『寒さが身に染みて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
冬はあえて寒さを感じるようにしていた。その季節にしか出来ないことだから。今思うと子供っぽくて笑ってしまう。そもそも、寒さをしっかりと感じていたかすら分からない。今じゃ上も下もヒートテックを着て、室内ですらあったか靴下を履いている。今日からは、この衣類の温かさを感じるようにしよう。その季節にしか出来ないことだから。いや...そうでもないな。
《寒さが身に染みて》
書けたら書きたいな
2026.1.11 《寒さが身に染みて》
「何から話せばいいかな?」
囲炉裏端に座り、睦月《むつき》は笑顔で燈里《あかり》と楓《かえで》に問いかける。
冬玄《かずとら》はここにはいない。家に戻ってすぐ、久子《ひさこ》と共に浜吉《はまよし》の家へと出ていってしまった。
「一番最初の話は手紙に書いた通りだし、その後について行った人たちもおんなじ感じだしなぁ」
「同じなの?本当に皆、自分の意思でヒガタについていったの?」
どれだけヒガタと共に姿を消した人がいるのかは分からない。だが、その誰もが自らの意思でヒガタについて行ったことが、燈里には信じられなかった。
「そうだよ。夢の中で見た皆、行かないとって、ヒガタと一緒に出ていったんだよ。削がれてしまって戻れないから」
「削がれた、ねぇ。君はそれが何を意味するか知ってるかい?」
燈里の夢の中で、睦月が言っていたことを思い出し、楓は僅かに目を細める。
何が削がれたのかは手紙の内容からも、夢の中で見たものからも分からなかった。
「知らない。でも何となく分かる気がするの。入ってきた分溢れて、それが元に戻らないから削がれた、みたいな感じ?」
首を傾げながら睦月は言う。それを理解できずに燈里は眉を下げるが、楓は表情は変えず視線だけを鋭くさせる。
入り込んできたもの。そして夢の中の睦月が言っていた、燈里は溢れていないという言葉。
燈里にとっての楓という存在が、この村にはいて、それをヒガタが連れていくのだろうか。
だが、溢れたとは何を意味するのか。何が溢れて、削がれてしまったというのか。
「そういえば、お姉さんのお姉さん以外が入っているのに、泣けるんだね」
茶請けの饅頭を齧りつつ、湯呑みに新しく茶を淹れ直しながら睦月は問いかける。燈里と楓の湯呑みをにも茶を淹ている睦月の表情は、とても不思議そうだ。
「入っているって、どういうこと?」
「え?だっているでしょ?お姉ちゃんが」
楓を指差し、睦月は当然であるかのように告げる。
「夢の中でお姉さんと話して、腕を掴まれた時に流れてきたの。よく分かんなかったけど、楓お姉ちゃんが燈里お姉さんの中に入った後も、お姉さんは泣いている所を何度か見たよ」
夢をほとんど覚えていない燈里とは違い、細部まで記憶している楓は睦月の言葉に眉を顰める。
相手が誰であれ、こちらの情報がすべて開示されたことへの危機に、楓は密かに警戒を強める。だが睦月の言葉を思い返し、そこに引っ掛かりを覚えて問いかけた。
「泣く、泣かないが、削がれたことにどう関係するんだい?」
泣かない子が、ヒガタについていく。その子に何かが内に入り込み、そのために溢れたものが削がれてしまった。
情報の断片を繋ぎ合わせ、形を作っていく。それはとても歪で、不穏の形をしている気がした。
「もちろん関係あるよ。泣いたり怒ったりするのが、溢れて削がれるの。削がれちゃうと戻らなくなるから、ヒガタについて行くんだよ」
茶請けの金平糖を口に放り、噛み砕きながら睦月は笑う。
「ご先祖様が生きてた時はまだヒガタがいなかったけど、ご先祖様は一人で山に行ったんだって。今年はわたしの番みたいだから、明日か明後日にはもっと溢れて削がれちゃうのかな」
睦月の表情に恐れはない。その異様さを掻き立てるように、ぱちん、と囲炉裏の火が音を立てた。
その頃、冬玄は久子と共に浜吉の家を訪れていた。
「なんだべ。おらいは咲子の話はよぉ知らんよ」
冬玄と久子に茶を出しながら、浜吉源護《げんご》は困惑したように眉を寄せた。
