『待ってて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あげたいもの
たくさんあるんだよ
怖い夢
恐ろしい夢
それだけじゃないよ
辛いこと
悲しかったこと
辛かったことも
サラダみたいに添えてあげたいよ
君に
獏くん
食べて欲しいんだ
でもその前に夢で会わなきゃならないね
待っててね
『待ってて』
バレンタイン。それは、私たち学生のイベント。
校内もいつもより浮足立っている。
目を光らせる先生、誰に渡す?と話す女子たち。
毎年恒例の風景であった。
私はというと想いを寄せる男子に「待ってて」なんて言ったのに、行けない。
扉を開ければすぐそこなのに。
開けれない。行けないよ。
扉一枚隔てた先から、チョコを渡す声と、嬉しそうに返事をする彼の声が聞こえるから。
何年もあたためた心と、彼のためと作ったチョコレートは、鈍い音を立てて割れた。
待ってて
「おかあさーん」
「すぐ行くから、待ってて」
子どもを抱きしめる
振り向けば
いろんなものが散乱してて
子どもはかわいいけれど
(かわいくない日もある)
疲れる日々
子どもも成人して
「待ってて」と言うことも
ほとんどなくなくなって
そのうち私が
子どもに待っててもらうように
なるだろう
老いた母を私が待つように
「待ってて」
その言葉を聞くとあの日の出来事が思い出されます。
この言葉はまさに母が私に言ったものでした。
幼少期、買い物をしていた母が急に買い忘れに気づいて買い物カートと共に私をその場にいるようにと言ったのです。たった数分、私は怖かったです。普段見ている景色なのに母が居ないというだけで異世界に飛ばされた感じでした。周りの大人が声をかけてくれました。だけど、優しい仮面をつけた怪獣にしか見えませんでした。店内BGMが地獄を想像させる鬼の笑い声に聞こえました。周りを見れば見るほど今まで見えてこなかった「未知」が湧き出してきました。
それ以来、私の日常には「未知」が居座るようになりました。簡単に言うと全てに疑問を持ち始めたのです。やかんが沸くと音を立てて、鳥は当たり前のように飛んでいて、それを母は気にせずに洗濯物を取り込んでいて、その洗濯物は乾いていて、他にも枚挙に暇がないほど「未知」は溢れかえりました。
十数年経ち、私は高校生になりました。やかんが沸くことも鳥が空を飛ぶことも他にもなんにも疑問に思わなくなりました。だけど私の中には「あの日の私」が今でもいます。なにかある度にこの子が泣いて、叫んでいます。たぶん全ての疑問は「未知」はこの子が受け止めてくれているのです。これは私だけじゃなくみんなそうなんだと思います。電車で居眠りするサラリーマンも2人並んで登校するカップルも教室で授業をする先生も同級生を指さしてヒソヒソ笑うあの子たちもテレビに映る芸能人も眉間に皺を寄せるお偉いさんたちも。みんなみんな自分の中に「迷子の小さな自分」がいるんだと思います。人間は成長すると体が大きくなって顔つきが大人になって。だけど、心がそれに追いつかなくて必死に追いつこうにも差は縮まらなくて。だから大人な自分を作ってそれが自分だって思い込んで生きているんです。みんな本当はこの世界のあらゆる「未知」に怯えているんです。みんな同じようで違って、違うようで同じなんだと思います。
私は「あの日の私」に謝らないといけません。
私の生活は今までもこれからも「未知」が沢山あってこの子に息つく暇を与えないからです。
「ごめんね」と だけど「大丈夫」
「私はあなたを救う存在になるから」
いつなれるのかもそもそもなれるのかもわかんないけど「未知」に会ってあなたが泣いても私がその涙を無駄にはしないからそのために生きるから
だから うんと長くなるかもしれないけど
「待ってて」
「待ってて」なんて
呪いを残したあなたが
今は向こうで
待っている
もう少しだけ 待ってて
みんな 待っててね
私の 大切な家族
先に逝ってしまった家族
母さんに 弟 それに 父さん
みんな 私を置いていってしまった
母さんは 認知症になり 何も言えなくなって 病院に入った
私が ひたすら 話しかけるのみ
何か 一つでも 思い出してくれないかと 必死で呼びかける
でも 最後に 目をハッと見開いて
深い息をしてから 逝ってしまった
弟は あっと思う間に 私の知らない世界へ 旅だってしまった
何の言葉も 残してくれぬまま 私が駆けつけた時には もう冷たくなっていて 私は 泣き崩れることしか できなかった
そして 父が 帰らぬ人となった時には 私は 大切な家族を みんな失った 深い悲しみに 普通じゃない自分を知った 夜 ひたすらジャズを聞いた
自分を取り戻そうとするかのように
そんな 悲しみ 喪失感を 体にヒリヒリと感じながら 何年か過ぎた
私も 身体が 少しずつ 不自由になって行く もう少ししたら 誰かのお世話になる人生が 始まるのか
