『星が溢れる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
金木犀は踏まぬよう
灰色の 路地で
硝子細工に 細かな亀裂
蝋燭の火は 風の吐息に
ゆうゆら 揺れて
この素晴らき夜 忘るる夢に舟を漕ぐ
お題【星が溢れる】
タイトル【空のワイングラス】
「死んだら人は星になるなんていうけれど、厳密には違うのよ。確かに人は星になるわ。でもね、それは現世にほっておけないとか忘れられない相手がいる人だけなの。見守り続けるために、星になるのよ。それでね、星になった人は一度だけ他人の願いを叶えられるの。自分の存在を燃や尽くして消えるのと引き換えにね」
「だから、きっと私、死んだら星になるわ」
カーテンを締め忘れた窓から覗く夜空は、とても澄んでいて、まるで星が溢れるようだった。いつかの冬の寒い日に、夜の公園でふたりで泣きながら見上げた空と、その時の君の言葉をふと思い出した。
夜空を見る。
目に飛び込んできた美しい星屑がいつか落ちてくるんじゃないか、自分のものになるのではないかと、いつもワクワクしていた。
あれから数十年。私は天文学者となり、すっかり夢のない大人になってしまった。
手に入れたかった星空は背伸びしても届かない。
落ちてくる星は小さすぎて燃え尽きてしまうし、その他の溢れる星は私が手に入れるには大きすぎる。
そう、思っていたのだが。
私が新しい星を発見すると、世界は一気に輝きを増した。
その星は、生命がいる可能性が極めて高いとか。
私は二つの意味で、新たな星を発見した。
テーマ『星が溢れる』
7歳の頃、君と一緒に見たプラネタリウム。
北極星に目を奪われる君がかわいくて、ずっと眺めてた。
……なんて、恥ずかしくて言えないよ。
13歳の頃、キャンプで星空を見上げた夜。
別の班だったけど、君がこっそり来てくれたよね。
満天の星空に、夏の大三角形が眩しかった。
君の指先の熱を、今も覚えているよ。
16歳。高校で進路が分かれた僕ら。
18歳。まさか、同じ大学を選んでるなんて思わなかった。
また君と会えたのは、素直に嬉しかった。
だけど今、君の隣にいるのは僕じゃない。
六等星になっても、星はずっと輝き続けるんだったよね。
僕は僕の空で、輝いてみることにするよ。
大人になって、一人でキャンプへ行った。
ふと、子供の頃の記憶が蘇る。
君の横顔と、溢れるくらいに瞬く星々のきらめき。
テントの中でコーヒーを飲みながら、ふぅ、と白い息を吐いた。
オリオン座に、北斗七星。君が夢中になった北極星。
流れ星を見つけるたび、遠くへ行ってしまった君を思い出す。
今が過去になったとしても、僕は君を忘れないよ。
子供の頃の姿で微笑む君が、北極星を指さしてはしゃいでいるのが見えた。
#58【星が溢れる夜に】
今夜も、
天の川から溢れた星々が地上に流れ落ちている。
この頃の戦いで今日もたくさんの命が亡くなっているのだろう。
死んだ人の一部は流れ星になり、
大切な人の元に帰るという
地上に強く思いを残している程、
天の川から溢れて流れ落ちるそうだ
今夜こそ
あの人の星は流れ落ちてくるだろうか?
