300字小説
俺と使い魔
曽祖父の記録にあった山頂に佇む巨大鷲の姿に俺は目の前が真っ暗になった。いい加減だった曽祖父が無責任に
『待ってろ』
と命じて放置していた使い魔。健気に命に従っていた姿に罪悪感が胸を刺す。
『やっと戻って来てくれたんだね』
喜ぶ姿に俺は曾孫だとも言えず頷く。
「独りぼっちにして悪かったな。これからはずっと一緒だ」
君を最初に見た時から、彼と違うのは解っていた。震える声で
「すまなった」
と僕に抱きついたとき、僕は僕の意思で君といたいと思った。
僕に掛けられた契約魔法を解除する方法を探し出して、僕を自由にしようと旅を始めた君。
彼と間違えているふりで一緒にいるけど、魔法が解けたら僕は君と契約して君の使い魔になるんだ。
お題「待ってて」
2/13/2024, 12:36:20 PM