起きて、わざわざ山頂に登らなくたっていいじゃないか。観客がいるわけでもないのに、何で山で儀式をする必要があるんだ。第一、朝じゃなくてもいいじゃんか。厳かな気持ちで迎えるはずだぅた新年早々、昴は不満たらたらで儀式が始まるのを待っていた。
 儀式といっても、神官が新陽の詩を詠み上げるのを横で聞き、石で作った祭殿に酒を垂らすだけだ。踊るわけでもなし、食事をするわけでもなし。祭殿なら麓の神殿にご立派なものがあるのだから、アレでいいじゃないか。
 山頂にいるのは、昴の他に神官の主。千景は留守番という名のサボりだ。留守番役を買って出た時の千景の飄々とした姿を思い出し、余計ムッとした。
 そろそろだな、主の声に顔を上げた。日が昇ると儀式が始まる。
「…………」
 紫に赤みを足したような色合いの空だった。曙や暁とは、こんな感じの空を言うのだろうか。夕暮れとも違うその光景に、昴の目は釘付けだった。
「……あっ」
 日が昇る。
 山間から、ゆっくりと頭を見せ始める。もう灯りなんていらないくらいには暗くなくなっていた。夜でも意外と目が見える。そう思っていたが、太陽が姿を見せたことで、周囲が徐々に明るくなっていく様子をじっと眺めていた。
「始めるぞ」
 新年の寿ぎを詠う主の揚々とした声を耳に、昴は昇る日をじっと観ていた。
 今頃都でも同様の儀式をしているはずだ。一度も参加したことはなかったが、毎年父上や母上、姉上、神学院……の人たちが盛大に儀式していた。
 2年前、ここで暮らすことになるなんて思いもしなかった。都を出るという発想すらなかった自分は、今、田舎の山の上で、たった二人で新年を迎えている。
 この暮らしに慣れたわけじゃない。都にはまだ帰りたくない。
 ただ、今日くらいは、この杓子定規な神官や麓で帰りを待っている千景の言うことを聞こうと思った。

5/22/2023, 4:25:55 PM

#26 昨日へのさよなら、明日との出会い


僕は眠りが浅い方だから、君がなかなか深く眠ることができなかったのを、実は知っている。
起こしたと思わせてしまうと気にするかと思って、寝たフリをしていたんだ。

そうして何度も何度も夜を越えて。

ふと、深夜に目が覚めたとき、
君がぐっすり眠っているのに気づいたときの、
僕の静かな喜びを、君は知らないだろう。
やっと僕の隣で眠ることに慣れてくれたんだって。

おはよう、新しい君。

---

「珍しい苗字ですね、なんて読むんです?」

「ぬくい、と読みます。そういうあなたも、なかなか見かけない苗字ですね」

「そうですね、読み方は難しくないんですけど、こっちに来てから同じ苗字の人に会ったことがないです」

「レアな苗字同士ということで、よろしくお願いします」

街コンで、たまたまペアになったのが『ぬくい』さん。あなたとの出会いだった。


付き合ってしばらく後。お互い忙しかった仕事が落ち着いて、久しぶりに食事を一緒にできたとき。

「君と結婚しなかったら、もう結婚しないかも」

そのときの、あなたの言葉には本当に驚いて。この後どうしたか覚えてない。しかも後になって聞いたら、そんなこと言ったかな、なんて。あなたのことだから本当に忘れてるんでしょうけど。

でも、このまま付き合っていていいのか不安だったから、とても安心した。
それからは、あなたが隣にいることを当たり前に感じるようになったの。

---

「ご結婚おめでとうございます」

「「ありがとうございます」」

夜の区役所。記念日の入籍にこだわった僕たちは仕事帰りに寄り、婚姻届を提出した。時間帯のせいで人が少なくて良かったと思う。人が多かったら君も落ち着かないだろうから。