私はずっと待っている
星が溢れる夜を
せめてこの手で
星になったあの人を
受け止めることが出来たらと__
お題 星が溢れる
「結婚してください」
片膝をついて結婚指輪の収まる箱を彼女に差し出す。
絵に描いたようなプロポーズ、こんな大袈裟にするなんてと昔の自分は笑ったことがあるが。なんにせよそれほど本気になってしまったのだ。この人とずっと一緒に生きていたいことを。
沈黙が長くて、怖くて。おそるおそる顔を上げる。
彼女の目は大きく見開かれていて、その瞳の中にひとつ星が輝いていた。
その星の正体に気づいた時、星が溢れおちる。
星が溢れる 感謝の気持ちに
星が溢れる 清らかな祈りに
星が溢れる 夜の匂いに
星が溢れる 新たな生命に
どこに行こうとここに戻れる
大丈夫だよとあなたは微笑む
優しさに照れて僕はおどける
ほら、今その瞳から星が溢れる
垂直にキャンパスを貫く 一本の白い管
それは美しい乳の道
流れるものが忠誠か 愛情なのかは知らずとも
彼女が思い続けるなら
いつしか静止画の白い星も 溢れ出すのかもしれない
ー「牛乳を注ぐ女」を鑑賞してー
2023/3/16
ザラザラザラ
部屋の扉を開けると何かが瓦解して崩れ落ちる音がした。足には多量な小粒の感触がした。しかし部屋には何の異変も無い。だがそれも夜になると一変する。今は見えていない粒一つ一つが発光するのだ。
始めの頃は一粒二粒程度で蛍のようだった。次第に粒は増えプラネタリウムのように室内が星空に、そして天の川のように犇めいていき今では夜照明いらずである。眩しすぎて眠れやしない。今聞いた音から察するにもう足の踏み場などありはしないだろう。
この星が溢れる現象の発端は硝子コップだった。偶々行き会った青空市場で見つけたコップ。一目で気に入り購入した。その日の夜、コップの中に一粒の星が転がっていた。
#星が溢れる
星が溢れる中を時速200キロを越えて、その列車は進んで行く。
僕がこの列車に乗車したのは人生で2回目
一度目は20年前、親友と乗り、目的地に辿り着くことなく列車を降りた。
二度目は今この時、
妻と子供を連れて海水浴に海を訪れた時
溺れた子供を助け、僕は溺れ死んだ
それから今、この列車に乗った。
一度目と違い今回は目的地にたどり着いた。
「久しぶり」
「うん、久しぶり、ずいぶん背が伸びたようだね」「そりゃあ20年も経ったからね、結婚して子供ができたよ」
「そうかおめでとう」
「話したかったことがたくさんあるんだ」
「そうかゆっくり聞くよジョバンニ」
僕は親友に連れられその列車を降りた。
《星が溢れる》
幼い頃に見た夜空が忘れられない。
市内に住んでいれば、夜などは街の明かりで
星の輝きはかき消されてしまうし
夜、外出したところで空を見上げることもない。
専ら星を見るといえば、プラネタリウムを鑑賞する
くらいで、星座を教えてもらっても
ピンとこない。
だいだい、「あの星とあの星をつなぐとね?ほら!」と
教えてもらっても
指さした方角の「あれ」が「どれ」なのかさっばり
わからないから、興味の沸きようもない。
夏や冬になると
母の実家に帰省することが多かった。
前方には海、後方には山が連なる田舎町。
夏でも窓を開けていれば涼しい風が入るので
エアコンはなく、蚊取り線香と蚊帳がある部屋に
寝る。
年頃になれば従兄弟が集まり、たまにしか帰省しない
私たちと会えない時間を埋めるように話込む。
夜更かししている、といったいつもとは違う時間の使い方に大人っぽさを感じながら
窓の外を見る。
真っ暗。波の音だけがたぷたぷと聞こえてくる。
明かりといえば
たまに走り去る車のヘッドライト程度。
空を見上げる。
びっしりの星。星と星をつなげて形を作るなんて
何万通りもできそうなほどの星の数。
蠍座?蟹座?
夏の大三角形?
