趣味没頭学生

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『待ってて』


私の友人はよく待ってて、と言う。


例えば…漫画を貸したとき
「あぁ…ごめん!もう少し待ってて!」

予定に遅刻しているとき
「ごめん待っててくれない?!」

私はこの言葉にうんざりしていた。
どれだけ待てばいいのか。
そろそろ友人と縁を切ることを考えるべきだろうか。
何度言っても直さない友人に腹を立てた私はついにそう考えた。


そんなある日のこと。
友人は私を小さな公園に呼び出した。

「何?」

また何か貸してとでも言うのだろうか
そんな考えは的中することはなく

「これ!」

今まで貸してきたものとアイス、そしてお詫びと書かれた手紙

「え…」

私はつい驚いた。
何故なら貸した漫画は異常に綺麗で新品へと変わっていたから。


「…ごめん、」

彼女が謝りながら事の顛末を話す。
彼女の家は貧乏で、漫画なんて珍しいものだった。
だから彼女は弟や妹にも読ませてあげようと思ったのだと。
だが彼女が目を離した間に弟が漫画を汚したのだと。
拭いてもどうにもならない汚れを見て私に返せないと判断。
時間が少しでもあればバイトを詰めていたそう。
そんな中弟達の世話もしていたらしく彼女は言わなかったが私はそのせいで遅刻したのだろうと察した。
そうして貯金を貯め、漫画を購入そして今までのお詫びとしてアイスをつけたのだと。

「…はぁ、あんたさぁ」


私は溜息をつく事しかできなかった。


「アイス買うお金あるなら弟達に食べさせなよ


 私に奢るのはあんたがもっとお金持ちになってからでい
 いよ」

「!うん…!ありがとう…今度こそ、約束破らないから、待ってて!!」

2/13/2024, 12:52:37 PM