「私、ずっと思ってたの」

微笑みながら君は言う。

「私の苗字、木納だったでしょ。あなたと結婚したら、読み方は違うけれど、明日になるんだわって」

「僕だって、出会ったときから思ってたよ。漢字は違うけれど、『昨日』と同じ読みだなって」

変な空気になったら気まずいと思って言えなかったけど、本当は『昨日』にさよならして『明日』になってくれたら素敵だなと考えていたよ。

5/22/2023, 4:25:46 PM

昨日へのさよならも、明日との出会いも、私が寝てるうちに全部終わっちゃうんだ。

昨日さんへはおやすみって言って寝るけど、さよならはいつも言えない。私が寝てる間に昨日さんはそっといなくなっちゃうの。

昨日さんは明日さんが来るのを待って、バトンタッチして、みんなのことをよろしくねって言っていなくなるんだって。
これは何人目かの明日さんが教えてくれた話。

ねぇ明日さん、私昨日さんに会いたいよ。
明日さんが昨日さんになって離れていっちゃうのをちゃんとお見送りしたいよ。

だから起こしてよ。一緒に起きてようよ。
日付が変わるその瞬間を私と昨日さんと明日さんでふふって笑って迎えようよ。
私ばっかり仲間はずれにしないで。

ありがとねってギュッてハグして、元気でねってさよならしようよ。

はじめましてってお辞儀して、一緒に頑張ろうねってよろしくしようよ。





そうじゃないとさ、寂しくてやってらんないじゃん。

5/22/2023, 4:24:25 PM

前回の続き

 西田 悠太は昨日の出来事が頭から離れないでいた。
 夢なのか現実なのか。あれは本物の宇宙人なのか。本当に宇宙人がやってきたのか。
 あの時、もし「はい、呼びました」と嘘をついていたら、どうなっていたのか。どこか知らない星へ連れていかれるのだろうか。
 そもそも、歌を歌ってるだけなのになぜ彼らは自分たちを"呼んだ"と錯覚したのだろうか。
 もしかしたら、昨日歌った歌に、宇宙人へのメッセージが込められているのかもしれない。
 それならば、試してみよう。
 すぐさま紙とペンを取り出し、昨日歌った歌を洗いざらい書き出した。全部は思い出せないが、できるだけたくさん書いた。
 メモを見返すと、最近の流行りの曲ばかり歌っていたことに気づく。しかし、どう頑張って見ても、宇宙人を思わせる言葉はなかった。
 これではどの歌がそうなのか分からない…。今日の夜、同じ時間にもう一回同じ順番で歌ってみるしかないのか。
 ただ、思い出せない曲もあるため、宇宙人が来るかどうかは分からない。ボーッとしていた自分を恨んだ。

 その時、ニュースが始まった。最近どうでもいい報道ばかりで見ていなかったが、いくつか奇っ怪な言葉が耳に飛び込んできて、思わずテレビに顔を向けた。

『午前11時頃、○○ビルの1階の壁に突然半径2メートル程の穴が開いたとの通報がありました。しかし、現在穴はなくなっている模様。目撃者の発言によると、穴を開けた者もおらず、勝手に穴が開き、1分後に穴は消滅したとのことです。現時点では詳細は分かっておらず、今も調査中です』

 どういうニュースなのだ。勝手に穴が開くのか?物理的に有り得ることなのだろうか。
 気になるが、それより、今日の夜が待ち遠しい。メモに書きまとめた歌を歌った順番通りに歌おう。
 西田 悠太はメモを握りしめ、大切に保管し、夜を待った。

5/22/2023, 4:20:44 PM

寝る時間になったら
反省会を少しする

今日見つけられた小さな幸せと
上手くいかなかったことのことを考える
失敗は引きずらないように
明日には切り替えられるようにする
成功は継続できるように

明日はまた違う一日だから
失敗を引きずっても仕方が無いし
悩むよりも学びにしないとだから

そしてまた、一日を終えて
反省会を同じようにして
毎日を過ごしてる

5/22/2023, 4:16:55 PM

【昨日へのさよなら、明日との出会い】

30日間無料お試し!家族アンドロイドと一緒に暮らして見ませんか?

えみのママはぜんぜん家にいない。えみはいつも1人でおるすばん。パパはよく知らないの。

「えみちゃん。ママ忙しくてなかなか家に居られないの。ごめんなさいね。代わりと言ってはなんだけど、家族アンドロイドっていうものがあるらしいの。お試しで頼んでみたから、しばらくはそれと遊んでちょうだい。」

アンドロイドなら知ってるよ。まどの外を見るとたくさんいるもん。えみの家にもアンドロイドがくるの?やったー!