どこにでもできそう。
何時まで起きていたのか、なんてこともわからないし
従兄弟たちとどんな話をしたのかなんて
覚えていない。
覚えているのは
あの家で、2階の窓から眺めた
宝箱から溢れ出たような数の星。
今は、住む人もいなくなってしまったから
その家に入ることは叶わないのだけれど
願わくばもう一度、あの窓から
深夜に空を仰ぎたいと思っている。
流星群と呼ばれるものは、人々の願いの結晶である。
願いの器から溢れたのもが流れ星となるのだ。
溢れた星が流れ星となり、人々の願いを聞き届ける。
人の願いは、きりがないものだ。
《星が溢れる》
きらきらと。
自分の手から溢れていってしまいそうだ。
大切なものが、大切にしていたものが。
手のひらから、するすると。
星のように瞬いていたのに。
輝いて、彩りを与えてくれたのに。
どうしてなんだろう。
溢れる、溢れる。
どうか行かないで。
僕を置いて、遠い所へ行かないで。
僕が見つけた輝きを、奪っていかないで。
大森公園
風が強くて
潮風の匂いがした
海の底から
透明色に輝いている
波が穏やかで
とても,良い天気に恵まれているように見えた
周りは,工場だらけの海でも大田区の風景が見える
星が溢れる
この世の穢れを知らぬような、美しい君の瞳から星が溢れる。
僕は止めどなく流れおちる星─君の涙─を、ただ眺めていることしか出来なかった。
僕たちは、その人を星の先生と、呼んでいました。
長野の中学の理科の先生で、専門は、天文学だと言ってました。
僕の行きつけの居酒屋に初めて来た日、50円足りなくて、家に取りに帰り、その時、店の大将に気に入られたみたいで、居酒屋のアイドルみたいになってました。
店の常連たちは、先生をいろんな所に連れていきました。例えば祇園とかの京都の有名どころです。
一年くらい京都で、研修すると言ってました。もちろん天文学ですの。
僕は、当時山の中の蕎麦屋で、働いていたのですが夏休みに長野から、奥さん呼んで来てくれました。
奥さんは、明るく気さくな先生に比べて、不安げで、心細そうでした。が、僕には、笑顔見せてくれてました。
やがて、一年が過ぎ、焼肉屋で送別会を開きました。先生は、自宅の天文台で、撮ったと言う、アンドロメダ青雲の写真を全員にプレゼントしました。
僕は、先生に一億年後に、アンドロメダ出会いましょうと、言いました。その言葉は、先生をいたく刺激したみたいで、良いねぇ、と、言ってくれました。
それは、春のことで、その夏僕たちは、先生に長野に招待されました。
森の中で過ごしたり、美味しいそば食べたり、先生自慢の自宅の天文台見せて貰ったり、楽しい3日間を満足しました。
もう何十年も前のことですけど、先生の奥さん長野に行った時、いはったかなと?
存在が、薄かったです。その代わり、先生のお父さんのかしこまった顔の雰囲気をいたく覚えています。
お互い楽しい時間を過ごし別れた後、何年かしてから、居酒屋の外で、先生は泣いてたそうです。
居酒屋の女将さんが先生を招き入れ事情を聞いたところ、奥さんと離婚したそうで、まだ幸せだった、京都での生活を懐かしみ訪ねて来たら、懐かしさが、込み上げて涙を流したそうです。
僕は、先生には、会えなかったのですが、みんなのこと心配してたそうです。
それからの決して幸せとは、言えなかった僕の人生、その後音沙汰の無い先生の人生、目には見えない重力とかの影響ってきっとあるんだろうなと、思っています。
もしかしたら、抗うことの出来ない力きもしれないけど、精一杯、生きていきます。僕は、もっと幸せになりたいです。
そうすれば、一億年後に、先生にきっと会えるだろうと確信しています。
満天の星を一度だけ見たことがある。
田舎町を走る途中、運転に疲れて自販機のある小さな駐車場に車を停めて、空を見上げた。
星座の区別をつけようもない、溢れるばかりの星空だった。
都会の空は明るく、オリオン座やカシオペアがすぐに見つかる簡単な夜空ばかり見ていたから、思わず「どうして」と呟いた。
こんなにも溢れる星を、いつもとり零しているんだ、と。
