『放課後』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#放課後
並んで歩いた帰り道
一緒に通った習字教室
はじめて買い食いした近所の駄菓子屋
ランドセルの重さを忘れるくらい
放課後の私たちは楽しくて可笑しかった
あっという間に忘れるような
些細な出来事にきらめきながら
いつしか大人になってしまったんだ
『放課後』
校庭でけいどろをして遊んでいると用務員のおじさんがやってきて尋ねられた。
「いまけいどろやってんのか」
「あっ、はい」
「何人でやってる?」
「えっと、8人、です」
するとおじさんはちょっと怖い顔になって、俺には7人に見えるのだと言った。
「放課後はここであんまり遊びすぎるなよ」
それだけ言うとおじさんは去っていき、言われた僕のほうは話し終えるのを見計らっていたけいさつ役が捕まえに来たので寸でのところでかわして走って逃げた。走って逃げるうちに用務員のおじさんに言われたことはすっかりと忘れてしまった。
日が暮れてきて人の顔も分かりづらくなってきたので次の回で終わりにしようということになった。じゃんけんで勝った僕はまたどろぼう役。少しでも長く逃げ切ってなかなか終わらせないようにしようと意気込んでいたけれど、ひとりふたりと捕まって、残りは僕ともうひとりになっていた。うっすら影のようになったけいさつ役がどろぼう役を取り囲んでくる。そのときにけいさつ役が4人より多いことに気づいた僕は用務員のおじさんに言われたことをふと思い出した。捕まったら帰れなくなる。そんな気が起こってゾッとしたのを見計らっていたかのように、けいさつ役が僕のほうに狙いを定めて捕まえに来た。
「こらーっ!いつまで遊んでんだ!」
用務員のおじさんが大声をあげて懐中電灯で僕らを照らす。けいさつ役もどろぼう役もなくなって慌ててランドセルを背負うとみんな蜘蛛の子を散らしたように駆け出して解散となった。駆け出すことができずに立ち尽くしていた僕は用務員のおじさんにポンと肩を叩かれる。
「危なかったぞ。さっさと帰れ」
それでようやく動けるようになった僕はランドセルを背負って一目散に家へと駆け出していた。
意味がわからないし
それってつまり同情なんじゃない
それって浸かって甘えてしまうほど
甘くはないんだからさ
日傘の先を見ても
悲しくて寂しくて嫌われるのが怖いなんて
絶対に言わないし悟られたくもないんだ
だから早く見限ってくれ
なにが俺をこうしたのかって
心当たりはあるけど今さら振り返らないよ
もう過ぎたことだし
遠い遠い昔の記憶が根を張ってると
所々気付くのは こんな冗談で
隠してしまおう
割り切って俺と君はこういうもんでしょ
それ以上もそれ以下もない
君と話してるとまるで雨の路地裏に太陽の光が射し込むような気持ちになるんだ
その目線を奪いたいのに
いつか逸らされるのが怖くて
踏み込めずに 駆け引きをして
いつの日か君が飽きるのを待ってる
妥協や勘違いなんじゃない
面倒見るようなもんじゃない
なにか魔法みたいに俺に染み付いた
考えも呪いも消してしまえれば
そうすれば幸せに笑えるのかな
ひとつの「過去」という大きな時間の中に溶けて、輪郭をなくしてしまった。
それでもあの西日さす教室に、砂埃舞うグラウンドに、お喋りの絶えない駐輪場に、秘密の校舎裏に、わたしの姿はあったのだ。誰かがそこにいたように、わたしも確かにそこにいたのだ。
これまでのあらゆる日々から地続きの、線上に立つ一点のわたし。
「放課後」
お題『放課後』
ホームルームが終わった瞬間、逃げるように学校から出る。向かう先はゲーセン。
クラスには一人も友達がいなくて、私は時折陰口を叩かれる側だから居心地が悪すぎて、学校は精神がすり潰される場所だ。
いつものゲーセンへ行って、ようやく呼吸が出来た気がする。タバコくさいこの場所は皆、私のことなんて見てなくてかえって居心地がいい。
音ゲーをやって、難しい曲がフルコンボできたので思わずガッツポーズしてしまったら、背後にいたクラスの男子と目が合ってしまった。しかもよりによってカーストトップグループのうちの一人だ。それもこともあろうに女子からモテるイケメンって言われてる奴。
「あ……」
私の大事な場所まで『学校』に侵食されたくない。
逃げていったん出直そう。そう思った時、
「待って」
