『春爛漫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
冬の寒さから目を覚ました
こもれびの下
色とりどりの花と蝶がおどって
薄紅色の花びらが舞い踊る
四季があるこの国で
1年のスタートが春なのは
ぴったりなものですね
春爛漫
春爛漫
もう春なのだと、実感させられる。
木漏れ日の中、桜を綺麗に彩った花が咲き乱れている。その花を見ると、いつも思うことがある。
娘が、桜を見るのが好きだったなと。
娘は、春爛漫の季節に、
桜を見ては、綺麗だと言った。
私の手を掴み、近場の桜並木を見に行った。
しかし、娘は小学校に上がってすぐに、小児がんを発症し、桜を見ることが出来なかった。
「今日は、桜、ゴホッ見に行かないのぉ、?」
「ごめんね、具合が安定してからにしよう、」
そう言って、娘と桜を見に行かない理由を、何度も濁した。そして春爛漫の季節が訪れ、娘は、静かに息を引き取った。
だから私は、春爛漫の季節になると、
娘を思い出す。
娘同様、がんだと診断された私も、
この苦しみを、苦痛を終わりにして。
娘と同じように。春爛漫の日に。
そっと、静かに。
死ねるのかな。
【機械仕掛けの社】
どうやら私が居る場所はそう呼ばれているらしい。古びた廃墟の神社には機械で出来た何かが居ると、機械で出来た何か……一体誰の事を言っているのか知らんが心当たりはあるな。
"春爛漫"
祖父母は町内活動に積極的な人達で、人手が要る清掃なんかには僕も駆り出された。
仲間内で楽しく喋りながらワイワイ作業する祖父母の側にはなんとなく居づらくて。
大きな竹箒を持って、少し離れた並木道の方に行って落ち葉や花びらなんかを集めるのを専ら自分の役目としていた。当時、自分の身長と同じくらいの箒は扱いに苦労したなぁ。
折しも季節は春爛漫、桜花舞い散る最盛期。
掃いても掃いても降り積もる花びらに辟易としていた時だった。
急にドサッと花びらが落ちてきて、視界が白く染まった。
ああいう時って本当に思考が止まるんだよな。
驚いて暫く固まってしまった。
ようやく硬直が解けて樹の後ろにまわり込むと、女の子が足を押さえて蹲っていた。
後から聞いた話だと、親と喧嘩して家を飛び出したものの、苛々がおさまらず、八つ当たりで思い切り樹を蹴ったらしい。罰が当たったんだ、と捻挫した足首を抱えて涙目になっていた。
顔を知っている大人が沢山集まっている所には行きたくない、どうせ嫌な噂話ばっかり広められる、と言うから、その場で簡単な手当をした。幸い清掃活動中だったから、水も布も添木になる棒も簡単に手に入ったからね。
ちゃんと医者に診てもらうように言って別れたけど、あの様子だと多分病院には行かないだろうなと薄々思っていた。
後日、意外と近くに住んでいたその子は、案の定、怪我をそのまま放置して足を腫らしていた。問答無用で病院に連れて行く、はずが物凄く抵抗されたので妥協して、通っていた学校の保健室で湿布を貼って貰った。保健医の先生が、また君か、と呆れた顔をしていたのが印象的だった。
まぁそれが貴女だったんだけどね。
確かにその時の僕より背は高かったけど、完全に病院嫌いの幼い子供ってイメージが強かったから、まさか幾つも上の先輩だとは思わなかったなぁ。
4
お題 春爛漫
「なぁ、桜見に行こうぜ!」
「いや」
家の近所の桜並木が丁度満開だった。ここらでは綺麗だと有名なので、彼女の家に遊びに行った時に意気揚々と誘ったら即答で断られた。しかも彼女ときたら、手に持ってる本から目も離さず答えやがる。だが俺も簡単に引く男ではない。
