『明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
もしも明日、世界が終わるのなら、
私は何も願わない。
どうせ終わる世界なら何を願っても次の日は来ない。
その一日で何かが変わる訳でもない。
次の日が来なければ何の意味も無い。
次、が無いのだから。
なら、何も願わずにいつも通りの日常を。
何も変わらない日常を。
それが一番、どんなことよりも、
幸せなことかもしれないから。
お題〚明日世界がなくなるとしたら、何を願おう〛
明日世界がなくなるとしたら、何を願う
この問いは世界にとって意味のないことだ
大多数は世界存続を願うだろう
誰に?
もちろん神様に
だけど同時に神様が居ないことを知る
願うだけでは意味がないと、その時になってようやく気付いてしまう
願いを聞いてもらえる機会はたくさんあったのに、願いを叶える努力を怠ったことを悔いる
悔いても、次はない
そう悟ったところで目が覚めた
いつもの天井、いつもの景色
そんな普遍的なものが愛おしくなった
そう思った時に願いは決まった
自分の願いは……
自カプ🌟🎈
「明日世界がなくなるとしたら、どうする?」
昼休みの屋上で少し冷たい風に吹かれながら、真面目に司は問いかけた。これは映画に影響でもされたかな、と思いつつ僕はその問いについて考える。
「そうだね、僕は盛大なショーがしたいな。
最期はみんな笑顔で大団円だ」
そうか、と一言。類が明るい口調で答えても司の表情は固いまま。いつになく真剣な顔で僕は彼の横顔にしばし見入ったあとまた大きなメロンパンにかじりついた。今日は疲れているみたいだし、爆発はやめておこうかな、練習も休みだから気晴らしにショッピングでも、とあれこれ考えているとやっと司が口を開いた。
「オレは類と2人きりのショーがしたいと思ってしまったんだ」
2人きりの、ショー。
「人々を笑顔にしてこそのスター、なのだが。
類と、オレだけのショーをしながら世界の終わりを見届けたいと思ってしまったんだ」
ずっと手元の弁当を見詰めていた司の目線が、いつの間にか類を捕らえて逃がさない。何かを決心したような、そんな瞳だった。
「そして、朽ちゆく世界で類とキスをしたいと、思った」
「へえ、司くんが僕とキス」
なかなか面白いシチュエーションだ、と想像力を働かせたところで疑問が生まれる。僕で、いいんだ
「そこまで考えて、気が付いたんだ。
オレは類に恋をしているらしい」
司の整えられた指先が僕の頬に触れる。割れ物を扱うよりも優しく、その瞳とは対照的に少し怯えたような怖がっているような触れ方に、また彼が愛おしいと感じる。
「なあ、類」
「オレと2人きりのショーをして欲しい」
強い強い光に焦がされてしまわないように。ゆっくりと目を合わせた。司の瞳は眩く輝いて、揺れている。小さな子供のように大きく明るいその瞳を安心させたくて、司がしてくれたように頬を撫でる。
「司くんが輝くなら、僕にできることはなんでもするさ」
目を瞑り、ゆっくりと口付けた。もし明日世界がなくなるのなら、僕たちは人目も気にせず路上てラブロマンスショーをしているだろう。自分達が気持ちよくなる為だけのショーを。
明日には
終わる世界だ
それならば
君は"私"を
私は"君"を
――明日世界がなくなるとしたら
今まで恥ずかしくて言えなかったけど、友達に『いつもありがとう』って言いたい。でも嘘をついてしまったり、友達に対して態度が悪かったり、暴言を吐いてしまったり、他にもたくさん酷いことをしてしまった。それでも友達はいつも優しくて、面白くかった。私も友達のような優しい人になりたかったと願いながら最後の日を過ごすと思う。
すみません文章書くの苦手なんです
「お前さ、将来の夢なに?」
「んー……天文学者、かなぁ」
「へェ〜っ、いいねぇ!夢がある」
「まぁぼく数字苦手なんだけど」
「言うだけタダだぜ」
「まぁね。ちなみにきみの夢は?」
「おれ?う〜ん……スーパーヒーローとか?」
「すごい夢だね」
「おう。スーパーパワーとかで世界を守るんだよ」
「いいじゃん」
「だろ。まぁおれドジだから、ヘタに力持った方が怖いんだけどよ」