その後 いよいよ 私の番がやって来るのだろう
私自身が 家族を 私が看取ってあげたように 誰か 私を看取ってくれる人は いるのか
分からない事ばかり
だから もう 自分に問うのは止そう
それより 父さん 母さん 弟に
私も何れ 会いに行くから 待っててね
それまで 何処かへ行ってしまわず
必ず 私を待っててね と言おう
必ず 待っててね
遠くなり
近くなり
時の魔法
守れない
約束なら
最初から
しないで
信じてる
愛してる
あなたを
あなたを
『待ってて』
''待ってて''
そういったのはあなたの方なのに、
なんで忘れてんの
わがままかも知れないけど待っててほしい
私があなたに心を許せるときまで
「『待っててほしい』っつーお願いなのか、『待ってて損した』とかの継続系なのか、『どれだけ待っててもチョコは無い』みたいなバレンタインか……」
なお類似のお題としては、12月15日頃に「雪を待つ」があったわ。某所在住物書きはプチクラッカーにホイップと低価格キューブチョコをのせて、ぱくり。キリリと渋めの茶で味覚をリセットなどしている。
「ベタなやつだと、リアルで日付間違えた話なら」
待っててネタといえば。物書きが呟いた。
「仕事でバチクソ参っててよ。久しぶりの連休でよ。何分待ってても云々。……1日早く来てたっていう」
あの時の同僚、今何してっかな。物書きは過去に想いを馳せ、2個目のクラッカーを食う。
――――――
前回投稿分から、まさかまさかの続き物。
都内某所、某ブラックに限りなく近いグレー企業の昼休憩、先輩後輩2名が飯を食いつつ雑談していた。
後輩側の愚痴によると、別業種の友人が、クソ上司に先の3連休をブチ壊されたとのこと。
『慰めの言葉をちょうだい』
友人から届いたメッセージに、後輩は先輩のセカンドオピニオンもといコメントを求め、
先輩はため息まじりに、こう答えたのであった。
『美味い肉でも食って元気を出せ』
――「で、何故私まで、お前とお前の友人の焼き肉パーティーに同席することになったんだ」
「大丈夫。先輩、去年その子と会ってる」
「そういう問題ではない」
「4月15日頃。ハンドメイドマルシェ。チョコ包むためのワックスペーパー。思い出した?」
「だから、そういう問題ではない」
時は進んで終業後、後輩側のアパート。
先輩たる藤森は、後輩から提示された時刻に、指定された住所の、つまり後輩の自宅であるところの◯◯◯号室の玄関で、立ち尽くしている。
『美味い肉でも食って』。藤森は己の発したコメントゆえに、後輩とその友人との元気回復焼き肉パーティーに招集されてしまったのだ。
焼肉店は予約済み。90分食べ放題。
人数は後輩とその友人と、それから藤森で計3人。
どうしてこうなった。 だいたいお題のせいです。
「そもそも、」
「あー、もちょっと待ってて、もちょっとだけ」
「……防犯上、お前のプライバシーや安全を守るためにも、私のような職場の付き合いでしかない人間に、こうポンポン安易に住所を渡すのは、」
「そうだ先輩焼き肉終わったらチョコ食べに行こ」
「話を聞け」
もちょっと。もうちょっとだけ、待ってて。
連休ブチ壊された友人のために、後輩はなにやら1個2個、ささやかな慰めを用意している様子。
後輩によって、つい先程封切られたばかりのトレーディングキーホルダーが、友人の推しだけより分けられ、小箱に収容されていく。
それは友人を思えばこその行為であり、完全に利他的な真の絆のための出費であった。
こいつの尊い友情と、共感と寄り添いの心さえあれば、私など焼き肉の会合には不要だと思うのだが。
藤森は静かな、しかし長く深いため息を吐いた。
何故私が必要なのだ。 つまりお題のせいです。
「焼肉屋、予約の時刻まで残り15分」
「時よ止まれぇぇ!」
「パニクってる暇があったら手を動かせ」
「先輩手伝って!」
「私が見ても問題無いものか?」
「ない!先輩も沼って!両足突っ込んで!」
「無茶言うな」
ドッタバッタ、からんからん。
想定より難航した利他的行為により、先輩後輩タッグは予定から約5分遅れでアパートを出発。
全力疾走と信号運とその他諸々によって、ふたりはギリギリ2分前、予約の焼肉屋に到着しましたとさ。
おしまい、おしまい。
楽園は楽園のまま、穏やかな世界のままで、待っていてくれるだろうか?
それは信心深い者だけが行くことのできる場所らしい。
何かを信じることで善人を演じ続けられるのなら、悪い事でもないと思っている。
この世は苦痛を感じるために創られたものでもないらしい。生きづらくしているのは人間そのもので、人間がこの社会システムに執着する限り、これに終わりはないそうだ。馴染むためにいくらでも無関心を決め込めば、何も感じなくなれば、呼吸くらいは容易くなる。けれどそれを良しとしては、人は苦しみ続けるらしい。
己の汚さを自覚し、正しく生き直すために何かを信じて行動した人は、本当に"辿り着ける"のだろうか?