と腕をつかまれる。びっくりしすぎて思わず体がこわばる。そいつは一方的に話しかけてきた。
「っていうか、佐藤さんってゲームめちゃくちゃ上手いんだね」
その話し方が親しげなのにもびっくりして思わず目を丸くする。今まで陽キャという生き物からは、私は邪険に扱われたり、バカにされたりしてきたから。
「……なんでここに来たの?」
「あー……あいつらといると疲れるし」
え、そんなこと思ってたの? そう思うと目の前の男に親しみが湧く。
「君みたいに学校終わった瞬間、逃げることができたらどんなに楽かと思うよ」
「ふぅん」
モテるこいつでもそうなんだって思う。たしかにあんなバカ騒ぎばかりしてるのを聞かされたり、人を容姿でジャッジしたりする集団の中にいたら頭がおかしくなりそうだ。
「あのさ」
「ん?」
「レベルどれくらい?」
「あー……君よりは弱いと思う」
「私のレベル知ってんの?」
「うん、見えたから」
「じゃ、やりなよ。見ててあげるから」
「うわー、やりづれぇ」
そう言って、クラスのモテ男が笑う。その後、しばらく二人で交代しながら遊んで、対戦モードをやって、
ふとした瞬間に『あれ、これが青春ってやつ?』なんて思ってしまったりもした。
ランドセルを放りだし、鬼ごっこに興じて
校庭を夢中で駆け回ったあの日。
部活動で毎日暗くなるまで練習した数年間。
友と真剣に将来を語り合った夕暮れ。
「お調子者キャラ」の男の子の、
真剣な横顔を偶然見かけた、冬の図書室。
私を少し大人にしてくれたのは、
放課後の、あの時間たち。
通い慣れた通学路
見慣れた街路樹
そんな風景も今日は
何だか違って見える
想い寄せる君と
歩いてるそれだけなのに
見る物全てが輝いて
愛しく想えるよ
この時間がずっと
続けば良いのになんて
子供染みた僕の
放課後の出来事
まだ「俺」か「僕」か「私」かわからずに放課後ひとり泣いていた頃
黄昏の赤い光とポワティエ美術室での放課後のこと
「放課後」
未来の話をしよう
僕はこの先、完璧を望んで
希望を多く感じれるような
人間になろうと思う
私はこの教室から飛び出して
あの池で2人で星がみたい
将来像を思い描く僕と
今を生きる事に未来を見出している貴女
ダメだな、どうも放課後のあの時間は
僕をセンチメンタルにさせる
その気持ちを隠すためかなんなのか
僕は、銀河鉄道に乗ろうかと不意にポツリと
こぼしてしまう。大丈夫誰も聞いちゃいない
ジョバンニも会えぬ友を思いこんな気持ちに
なったのだろうか
こういう明るいお題って僕無理なんすよね
Fancyも苦手です
放課後
ずいぶんと古いビデオテープ
そこには、たのきんトリオ
「ただいま放課後」
録画してある
とっても古いビデオテープ
そこにも、キラキラがある
「ただいま放課後」
青春が眩しい
ダビングしてるハードディスク
自称の、アイドルがいる
本当の放課後
青春、してるかな?
「じゃあ、明日の放課後、ここで待ち合わせね」
またあの日の夢を見た。最近よく見る夢だ。いや、このフレーズだけを思い出している。これは現実にあったことなのか。それさえもわからなくなっていた。
あの日の明日。何をしたんだっけ。その友達とは今も友達なんだっけ。
こんな記憶のために、子供の頃に住んでいた土地を訪れるのは、おかしいことだろうか。それでもここに来てしまったのは、私が今確かめなければいけないと思ったからなんだろう。
夢で聞く声からして、おそらく中学生。であれば行くべきは中学校。私は通っていた中学校から家までの道のりを歩くことにした。
毎日歩いていた景色なのに、すべての建物の背が少しずつ低いように感じられる。自分の目線の高さが上がっているのだ。少しの目線でこんなにも世界が変わるのか。身長が2メートルの人とは、生きている世界が違うんだろうな。
昔の生家にたどり着く直前、四つ角のところで記憶が舞い戻る。ここだ。あの日待ち合わせをしたのはこの交差点だ。
相手は友達の女の子。思い出してみれば、なんで今まで忘れていたんだろうという気持ちになる。そう、私は毎日のようにここであの子と待ち合わせをしていた。
たった一度の強い思い出ではなくて。習慣的な当たり前の約束だった。
じゃあ、あの夢は、私に何を知らせていたんだろう。人の記憶が脆弱で、大切なことを簡単に忘れるということ?日々の忙しさに追いかけられると、過去が消えてしまうということ?