「気を付けなきゃね」
「だな」
今更なにを願ったところで無駄だと分かっているからこそ、
ぼくらはこうしてくだらない夢を語り合うんだ。
ああ、今まさに落ちて来ているというあの大きな星が、憎い。
――――――――――――――――――――—
明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。
『明日世界が終わるとしたら、何を願おう。』
浮かび上がってしまった意識がそんな自問を引っかけてきた。
瞼を開けないまま、彼は頭の中でゆっくりとその問いを転がす。古い空調の唸りが壁を震わせ、ひんやりした風が肌を撫でる。川底に沈む石となって、頭上を流れる水に身を任せる。
天災か、突然の戦か。あるいは、今課されている仕事が全部終わって、用済みになって――もしくは、黴びた洋墨の臭いに総身を蝕まれて、この生が周囲の環境もろとも終わりを告げるとしたら。
すべてが消え失せてしまうのであれば、何を願っても詮ないことではないか。そうやって思考を放棄したくなる一方で、いや待てよ、と踏みとどまりたい気持ちも確かに存在する。
自分たち『文豪』は、量の多寡はあれど何らかの作物を世に残し、一度生を閉じた身だ。言い換えれば、自身の世界が終わるまでに、筆一本で小さな世界を構築し、それを後世に伝わるかたちで残した存在だ。
ひとたび原稿用紙の山を築けば、書いた本人さえ存在を忘れてしまっていても、後世の誰かが掘り起こしてきたりもする。作者不詳の冠を被せられても、千年を越えて語り継がれてきた物語だってある。文壇を追われながらもペンを手放さなかった者の草稿ノートだって、どこかの文学館の倉庫でひっそり息づいているという。
残ってしまうものなのだ。すべてが消え失せない限りは。
そこまで考えて、彼はひときわ深く息をついた。水面へ上っていく泡を見送りながら、背中と意識をシーツに際限なく沈めていく。空調の唸りが遠ざかる。
たとえ原稿用紙一枚でも、それが誰の目に触れることがなくても、一刹那でも永く残り続けてほしい。
それさえはっきりすればもういつでも消えられるけれど、差し当たっては眩い朝日のもとに目覚められるよう願いながら、彼はふたたび眠りに落ちる。
『明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。』 130
少し気になるのですが、この情報はやはり当日に知らされるのでしょうか?
実際問題みんながみんな明日世界がなくなることを確信したら、物凄くパニックになると思うんですよね
何をやったところで明日は来ないんです
それを確信したうえで、どれだけの人間が倫理観や理性を維持していられるのでしょう?
電話回線は混雑していてまともに使えないでしょう
外に出れば何時おかしな人間に襲われるとも限りません
家に居たとしても一人暮らしですから安全とは言い難いですね
警察に助けを求めたところで誰も働いてなんていないでしょう
何だか明日世界がなくなることよりも、それを確信した人間の方が怖い気がします(The 偏見)
……自分のことは全力で棚に上げますがね!
というか現実的に考えてこんなシチュエーションありえないですよね!
順当に考えれば『明日自分が死んでしまうとしたら、何を願おう』……とかですかね?
死んでしまえば自分にとっての世界がなくなることは確かでしょうから
じゃあどうして死ぬんでしょう?
……明日自殺をする?
それにしては受動的すぎますし、自殺するのに願いもクソもないでしょう
……明日誰かに殺されることや病死することが分かっている?
それなら願い事なんて聞くまでもなく一つしかないでしょう
つまり…………どゆこと??(阿呆)
何かよく分からないので自分なら取り敢えずこう願います
「明日世界がなくなりませんようにっ!」
……なんてね!(思考停止)
「明日世界がなくなるとしたら、何を願おう」
明日世界が終わるとしたら好きな人に告白する。このまま自分の気持ちも伝えられずに終わるの嫌だから
「明日世界がなくなるとしたら、何を願おう」
付けっぱなしのテレビからそんな言葉が聞こえてきた。
明日世界がなくなるとしたら?
