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明日なんて来なければいい。いつも、そう思っていた。
だって、生きてていい事なんて一つもなく誰からもできない子呼ばわりされてきてもう限界だったからだ。
だからもう明日を見ないようにするためには死ぬしかないと考えて誰もいない教室にいたその時、
「───ねぇ、死にたいって考えてる?」
「は?」
前を見ると、そこには同じクラスの子がいた。彼女は明日転校する子で、周りからは誰にも好かれ、たくさん友達がいる高嶺の花だった。
「そうだとしたらなんなのよ。」
「だったらさ、私とお話しない?」
「急に話しかけてきて変なの、ってちょっと!」
「さあ! 外に行こ?」
なんなのだ、本当に。そう思っているうちに引っ張られ
校庭に着いていた。面倒くさいと考えながらも気がつけば彼女の隣に座っていた。
彼女の肌は白くて、光に当たると消えそうだった。
「一度呼んで見たかったのよ。友達を!」
「ふざけないでよ。勝手に連れてきたんでしょ。」
「まぁまぁ、さあどうして死にたいのか聞かせて。」
苛々しながらも来てしまったからには質問に答えるしかないと思い、話し始めた。
「思春期によくある話よ。つまらなくて死にたくなる事、それよ。分かった? じゃあ帰るわ。」
「本当に?」
「何が! これが理由よ、聞いて分からないの? ふざけてないでさっさと帰らせて。友達でもないくせに!」
「そうやってすぐ怒る所、悟られたくないの? 弱い所。」
「やめてよ。」
なんなの、なんなのよ。苛々する。
「私、あなたが死にたいって知ってた。だから、ペットボトルに毒を入れたの。私もそれを飲んだから一緒に死ぬよ。最期に、あなたと友達になりたかったわ。」
ああ、本当だ。なんだか意識が遠くなる。殺されて死ぬなんて思いもしなかった。でも、悪くない。だって彼女も一緒なんだから。目を閉じる、もう明日は来ない。


「…え?」
目が覚める。どうして? 死んだんじゃないのか。周りを見ると紙切れがある。
「残念でした、また明日を生きなさい。
追伸:それは睡眠薬を混ぜただけ。あと、私はあなたのこと好きよ。」
「ふふっ、あははは!」
やられた。あの女。私を騙したのね。してやられたはずなのに私は笑っていた。そうか、私のこと好きなのか。
だったら、偏見なんかせずに話して見れば良かった。
何も見えなくなってしまっていたのね、私は。
「生きてやるわよ、目にもの見せてやる。」
私は初めて昨日にさよならをする。明日に出会うために。いつか、あの女に「久しぶり」を言うために。

『昨日へのさよなら、明日との出会い』

5/22/2023, 5:51:24 PM