手のひらで水をすくうと、小さな池ができる。でもそれって、実は大きな宇宙なのではないかと思ったりもする。水面に映る広大な空。それは果てしなく続いている。やがて陽が沈み、手のひら中の池には夜が広がるだろう。星が瞬き、月が笑い、衛星が回る。それはまるで、手のひらの宇宙。なんてロマンチックなんだろう。夜に水を手のひらに溜めてみるのも楽しいかも?
創作
せっかく朝早くから整えた前髪は瞬く間に乱れた。スカートがめくれないように押さえながら学校までの坂道を歩く。憧れの先輩に渡す手紙を握りしめて。直接渡す度胸も無いので下駄箱にこっそり入れておくつもりだ。砂埃に目を細めながら前を向くと、そこには先輩が。絶対にこの手紙は見られてはいけないと持ち直そうとした時、特別強い突風がびゅうと吹いた。
「あっ!」
空に舞い上がった手紙は偶然にも彼の元へ。先輩はそれを拾い、その差出人と目が合った。
「これ、君の?」
風のいたずらは時として追い風になることもある。
どんな理由で泣いていようが、涙はいつも透明だ。悲しくて泣いている時は青く、怒りのあまり出た涙は赤い。そんな世界だったら少し面白いかもしれない。しかし変わらず透き通った透明は、そのうち私の心を冷静にしてくれる。目尻から流れる透明な涙は、頬を伝っていつしか握った拳にぴちゃんと落ちてかわいていく。そうやってまた、強くなっていく。
今会いたい人は居ますか?私はたくさん居ます。詳しくは言えないけれど、学生時代大変お世話になった。ある方は卒業後も定期的ににご飯をご馳走になったり、近況を話したりして仲良くさせていただいている。またある方は卒業以来会う機会も無いのであの時のお礼を言えずに時間が過ぎている。いつかあなたのもとへ伺うことができれば、あの時の未熟さを謝り、成長させて頂いたお礼を言いたい。
今日は創作
3年2組。彼が居る教室に入る。中には1人、彼だけだ。受験を目前に控えた彼はそれまで勉強をしていたのか、机の上に広げた参考書やノートの上に伏して居眠りをしている。疲れてしまったんだね。私は彼に静かに近寄り、そっと背中を撫でた。
「どうか、幸せになってね」
そこで彼が目を覚ました。うーんと伸びをして辺りを見回す。
「あれ?誰か居たような気がしたんだけど…」
3年2組、私の机の上には花が飾られている。