「咲子の話は、久子ばぁの方がよぉ知っとるだろうに」
「ヒガタの祭りを持ち込んだのが、この家だと聞いた。それが知りたい」
「あぁ、そっちか」
端的に問う冬玄に、源護は頭を掻きながら炬燵に入る。出された茶を啜る久子をちらりと一瞥し、小さく息を吐いた。
「確かに、おらいの先祖がヒガタを持ち込んだ。元々先祖はここでねぇ、海で漁師をしてたんだが、なんでか海に出れんくなって、逃げるようにここさ来たって伝わっとる」
「なら、あのヒガタは港町の来訪神か」
「んだ。故郷の祭りさ始めた理由は知らんが、恋しくなったんでねぇべか……んで、しばらくは小正月に家々さ回って、童っこさ脅かして、大人だけで打ち上げさやって楽しんでたんだが、咲子の件とモドキの件さあって、やんねくなったんだ」
茶を啜りながら、源護は疲れたように嘆息した。静かな家を厭うように首を振り、暖房の温度を上げる。
「祭りをやんねくともヒガタは時々、小正月に来んだ。だからおらいの嫁っこと子供は、小正月が終わるまで麓の街さ出してる。連れてかれっからな」
「連れて行かれるのは、女子供だけなのか?」
「さぁな。だが、今まで連れてかれっちまったのは、子供ばっかりだ。大人は聞いたことがねぇ」
「そうか」
港町の来訪神。連れて行かれる子供。
ひとつひとつ情報を確認しながら、冬玄は手紙に書かれていた娘の状況を思い出す。
娘の家に訪れたヒガタは、源護らの言うモドキではなかったはずだ。だというのに、最初からヒガタは来訪神らしくなかった。
静かに佇み、何をするでもなく去っていく。その後に、娘は続いて山へと消えていった。
削がれたという言葉が気にかかる。しかしこの場で聞いた所で誰も答えを知らぬだろうことを冬玄は理解していた。
「ひとつ聞きたい。咲子という娘は、いくつでいなくなったんだ?」
問われて、源護は眉を寄せる。遠い記憶を辿るように宙を見つめ、確か、と首を傾げつつ答えた。
「十四、だったか。それぐらいだったと聞いたことがあるけんど」
「十三だよ」
それまで黙していた久子が口を挟む。冬玄を見つめ、悲しく微笑んだ。
「咲子の誕生日は一月二十二日だ。その時はまだ、咲子は十三だったんだよ」
「十三か……なら、七年前はまだ七つにはなってないということだな」
「七年前?なんじゃそりゃあ?」
「咲子の弟が死んだ年だね……そういえば咲子、葬式では涙一つ見せなかった。あんなに大切に世話を焼いていたはずなのに」
久子が悲しげに目を伏せる。
それを気にかけず、冬玄は戻るために席を立とうとした時だった。
――しゃん。
風の音とは違う、鈴のような、金属が打ち鳴らされるような音が聞こえた。
「今の音は何だべ……それに、暖房さつけとんのに、寒ぃな」
ふるり、と身を震わせて源護はさらに暖房と炬燵の温度を上げた。それでも寒さが身に染みるのか、体を震わせながら上着を羽織る。
久子も何も言わないものの、その体は細かく震えている。冬玄は外を警戒しながらも、着ていた上着を久子にかけた。
「私は大丈夫だ。だから、」
「いいから来ていろ。お前らの言う、モドキが来ている」
「そんなはずねぇべ!ヒガタもモドキも小正月の晩さ来る。今までがそうだった!」
混乱し、戸惑う源護と久子を一瞥し、冬玄は部屋を出て、玄関へと向かった。
先ほど聞こえた音は、聞こえない。だが代わりにず、ず、という地面を擦るような音が家の前を通り過ぎていく。
吐く息が白を増していく。玄関周りが薄らと霜が降り始める。
きん、と冷えた空気。それは凍てつく冷たさを宿しながらも、神聖さすら感じられる澄んだものだ。
「山の気配……領域を連れてきているのか、それともモドキ自体が領域なのか」
玄関扉の向こう側にいる何かの気配を辿りながら、冬玄は眉を寄せ呟いた。
嫌な気配ではない。だからこそ違和感が拭えない。
何もかもがちぐはぐだった。元は港町の来訪神が山の気配を連れてくることも、この清浄な空気も。
「――燈里の所には、行かないみたいだな」
しばらく付近を彷徨っていた音が山の方角へと戻っていくのを感じ、冬玄は詰めていた息を吐いた。音が遠ざかるのに合わせて、凍てつく寒さが和らいでいく。