「もうさ、綺麗に咲いてんだぜ?すっげー!やっべー!もう春爛漫!って感じ!!」
「頭悪そうな感想」
「語彙が無くなるくらいすごいの!いいじゃん一緒に見に行こーぜ!なぁってばぁ〜」
「しつこい。あなたの言ってる桜の場所って有名なとこでしょ?人混み嫌なの。家からも出たくない」
彼女は大の人見知りでインドア派ではあったがここまでとは。
「じゃあさ、夜!夜に行こうぜ!」
「夜は酔っぱらいいるからやだ」
「んじゃそんな人等もいない時間!なぁ!お願い!俺お前とあそこの桜見たいんだよ〜!」
「……」
俺の案に納得したのか、はたまた今にも泣きながら床に寝転がって癇癪を起こしそうな俺にドン引きしたのか知らないが、彼女はとうとう折れて『しょうがないわね』と一緒に花見をしてくれる約束をしてくれた。……その時の目がまるで虫けらを見るような視線だったから後者の方なのかな、という考えは今はしまっておこうと思う。
花見の日。日曜日の朝の5時半ちょっと前。この時間のおかげでほぼ歩いてる人もいなかった。欠伸を噛み締めながらも彼女と道を歩く。夜明けまであと少しだろうか。春だから、と薄めのコートを着てきたが、この時間はまだ少し肌寒かった。それは彼女も同じだったらしく、小さく肩を震わせていた。
「まださみぃなぁ〜」
そう言いながら彼女の手を握ると、彼女は無言ではあったがそのまま手を繋いでくれた。
クールそうに見えて、人前でなければ意外と甘えたなのが可愛いんだよな、とひとり噛み締めて歩いていると、いつの間にか桜並木の所に着いていた。
満開の桜に、風に揺られてひらひらと舞う花弁が美しかった。
「……綺麗」
ぽそと独り言がした方へ視線を移すと、桜を見上げて見惚れている彼女がいた。連れてきた甲斐があったというものだ。
「綺麗だろ。さ、というわけで記念写真とでもいきましょうか。ほら、その桜の前に立って立って」
彼女の背中を軽く押しながら桜と前へと移動させる。
「え、私だけ?」
「そりゃ俺は綺麗なもんと綺麗もんのツーショットと撮りたいんだから。はい笑って笑って〜!目の前に最愛の彼氏がいるよ〜?その彼氏に向かってファンサして〜?」
そんなことを言いながら、スマホのレンズを彼女に向ける。
丁度、夜明けの薄明かりの空に彼女と桜が溶け込む。
「……ふふ、ばぁか」
シャッターを切る瞬間、柔らかな表情で笑う彼女。
今、『春爛漫』を何で例えるかと聞かれたら、きっと彼女の笑顔の事だと答えてしまうだろうな。
なんてことを彼女に伝えれば、彼女は目を一瞬見開いたあと俯いた。髪の間から少しだけのぞく耳を赤らめながら
「……ばぁか」
と、か細い声で言って俺を小さく小突くのだった。
"春爛漫"
風がふわりと 髪をなで
陽だまりの匂いがする
風がふわりと 頬をなで
花の香りがする
ひらりと落ちる桜の花びら
手に取ろうとした指先をすり抜けて
くるくると舞い落ちる
道ばたの菜の花は
陽を浴びて まぶしそうに揺れ
小さな虫たちが飛び交っている
遠くで響く子どもの笑い声
鳥のさえずりもやさしく混ざり
春の午後にとけていく
こんな日がずっと続けばいいな
ふと足を止めて見上げれば
満開の桜が 澄んだ青空に咲いていた
#28
2025/3/27
こんばんは、ほあです。
ここではお久しぶりでしょうか。しばらく書いていませんでしたね。
つづみが書いたのは私が言ったからです。次は誰書かせましょうか。残り2人だけですけどね。
でも、また人格を増やす案は出ています。というのも、私たちの中には治療班や現実に出る人達が決まっていないので。
僕は体がかなり弱くてですね、最近だと心臓や肺も弱くなりまして。
元から足首や骨盤など悪かったんですが、さらに悪くなってるので治療班が何人か欲しいのです。
