『放課後』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
[まゆ 私の人生No.❓]
これは、強い雨が降っていた、小学1年生の時の放課後、七夕の前日である7月6日の事。忘れもしない、今は亡き飼い猫(家族)との出会い。
放課後…小学校から家までの帰り道。私は友達の火野 翼(ひの つばさ)ちゃんと、強い雨が降る中、傘をさし、喋りながら通学路を歩いていた。その時、草むらから何か鳴き声が聞こえた。
(ニャ-)
その小さく弱々しい声に私は足を止めた。
「どうしたの?」翼ちゃんが不思議そうな顔で聞いてきた
「仔猫の鳴き声がした」
「私には雨の音で何も聞こえなかったけれど…」
「絶対に聞き間違いじゃない」
「まゆちゃんの事、疑ってないよ。それにもし、この雨の中で捨てられでもしていたら弱っていると思うし、探して何とかしてあげよ?」
「うん」
私は鳴き声のした周囲を見渡した。その近くに有ったのは、通学路で毎日の様に見てきた、手入れのされてない、背の高い草が生い茂る場所だった。
「ここかな?」私は雨に濡れた草で服やスカートを濡らしながらも草を少し掻き分けて進んだ。翼ちゃんは、私の後ろをついてきた。そこで私達が目にしたのは、段ボールに捨てられた1匹の仔猫だった。その光景に私達は言葉を失った
雨で弱っている為だろうか?呼吸をしているものの、動かずじっとしていた
「私、急いで家に帰ってママに相談してくる。雨も強いし」
こうして私は翼ちゃんと別れて家へと急いだ
急いで家に帰った私は、事の次第をママに話して、人生で一番大きな我儘(わがまま)を言った
「私、その仔猫飼いたい。私には家族が…パパとママがいるけど、あの仔は今も一人だから、助けたい。あの仔と家族になりたい」
「その仔猫を飼ったとしても、猫はまゆより長く生きられないのよ?」
「分かってる」
「その仔猫が亡くなった時、飼わなければよかった なんて後悔しないって約束できる?」
「できる」
「その仔猫、まゆ一人で飼うの?」
「うん」
「餌のお金だって必要になるだよ。そのお金はどうするの?」
「私がお小遣いや お年玉で出す」
ここまでは想定していたママからの質問だった。けれど、次のママからの質問に、私は言葉を失った
「病気になったり怪我したら、その子の病院代はどうするの?まゆのお小遣いじゃ全然足りなくなるのよ?」
動物の怪我や病気の事なんて考えて無かった私は、お金が無くて飼えないと思い、悔しさから涙が溢れて止まらなかった
「お金ないから飼うの諦める」
私は泣きながらママに言った
けれど、その言葉を聞いたママは首を何故か横に振った
「ママも一緒に飼わせて?家族で飼いましょ。大人でも動物を一人で飼うは大変。でも、家族ならそれが出来る。お金の事は心配しなくて大丈夫だから、まゆはその仔猫の事、家族の中で一番可愛がってあげなさい」
その言葉に私の涙は止まった
「パパ、駄目って言わない?」
「駄目って言ったらパパと離婚して、ママと二人で一緒に飼いましょ」
「そんなん…」
大好きなパパとママが私の我儘のせいで離婚したらどうしよう…そんな不安から再び涙が溢れた
「冗談だから。ごめんね。パパはママが駄目って言わせない」ママは私を抱きしめながら誤った
「そんな事、冗談でも言わないでよ💢」
ママの冗談に私は泣きながら怒った
「傘とタオル持って車に乗ってて。その仔猫、ママも見たいし、一緒に迎えに行きましょう。雨も更に強まってくるみたいだし」
私はママに言われ支度をすると、ママと一緒に通学路へ車で捨て猫を迎えに行った
その仔猫はまだ捨てられていた。そこで私はママに傘をさしてもらいながら、タオルで仔猫を優しく包むと、ママと車で家まで帰った。家に帰る頃には仔猫は車内の暖かさと安心感からか静かに眠っていた。
※ この物語はフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません
