『明日世界がなくなるとしたら、何を願おう』
(男性同士の恋愛を匂わせていますので、苦手な方はお逃げくださいませ)
「明日、世界が無くなるとしたら、何を願いますか?」
某番組に出すアンケート。
その質問を声に出して読みながら、俺は呟いた。
「アホくさ」
そんなもん、何を願っても終わりは終わりやんけ。
神様か仏様か知らんけど、そんなもんに願って何とかなるんやったらまだしも、今更決まってることをどうひっくり返せ言うねん。
ああ、そやな。
ほんなら明日、M-1の決勝にしてくれや。
んで、俺達が華々しく優勝してアイツが俺に抱きついたところで全てが消滅。
それやったらエエな。
もしくは実行有るのみで、アイツ押し倒して思いを遂げるか。
どうせ最後やし、無理矢理…
アカン、アカン。
想像したら、鼻血出そうや。
そう。
俺はずっと相方に恋してる。
俺のアドリブに、ツッコミ忘れて本気で笑ってる顔なんてもう、ホンマ、輝いてて見とれてしまう。
けど、やっぱり、好きやとは言われへん。
相方も好きやけど、相方とする漫才も好きやから、こんな思いを告げてギクシャクはしたないから。
「え、何?」
俺の視線を感じたんか、正面に座って同じくアンケートを書いてた相方が顔を上げた。
「何がって何?」
なんて誤魔化して、俺は続けた。
「にしても、しょーもない質問やな」
「ホンマなぁ。俺、お前とM-1優勝って書こか思たけど、マジ過ぎてやめたわ」
ヤバい。
なんや、その照れた顔!
メチャクチャ可愛いやんけ。
動揺を隠しつつ、俺は答える。
「アホか。ひねれひねれ。って言いながら、俺もちょっと思た」
「真面目か!てか、2人ともか」
なんて言いながら、お前が笑う。
つられて俺も笑ってしまう。
せやな。
お前と居れれば、どんな最期でもかまへん。
それでもやっぱり、それまでに絶対にM-1取って、お前の夢叶えたる!
それが俺の夢やから。
5/6/2023, 4:02:59 PM