NoName

Open App

2023/3/16
ザラザラザラ
部屋の扉を開けると何かが瓦解して崩れ落ちる音がした。足には多量な小粒の感触がした。しかし部屋には何の異変も無い。だがそれも夜になると一変する。今は見えていない粒一つ一つが発光するのだ。
始めの頃は一粒二粒程度で蛍のようだった。次第に粒は増えプラネタリウムのように室内が星空に、そして天の川のように犇めいていき今では夜照明いらずである。眩しすぎて眠れやしない。今聞いた音から察するにもう足の踏み場などありはしないだろう。
この星が溢れる現象の発端は硝子コップだった。偶々行き会った青空市場で見つけたコップ。一目で気に入り購入した。その日の夜、コップの中に一粒の星が転がっていた。

3/16/2023, 7:49:04 AM