にこやかな表情を崩さない訪問者。少しだけ開いた玄関ドアの向こうは、まっさらな陽射しで白けて見えた。光を背後に立つ、神の教えを説く女。疑うつもりも、否定するつもりもない。けれど一つ、聞きたいことがあった。
「楽園にたどり着く人間が、辿り着いた楽園の中でも正しくあれると本当に思っていますか?」
答えはYESだ。聞くまでもない。不躾な物言いを謝罪すると、女は慣れているから気にしないでと微笑んだ。
この人はそこに、永遠の安寧があると信じている。ずっと昔に交わした約束のために正しくある者たちと、その父が住まう楽園。
玄関先で追い払われることも厭わないで、少しでも救いの教えをとやってくる。人に救いは必要だ。けれど、そんな優しさをはねのける僕は救われるべきじゃない。
「ごめんなさい、教えはいらないんです」
断りをいれる。こんな言葉で引き下がるような人たちじゃないと分かっている。だからこそ、線引をしたい。約束のために邪険にされることも厭わない人々と、人社会で生きる獣との線引を。
扉をしっかりと開け、玄関の外へ裸足で出る。女は少し驚いた様子で後退った。
「ありがとう。貴方だけでも救われますように」
暑いからとポケットに入れていた塩飴の小袋を彼女の手に強引に握らせ、戸惑うのをそのままに家の中へと戻った。
ドアスコープの向こうで、しばらく困ったように飴を見つめたあと、女は深々お辞儀をして去っていった。
あの人に楽園が待っててくれることを願う。
『待ってて』
昔から待つのは得意じゃない。
待たされるのも嫌いじゃない。
待ちの時間の間に何も起こらなければと
互いを想いながら待つ幸せはどちら?
雨宿りのバス停でずぶ濡れの彼に
傘を差し出した『私はこの後バスなので』
肌の白い目鼻立ちが整った顔の彼
友人が後ろから『バス来たよー』と呼ぶ。
傘に手を伸ばす貴方を横目に友人の元へ
数年続く怪談話はそれっきり聞いていない
『待ってて、私はまだ現世で生きたいの』
あとがき
高2の秋の日常を思い出して。
雨の日に傘がほしいのはみんな同じ!
雨の潤いが必要な私たちも傘が欲しいと
思いたった時に、差し出せる準備をね!
「今,何時?」
問いに対して
「ちょっと 待ってて〜♪」
歌い出されて
時間分からず
お題☆待ってて
「待ってて」
あれは太陽と満月が降り注いだ日の夜
星の実がなる木の下で
貴方と私は出会いました
銀河をオーロラに溶かしたみたいな色の髪
魂を吸い込んでしまいそうな夜明けの色の瞳
そよ風に囁く小さな花のような声
私は一瞬で貴方に惹かれました
貴方は多くを語りませんでしたが
私と出会えたことは奇跡か
それとも宇宙の悪戯だ
そう言いました
そして
「また会えるその日まで、待ってて」
その言葉を聞くと同時に
朝を知らせる強い風が吹いて
気がつくと貴方はいなくなっていました
それから
星降る夜も 孤独な朝も 微睡みの昼も
あの木の下で ずっとずっと 貴方を待ち続けました
でも 貴方はいつもいない
だから私は決めたのです
世界の全てを飲み込んでしまおうと
そうしたら また逢えると思って
まずは生きとし生けるもの全ての業を背負うことにしました
自然の流転 壊れた機械の悲しみ あの子の小さな罪
そうしたらきっと 全てを幸せに変えられる そう信じて
世界を少しずつ吸収しても まだ貴方には逢えない
だから私は決めたのです
今度は宇宙を飲み込んでしまおうと
人類が宇宙に捨てたデブリ たくさんの星々 暗黒物質
そうしたらきっと 全てが私の愛に変わり
全てのものが愛されると信じて
私の愛は宇宙の全てを飲み込みました
それでも貴方には逢えない
でも 私は貴方の言葉を信じています
いくら待っても来ないのなら 私が迎えに行く
貴方は私の一部になる
「また会えるその日まで、待ってて」
あのね
今 すごく頑張ってるから
もうちょっと待ってて
明日はバレンタイン。
「明日渡すからまってて」
これが君からの最後のメッセージ。
結局貰えなかったなぁ、
これは決定事項よ
必ずアナタのもとへ向かう
待ってて
これから先、君は、
誰も想像付かないような事に沢山出会うだろう。
それは君を苦しめると思うけど、
同時に助けてもくれる筈だから、
怖がらないで寧ろ、楽しみにしておくと良い。
待ってて 会いに行くから
今度こそ ちゃんと言う
もう、いい加減 選んでほしいよ
って。
_ ₁₅₃
「待ってて」そう言われてから、どれだけ時間が経過しただろうか。
「早く来てよ、」いくら伝えても、この声が届くことはない。