『待ってて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「待ってて」と、言ってくれれば良かったのに。君は何も言わずに消えたから、私は待つことさえ許されなかった。
でも知っている。そんなこと言ったら、私がいつまでだって待ってしまうことを知っていたから、君は何も言わなかった。
『待ってて』
私の友人はよく待ってて、と言う。
例えば…漫画を貸したとき
「あぁ…ごめん!もう少し待ってて!」
予定に遅刻しているとき
「ごめん待っててくれない?!」
私はこの言葉にうんざりしていた。
どれだけ待てばいいのか。
そろそろ友人と縁を切ることを考えるべきだろうか。
何度言っても直さない友人に腹を立てた私はついにそう考えた。
そんなある日のこと。
友人は私を小さな公園に呼び出した。
「何?」
また何か貸してとでも言うのだろうか
そんな考えは的中することはなく
「これ!」
今まで貸してきたものとアイス、そしてお詫びと書かれた手紙
「え…」
私はつい驚いた。
何故なら貸した漫画は異常に綺麗で新品へと変わっていたから。
「…ごめん、」
彼女が謝りながら事の顛末を話す。
彼女の家は貧乏で、漫画なんて珍しいものだった。
だから彼女は弟や妹にも読ませてあげようと思ったのだと。
だが彼女が目を離した間に弟が漫画を汚したのだと。
拭いてもどうにもならない汚れを見て私に返せないと判断。
時間が少しでもあればバイトを詰めていたそう。
そんな中弟達の世話もしていたらしく彼女は言わなかったが私はそのせいで遅刻したのだろうと察した。
そうして貯金を貯め、漫画を購入そして今までのお詫びとしてアイスをつけたのだと。
「…はぁ、あんたさぁ」
私は溜息をつく事しかできなかった。
「アイス買うお金あるなら弟達に食べさせなよ
私に奢るのはあんたがもっとお金持ちになってからでい
いよ」
「!うん…!ありがとう…今度こそ、約束破らないから、待ってて!!」
誰かのために、私は動く。
その誰かはきっと私に期待をよせるだろう。
その期待に答えるために、私は動く。
その誰かはいつまで待ってくれるかわからないが、待っててくれるなら、その間だけでも一生懸命頑張ろう。
昼過ぎにメッセージアプリの通知音が鳴った。
外回りに出てる後輩か、期日の近い仕事を押しつけてくる上司か。どちらにせよ面倒事なのは変わらない。
溜息をつきつつ仕事用のスマホをみる。が、誰からも連絡はきていない。
慌てて私用のスマホを取り出す。
チカチカと点滅するライト、伏せられた通知内容にさらに慌てる。
私用とはいえ、数少ない友人はみんな俺と同じような仕事をしていて昼間に連絡なんてほぼしない。両親も健在だが生存確認される程度だ。
そうなってくると思い浮かぶのは、最近婚約したばかりの彼女である。俺と同じでモノグサなやつだから連絡なんて滅多にしてこない。でも重要なことを唐突にポツリとこぼすから油断ならないのだ。
少しくらいなら、とメッセージを確認する。
『熱でて早退した』
『夕飯は食べてきて』
おい、おい。何を言ってるんだこのおバカは。
特大のため息をついて、考える。自宅の常備薬の有無、冷蔵庫の中身、病院いったのか、熱はどれくらい、症状は。