放課後 作:笛闘紳士(てきとうしんし)
この物語[まゆ 私の人生]は、他のサイトに投稿しようと考えていましたが、上手く作れずボツにした、浅倉(あさくら)まゆ と言う主人公の女の子の人生の話の一部になります。これからも機会があれば[まゆ 私の人生]シリーズを書いていきたいと思います。
さようなら
嬉しげに挨拶をする
あとは自由時間
今日は遠回りして帰ろうか
放課後は特別な時間だ
学年が違うあなたと会える
今日は何を話そう
授業のこと、お弁当のこと、友達とのこと、
そしてあなたが大好きだということ
このために1日頑張れる
どんなにつまらない授業があっても、
嫌なことがおきても、
あなたに会えるのならちっとも辛くない
あなたが卒業するまであと1年
限られた時間を大切にしたい
今日は何を話そう
放課というのは、地域によって表している時間が違うそうだ。私は放課後といえば授業が終わった後の時間のことなのだが、他の地域の人と同じなのだろうか。あんまり詳しく言うと住んでいるところがバレそうだから、この辺でやめておくけれど。
夕暮れが差し込む窓際から、蝉の声が聞こえる。蝉という生き物は大抵が五月蝿くて嫌になるが、ヒグラシだけは別だろう。カナカナと優しめの声が響くところに風情を感じるのは、他の蝉達にはあまり面白くないことだろうけれど。まぁ、夏を感じさせるといえばそうなのだが、いかんせん暑さを倍増させるような声だからいけないのだ。いきなり飛ぶのも。
階段を下る。一つ段を降りるごとにリュックが揺れて、中の教科書が動く音がした。テスト週間に入ろうとしている今、教科書の持ち帰りでリュックはパンパンに膨らんでいる。歩くたびに肩にのしかかるものだからたまらない。下駄箱から学校規定の白い運動靴を出して、少し土を落としてから履く。山へ帰る途中なのか、カラスが鳴いている。いつも通り、なんてことない帰り道だ。田んぼの上を飛び回る赤とんぼも、キィキィ音がする古い自転車も。
ただ、彼が居ないだけ。
下駄箱の靴がずっと無いのも、上履きすらも片されているのも。カラスが鳴いたら絶対に空を見上げて探す横顔も、とんぼが止まらないかと指を差しながら歩く姿も。
二人乗りをしてから変な音が鳴るようになった自転車もそのままで。ただ、彼が居ないだけ。他の蝉がいなくなっても、ヒグラシが変わらずに鳴いているのと同じように。夏が終わることを告げるために、わたしたちは変わらずに生きて、ないている。
「放課後」 白米おこめ
【放課後】
即帰宅する人もいれば、掃除当番で掃除している人人がいて、ただ友人たちと話したいがために残っている人もいる。
そんな中、私はカーテンの中に隠れ、窓から外の景色や匂い、音を嗜む。
カーテンの中はまるで隠れ家のように、自由に満ち、人間関係に疲れ果てた自分を癒してしてくれる。
誰も私のことなど気にもとめない。
けれど、笑顔が素敵なあなたは何故かいつも私を見つけてくれるよね。
母校の周辺は観光地であったが適度な田舎であった為、令和の世にも関わらず学生が暇を潰せる施設はコンビニか本屋くらいしか無かった。それでも私たちは1時間に1本しか来ない汽車の到着時間があっという間に来ると感じてしまうほどに放課後を楽しく過ごしていた。SNSの話題を共有したり、唐突に絵しりとりを始めたり、先生も混じってダラダラ喋っていたり。「時間を無駄に消費する」という贅沢を謳歌していた気がする。最寄り駅まで徒歩5分。汽車の時間が来ると小走りで学生で溢れかえった小さな駅に向かう。汽車は二両編成。乗車する学生の数を考えるともう1両ほどあって欲しいものだった。他校の生徒に揉まれながら空席を探し、無ければ諦めて友達同士でくっついて直立する。ゴトゴト、振動に体を持っていかれないように耐えながらイヤホンで音楽を聴く。高校生っぽく単語帳なんかを開くが、もちろん頭には入ってこない。窓から見える田園風景。あのどうしようもなく無駄な時間を過ごしまくっていた放課後が、今になってどうしようもなく輝いて見えて仕方ないのだ!