そんな俗っぽい質問に、考えるのはただあの子の事。
無理矢理引き裂かれた、今でも思ってるあの子が。
いつまでもしあわせでありますように。
ただ、それだけだ。
⸺ねえ明日さ。
青と黒の革鞄が小石とともに目線の下を駆け抜けていく。カツン、と小気味よい音は、やがて水音を連れてくる。水没した小石が拾われることはなく、専ら興味の対象は言葉の方であった。
「明日、世界が終わるとしたらさ、どうする?」
とりとめのない会話だ。小さな歩幅で進むには多少の時間を要し、されど新しい発見などそうありはしない毎日の通学路。そんな中での唯一の楽しみとも言える友との語らいには、深い意味は求められていない。要するに暇つぶしのその話題は、それでも頭を巡らせる価値はあったらしい。どこかから拾ってきたのだろう木の枝を、魔法でも編み出すかのようにくるりと回して少年は答えた。
「とりあえず、宿題は捨てる」
思っていたより現実的な答えであった。
確かに、明日の朝日を拝むことがないなら、課題を宿らせることもないだろう。なるほど、とひとしきり感心したところに、やはりというべきか横槍は入った。
「違うだろうよ! なんかもっとこう…楽しいこととかさ、これはやっとかないと、ってそういうさぁ…」
大仰な身振りを見せたプレゼンターは、しかし回答者の顔を見て頬を膨らませた。
笑いを奥歯で堪えながら、それでも口の端から漏れ出すものに気付いたのだろう。今度はじとりとした目を、突き出した唇にのせて言う。
「…んだよ」
「別に? 仕方ないから、世界滅亡まで寂しがり屋のお前と遊んでやるよ」
相手の片肩をペしりと木の枝で叩く様子は、なるほど様になっている。片目を眇めて話す様もどこか大人びていて、背に負われている革鞄も形無しだ。
「頼んでねえっつうの! ていうか、俺が、お前と遊んでやるんだよ」
体が素早くぐるりと回った。1回転した重心は前へ、広げられた腕は肩に。がしりと組み合った腕は、革鞄の中に詰め込まれた教材などより、よほど重いものだ。重くて、暖かいそれが絆足り得るのだろう。笑い声が重なって離れていく。
意図せずに同伴した道は目的地までの道中。離れていく暖かさを横目に感じながら、可愛らしい動物があしらわれた門扉をくぐる。
「こんにちは。縁と和、迎えに来ました」
身分証明書を掲げながら名前を出せば、確認する間もなく奥から軽い足音が響いてくる。
「みどりくん!」
「みどにい」
それぞれの呼称に歩幅に声音。双子とはいえど一人の人間として自我を持っている以上、細かい差異が生まれる。我先にと靴箱を目指す双子は、慣れた手つきで静止される。
⸺連絡帳と、家に帰って渡すプリントと、あとは…。教諭の言葉とともに、二対の肩掛けカバンが膨れていく。よし、の掛け声があがると、一目散に双子が突進を始める。左側を縁が取れば、少しむくれた様子で和が右の手を取る。
「せんせい、さようなら」
声を揃えれば出発の合図。門扉を逆にくぐり、道を進む。美翠の通う高校から家までの一本道に、双子の通う幼稚園があるため利便性が高い。たまには道を外して店にでも寄ってみるかと考えたとき、ふと思い浮かぶ、先程の光景。
「ねえ、縁、和」
思い思いに今日の出来事を話していた対の瞳が二つ、こちらを覗き込んだ。
明日、と発音しようとして、やめた。
「あそぼうか、家に帰ってから。お店に寄って、お菓子も買っていこう」
瞳が輝いた。光が眩しい。なんで、どうして、と寄せては返す質問に、美翠は空を見上げる。
「俺、欲張りだから。最後の一日じゃ足りないよ」