翌日
「来たみたいね。設定だけ済ませたらママはお仕事に行ってくるわね。仲良く遊ぶのよ。」

わあ、動いた。ママ!この子、人にすっごく似てる!ママ?もう行っちゃったの…。

「おはようえみ。私はミラ。今日からあなたの家族になるの。よろしくね。」

えみだよ。ミラちゃん一緒に遊ぼう。

「わかったえみ。一緒に遊ぼう。」

あのね。ママはいつもお仕事が忙しくてぜんぜん遊んでくれないの。だけどえみは大丈夫なの。ママが頑張ってるって知ってるから。

「えみ。あなたの年齢は時間を長く感じる。そんな時期に1人でお留守番をするのはとても寂しかったでしょう。ミラはあなたの家族です。いつでも一緒に遊ぶことが可能です。」


「えみちゃん。ただいま。お利口にしてた?それと、アンドロイドに問題なさそうかしら。」

この子はミラちゃんだよ。今日はいっぱいミラちゃんと遊んだの。

「あら、そうだったの。気に入ったみたいで良かったわ。もう遅いわ。食事を済ませて早く寝ましょう。」

「おかえりなさいお母さん。ミラは家事全般を行うことも可能です。お母さんの役に立てることでしょう。」

「さすがミライ社のアンドロイドね。お母さんっていうのは違和感あるけど、家事をしてくれるならお願いしようかしら。」

15日目
「ミラ、食パン焼いておいてくれるかしら?えみを起こしてくるから。」

「わかった。お母さん。」

ミラちゃんが来てから、少しだけママがえみと遊んでくれるようになった。朝のちょっとした時間。寝る前の数分。それでも嬉しい。とっても幸せ。

30日目
「今日でお試し期間はおしまいね。えみちゃん。ミラとは今日でお別れなの。」

ミラちゃんいなくなっちゃうの?なんで?家族なんでしょ?

「えみ。ミラは家族です。ですが、ミラは元いた場所に戻らなければなりません。あくまで今の私はお試し用の機体。製品版には遠く及びません。ですから、現状を存続させることは不可能です。」

えみはママとミラちゃんと一緒がいいの。お別れなんていやだよ。

「えみちゃん。ママもミラがいなくなったら寂しいと思うの。だけど、製品版のミラは高額なの。だからね、本当にミラと一緒にいたいか聞こうと思ったのよ。それに、これからはママね、早く帰れるようになるのよ。」

それでもミラちゃんと一緒がいいに決まってるもん。

「実はね、ミラが買えるようになるまで遅くまで働いてお金を貯めてたの。そんなときにこのお試しを見つけたのよ。これでえみちゃんがミラと一緒にいたくないのなら、別のものにお金を使おうと思っていたわ。だけど、そんなことはなかったわね。それにもう、ミラは家族だもんね。」

次の日
ミラちゃんは昨日戻って行ったの。ママは見た目が変わっても記憶は一緒って言ってたの。

さようなら、昨日までのミラちゃん。
そして、明日になればきれいになったミラちゃんに出会えるの。
えみの家族はえみとママとミラちゃんだから。

昨日までの日々とはさよならした、新たな出会いのお話。

5/22/2023, 4:15:06 PM

人間関係

依存、嫉妬
勘違い、思い込み、被害妄想
自分勝手に不貞腐れて周りに自分の機嫌を取らせよーと場の空気悪くして
しまいにどくれて拗ねて幼稚に怒りっぽくなって周りに八つ当たりして
どんよりどんよりネガティブ思考笑顔なしのどんより顔…

あー疲れるー!!