忘れられない人がいる。
生きているのか、死んでいるのかはわからない。
きっと、死んでいるのだろう。
突然現れて、突然いなくなってしまった。
"最期"は、必ず伝え合うと約束をしたのに。
その人が約束を破ったせいで、僕も破ることになった。
最低だ。嘘つきの君も、嘘を見破れなかった僕も。
君へ
今、君が好きだった煙草を吸っているよ。
思い出したくない味と香りがするけれど。
今日だけは思い出してあげるよ。誕生日おめでとう。
高2の秋。
部活の引退が早かったから
ひと足先にひとりで帰る。
いつもはバスで帰るけど
涼しくなったから
歩いて帰ることにした。
学校の壁伝いに歩いていく。
部活のかけ声。
楽器の音。
少し冷たい秋の風。
夕暮れ時の不思議な気配。
金木犀の香り。
そして聞こえてきた
「ハッピーエンドへの期待は」の
出だしのコーラス。
歌っていたのは
たぶん
グラウンドで練習していた
運動部の男子たち。
なんか上手だったから。
すっと心に入ってきたから。
あの時間は
鮮明に記憶にのこっているの。
「放課後」
アイツがなぜ委員長なんてやっているのか。なぜ部長なんてやっているのか。
いつもシャツのボタンを大っぴらに開けてズボンから裾を出してるような、チャラチャラした見た目のアイツがなぜわざわざそんなことをやりたがったのか。
俺たちは──いや、俺は。副委員長であり、アイツのいちばんのダチだと自負している俺は。
そのことについてもっとよく考えるべきだった。
あるときアイツは3日ほど学校を休んで、次に登校したときにはひどくやつれた顔をしてた。
アイツはもともと身体が弱いから。学校を休むのも顔色が悪いのも別に珍しいことじゃあなくって、けどなんとなく俺は聞いてみた。深い意味があったわけじゃない。ただ会話の流れで、適当に、笑いながら。
そしたらアイツも、「この3日カーテンのない部屋にいたからさぁ」なんて笑いながら言って、俺たちも「夜眩しくて寝れねーじゃん」とか、「早く買えよ」とか、「着替えるとき丸見えじゃん。あ、むしろ見せてる?」とか、まーなんも考えないでテキトーに馬鹿言って笑ってた。
こんなのただのコミュニケーションで、じゃれあいで、単語の表面をなぞってそれに沿った球を投げ返すだけの反射ゲームだ。いちいち言葉の裏とか隠された意味とか、そんなことは考えない。俺たちはそれを会話と呼ぶ。
けど、いまにして思えば。
やっぱり俺は、アイツのあの発言について、もっとよく考えるべきだった。
あのとき気づいてたら何かが変わったかなんてわからない。けど、気づかなかったからこうなった。
もしかしたらあれは、アイツなりの精一杯のSOSだったりしたんじゃないか? それに気づいてたらこんなことにはならなかったんじゃないか?
ちゃんと考えればわかったことだ。
委員長も、部長も。学校に拘束される時間が長くなるからお前は進んで手を挙げたんじゃないのか?
カーテンのない部屋って──それは、窓がないんじゃないか?
そんなところに、お前は進んで3日もいたのか? そうじゃなくて……閉じ込められていたんじゃないのか?