ぐるぐると彼女のことだけが頭の中を駆け巡っていく。
『絶対定時で帰る』
『待ってて』
もう俺も熱でたことにして帰るか。
画面端の時刻をみてまた悩む。仕事は後輩に投げて上司は日頃の借りを返してもらおう。彼女の方が大事だもん。
また女々しいと睨まれるのだろうな。
【題:待ってて】
待ってて
「待ってて」
君は確かにそう言った。物的な証拠はないけれど、確かにこの記憶に残っている。
あれからもう10年が経った。君は今どこで何をしているのだろうか。昔に比べすっかり歳をとってしまった僕を見て、君は僕と分かるのだろうか。今や社会の歯車と化した僕は、もはや君に相応しい人物ではない気がする。君の記憶に縋って生きている僕という人間は、10年前から時間が止まってしまったようだ。
気がついたら、約束の場所であなたを待ってて。
来ないことなんて分かりきってるけど。
いつか私もあなたのところへ行くから。
だからそれまで待ってて、
【待ってて】
貴方がいなくなってから1ヶ月、2ヶ月、そして今日で1年の月日が経つ。何処を探しても見つからない。探しても探しても見つかる気配すらない。でも、待ってて。いつか貴方に必ず会いに行くから。
幼い頃に指切りした約束の場所
もうすぐ私の魂もそこへ行く
待たせてしまったかも知れない、けれど絶対に逢いにいくから
沢山の記憶のお土産を持って
『待ってて』2024,02,13
300字小説
俺と使い魔
曽祖父の記録にあった山頂に佇む巨大鷲の姿に俺は目の前が真っ暗になった。いい加減だった曽祖父が無責任に
『待ってろ』
と命じて放置していた使い魔。健気に命に従っていた姿に罪悪感が胸を刺す。
『やっと戻って来てくれたんだね』
喜ぶ姿に俺は曾孫だとも言えず頷く。
「独りぼっちにして悪かったな。これからはずっと一緒だ」
君を最初に見た時から、彼と違うのは解っていた。震える声で
「すまなった」
と僕に抱きついたとき、僕は僕の意思で君といたいと思った。
僕に掛けられた契約魔法を解除する方法を探し出して、僕を自由にしようと旅を始めた君。
彼と間違えているふりで一緒にいるけど、魔法が解けたら僕は君と契約して君の使い魔になるんだ。
お題「待ってて」
執筆中。
(しばらくお待ちください→ネタじゃないよ(笑))
これ書いてから保留にしてたらハートがめっちゃ頂けたのでもうこのままの作品で出しちゃおうと決めた(笑)
テーマ:待ってて
美しい夜空を背に向け、彼女はこう言った。
「後2年だから、2年後の今日21時32分にまた会おうね」
―その約束を交わしてからどれくらい時間が過ぎたんだろうか
貴方は来なかった。2年経っても、
私はこの場合でずっと待っていたのにね
「待ってて」
下駄箱で待ってて
一緒に帰ろ
と、彼氏に言われてみたい人生だった
(女子校育ちより)
みんなが終わるまで待っていたら、待たされる人たちが可哀想と言われた。それなら習熟度別で自分のペースでできるところを選べるようにしたら良い。
でも実際は色んな能力の人たちが同じところに集まって過ごす。飽きさせないように違う課題を用意しているが、結局それも結構な手間。まずは根本から変えていかないと働き方改革なんて口だけのものになる。
未来の私よ、
私が成長するのを待ってて!
