母校の周辺は観光地であったが適度な田舎であった為、令和の世にも関わらず学生が暇を潰せる施設はコンビニか本屋くらいしか無かった。それでも私たちは1時間に1本しか来ない汽車の到着時間があっという間に来ると感じてしまうほどに放課後を楽しく過ごしていた。SNSの話題を共有したり、唐突に絵しりとりを始めたり、先生も混じってダラダラ喋っていたり。「時間を無駄に消費する」という贅沢を謳歌していた気がする。最寄り駅まで徒歩5分。汽車の時間が来ると小走りで学生で溢れかえった小さな駅に向かう。汽車は二両編成。乗車する学生の数を考えるともう1両ほどあって欲しいものだった。他校の生徒に揉まれながら空席を探し、無ければ諦めて友達同士でくっついて直立する。ゴトゴト、振動に体を持っていかれないように耐えながらイヤホンで音楽を聴く。高校生っぽく単語帳なんかを開くが、もちろん頭には入ってこない。窓から見える田園風景。あのどうしようもなく無駄な時間を過ごしまくっていた放課後が、今になってどうしようもなく輝いて見えて仕方ないのだ!
10/12/2024, 3:31:09 PM