なあ、ジンゴ。
お前は家でどういう扱いを受けていた。
出演:「サトルクエスチョン」より 福井栄(ふくい えい)
20241012.NO.77「カーテン」
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高校に入って(俺としては)まともに学校に通うようになって、気づいた。
俺は放課後の時間をもっと有意義に使うべきだ。
授業が終わってすぐに帰るのはあまりにもったいない。
誰かと遊ぶのは相手の都合もあるから毎日ってわけにはいかないだろう。バイトはたぶん許可が降りないし、そもそも俺の体調と体力を考えると仕事先に迷惑だ。
となると、部活だか委員会だかやって、なるべく学校に留まるのがいちばんいい。
どうせなら両方ともやるか。
委員会は……生活指導委員ってのにしよう。生徒会を除けばいちばん忙しいらしいし、不人気っぽいから余裕で入れそうだ。
部活の方は……とりあえず運動部はなし。お、研究会ってのもあるのか。あーでも、研究会には部室がないんだ。部室はデカいぞ、色々物置けそうだ。
じゃあやっぱり部活動の方で、文化系で、緩いけど毎日いてもいいようなやつ……。
意外とねぇな。漫画研究部とか文芸部とかは条件には合ってっけど、俺そういうの興味ねぇし。
……作るか。
部活の作り方……。えーと、「まず研究会を発足させて、その活動実績が認められると部活動に昇格できる」? めんどくせぇな。でも部室はほしいしな。
とりあえず研究会か。なになに、「必要人数は3人」。じゃあ俺と、キキもたぶん頼めば入ってくれるだろ。モカは……きつい。あとひとり……あ、アイツ。同じクラスの、福井ってヤツ。高校からのダチだけど、ノリいいし頼めば名前だけ貸してくれるかも。
よし、これで方針は決まった。一旦帰るか。
最初は遠いと思っていた家までの道のりも、慣れるとあっという間だ。
内側用と外側用、2種類ある鍵の片方を開けて玄関をくぐる。ちなみにもう片方の鍵は持ってない。
暗い廊下。
静かな部屋。
お手伝いさんが作ってくれたご飯を温めて直して食べる。
喋り続けるテレビ。
母さんは今日も帰らない。
飯を喉に流し込みながら考える。
高校ではちゃんと学校に通えてるし、授業もみんなと一緒に受けれてる。友達もできた。順調だ。
それに明日からは研究会発足に向けてやることが色々ある。どんな研究会にするかも決めないとな。キキと福井と、3人で話し合うか。
──ああ、放課後が楽しみだ!
出演:「サトルクエスチョン」より 仁吾未来(じんご みらい)
20241012.NO.78「放課後」
昨日枠取るのも忘れてたのでまとめて更新
世界は優しかった。
僕が思っていたよりずっと。
引きこもる間に、独りで想像していたよりも。
旅先で出逢った人々のおかげで、僕は自殺を思いとどまった。
そう言うのは簡単だが、そう簡単な話でもないと思う。
そういう「美談」という認識を通した瞬間、あたかも全てが説明されるような誤解を生みたくはない。そもそも全てを言葉で説明することはできない。
1分
1秒でも
早く!
部室へ行って
準備をしなければ!
廊下は
走ってはいけないから
なるべく
早足で
―――走ってたけど
同級生より
早く
なるべく
最後にならないように
―――最後って恥ずかしいじゃん?
とにかく
部室へ
向かわなければ!
