「待ってて」
あれは太陽と満月が降り注いだ日の夜
星の実がなる木の下で
貴方と私は出会いました
銀河をオーロラに溶かしたみたいな色の髪
魂を吸い込んでしまいそうな夜明けの色の瞳
そよ風に囁く小さな花のような声
私は一瞬で貴方に惹かれました
貴方は多くを語りませんでしたが
私と出会えたことは奇跡か
それとも宇宙の悪戯だ
そう言いました
そして
「また会えるその日まで、待ってて」
その言葉を聞くと同時に
朝を知らせる強い風が吹いて
気がつくと貴方はいなくなっていました
それから
星降る夜も 孤独な朝も 微睡みの昼も
あの木の下で ずっとずっと 貴方を待ち続けました
でも 貴方はいつもいない
だから私は決めたのです
世界の全てを飲み込んでしまおうと
そうしたら また逢えると思って
まずは生きとし生けるもの全ての業を背負うことにしました
自然の流転 壊れた機械の悲しみ あの子の小さな罪
そうしたらきっと 全てを幸せに変えられる そう信じて
世界を少しずつ吸収しても まだ貴方には逢えない
だから私は決めたのです
今度は宇宙を飲み込んでしまおうと
人類が宇宙に捨てたデブリ たくさんの星々 暗黒物質
そうしたらきっと 全てが私の愛に変わり
全てのものが愛されると信じて
私の愛は宇宙の全てを飲み込みました
それでも貴方には逢えない
でも 私は貴方の言葉を信じています
いくら待っても来ないのなら 私が迎えに行く
貴方は私の一部になる
「また会えるその日まで、待ってて」
2/13/2024, 7:50:59 PM