Soda

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自カプ🌟🎈

「明日世界がなくなるとしたら、どうする?」

昼休みの屋上で少し冷たい風に吹かれながら、真面目に司は問いかけた。これは映画に影響でもされたかな、と思いつつ僕はその問いについて考える。

「そうだね、僕は盛大なショーがしたいな。
最期はみんな笑顔で大団円だ」

そうか、と一言。類が明るい口調で答えても司の表情は固いまま。いつになく真剣な顔で僕は彼の横顔にしばし見入ったあとまた大きなメロンパンにかじりついた。今日は疲れているみたいだし、爆発はやめておこうかな、練習も休みだから気晴らしにショッピングでも、とあれこれ考えているとやっと司が口を開いた。

「オレは類と2人きりのショーがしたいと思ってしまったんだ」

2人きりの、ショー。

「人々を笑顔にしてこそのスター、なのだが。
類と、オレだけのショーをしながら世界の終わりを見届けたいと思ってしまったんだ」

ずっと手元の弁当を見詰めていた司の目線が、いつの間にか類を捕らえて逃がさない。何かを決心したような、そんな瞳だった。

「そして、朽ちゆく世界で類とキスをしたいと、思った」

「へえ、司くんが僕とキス」

なかなか面白いシチュエーションだ、と想像力を働かせたところで疑問が生まれる。僕で、いいんだ

「そこまで考えて、気が付いたんだ。
オレは類に恋をしているらしい」

司の整えられた指先が僕の頬に触れる。割れ物を扱うよりも優しく、その瞳とは対照的に少し怯えたような怖がっているような触れ方に、また彼が愛おしいと感じる。

「なあ、類」

「オレと2人きりのショーをして欲しい」

強い強い光に焦がされてしまわないように。ゆっくりと目を合わせた。司の瞳は眩く輝いて、揺れている。小さな子供のように大きく明るいその瞳を安心させたくて、司がしてくれたように頬を撫でる。

「司くんが輝くなら、僕にできることはなんでもするさ」

目を瞑り、ゆっくりと口付けた。もし明日世界がなくなるのなら、僕たちは人目も気にせず路上てラブロマンスショーをしているだろう。自分達が気持ちよくなる為だけのショーを。

5/6/2023, 5:20:56 PM