5/22/2023, 4:11:19 PM

[お題:昨日へのさよなら、明日との出会い]
[タイトル:ネペレーの涙]

 花澤瑛太が赤羽遥に一目惚れした理由を突き詰めるなら、それはきっと、二人が世界の終わりに立っていたからだろう。

「いいじゃないか、最期くらい」
「い、や。私たちは最期までビジネスライクよ。それに最期、最期って言って、いつも生きてるじゃない」
 何十回目かのお誘いは、いつも通りの空振りに終わった。助手席に座る遥は瑛太に見向きもせず、目の前の二〇〇二年製造の分厚いパソコンと睨めっこしている。
 車のバッテリーからの電力供給で動くそれは、当然のようにインターネットには接続されていない。もはやパソコンは記録と計算のためのノート代わりでしか無く、遥もそれ以上を求めてはいなかった。
 カタカタとキーボードを打つ遥を、瑛太は無言で見つめた。相変わらずのタッチタイピングで、遥は画面から目を離さない。そこにツラツラと並べられる文字列を、まるで我が子のように見守っている。
「・・・・・・」
「・・・・・・なに、暇なの? あと十分で終わるから、そしたらソリティアして良いわよ」
「僕のことソリティア大好きな人だと思ってる?」
「あら、マインスイーパーの方だった?」
 実のところ、どちらも大好きだった。過去形なのは、ここ数年でやり過ぎてもう飽きてしまったからだ。
 そう、わずか数年だ。世界から国境が消え、核弾頭が消え、銃が消えて数年。地球は史上最も静かな時を刻んでいる。代償は九十九パーセントを超える動植物の命だ。
「いんや、どっちもやらないよ。十分でも、一時間でも、永遠にでも、赤羽がパソコンを使ってよ」
「わかった。ありがとう」
 瑛太はそれを聞くと、胸ポケットからタバコを取り出した。今や珍しいマイルドセブンの箱である。しかし中身はセブンスターが二本、ウィンストンが一本、ハイライトが一本、よく分からないのが二本。
 瑛太はセブンスターを二本取り出すと、一本を遥に差し出した。
「お一ついかが?」
「珍しいことするのね」
「ちょっと、いいことを思いついてね」
「いいこと?」
 そう言って首を傾ける遥に、瑛太は「いいから、いいから」とタバコを咥えさせた。遥は拒否することなく受け入れた。
 それから瑛太は自分で咥えたもう一本のタバコに火を点けると、すぅと息を吸った。そしてタバコの先端を遥の咥えているタバコの先端に押し付ける。するとジジジ、と火が移った。いわゆる、シガーキスだ。
「これくらい許してよ」
「・・・・・・ま、別にいいわ。これくらいなら」
 これくらいが限界だ。本当にキスなんてしてしまうと、びっくりするくらい簡単に死んでしまう。
 遥はタバコに慣れていないのか、時折りコホコホと咳をした。それでもタバコを吸わされたことに文句は言わなかった。
 健康被害なんて、今さらどうでもいいのだ。健康はとっくの昔に害され過ぎている。もしもMRI検査を行っていたのならば、二人の臓器に影が見つからない場所はないだろう。
 瑛太は煙を吐きながら窓の外を見た。
 しんと静まり返った灰色の雲。タバコの煙にも似た雲のようなそれは、どこか淡く輝いていて、その裏に太陽があるとは思えない不気味な均一さを持っていた。
 あれは雲じゃない。
 死にかけの人類はそれを『ネペレー』と呼んだ。

 ネペレーとは、ギリシャ神話に登場する女神の名だ。主神ゼウスがイクシオンを罰する計略の為に、妃であるヘラに似せて雲を象って作ったとされている。
 その計略とは、一言で言えば身代わりだ。ゼウスはヘラに言い寄るイクシオンに対して、ヘラにそっくりのネペレーを用意することで、彼がどんな反応をするのかを試したのだ。果たして、イクシオンはゼウスによって罰を受けることになる。イクシオンの行動は、押して知るべしだ。
 