居間の方でも寒さが和らいだのだろう。暑いと騒ぐ源護の声と共に、久子が上着を持って居間から出てくる。
「これ、ありがとうね。大丈夫だったかい」
「あぁ、問題ない。悪いが先に戻る」
「そうかい。声をかけてくるけぇ、先に戻るといい」
そう言って居間に戻る久子を置いて、冬玄は家を出た。
外は変わらず雪が振り続いている。道は雪に覆われ、何の痕跡も見当たらない。
しかし薄らと残る澄んだ空気が、ここに何かがいたことを確かに示していた。
「悪い感じはない……やはり咲子とかいう娘は、神を見て混じったな」
足早に燈里たちの待つ家に向かいながら、冬玄は眉を寄せ呟いた。
人は、七つまでは神のうちという。
七歳を迎えることで、神の領域から人の領域に変わるのだと古くから言われていた。
その七つを迎える直前に、咲子という娘は来訪神を見てしまった。その結果、まだ神に近かった娘は神の一部を身の内に取り込んでしまったのだろう。
「新年早々に、厄介なものに巻き込まれるとはな」
溜息を吐きながらも、その目は鋭く険しさを帯びている。
この先に起こるであろうことに燈里が巻き込まれる確信に、冬玄の影が不穏にゆらりと揺らめいた。
20260111 『寒さが身に染みて』
朝六時半。アラームで目が覚める。
いつもなら憂鬱な朝だが、今日の月曜日は祝日だった。
午前中は部活があるけれど、学校がないだけマシだ。
スマホの画面に溜まっている通知を見る。
「〇〇高校ソフトテニス部 2件」
部活のグループLINEだ。
「今日の部活は雪が積もっているのでオフにします」
「各自テスト勉強をしておくように」
すぐに窓の外を見ると、久しぶりに雪が積もっていた。
一面が銀世界になっていて、しばらく見とれていた。
部活がオフなので、朝から勉強してみようと思ったが、どれから手をつけていいのか困っていたら、やる気を失ってしまった。
「はぁ。」
私は今までの人生で苦労して頑張った経験がなかった。
スポーツ推薦で入った高校は、偏差値もそこそこ高くて、この辺りで人気な高校だった。
私は学力が低く、スポーツ推薦で入学した。
周りのいい環境に甘えていた自分がとても恥ずかしくなった。そして、自分の力で合格出来なかったことに、悔しさを感じた。
こんな自分に心底がっかりする。
今日は休みなのに朝からこんな気持ちになりたくないと思い、気分転換に散歩に行くことにした。
❄︎.*
息を吸うとひんやりとした空気が体内に入ってくる。
太陽の光が差し込むと、雪の粒が静かに輝いた。
まだ誰も通っていない綺麗な白い道は、世界に私一人だけしかいないように思えた。
でも、それは孤独感ではなかった。
微かに雪が降り、霧のように舞う。
さっきまで沈んでいた心は、手の上でゆっくり溶けてしまう雪のように、儚く浄化していった。
寒さは相変わらず身にしみていた。
それでも、立ち止まっていた時間は、無駄ではなかったのかもしれない。
そう思えた朝だった。
私はまだ、胸を張れるほど頑張ってはいない。
でも、何もしないままじゃいけないと思えた。
雪に覆われた道みたいに、これから踏み出す足跡は、まだ何もついていない。
帰ったら、机に向かってみよう。
たとえ十分じゃなくても、一歩でいいから。
びーえる風味。
「おいちょっと動くなよ」
少し動いただけなのに後ろの方から抗議の声が上がる。
「おまえなー人のこと風除けにしてるくせに文句言うなよ」
顔ひとつ分下に顔だけ向けて反論する。
「お前の方が大きいんだから思う存分風除けになってろよ」
寒い寒いと身を縮こませながら人の背中にぴとりとくっ付いて寒さを凌いでいる。
確かにここ最近暖かい日が続いてはいたが、時折り冬の寒さを発揮してすごく冷える日がある。
まさにそんな日。
日差しは暖かいのに吹く風は氷のように冷たい。
どこかに出掛けようと元気いっぱい人の家に現れたくせに外に出た途端これ。
「そんな寒いならもっと防寒して来いよ」
ただでさえ細身で寒そうなのに着ているものは明らかに今日の気温には足りてない。
「こんなに寒いとは思わないやん」
俺の家に来るまではどう感じてたんだ?
変わらず寒かったと思うけど?