医学を勉強させたらいけると思うので。
私は勉強には向いていませんし、むつきは嫌がりますし、うらんは飽きるでしょうし。
つづみは確実にこういう分野は苦手、1人は幼いのでさせる訳にはいきませんし、もう1人はさせたら危なさそうなので。
そうなると真面目な人を厳選し医学を勉強させて役割を当てた方がいいと思うので。
まぁそこは管理組での会議の結果にはなりますけどね。
私も元々病弱なのであまり言えませんし、今も心不全は治療中なのでなんとも言えませんが、僕もかなり病弱です。
だらけすぎてるからだと思いますけどね。
骨も弱い、肺も弱い、心臓も弱ければ骨盤も弱いと終わりのコンボですからね。
注射をしようとしても嫌がるんです。最悪自殺でも何でもしますからねあの人。
なので今は錠剤で何とかしてますが、もう難しいレベルまで来てるので。
→花見カウントダウン
日の落ちる時間が遅くなっていて、夕日の色が濃ゆく烈しく部屋に差し込むようになって、そういえば夕方が長くなったよなと窓から顔をのぞかせると、ほんのり冷たい空気の中に春の匂い。
隣の桜がチラホラ咲いていた。
来週末、アイツを観ながら酒を飲もう。
急に気持ちが浮かれてきた。
テーマ; 春爛漫
「春爛漫」
春爛漫ってなんだか寂しくなる言葉だね。私はこの言葉を見た時別れを感じる。
親友でも、彼氏でも、ただのクラスメイトも、別れの時が来てお互い泣いて、でもにこやかに桜の元、春の木漏れ日の中で手をふって別れていく。また合うのかも分からないまま。そんな情景が思い浮かぶ。
私も最近別れがあって、思い出すとやはり、春爛漫と言う言葉が似合う。
本当は大好きな言葉だったから物語を書こうと思ったけど自分の別れ達ばかり思いついて結局書けなかったや。
これも春爛漫かな。
雪が溶けたら何になると思いますか?
水とか?
いいえ、春が来ます。
春夏秋冬限らず、
桜のような笑顔で
太陽のように辺りを照らす
そんな君が好き_
春爛漫。
夏真っ盛り。
秋深まる。
冬·····冬は?
冬はなんて言うんだろう?
誰か冬のこういう表現、知ってますか?
END
「春爛漫」
『春爛漫』
春爛漫の季節。あちこちで桜が咲き誇るだろう。歩くたびに桜の花びらが私たちを祝福するかのように舞い散る。木から舞い落ちてくる桜は、七色の光を放ちながら私たちのもとへやってくる。
春爛漫
春になって花が咲く
僕は見ることも叶わないのに
梅が咲いて暖かくなる
僕は冷たい日々のまま
新たに終わりを迎えて新しい日々を皆、待っている
僕は結局変われないのに
新しい日々に対してワクワクする
僕は怖いのに
入学式では、歓迎するように桜咲く
僕は歓迎される土俵にも立っていないのに
誰かの楽しみは誰かの苦しみである
光に満ちた新たな季節春なのに、
僕は結局暗くてジメジメしたまま春が来るのを待ってる
ばあちゃん家の縁側
庭には、梅に木蓮…それと桜が植えてある。
休みの日には時間があると
この縁側に吸い寄せられるように
近所のばあちゃん家に来てしまう。
ポカポカとした陽気が
心地よくて、ぶらぶらとつま先に
引っかけていた
ばあちゃんのつっかけが片方
ポテっと、落っこちた。
それも、お構いなしに
ゴロゴロとしていたら
『まったく、だらしない孫だね』
と、鼻で笑うように
ばあちゃんが奥の部屋から出て来た。
咥え煙草のばあちゃんは
お盆を、ぶっきらぼうに縁側に置くと
ふーっと煙を吐いた。
どっちが、だらしないんだよ…
なんて思いつつ
お盆に目をやると煎餅やら団子に
チョコレート…それにいつもの渋いお茶が
雑多に盛られていた。
『いいの!春うらら!