 あの雲のような何かが『ネペレー』とするなら、人類はまさにイクシオンである。人類が欲望のままに手を出した結果が、罰──すなわち、世界の終わりだった。
「おっ、降ってきたな」
 ふわふわと、それは落ちてくる。『ネペレー』から落ちてくるそれは、雪にも灰にも埃にも似ていた。ある人は、それを『ネペレーの涙』と表現した。
 吸いかけのタバコを外へ捨てると、急いで窓を閉めた。遥も同じようにしてから、言葉を発した。
「『ネペレーの涙』が止んでから、また降り始めるまで約十六時間ってとこね」
 そしてパソコンに向き直り、記録をつける。
『旧フランス領、ディジョン、05:47から21:39』
 実のところ、これが何に生きるのかを瑛太は把握していない。それどころか、この記録行為を無駄だとさえ思っている。今、それを止めないのは、遥が瑛太のタバコを止めないのと同じ理由だ。
 どうせ世界は終わっているのだから、好きにすればいいと、それだけだ。
「それじゃあ、次はマルセイユに向かいましょう」
「はいはい。了解ですよ、お姫様」
 こんなキザなセリフもこの状況なら何のそのだ。その後に欠伸をしてしまったので、結局はカッコつけれていないのだけれど。
「欠伸なんて、らしくないわね。私たちは眠ってはいけないのに」



 ──『ネペレー』について 著:赤羽遥
『ネペレー』の発生理由は不明。後述する適応に関する実験で起こった事故の可能性を提示したい。
『ネペレー』の発生時期は二〇一八年の十二月末。一夜にして地球を覆った。
『ネペレー』は常に僅かに発光しており、世界を包んでいくその様は、夜明けにも似ていたという。その日から朝も昼も夜も消え、地球全体が常に淡い白夜のようになっていた。
『ネペレー』の降らせた俗に『ネペレーの涙』と呼ばれる物質は動植物の内部に侵入すると、ある種の進化を促すとされる。九十九パーセントの動植物はそれに適応できずに死亡するものとされる。
 一方、進化に適応できた場合、適応できた者(以下、適応者)は『ネペレー』の降らせる物質のみで生存が可能になる。しかし植物の減少によって、空気中の酸素濃度が下がれば、思考が不可能になり実質的に死亡する事になると考えられる。
 適応者は代償として三大欲求を禁止される。しかしこれは不可能を意味する訳ではない。法律のようなものであり、これを破れば死亡する。
 およそ一年で、適応者以外の動植物は死滅すると考えられる。その後、数年で酸素濃度が下がり、遅れて適応者も死滅するだろう。まさしく、世界の終わりである。



 オンボロの4WDで、途中休憩を挟みながら八時間ほど走らせると、目的地のマルセイユについた。ここまでくると『ネペレーの涙』は降っておらず、また待ちぼうけをすることになった。
「つまり、その記録を取るためには、一度『ネペレーの涙』を待ってから、それが止んだ後に、もう一度降るまでの時間を測らなくちゃいけないんだね?」
「そういうことよ」
「うーん、そうかぁ」
 瑛太が残念そうに声を漏らしたのは、地面に降り積もった『ネペレーの涙』を見たからだ。その厚さから察するに、つい先ほど止んだばかりのようである。
 もちろん、それに遥が気づいていない訳がない。より正確な記録のためには、時間は必要経費である。

 遥の見立てでは、およそ二十四時間立ち止まる必要があるとのことだ。
 二人は気分転換に車の外へ出た。車外でのタブーは、走ることだ。積もった『ネペレーの涙』を巻き上げて吸引してしまうと、苦しくて仕方がない。

 人気のないマルセイユの古い街並みには、独特の死の雰囲気が漂っていた。といってもこれはマルセイユに限った話ではなく、世界中の都市、地方、自然や海ですら起こっている。
「生存者はいなさそうだね」
 瑛太の言葉に対して、遥は興味なさげに「最初から期待してない」と返した。