あの子と毎日遊んでいたのは、中学2年生ぐらいのとき。行き先も決めず、とりあえず商店街まで歩いていって、本屋さんとかお菓子屋さんとか喫茶店とか。
ああそっか。「覚えてる」っていうことか。
私はこの記憶を覚えていた。思い出せるんだ。どんなに日々に押しつぶされそうになっても、覚えてるんだ。
なんでもないあの日々を、大切だったあの日々を。あの夢は、大丈夫だって知らせてたんだ。何も忘れてない。あなたの人生はあの日からずっと続いていると。
放課後
道端の石ころも
野良猫も
消えかけた道路の白線も
芽吹いては枯れる木々も
花のにおいも
みな等しく光り輝いていましたが
そのことにまだ気付けずにいました
今再びその灯りを思い出すのです
No.147『放課後』
放課後、他の人は友達と遊んでる。
私もそれに倣って遊ぶ。
だけど本当は1人でいたい。
そんな自分を今日も隠した。
階段の踊り場、差し込むオレンジ色の夕陽。
遠くから聴こえる吹奏楽部の奏でる音色。
笑い合う学生の声。
卒業式を終えた最後の放課後。
3年間で1番印象深かった化学の授業を思い出しながら
この学校で良かった、と自分に言い聞かす。
色々あったけど、ここで、これで、良かったんだ。
ロッカーを片付けて、下駄箱を軽く掃除して
もう足を踏み入れることの無い後者を振り返る。
傾いた夕陽が影を扉の方まで伸ばして
まるで名残惜しい、と言うように縋りついて見える。
「じゃぁね」
良い事も悪い事もここに置いていこう。
眩しい青春の光よ。思い出をよろしく。
何年後か、思い出す放課後がこんな美しい夕陽だといい。
放課後
学生や先生といった学校関係者くらいしか縁のない言葉。大人になってしまえば漫画やアニメくらいでしか聞くことはない。
今日こうしてお題になったことでふと思ったことがある。放課後の放課ってなんだ?と。
学校が終わったあとの時間を放課後というのは知っている。だけどこの放課という言葉はなんだ?学校で放課という言葉は放課後以外で聞いたことがない。
そんなわけで放課という単語の意味を調べるためググってみた。さすがはインターネット、すぐに答えが出た。
どうやらこの放課という言葉は愛知県の方言らしい。それも授業と授業の間の休み時間のことを指すようだ。
そんな言葉がなぜ全国的に、しかも放課後という言葉に変化して使われるようになったのか。それはわかりませんでした。しょうがないね。
話題は変わるけど昨日は暑かった。エアコンつけたいと思うくらいには暑かった。それでも夜には寒いくらいに涼しいから確実に冬に近づいてる。
お題 放課後
遠くに聞こえるのは、吹奏楽部のきれいな音色と運動部の熱い声。誰もいない廊下に、私の足音だけが響く。
ちょっと前までうるさかったはずの学校とは思えないような雰囲気に何か特別なものを感じた。
ちょっとした恐怖心とか、この場所に今私しかいないっていう優越感とか、そんなもの。
優越感なんて言っても、教室に宿題を置いて帰っちゃったから取りに来てるだけなんだけどね。
(お、あったあった。よかったぁ。)
無事見つかった宿題たちを鞄に入れて立ち上がる。誰もいない教室というのも珍しいものだ。
とはいえ、誰もいないことを除けばただの教室なわけで、すぐに飽きて再び廊下を歩き始めた。
不意に無意識に目線が動いた。隣の校舎で誰かが動いたように見えたからだ。
何がおかしいって、そっちの校舎は旧校舎、つまり今はほとんど使ってないから人がいるのはおかしいはず。
どうにも気になった私は、意を決して旧校舎に入れる場所を探す。
(ここなら、入れるね。)
たまたま一か所、窓が開いてるところがあった。ご丁寧にふみ台まで置いてあって。
旧校舎の中は、今の校舎とは違い床とか壁が木でできていた。一歩歩くたびに、きしっとか、みしっとか音を立てている。
