ストック

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Theme:待ってて

私は小鳥と一緒に暮らすことが夢だ。
心の病を患って、生活を維持することさえ難しい今は手の届かない夢ではあるけれど。

一度壊れてしまった心はそう簡単には元に戻らないそうだ。
薬を服用しているだけでは治らない。
自分の過去に向き合ったり、考え方をより柔軟にする訓練をしたり…完治することはなく落ち着いた状態を保つことが目標だという。
また、再び心が壊れてしまう可能性、つまり再発率が非常に高いそうだ。

私にとっては、それは死を宣告されたに近いものだった。
もう以前のように仕事をすることはできない。
もう今までの価値観で暮らしていくことはできない。
今まで積み上げてきたものはすべて崩れてしまった。
再発に怯えながら、今の自分を受け入れて新しい価値感を積み上げていくしかない。
これから、生涯をかけて。

絶望した私を救ってくれたのは、ホームセンターで出会ったキンカチョウだった。
小さな瞳でしばらくこちらを興味深そうに見ていたが、やがて飽きてしまったのか粟の穂を啄んだり、機嫌よさそうにめぇめぇと独特な囀りを披露している。
奔放なその姿に、思わず頬が綻んだ。

やっぱり、私は鳥と暮らしたい。
すぐには無理だろうけど、きっといつか一緒に暮らしたい。
そんな目標を、希望を呼び起こしてくれた。

待ってて、未来の私。
貴方が小鳥を迎えられる日が来るように、諦めないから。
時間はかかると思うけど、どうかその日を待ってて、信じていて。

2/13/2024, 12:23:54 PM