要領を得ない兄の発言になおも言及しようとする双子だったが、その言葉は空に消えた。骨ばって少し冷えた手が、ふわりと頭を撫ぜたから。本気で慈しむ心がなければ、この心地よさは出せないと、本能的にわかる。うっとりとした撫で心地に最小の疑心は晴れ、導かれるまま手をつなぎ、帰路を急く。
何でもない三人の影が、ほんの少し長く伸びた。
私だけの世界。
幾星霜を経て漸く私の元に帰ってきた、私だけの世界。
あと二十四時間で壊れてしまう、美しい箱庭。
汚らしいビル群を白砂に、道路は色とりどりの花が咲く野原に変える。
削り取られた山々が、埋め立てられた湿地帯が元の在るべき姿に戻っていく。
空は七色の光が渦巻き、たくさんの星がチカチカと輝きだす。
その懐かしい風景に自然と涙が溢れた。
崩れゆく愛おしい世界に身を委ねて、穏やかに終わりを待つ。
テーマ「明日世界がなくなるとしたら、何を願おう」
【明日世界がなくなるとしたら、何を願おう】 1
僕にとって家族ほど恨むものは無い。
毎日浴びせられる暴言、暴力。
最近は稼いだバイト代まで奪われるようになった。
ある日新型のウイルスが発見された。
ゆっくり、しかし確実に蔓延していった。
致死率が99.3%だったため人々はそれを「神からの天罰」と呼んだ。
殺人。暴力。強姦。差別。戦争。
様々なことを犯してきた人類にとって当然の結果と言えるだろう。
僕の住む日本にも感染者が出るようになった。
政治家や著名人。友達。
たくさんの人が消えていった。
両親は早い段階で天罰を受けた。
数日間苦しみ涎を垂らしながら消えていった。
僕にも天罰は下った。
どうせ死ぬんだ。わざわざ治療する必要なんてない。
僕は病院ではなく家で死ぬことを選んだ。
なんとか数日間耐えたが明日を迎えることはきっと出来ないだろう。
もうほとんど手足の感覚がない。目も霞む。
あぁ僕は死ぬのか。心残りなんてないけど何だか変な気分だ。
そうだな、最後くらいわがままを言おう。
━━━━来世は誰かに愛されたい。
※BLです。苦手な方は飛ばしてください。
昨夜から降り出した雨はいつのまにか止み、空には大きな虹がかかっている。澄み渡る青空と灼熱の太陽が、昨日の雨が嘘だったかのように綺麗に塗り替えていた。
「今日はいい天気だな」
両手を空に掲げ、ぐいっと伸びをする。今日は一日オフだ。昨日はいつもより寝るのが遅くなったが、あいつもそろそろ起きてくる頃だろう。
今日の朝ごはんはなににしようか。気分的には和食だけれど、やっぱり今日はあいつの好きなものにしよう。
キッチンに戻り、エプロンをつける。腕を捲って手を洗い、冷蔵庫を開けたところで後ろから扉の開く音がした。
眠そうに目を擦り、ふわぁっと欠伸をする姿に笑みが溢れる。ぴょこぴょこと寝癖を揺らしながら、キッチンに近づき、俺を視界に入れるとふわりと微笑んだ。
「おはよー、ございます」
「おはよ。いま飯作るから先に顔洗ってこいよ」
俺の言葉にこくりと頷くと寝癖も一緒にぴょこんと揺れた。それに気づかないまま、ぺたぺたと洗面所へと向かう背中に声を掛ける。
「寝癖もちゃんと直してこいよー」
すぐに跳ねた髪を手で押さえ、少し小走りになった姿を笑ってから、朝食の準備に取り掛かった。
「ごちそうさまでした!」
「お粗末さまでした。あ、洗濯するから汚れた服だしとけよ」
皿を片付けながら、洗濯の次は掃除して、と考えていると、きょとんとした瞳がこちらを向いていた。
「ん? どうした?」
「いや、洗濯するんだなって」
そりゃするだろ。久々の休みで随分洗濯物も溜まっているはず。掃除もここのところモップをかける程度で、手を抜いていたから今日はしっかりと掃除機もかけるつもりだ。
「……あー、洗濯と掃除が終わったら、どっか行くか?」