階段を上って、さっき人影が見えたあたりまで来た。そこには誰もいなくて、夕日によってオレンジ色に染まっていた。
何もないし、帰ろうと思ったときに廊下の突き当りから左にまだ道があることに気づいた。
(少し不気味だし、そろそろ帰りたいけど、せっかくここまで来たしちょっとくらい行ってみたいかも。)
恐る恐る曲がってみると、短い階段と、半開きになっている大きな扉があった。
扉の向こうからは冷たい替えが吹き抜けてくる。
覗いてみると、一人の男子が寝ころんでいた。
さっき見えたのは、このひとだろうか。
さて、覗き込んだはいいものの声をかける勇気はない。もともと私はコミュニケーション能力の低いほうだ。
それに加え、誰かもわからない人に何の用もないのに声をかけるなんて、
そんなことを考えていると、不意に心臓がどきりとした。
「なあ。」
「え?」
「お前だよ。さっきからなんか覗いてるお前。」
彼は変わらず寝ころんだまま、多分、というか絶対私に話しかけてきた。
「そんなとこにいないで、こっち、きたら?」
「は、はい。」
初めての屋上に、初めましての人。ドキドキしながらちょこちょこと彼のもとへ歩いた。
「なにしにきたの?」
あなたのことが気になってきましたなんて言えないよ!
「だんまりかよ」
ふっと笑った彼を見てとりあえず一安心と胸をなでおろす。
「え、えーと、あなたは何でここにいるんですか?」
「んー別に。」
「そ、そっか。」
どうしよう。会話が続かない。沈黙きまづい!
「お前、何年?」
「2年、です。」
「そっか。同い年か。」
え?同い年?
私の学校、そんな大きな学校じゃないけど、まだ知らない人いたのかな。
「転校してきたんだ、俺。もう3週間くらい前のことだけど。」
「転校生、か。」
それで知らなかったのか。
「なに?まだ話聞いてく?」
そう言いながら彼は起き上がった。
彼に興味がなかったわけではないので、うんうんと頷く。
すると彼は、「変な奴。」と言って笑った。
はて、そんなに変なことをしただろうか。
「また明日来いよ。その時話してやる。」
彼がそう言うのと同時に最終下校の音楽が鳴り始めた。
屋上で転校生に出会う。そんな非日常的なことが明日も起こるらしい。
次の日から彼のことを意識するようになったのは、言うまでもないことだろう。
教室で1人、あなたの委員会が終わるのを待ってた
委員会が終わって教室に私を迎えに来てくれて
下校時間ギリギリまで教室でおしゃべりした
駅までは手を繋いで歩いて20分の道を遠回りして
他愛もない話をしてたあの時間が何よりも好きだった
あなたとお別れする瞬間は何よりも嫌だったけど
1人になった電車の中で帰り道のことを思い出す
誰もいない駅のホームで手をつなぎながら電車を待った
電車が来る直前にあなたが優しくしてくれたキスが
私はとても愛しかった
「放課後」
『放課後』
夕日に照らされる教室で君と二人きり。
放課後
人がまばらな校庭の部活終わり、君はシューズを履き替えて最後にグラウンドを一周する。
走るたび走るたび影が伸びて夕日が傾いて
走り終わる頃を知っていたかのように自転車を連れてくるあの子がきっと笑いながらタオルを差し出すと
君は遠くからでもわかるほど嬉しそうに笑う
自転車の前かごにギュウギュウに詰められた君とあの子のかばん
グラウンドでは一つだった影が
校地を出る頃にはみっつになって
心の中でそっとエールを送りながら今日も自分の居場所に戻る
ただそれしかしないから
できないから
君たちがこの箱の中にいる間だけはこうして 見守らせて欲しい
ホームルームが終わりあなたと一緒に帰る時間。あの曲がり角までだけどそんなひと時が嬉しかったな