私は春を満喫してるんだから』
そう言いながら、どれにしようかなと
チョコレートを口に放り込む。
ばあちゃんは、ニヤっと笑って
『春は、木の芽時言うて
体調悪うしたり、おかしな奴もおるけどな』
…ばあちゃんは、いつもちょっとだけ
意地悪だ。
『そんなら、煙草辞めなよ。』
お茶を啜りながら、尚もぷかぷかと
煙草を燻らせるばーちゃんは
庭を眺めながら、笑った。
『今更、やめてもお迎えの方が早いわ』
私は、そうですか…と
期待通りのばあちゃんの返事を
聞きながら、次は煎餅に手を伸ばす。
煎餅を、バリバリと頬張りながら
庭を眺めるばあちゃんの横顔を見つめた。
そろそろ80を迎えるにしては
背筋は真っ直ぐに伸びて
いつも、どこか凛としている。
じいちゃんは、早くに亡くなって
家も庭も守りながら私の父や叔父さんたちも
女でひとつで、育ててきたのだから
そういうものなのだろうか。
『そんなに見ても、何も付いてないやろ?
あと、小遣いもやらんで』
ばあちゃんは、いつも私を小さく扱う。
『ご心配なく、ちゃんと稼いでますから!』
ふん!っと寝転んだ体勢から勢いよく
座り直す。
ばあちゃんは、私の方を向いて
『それなら、安心やなぁ』と
ニカっと笑って
私の頭を2、3度ポンポンと叩いた。
ふと見ると、桜の花びらが
ばあちゃんの髪に引っ付いている。
一瞬迷ったけど、なんだかそのままで
良いような気がして言わなかった。
この時間が、どれほど大切なのか
きっと2人して分かっているのだ。
だから、来年の春もばあちゃんと
この縁側で過ごすのだ。
春だけじゃなく、夏も秋も…
口は悪いし、煙草の煙は嫌だけど。
この縁側は…もうずっと
ばあちゃんの匂いがするから。
【お題:春爛漫】
蒸し暑い夏と間違える春は、
暴力的な愛で歓迎してくれる。
まさに、「天真爛漫」だ。
――サメの言うことにゃ、
春爛漫
身体がやけにだるく感じる。
しかし、更に追い込んで体や頭を鍛えていかないと、衰えるばかりだ!
頑張ろう。
花の美しさに浸る
青空と透明な風にとける
何者でもなくなる
春爛漫
サ
ク
ラ
咲
く
晴
れ
の
日
に
追
い
風
先
ゆ
く
道
は
桜
色
に
包
ま
れ
|
春
爛
漫
|
───────────
3月28日 0時37分 追記
───────────
卒業式を迎え
住み慣れた学生生活も、もう終わり
この春から新社員になる
着なれない白いブラウスに、黒のスーツ
踵の高いヒールを履いて
とうとう新社会人を迎えた
仕事が順調に進む中
社会人の仲間となった今でも
学生の頃の呆気なさは、まだ抜けない
毎日毎日、懸命に働いて
かれこれ、もう5年目
順調に成果を出せるようになり
今では任される仕事も増えてきた
社内でいい人とも巡り会えた
人生、薔薇色~!
とまでは行かないが
仕事も恋も順調に進みすぎて
景色を眺める余裕もないくらい
忙しい日々を過ごしていた
そんな最中での春
まだ3月と寒空が続く中
桜が咲き出した
チラホラと見える桜の木々
早い場所では
桜が満開に咲いている所も見えた
「綺麗~ もう春なんだね~
忙しさで、見てる余裕もなかったよ」
久々に上を向いて歩く晴れた通勤路
鳥の囀ずりも、何だか懐かしい
「よ!また一緒に行こうか?」
待ち合わせていた彼氏
付き合い始めたとはいえ、まだまだ駆け出し
恥ずかしさのあまり、まだ手を繋いだこともない
「ここ、穴場なんだ 寄ってかないか?」
彼氏のいうがままに、ある通りにたどり着く
目の前に広がる光景
そこには、見渡す限りの桜並木が満開に咲いていた
「すごい!どうやって見つけたの?」
「ふふーん!秘密だよ~」
鼻では笑っていたが
彼は仕事終わりに一人で出掛けては
早咲きの桜並木を毎日のように探し回っていたのだ
そんなことはつい知らず
突然の突風が二人の背を押した
「「わっ!!」」
倒れそうになりながら堪えた先には
間近に迫る二人の顔
「ご、ごめんなさい!
