NoName

Open App

放課後





人がまばらな校庭の部活終わり、君はシューズを履き替えて最後にグラウンドを一周する。

走るたび走るたび影が伸びて夕日が傾いて
走り終わる頃を知っていたかのように自転車を連れてくるあの子がきっと笑いながらタオルを差し出すと
君は遠くからでもわかるほど嬉しそうに笑う

自転車の前かごにギュウギュウに詰められた君とあの子のかばん

グラウンドでは一つだった影が
校地を出る頃にはみっつになって

心の中でそっとエールを送りながら今日も自分の居場所に戻る
ただそれしかしないから
できないから
君たちがこの箱の中にいる間だけはこうして 見守らせて欲しい



10/13/2024, 12:44:24 AM