都会にはいっとう明るい星しか映らない。その背景にある宇宙はひっそりと姿を消している。ぼんやりとそんなことを想った。
あの星空を思い返しながら、見上げればやはり空には幾つかの星がか細く光るばかり。星座をなぞるのがあまりに簡単で、すぐに窓から離れた。
お題 星が溢れる -『夜空』
星が溢れる空を見た記憶がない
ビルとビルの隙間に1つ2つ見える星を見ながら
毎晩、家路に着く…
記憶を辿ってみる
幼い頃、誰かと行ったあの場所…
山口で見上げた空を思い出した
星が溢れるという表現に相応しい。
空を見上げてギョッと声をあげそうな
恐ろしさすら感じた。
あんなに満天の星の下に生きてるなんて
それまでは知る術もなかったから…
テーマ「星が溢れる」
『夢見るスペースデブリ』
この“芸能界(セカイ)”は“星(スター)達”で溢れている。
大舞台でスポットライトを一身に浴びて感情豊かな演技を繰り広げる役者。笑いの神様に少しでも近付こうと今日も今日とて練り上げてきたネタをお客さんの前で披露するお笑い芸人。真っ直ぐに伸びたランウェイを一瞬にして自分のものにしてしまう美しいモデル。歌とダンスとルックスで人々を虜にするアイドル。
持ち前の能力と積み重ねてきた経験や努力で売れれば売れるほど彼らの魅力は輝きを増していき、やがて人々から“星(スター)”だと称賛されるほどに眩しい存在となっていく。
だが、時にその星(スター)達のあまりの眩しさに嫉妬心や嫌悪感を抱いてしまう者もいる…それはまさしく“今の自分のように”。
「3360番、山村あかり様。この度はドラマ“乙女の涙”のメインヒロインオーディションにご参加いただきありがとうございました。厳正なる審査の結果───。」
“不合格”。その三文字を見た瞬間、両手で握っていたオーディション結果の用紙にくしゃりと酷いしわを作るほど手に力を込めてしまう。
何回目の不合格だろうか。受けたオーディションが100を越えた辺りから数えなくなったから正確な数はもう分からないし分かりたくはない。何故なら今回のオーディションも含めて私が希望した役で合格を貰ったことは1度もない。
自分を追い込むほどの演技練習は毎日欠かさなかった。美容にだって手を抜いてなかったし、審査員や他のライバル達への気遣いだって問題はなかった。
だが、今回のオーディションには既に眩い光を放つ“星(スター)”がいた。世間で知らない人はいない大人気女優のKさんだ。そのオーラと演技力は圧倒的なもので、子役時代から落第続きの私の演技なんてKさんの前ではゴミに等しいとも言えるほど。
例えるならKさんの演技は誰もが知る月や太陽といった偉大な惑星のように輝いていて、反対に私の演技は果てしない宇宙を漂う人工物のスペースデブリ(宇宙ゴミ)のようにちっぽけなものだった。
きっと今回のドラマの主演はKさんになるんだろう。審査員の人達もKさんの演技に惚れ込んでいたのをこの目でしっかり見ていたから。
…やっぱり私は女優に向いていないのだろうか。あんなオーラを放つことは私には一生無理だ。女優の夢なんて諦めてしまおうか。そんなネガティブ思考な言葉が口から溢れそうになる。
だが、ここはぐっと堪えた。いやいや、まだこれからだ。それに先程例えたスペースデブリは成功する可能性を秘めた比喩表現だ。スペースデブリはやがて願いを叶えると噂の流れ星になれるのだから。
私は大きく深呼吸をすると両手に持っていたオーディション結果の用紙を丁寧に畳んで、ズボンのポケットに仕舞い込んだ。そして、次に受けるオーディションを探すのと演技レッスンのコーチに更なる指導を申し込むため、反対のポケットの中からスマホを取り出すのだった。
星が溢れる
夢を語ってる君が好きだ
ずっと やりたい事がある彼女は
キラキラと 瞳を輝かせながら
いつも僕に 話してくれる
キラキラし過ぎて
瞳から星が 溢れるんじゃ ないかと
思うくらいに
思わず僕の
口元が緩んでしまった
そんな僕に
ぷくーっと 膨れる彼女
なんて可愛いんだろう
そしてまた
僕の口元は 緩るむのだった