あなたが未来の私なら、
私はそこまで行き着くことができると保証されている。
誇れる私になれる。
安心して向かうことができるから。
誰のためでもない、自分のために、
ただ自分に満足できるように。
自分を殺す口実を作らないように
あなたになりにいく。
【待ってて】
わたしは今も、あの子を待っている。
わたしは昔、友達と約束をした。
友達は同じ習い事をしていたけど、引っ越してしまうらしかった。
あの子は言った。
「3年後に帰ってくるから。またこの習い事するから、待っててね」
あの子は帰ってこなかった。
引っ越したまま帰れなくなってしまったのか、習い事をやめてしまったのか、それとも別の理由があるのか。それはわからない。
しばらくして、ある時、習い事をやめないかと言われた。
言い訳をして断った。わたしに才能がないことは知っていたし、他にもっと安く良いことを教えてもらえる場所があるのも知っていた。
でも、あの子を待ちたかった。
あれからしばらくしたけど、やっぱり帰ってこなかった。
あの頃は、引っ越した子ともうひとりとで仲良し3人組だった。
もうひとりの子は上のクラスに上がってしまって、わたしは取り残された。
その子とすれ違ったこともあったけど、その子のまわりには他の友達がたくさんいた。
よかった、と思った。
わたしなんかに囚われず、もっといい友達と出会えたんだ。
その事実に、なんだか安心したのだった。
きっと引っ越したあの子も、新しい友達ができたのだろう。
実際、わたしも新しい友達がたくさんできた。みんないい子。
でもわたしは心のどこかでずっと待っている。
「待っててね」
あの子は、確かに、確かにそう言ったのだから。
数十年後の君へ
数十年後でもずっと一緒に居れてるといいな
だから、僕のそばで待っててね
好きです。
知ってる。
ちぇっ。
こらこら。
待っててよ。次こそは。
ああ、次こそな。
今日もまた踏み出せなかった。
あと一歩踏み出せばそこにあるだろう幸せを
この臆病者は何度掴み損なったのだろう。
次こそ、次こそは。
すまない。その時まで
君も待っててくれ。
待ってて
Theme:待ってて
私は小鳥と一緒に暮らすことが夢だ。
心の病を患って、生活を維持することさえ難しい今は手の届かない夢ではあるけれど。
一度壊れてしまった心はそう簡単には元に戻らないそうだ。
薬を服用しているだけでは治らない。
自分の過去に向き合ったり、考え方をより柔軟にする訓練をしたり…完治することはなく落ち着いた状態を保つことが目標だという。
また、再び心が壊れてしまう可能性、つまり再発率が非常に高いそうだ。
私にとっては、それは死を宣告されたに近いものだった。
もう以前のように仕事をすることはできない。
もう今までの価値観で暮らしていくことはできない。
今まで積み上げてきたものはすべて崩れてしまった。
再発に怯えながら、今の自分を受け入れて新しい価値感を積み上げていくしかない。
これから、生涯をかけて。
絶望した私を救ってくれたのは、ホームセンターで出会ったキンカチョウだった。
小さな瞳でしばらくこちらを興味深そうに見ていたが、やがて飽きてしまったのか粟の穂を啄んだり、機嫌よさそうにめぇめぇと独特な囀りを披露している。
奔放なその姿に、思わず頬が綻んだ。
やっぱり、私は鳥と暮らしたい。
すぐには無理だろうけど、きっといつか一緒に暮らしたい。
そんな目標を、希望を呼び起こしてくれた。
待ってて、未来の私。
貴方が小鳥を迎えられる日が来るように、諦めないから。
時間はかかると思うけど、どうかその日を待ってて、信じていて。
【待ってて】
私は待っている者を助けることができなかった。
私が小学生の頃の話である。
私はその頃ゲームが好きであった。
友だちもみんなやっており、任天堂歴でいうとDSが出るくらいの時分であった。
私がはまっていたのは『ポケモン不思議のダンジョン』とかいうゲームだ。
自分がポケモンとなって、他のポケモンたちと戦いながら救助を求めるポケモンを助けたりするゲームである。
あるポケモンが、
「棟から出られなくなったから助けにきてほしい。お礼は弾む。」
という内容で救出を求めていた。
お礼に目が眩んだ私は、仲間たちと助けに行くこととにした。
「待ってて!」と意気揚々と向かう。
だが思ったよりもステージが難しく、なかなか助けることができない。
私のプライベートも忙しくなり、ゲームをする時間がなくなっていった。
中学になりゲームはほぼしなくなっていた。
あの頃私に助けを求めていたポケモンは、今でもあの棟で助けを待っているのだ。
私は無情にも助ける力を持ち得ていなかったのである。
15年ほどの時を経て、ゲーム機も壊れてしまっていた。
つまり私が救出に向かう術は断たれたのである。
彼らの人生が続いているのならば、同様に15年の月日が流れているのだ。
あのポケモンはまだあの棟にいるのだろうか?