―――青春
だったなぁ。
#放課後
** 『信念と道しるべ』**
旅の途中、カイは街外れの広場で剣を振る練習をしていた。夕焼けが空を染め、日が沈むにつれて涼しい風が頬を撫でていく。剣を握る手に汗が滲み、疲れがじわじわと身体に染み込んできているが、彼の動きは止まらなかった。
ふと、背後から軽快な足音が聞こえた。振り返ると、そこにいたのはユーリだった。彼はカイの剣さばきを見て、にやりと微笑んでいた。
「相変わらず、頑張ってんな。でも、やりすぎると後で困るのは自分だぞ。」
ユーリは軽い調子で言いながら、カイの横に腰を下ろした。
カイは息を整えながら、手にした剣を静かに地面に置いた。「わかってるよ。でも、どうしても強くならなきゃならないんだ。俺には守りたいものがあるから。」
ユーリはその言葉を聞き、少しだけ真剣な表情に変わった。「強くなるってのは、誰かを守れるってことだ。でも、守るためには自分を大切にするのも忘れるなよ。」
その言葉には、ユーリ自身の経験と優しさが滲んでいた。彼もまた、常に仲間を守るために自分を犠牲にしがちな人物だったが、それがどれほど大切であり、同時に難しいことかも知っている。
カイはしばらくの間、ユーリの言葉を胸の中で反芻した。守りたいもののために強くなることは大事だが、それを続けていくためには自分自身を壊してしまっては意味がない。そのバランスを取ることの難しさが、彼の頭を悩ませた。
「自分を大切にしながら守るか…難しいな。」カイはぽつりと呟いた。
ユーリはにやりと笑い、「完璧な答えなんてないさ。だから自分が納得できる答えを見つける、それで十分だろ?」と肩を軽く叩いた。
カイはその言葉に少し驚きつつも、納得するように頷いた。完璧を追い求めすぎて、進むべき道を見失うことがある。だが、ユーリの言う通り、自分が納得できる道を選ぶことこそが本当に大切なのかもしれない。
「そうだな、自分なりの答えを見つければいい。」カイは再び剣を手に取り、しっかりと握り直した。
すると、ユーリは少し真剣な顔つきでカイを見つめ、「お前が選んだ道なら、俺は口出ししないさ。けど、間違った時は遠慮なく指摘させてもらうからな。」と、まるで兄のように優しく忠告した。
カイはその言葉に感謝し、心が少し軽くなったように感じた。自分の道を進む覚悟はあるが、ユーリが自分を見守ってくれると思うと、不思議と安心感が湧いてきた。
「自分の道を進むのはいいけど、時には周りを見て助けてもらうのも悪くないぜ。」
ユーリは立ち上がり、カイに軽く手を振りながら歩き出した。その背中には、自由に生きる強さと、仲間を信じる柔らかさが同居している。
カイはその背中を見送りながら、心の中で静かに決意を新たにした。自分の信念を貫きつつも、無理をしすぎないように、そして時には仲間を頼りながら進んでいく。それが、強さと優しさを両立させるための道なのだろうと。
夕日が完全に沈む頃、カイは剣を腰に収め、ゆっくりとユーリの後を追いかけた。その背中はどこまでも頼もしく、どこまでも自由に見えた。
学校の怪談を検証した。
トイレの花子さん、体育館の天井にいる何か、校庭を走る二宮金次郎、コンクリートで出来た山の遊具(〝なかよし山〟という名前がついていた)に潜むモノ、夜に鳴る音楽室のピアノ·····あと一個、何かあった気がするけど忘れてしまった。
放課後、学校中を歩いて怪談が本当か確かめた。
音楽室のピアノだけは夜だから確かめられなかった。
他はどれも、それらしき音や物や気配があって、キャー!と叫びながらその場を離れた。
トイレの花子さんは学校の近所にその子の家だという建物さえあった。(じゃあ花子さんはただこの学校の生徒だった、という事なんじゃないだろうか?)
あれ?
··········。
··········。
誰と検証したんだっけ?
