茶園

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前回の続き

 西田 悠太は昨日の出来事が頭から離れないでいた。
 夢なのか現実なのか。あれは本物の宇宙人なのか。本当に宇宙人がやってきたのか。
 あの時、もし「はい、呼びました」と嘘をついていたら、どうなっていたのか。どこか知らない星へ連れていかれるのだろうか。
 そもそも、歌を歌ってるだけなのになぜ彼らは自分たちを"呼んだ"と錯覚したのだろうか。
 もしかしたら、昨日歌った歌に、宇宙人へのメッセージが込められているのかもしれない。
 それならば、試してみよう。
 すぐさま紙とペンを取り出し、昨日歌った歌を洗いざらい書き出した。全部は思い出せないが、できるだけたくさん書いた。
 メモを見返すと、最近の流行りの曲ばかり歌っていたことに気づく。しかし、どう頑張って見ても、宇宙人を思わせる言葉はなかった。
 これではどの歌がそうなのか分からない…。今日の夜、同じ時間にもう一回同じ順番で歌ってみるしかないのか。
 ただ、思い出せない曲もあるため、宇宙人が来るかどうかは分からない。ボーッとしていた自分を恨んだ。

 その時、ニュースが始まった。最近どうでもいい報道ばかりで見ていなかったが、いくつか奇っ怪な言葉が耳に飛び込んできて、思わずテレビに顔を向けた。

『午前11時頃、○○ビルの1階の壁に突然半径2メートル程の穴が開いたとの通報がありました。しかし、現在穴はなくなっている模様。目撃者の発言によると、穴を開けた者もおらず、勝手に穴が開き、1分後に穴は消滅したとのことです。現時点では詳細は分かっておらず、今も調査中です』

 どういうニュースなのだ。勝手に穴が開くのか?物理的に有り得ることなのだろうか。
 気になるが、それより、今日の夜が待ち遠しい。メモに書きまとめた歌を歌った順番通りに歌おう。
 西田 悠太はメモを握りしめ、大切に保管し、夜を待った。

5/22/2023, 4:24:25 PM