15年も経てば自力で棟から出られたのではないだろうか?
他の捜査員が助けに行ったのではないか?
待て、私でも手こずったあの棟だぞ?行けるのか?
いや、それとももうすでに…。
私は助けを求めている者を助けることができなかったのだ。
できないことはできないと言うことが大切であることを学んだのである。
欲に目が眩んでも、私ができることに集中すべきなのだ。
さすがは天下のポケモンである。
ゲームができなくなっても深い示唆を与えてくれるのだ。
もしもあのポケモンがまだ助けを求めているのならば、それは大バカである。
私にもできないことがあるのだ。勝手に期待されても困る。
貴様も助けを待つのではなく頑張って降りるべきである。
敵のポケモンとは戦うのではなく、話し合いで解決するべきなのだ。
そのままだと社会に出て苦労するぞ。
待ってて
※ペットロス中の方がいましたら注意してください。
縁側で新聞を読んでいると、チャカチャカ足音を立ててチビが来る。フサフサと自慢気に尻尾を揺らし、当たり前のように俺の膝に乗ってきた。
「おい、チビ。邪魔だ」
「お父さんったらまた憎まれ口叩く」
花恵が続けて「離れたら離れたで、チビチビ言って探すくせに」と笑いながら言うもんだから、俺は何も言い返せず膝に居るチビを撫でる。チビは心地良いのか目を細めて黙ってそれを受け入れていた。
「また春が来たら桜が見れるぞ」
言葉が分からないはずだが、チビは目を開いてどこか嬉しそうな顔をして俺を見つめた。
チビはいつも俺の傍に居た。小さいからふとした拍子に踏んじまいそうで落ち着かなかった。ろんぐなんちゃらとかいう小洒落た犬種で、無駄に毛並みが良いし、あとは大きい目をしていた。
――また、この生意気な犬と桜を見に行くつもりだった。
あれは朝の散歩をしていた時だ。突然だった。本当に、わけがわからなかった。
パタリとチビが倒れたのだ。俺はチビを抱き上げて直ぐに病院に向かった。心臓がバクバクと動いているのに、やけに周りの音が遠くに聞こえる。
とにかく早く、早く、頼むから、大した事ないと言ってくれ。ただの立ち眩みだと言ってくれ。
犬用のバッグから見えるチビは、浅い呼吸を繰り返すばかりだった。
医師から、心臓の大きさや血が流れていく動きの状態が悪い……そんなようなことを聞かされた。小難しい話を分かるように説明しようとしてくれているのは理解できたが、俺は力なく尋ねた。
「チビは治りますか」
それに医師は言い淀む。俺は腕の中のチビを苦しくないよう抱きしめた。
「死なないでくれ」
情けない声で小さな命にすがりついた。
……それから数日後、チビは居なくなった。家の中に響いていた足音は聞こえないし、膝の上の温もりもない。縁側でぼんやりしていると花恵が隣に座ってきた。
「静かね」
「そうだな」
会話は短いが、その中には俺達にしか分からない重みがあった。
「虹の橋のたもとですって」
葬式を終えた後にもらったパンフレットを見ながら花恵は言う。
「そこでチビが待っててくれてるから、行くときは大好きなおやつを持っていってあげましょうね」
「……そうだな」
「だから、もう少し待っててもらいましょう」
震える声で俺を慰める花恵に、気の利いた言葉を返すことができないまま、俺は内側から溢れる感情や今までの思い出を涙にしていた。
「――もっと、色々してやりゃあ良かった」
小さいくせに存在が大きすぎたんだよ。お前は。
だから、また会った時は覚えてろ。膝に乗せて、嫌がるまで頭を撫でてやる。
――記憶の中のチビが嬉しそうな顔をして、尻尾を振った。
日々家
▼余談/登場人物
秋永 芳朗(あきなが よしろう)
秋永 花恵(あきなが はなえ)
秋永 チビ(あきなが チビ)
▼
自分の抱える思いを話に託しました。