家のことが終われば、あとの予定はない。少しだけ残念そうな表情が気になって、声をかけてみる。
「行く!行きます!」
食いつくような返事のあとに、ぱっと嬉しそうな笑顔に変わる。そんなに喜ぶとは思っていなかったが、聞いてみて良かったと胸を撫で下ろした。
そういえばふたりでゆっくり出掛けるなんて、いつぶりだろうか。一ヶ月、いや二ヶ月以上前か。
休みがあっても、どこへも出掛けず家でゆっくり過ごすことの方が多かった。こんなにも喜ぶのなら、もっと前から色々なところへ出掛けておけば良かったと、少しばかり後悔した。
「どこ行きたい?」
折角ふたりで出掛けられる数少ないオフの日だ。行きたいところがあるのならそこへ行こう。
「んー、そうですねぇ」
腕を組んで、うんうんと悩む仕草が可愛くて、もし遠い場所だとしても、出来るだけ叶えてやりたいと思った。
「先輩とならどこへでも!」
先輩と一緒ならどんな場所でも嬉しいからと、照れ隠しみたいに、にししと子供みたいに笑ってキッチンへと皿を片付けに行く。
ああ、もう敵わねぇなあ。
遠ざかる後ろ姿を眺めながら、緩む頬を手で押える。だけど、なかなか戻りそうにもなくて、熱を逃すためにひっそりと息を吐いた。
『先輩とならどこへでも』
俺もお前とならどこへでも、どんな場所へだって行ってやる。明日世界がなくなるとしても、お前が最期の時まで一緒にいてくれるのなら、なにも怖くはない。
お前に怖い思いもさせないし、なにがあっても絶対に離れず傍にいる。
そして願わくば、いつの日か新たな生を受けた時、またお前と一緒になりたい。
「せんぱーい!早く掃除と洗濯終わらせちゃいましょ!」
明るい声に笑顔で返し、すぐに動き出す。最後の一瞬まで、いつもと変わらないふたりで過ごすために。
『明日世界がなくなるとしたら、何を願おう』
(男性同士の恋愛を匂わせていますので、苦手な方はお逃げくださいませ)
「明日、世界が無くなるとしたら、何を願いますか?」
某番組に出すアンケート。
その質問を声に出して読みながら、俺は呟いた。
「アホくさ」
そんなもん、何を願っても終わりは終わりやんけ。
神様か仏様か知らんけど、そんなもんに願って何とかなるんやったらまだしも、今更決まってることをどうひっくり返せ言うねん。
ああ、そやな。
ほんなら明日、M-1の決勝にしてくれや。
んで、俺達が華々しく優勝してアイツが俺に抱きついたところで全てが消滅。
それやったらエエな。
もしくは実行有るのみで、アイツ押し倒して思いを遂げるか。
どうせ最後やし、無理矢理…
アカン、アカン。
想像したら、鼻血出そうや。
そう。
俺はずっと相方に恋してる。
俺のアドリブに、ツッコミ忘れて本気で笑ってる顔なんてもう、ホンマ、輝いてて見とれてしまう。
けど、やっぱり、好きやとは言われへん。
相方も好きやけど、相方とする漫才も好きやから、こんな思いを告げてギクシャクはしたないから。
「え、何?」
俺の視線を感じたんか、正面に座って同じくアンケートを書いてた相方が顔を上げた。
「何がって何?」
なんて誤魔化して、俺は続けた。
「にしても、しょーもない質問やな」
「ホンマなぁ。俺、お前とM-1優勝って書こか思たけど、マジ過ぎてやめたわ」
ヤバい。
なんや、その照れた顔!
メチャクチャ可愛いやんけ。
動揺を隠しつつ、俺は答える。
「アホか。ひねれひねれ。って言いながら、俺もちょっと思た」
「真面目か!てか、2人ともか」
なんて言いながら、お前が笑う。
つられて俺も笑ってしまう。
せやな。
お前と居れれば、どんな最期でもかまへん。
それでもやっぱり、それまでに絶対にM-1取って、お前の夢叶えたる!