END
「放課後」
放課後
放課後の保健室ピンクのカーテンが揺れていた… それ、早急観た(笑)
放課後の校庭
待ちぼうけ陽が暮れて
時は流れ 一瞬だけの今日
喜びの日も悲しみの日も
じゃれ合って走った校庭
見えなくなった後ろ姿
あの時代にありがとう
美しい一瞬の日々
儚く輝く制服姿
見えなくなる後ろ姿
かけがえのないあなたにありがとう
輝くものは輝きにとどまらず
気分は最高 飛び立つ背中に
サヨナラよりもありがとう
放課後の想い出
令和6年10月12日
心幸
放課後
終業の鐘が鳴る。
生徒たちは疎らに帰り始め、やがて教室には、僕一人が残された。沈んでゆく夕陽が、僕の頬を照らす。
誰もいない教室。
なにをするわけでもなく、ぼんやりと窓際の席に座り、外を眺める。通学路からは、帰っていく生徒たちの話し声が聞こえ、遠ざかっていく。
友だちとなにかあったわけでもない。教師に怒られたわけでもない。親と喧嘩をして、家に帰りたくないわけでもなかった。
ただ時折、なんとなしに感傷的な気分になり、一人教室に残っては、ぼんやりとすることがたまにある。
秋の夕暮れ。
肌寒くなってきたせいだろうか。
季節の変化と、時間の流れは、時に人を感傷的にさせる。
酷く寂しいような、悲しいような。
生徒たちで賑やかだった教室に、一人残っては、そんな感傷に浸る放課後。
陽ももう沈みきる。
辺りは暗くなり、更に寒くなるだろう。
僕は席を立ち、鞄を手に取ると、教室を出た。
人気のなくなった校舎は、誰の気配もなく静かで、いつもと変わらないものだった。
家路に着き、いつもと変わらない日常へと、戻っていった。
「起立。礼。ありがとうございました」
日直の声が響き、生徒たちが口々にありがとうございましたーと復唱する。そしてすぐにざわざわとした雰囲気の中、部活に行くものや帰宅するもの、バイトに行くもの、遊びに行くものとそれぞれに分かれはじめた。
「健太!お前もカラオケくるか?」
友人の声にそちらを振り向くと、数人の男子がゾロゾロとやってくる。これからみんなでカラオケに行く約束なのだろう。
「いや、わりいけど、今日は見舞いに行く日なんだ」
そう言ってすまんと手を合わせれば、友人たちはこっちこそごめんな!と口々に謝ってくる。いい奴らだ。
俺に気にせずいけよと言って、健太はリュックを背負って早々に教室を後にした。
健太が向かったのは病院。手には土産の漫画とゲームが入っている。学校に持って行くと怒られるので、一度家に寄ってから来た。
慣れたように受付で手続きをして、すぐに病室へと向かう。ガラガラと音を立ててドアが開くと、中は大部屋で数人がこちらをみる。それにも慣れたように挨拶をすると、仕切りをくぐって、一目散に一人の女性の元に歩いていった。
「よ、佳穂。元気か」
「元気よ。また来たの?」
もうっという佳穂は、口では憎まれ口を叩きながらやけに嬉しそうだ。
「足の靭帯切ったくらいで、毎日来なくていいって」
ため息をつく佳穂の隣に腰掛けつつ、健太は土産を机に置いた。
「お前おっちょこちょいだからな。心配だろ。ほら、暇つぶしと学校のプリント」
「……ありがと」
照れくさそうに笑いながら、佳穂はプリントをペラペラと眺める。開け放たれた窓が少し冷たくなってきた風と金木犀の香りを迎え入れる。
「で、最後の大会には出れそうなのか」
「どうかなあ。リハビリによるって先生は言ってたけど、もう部活引退して勉強したらって親は言ってる」
ペラペラとプリントをめくったまま、こちらを見ない佳穂の頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
「お前はどうしたいんだよ。高校最後の試合だろ」
ぐしゃぐしゃな髪のまま、佳穂は俯く。そして震えた声で呟いた。
「……そりゃあ出たいよ。最後だもん。思いっきり全力で走りたい」
「じゃあ、メソメソしてる場合じゃないな!」
健太はニカッと笑うと、スケジュール帳を取り出す。