 しばらく歩いて辿り着いたのは、カトリック教会のマルセイユ大聖堂だ。ガタついた扉を開けることができず、二人して中央扉の前に腰掛けた。
 五分ほど沈黙が続いたのち、瑛太はようやく口を開いた。
「・・・・・・そう言えば、ずっと聞いてこなかったんだけどさ」
「どうしたの?」
「あの記録は何のためにつけてるんだい?」
「あー、あれ、言ってなかったかしら?」
 遥は勿体ぶることも、惜しむこともなく、淡々と理由を話し出した。
「簡単に言うと、私は今日を探しているの」
「今日?」
「そうよ」遥は無言で肯く。
「適応者である私たちの命題は、何よりも自身の人間性を担保することだと思うの。三大欲求を失い、太陽を失い、永遠に明るい世界をただ生きるだけじゃ人間らしくない。そこで私が考えたのは、人間性は規則正しい生活の中にあるんじゃないかってことよ。
 そして規則正しい生活のためには、この新しい世界での一日を定義する必要がある。
 じゃあ質問だけど、今日と昨日と明日を遮るものは何かしら?」
 瑛太は少し考えてから言った。
「時間じゃないかな。時計は未だにきちんと動いているよ」
「確かに一日は二十四時間ね。でも、それは少し近代的過ぎる考え方だわ」
 そう言われても、瑛太はあまりピンと来ない。遥に続きを促す。
「例えば、人類がまだ狩猟採集民族として活動していた頃は時計なんて無かった。でもだからと言って、そこに一日という考え方が無かった訳じゃない。
 私の考えを言うと、今日というのは太陽のことだと思うの。日の出と共に活動を始めて、日の入りと共に活動を終えることが、原始的な人間らしい『今日』じゃないかしら」
「日の出? 日の入り? ちょっと待ってくれ、太陽を失ったと言ったのは、君の方じゃないか。確かに太陽と共にする生活が人間らしい気はするけれど・・・・・・」
 遥は肯いて答える。
「だから、それが答えよ。『記録は何のためにつけているんだい?』のね」

 大聖堂から車に戻ってきた二人は、すぐにパソコンを起動した。その中にある記録を見るためだ。
「ほら、これ。ディジョンの記録。05:47から21:39の『ネペレーの涙』が止んでいた時間。これを見て気づかない?」
 瑛太の頭に浮かんだのは、先ほど遥が言っていたことだ。
「日の出と、日の入り?」
「そうよ。まだ全然統計が取れていないけれど、私はそうだと睨んでる。つまり、太陽光を浴びているところでは『ネペレーの涙』は降らないの」
 遥は、他にもあるわと言って、別の都市の記録を次々と出していた。確かにどれも、朝から夕方にかけて『ネペレーの涙』が降り止んでいる。
 確かに、遥の言説は正しい。けれど、これじゃ正しいだけだ。瑛太は自身の中の感情を抑えられずに言葉を吐いた。
「・・・・・・じゃあ、これでもっと数を取れればそれで終了かい?」
「ええ、まぁ、そうね」
 遥はキョトンとした顔でそう告げた。
「そうか、うん、そうか」
 瑛太は自身の失望を悟られないよう努めた。しかし、本当に隠しきれていたのか、瑛太にはこれっぽっちも分からなかった。

 車に遥を一人残して、瑛太は再びマルセイユ大聖堂に向かった。本当は目的地なんてどこでも良くて、ただひたすらに歩きたい気分だった。
 瑛太は思う。失望とは期待の裏返しなのだろうと。期待が大きければ大きいほど、その反動は凄まじい。身勝手だと考えながらも、瑛太は感情を止められずにいた。

「世界の終わりに、選ばれし適応者になった二人の男女。出会いは劇的だ。たった一人、自暴自棄で車を爆走させる男。その前に突然現れたもう一人の生存者。ミステリアスな彼女は言う『目的のために手伝って欲しい』
 これで期待するなって方がおかしいだろ」

 それがどうした。今日とか、昨日とか、明日とか。もっと『ネペレー』の核心に迫るような何かじゃないのか。人類を救えるような何かじゃないのか。
 間も無く、瑛太は大聖堂に辿り着く。そして、そう言えばと気がついた。ここは祈る場所だ。
「あぁ、神様、どうかお願いします。どうか、赤羽遥の推測が失敗であって下さい。どうか」
 瑛太は口に出して、ハッとした。どうしてそんなことを祈ってしまったのか。自身の中のどす黒さに戦慄すら覚える。どうしてこんなに、自分は醜いのか。
 そんな自身への戒めを嘲るように、頬に何かが触れた。
「あっ・・・・・・」
 それは空から降ってきた。灰色の涙だ。
 まだマルセイユに来て五時間しか経っていない。滅亡前のフランス時間と合わせるなら、正午過ぎだ。
「は、ははっ」
 瑛太は間違いなく神様に祈った。『ネペレー』とは神の名前である。

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