倒れるかと思って、良かった……」
心配する私をよそに
彼は目を見開いて前を指差した
「それより、見て!桜が、スゴいことに……」
「え……っ」
彼の指差す先には、見渡す限りの桜吹雪が──
空も、街路樹も、道も、全てが
桜一色に染まっていく
それはそれは
とても幻想的な光景が繰り広げられていた
何年ぶりに見ただろう
桜の花びらが落ちて行く間
私は、我を失い欠けて
ボーッと蜃気楼を見ていた
「仕事に追われ、早5年
仕事を任されることは増えてきたけど
まだ幼さの残るあどけなさ
私、このままのでいいのだろうか──」
我に返った私は、桜の花言葉を思い出した
[純潔・優美な女性・精神の美・あなたに微笑む]
そのどれもが優雅な女性像──
今のままでは、彼氏には不釣り合い……
もう立派な大人
立派な大人には、それなりの見振りを!
「雅也……」
「な、何だよ 思い詰めたように
急に名前なんかで呼んで……」
「私、今日から優雅な女性を目指す!
ううん、今から優雅な女性になる!
だから……ね」
と、彼氏にそっと微笑んだ
「今日は、本当にありがとう
とても嬉しいよ
来年も、その先の来年も、ずっと……
またここで一緒に見ようね」
「七海……」
見つめ合い、そっと手に手を取り合う二人
会社へと続く通勤路を歩む先には
しばらく桜吹雪で出来たピンクの絨毯が広がっていた
いつまでも末長く続きますように……
「春って綺麗だよね!桜見れるしー!お団子食べれるの!」
そう彼女は、子供のようにはしゃいでいた。
団子はいつでも食べれるし、桜はどの花よりもすぐに枯れてしまう。淡い期待をしたところで悲しくなるのを知っている。
「嬉しくないの?」彼女は私の顔をみて察したそうだ。
「桜はどの花よりもすぐに枯れてしまうし、団子はいつでも食べれるよ。造花の桜を見ながらでも楽しいかもしれない」私は、はっとした。こんなことを彼女に言うのは彼女を否定しているようになってしまった。少し、感情を抑えるべきだった。
「違うよ。桜がどの花よりもすぐに枯れてしまうのは知ってる。だからこそ見るんだよ。桜って見たい時に見れないの。見ようとしたら地面に落ちた汚い桜しか見れないの。それもまたいいけど。上を見ながら景色を楽しみたいの。明るい空と一緒に。上にある桜を見ながら上を向きながらお団子を食べるの。こんな風情を感じる状況他にある?笑」
あー、彼女は私の人生そのものを変えてくれる人だ。桜、一緒に見ようね。
彼女の写真を手に持って、彼女が好きだった三色団子を2個買った。君が生きてくれればと桜が散った時と同じ感情を味わった。
初めて出会った日
貴女の瞳は春爛漫と輝いていて、爽やかな風のようだった。
艶やかな髪もすらっとした手足も、私にとっては全てが神様のようで、どうやっても届かない存在なのだと知らしめてくれる。
けれど、私がプレゼントしたリップやマスカラをつけている時だけ、私と同じ俗物に成る。
ずっと、私だけの神様だった。
そうある筈だった。
けれど、貴女は私の事をただのチビな肉塊だと思っていて
私のことは何にも知らなかった。
興味がなかったのだ。
男にばかり縋って性を武器にして生きていく様は惨めで、私なんかよりも底辺のように思えた。
貴女は私の傍にいる時だけ輝いているのだ。
私のような俗物が傍にいるから、輝いて見えるのだ。
引き立て役でも構わなかった。
貴女が美しく輝けるのなら。
それなのに何故、貴女はあんな男の為に死んでしまったのだろう。
私は、貴女の墓石に桜の花弁を飾ろうと思う。
こぼれ落ちるほどたくさん。
それから、一緒にお花見をしよう。
桜に囲まれる貴女は、きっと桜より綺麗だから。
私の本当の神様