「一緒に作戦考えようぜ」
その様子に佳穂は安心したように笑って、もうっとまた言った。
「どっちがいい成績残せるか勝負だからね」
放課後
中学生や高校生の頃は、帰宅部で、図書委員をしていた…ホームルームが終わると、さっさと図書室に移動して、下校チャイムが過ぎても、居残っていた…特に、中学校の図書室は、木造の平屋の教室2つ分あり、本の黴臭いや、西陽で舞い散る埃の感じが、落ち着いて…
そんな、穏やかな放課後が、今でも心の支えになっている…
放課後かくれんぼ
陽が射す学校で
階段下の空間に
私は忍び込む
いつしか時は経ち
静まり返る空間で
探しに来ないから
出たら見つかった
なんだか笑えてさ
二人で笑ったの
ほんとにホッとして
見つけてくれてありがとう
放課後かくれんぼ
陽が射す学校で
過ごしたあの日々は
私の宝物
放課後かくれんぼ
チャイムが鳴ったらさ
一緒に駆け出した
自由な空の下
カーテンから差し込む光で目が覚める。
よく眠れたからか、体が軽い。
やはり健康の秘訣は8時間睡眠だな。
昨日残業祭りで夜遅かったかったから、なおさらだ。
そして顔を洗った後は、一杯のコーヒー。
やはり朝飲むコーヒーは格別だ
靄がかかった頭が徐々に晴れ渡り、思考はクリアになる。
さて頭がスッキリしたところで、これからの事を考えよう……
これからの事……
遅刻の件をどうするかだ
つまり俺は寝坊してしまったのだ
ちゃんと目覚ましをかけていたのに、こんなことになるなんて。
目覚ましが鳴った記憶はあるけど、二度寝してしまったようだ
日が昇る前に家を出ないといけないのに、既に日が昇っている
これでは、どうあがいても遅刻は確定である。
いっそ休みにするか?
うん、それがいい!
となると理由が必要だ。
それにギリギリまで会社に連絡を入れなかった言い訳もいる。
鉄板は『親に不幸があったから』だけど……
却下。
以前それ使って怪しまれたんだよなあ
さすがに三人目の親を死んだことにしたら追求された。
『実は義理の父親がいて』――という事にしたけど、あの目は信じてないだろうな。
兄弟は――
駄目だ
もう何人死んだか分からない。
二桁はかるく行くな
一人っ子なのに。
仕方ない。
一度電話し、なにか大変な事が起こったテイで誤魔化すとしよう。
スマホを取り出し、上司にかける
「もしもし俺です。
途中お婆さんが困っていたので、トラックに轢かれそうになった猫を助けて、魔王を討ち滅ぼしましてたんです」
自分でも何言っているか分からない。
もう一回言ってくれと言われても、言えないだろう
だが何となく大変そうなのは察してくれるはず。
だが現実は甘くない
スマホからは、上司のため息が聞こえる。
もうダメだ
「寝ぼけているの?
残業で遅くなったから、今日は振り替えで休みって言ったでしょ」
「えっ」
俺は、昨日の記憶を掘り起こす。
そう言えば、帰り際にそんな事も言っていたようないなかったような……
限界を超えて仕事したので、記憶が曖昧だ。
「それにもう夕方。
連絡をいれるには遅すぎるわね」
俺は、目が覚めてから初めて時計を見た。
現在の時刻、PM四時。
今日もあと少しだ。
「私ももう少し寝るから、電話切るわね。
あなたも寝足りないみたいだから、すぐ寝なさい」
上司は俺の事を、疑うこともなく、アッサリと電話を切る。
なんてことだ。
俺は寝ててよかったのか……
安堵するとともに、後悔が押し寄せる。
寝てもいいなら、心底眠りたい
だが俺はコーヒーを飲んでしまったばかりに、もう眠ることはできない。
俺はヨロヨロと立ち上がり、部屋のカーテンを開ける。
「綺麗だな」
窓から見える夕日は、人生で一番キレイな夕日だった
茹るような暑い日、私は蝉の鳴き声を聞いて、教室に一人真ん中の席に座る。
特にすることなどないのだ。
ただ、家に帰るのが遅くなればいいなと思ってしまうのだ
放課後の夕暮れを独り占めして、家の帰路に着くのはまるで一人の世界で少し楽しいと感じるからだ。