それが俺の夢やから。
『明日』
明日世界が終わるというのに 沸騰するやかんにあたふたしている ちょっぴりひしゃげたチリトリも買い替えるかどうか迷っている さほど面識のない近所の人に『また明日』と声をかけている 少し余ったカレールー、カレードリアにアレンジしようと思いつく
このエプロン、洗おうかと思い、洗濯カゴの前で思い留まる そうだね、明日世界が終わるというのに
明日世界はなくなるんだって。
なんの前触れもないその言葉に、また君得意のもしも話かと軽く笑った。
指先で触れたグラスが冷たくて心地良い。君の注文したアイスティーはもう半分に減っていた。
同じことを繰り返すだけの日々だからこそ、そんなくだらない彩りは必要なのだと続ける君に同意して、話に乗る。
「もしも、そうだとしたらあなたはどうする?」
君は少し前に身を乗り出して、興味津々といった表情で首を傾げた。
「そう、そうだなぁ……。多分実感が湧かないまま、また普通に明日は来るんだって信じて寝るんじゃないかな」
「夢がないね」
まるでその答えが来ることを知っていたように目を細める君。
だっていつだか話題になった世界滅亡の予言だって結局嘘っぱちだったんだ。今回もそうかもしれない。
それに、どうせ世界がなくなるのなら夢なんてあっても仕方ないじゃないか。きっと夢のひとつでも叶えたら、実行に移せなかった夢がひとつ、またひとつと浮かんで止まなくなる。予め知ってしまった最後を未練ばかりに埋もれて迎えるのは、宝の持ち腐れというものだろう。かといって自分の返答がその知識を活かしきれているかと問われれば、何も言えないのだけれど。
「なら君は?」
空想を見て、いつも世界を楽しく生きようとする君なら、きっとさぞ夢のある答えを返すのだろう。そんな意味を込めながらその丸い目を見つめ返せば、君は随分丸くなった氷をからからとストローで混ぜた。その目は外から射し込む光をめいっぱいに受け入れて輝いている。君は少しだけ考える間をとってから、勿体ぶるように口を開いた。
「あたしはねぇ、告白でもしたいな」
「告白? なんでまた」
「臆病だから。そんくらいでっかいきっかけでもないと動けないの」
あと、なんかドラマチックでしょ。そう言って何故か得意げな顔をした君は、またアイスティーをひと口飲んだ。
臆病者なら世界の終わりという事実に怯えて行動を起こすどころではないのではとも思ったが、所詮はもしもの話なので、君をそのまま理想に浸らせてやることにする。告白する前には教えてよ、応援してあげるからさ、なんて軽口をたたいた。
「あとは、あとはー。好きなもの食べて、また明日、って言いたい」
「明日がないって知ってるのに?」
「知ってるのに」
やっぱり君の感性は自分のものとは大きく離れているようだった。君はどこまでも劇的なシチュエーションを追い求める主義らしい。自分はそれを自身であらわすタイプではないものの、君の話す非現実は好きだった。だから、願うならば世界最後の前日も、こうして君とどうでもいいもしもの話でもしたい。
何だか照れくさくて、それを本人に伝えることはなかったが。
窓から見た陽は傾いている。テーブルの上には空のグラスが二つ。話もひと区切りついたところで、そろそろ帰ろうかと席を立った。
「じゃあね、また明日」
別れ際、手を振った君の表情は逆光で見えなかった。
【明日世界がなくなるとしたら、何を願おう】
もし、明日世界が終わるとしたら、僕は何を願おうかな。
「死ぬ前にあの子に告白したいっ!」
「死ぬ前に大好きな芸能人に会ってみたい!」
多分、いつもの僕ならそう思うだろう。でも、少し考えを変えてみよう。僕にとっての本当の幸せはなんだろう?僕にとっての本当の幸せは、おなかいっぱいに好きなお菓子を食べてる時?ゲームで思う存分遊んでる時?いや、違うな。僕が思う幸せは、最も親しみのある存在の人と話している時。その人と話していたら、悲しいことも、嫌なことも、全てどこかへ行ってしまう。けれど、現在独り身の僕にはちょっと難しいかな…笑でも、だから願うんだ。
「家族と一緒に、手を繋ぎながら話して、世界の終わりを迎えたい。」
【明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。】
明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。美味い飯をたらふく食いたいとかになるのかな。いや、推しを間近で見ることかも。話しかけるとかじゃなくてただ、見るだけ。迷惑になりたくないからただ、幸せそうな最期を見たいだけ。まぁ、飯にそんな興味があるかと聞かれれば推しよりはないけどなんとなくはある。そんなもん。でも、明日世界がなくなったら推しの晴れ舞台見れねぇな。ライブ、その一週間後だもんな。シャレにならん。
「はぁ、こんなこと考えても無駄か。」
ふいに無音が気まずくなってテレビをつける。
『明日世界が終わると、大昔に予言されていました!』
テレビのくだらないはずの話題につい目がそちらへ自然に向いた。
「おい、嘘だろ……?」
明日世界が無くなるとしたら、何を願おう。
私は考えるのが好き。
自由の世界は広がってる。
思うだけなら誰でも出来るし
自分の思い通りになる。
そんなことを思っていた時。
舞台に人が現れた。
目が悪くて誰か見えない。
『あなた達は明日世界が無くなるとしたら、何を願いますか。』
聞き覚えのある校長先生の声。
長々しく続く話にウンザリしていた。
5月とは思えない暑さ、30度を超えているそう。
声が遠のき、前が暗くなる。
意識が遠のく中、私は──────────と考えていた