わをん

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『放課後』

校庭でけいどろをして遊んでいると用務員のおじさんがやってきて尋ねられた。
「いまけいどろやってんのか」
「あっ、はい」
「何人でやってる?」
「えっと、8人、です」
するとおじさんはちょっと怖い顔になって、俺には7人に見えるのだと言った。
「放課後はここであんまり遊びすぎるなよ」
それだけ言うとおじさんは去っていき、言われた僕のほうは話し終えるのを見計らっていたけいさつ役が捕まえに来たので寸でのところでかわして走って逃げた。走って逃げるうちに用務員のおじさんに言われたことはすっかりと忘れてしまった。
日が暮れてきて人の顔も分かりづらくなってきたので次の回で終わりにしようということになった。じゃんけんで勝った僕はまたどろぼう役。少しでも長く逃げ切ってなかなか終わらせないようにしようと意気込んでいたけれど、ひとりふたりと捕まって、残りは僕ともうひとりになっていた。うっすら影のようになったけいさつ役がどろぼう役を取り囲んでくる。そのときにけいさつ役が4人より多いことに気づいた僕は用務員のおじさんに言われたことをふと思い出した。捕まったら帰れなくなる。そんな気が起こってゾッとしたのを見計らっていたかのように、けいさつ役が僕のほうに狙いを定めて捕まえに来た。
「こらーっ!いつまで遊んでんだ!」
用務員のおじさんが大声をあげて懐中電灯で僕らを照らす。けいさつ役もどろぼう役もなくなって慌ててランドセルを背負うとみんな蜘蛛の子を散らしたように駆け出して解散となった。駆け出すことができずに立ち尽くしていた僕は用務員のおじさんにポンと肩を叩かれる。
「危なかったぞ。さっさと帰れ」
それでようやく動けるようになった僕はランドセルを背負って一目散に家へと駆け出していた。

10/13/2024, 1:53:00 AM