はな

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わたしは今も、あの子を待っている。
わたしは昔、友達と約束をした。
友達は同じ習い事をしていたけど、引っ越してしまうらしかった。
あの子は言った。
「3年後に帰ってくるから。またこの習い事するから、待っててね」
あの子は帰ってこなかった。
引っ越したまま帰れなくなってしまったのか、習い事をやめてしまったのか、それとも別の理由があるのか。それはわからない。
しばらくして、ある時、習い事をやめないかと言われた。
言い訳をして断った。わたしに才能がないことは知っていたし、他にもっと安く良いことを教えてもらえる場所があるのも知っていた。
でも、あの子を待ちたかった。
あれからしばらくしたけど、やっぱり帰ってこなかった。
あの頃は、引っ越した子ともうひとりとで仲良し3人組だった。
もうひとりの子は上のクラスに上がってしまって、わたしは取り残された。
その子とすれ違ったこともあったけど、その子のまわりには他の友達がたくさんいた。
よかった、と思った。
わたしなんかに囚われず、もっといい友達と出会えたんだ。
その事実に、なんだか安心したのだった。
きっと引っ越したあの子も、新しい友達ができたのだろう。
実際、わたしも新しい友達がたくさんできた。みんないい子。
でもわたしは心のどこかでずっと待っている。
「待っててね」
あの子は、確かに、確かにそう言ったのだから。

2/13/2024, 12:30:33 PM