とは思うけど反論されそうなので黙っておく。
「ちょっとここで待っててよ」
そう言うとあからさまに不満そうな顔で見上げてくる。
「こんなに凍えてる俺を置いてどこに行く気だよ」
まぁまぁと宥めてその辺の陰に避難しときなーと風が当たらないような建物の元に誘導する。
「ちょっとだから。そこで待ってて」
そう言って近場の自販機の元へ。
あいつの好きなココアと自分のコーヒーとを急いで買って戻る。
「ほら」
凍える彼の目の前に差し出すと嬉しそうな顔をして小さな缶を大事そうに頬に当てたり手を温めたりしてる。
「さんきゅーな」
あったかいとか呟きながら小さな温もりで暖を取っている。
それでも見てるこっちはやはり寒そうで。
「こっちもあげようか?」
自分の分のコーヒーも差し出す。
いいの!?と目を輝かせて手を伸ばして来たから。
その手を掴んで自分の幾分大きめのコートのなかに引き入れた。
測らずしも俺に抱きつくカタチになってしまった彼は抗議の声を上げる。
「お前何すんだよ!!」
離せよとジタバタするからちょっと強めに抱きしめて動けないようにする。
「だってお前寒そうなんだよ。見てるこっちが寒い。大人しく入っとけ」
何か胸元でもごもご言ってたけど暖かさに負けたようで。少ししたら大人しくなった。
ちょっと力を弱めてコートのなかを覗き見る。
「ヤローに抱きしめられてんのはアレだけど確かにあったかいな。今日は許してやろう」
何だか偉そうに顔を埋められる。
「そだろそだろ。ヤローに抱きしめられたくなかったらもっと厚着して来いよな」
「それは考えとく」
「何でだよ」
寒い日も案外悪くないなと密やかに笑う。
それを理由に触れ合えるのだから。
(寒さが身に染みて)
寒さが身にしみて
震える背中に
そっと寄り添えば
あなたの涙を消すことができるかしら
あなたがそれで微笑み返してくれたなら
凍てつく私の心がとけて
忘れていた優しさを取り戻せるかしら
失くしたものがあまりにも多すぎて
抱きしめた両腕が震える夜
【幸せとは】、あめ玉みたいに口にしてしまえば、また欲しくなるものなのよ。(1/5)
朝から雪、昼には止むらしい。お昼時、外を見ると虹が出ていて見事な【冬晴れ】、良いことあった。
(1/6)
誰かが言った。【君と一緒に】成長する物語はダメだと、いったい何がダメなのだろうか、夢が広がりすぎて収集がつかなくなるから?それとも、堕落しすぎて現実を忘れるから?自分で終わりが見えないから?(1/7)
土の所が【雪】で白銀に変わっている。コンクリートの道はまだ無事、でもあと何時間もつかな。(1/8)
パーソナルカラーというのをご存知だろうか?肌を明るくみせたり、健康的にみえるようにしてくれる色であり、春夏秋冬と四季で簡単に表しているものだ。【色とりどり】のお化粧品や服選びに困った時に、ふと思い出して検索してお役に立てれば御の字です。(1/9)
何がとは言わんが、もうすぐ11周年か。人にとっては長いのか短かったのか、どちらでもあるのか、まぁ気長に続けられたら花丸ってことでいいんじゃないか。【三日月】はいつでもみてる、会える時に会って損はないと思う。(1/10)
【20歳】なんですか!?お酒の完全解禁おめでとう!何かをやりとげたりした後のおつまみとお酒は格別だよ!(1/11)
外の【寒さが身に染みて】、おでんやお鍋の熱々が身に染みないわけないじゃない!(1/12)
寒さが身に染みて
私は寒さを知っている。
ほぼ毎日人格否定で2時間残業。
病院行っほうがいいよ?って言われて、
引き継ぎもさせてもらえなくなって。
その時は寒くなかったけども、辞めた時に
「あ、寒かったんだな。」と
寒さが身に染みていた事に気がつく。
寒さって慣れちゃいけないんだ。
辞めた今でも時々寒気がする。
今の職場では、こんな思いを
この子にはさせたくない。と思った。
それは私の心を温める。
短くした髪には、まわりじゅうみんな気付いてくれた。
「一気に切ったねえ」
「可愛い」
「短いのも似合ってるよ」
とってつけたような誉め言葉が空々しい。私が髪を切った理由など、たぶんクラスメイト全員知ってる。予想通りの後悔と共に、私は返事をする。
「ずっと切りたかったんだー。さっぱりしたよー」
曖昧に笑うクラスメイトの中で君と目が合う。
「寒くない?」
すっかり友達の顔が尋ねる。
寒いに決まってんだろ! 誰のせいだと思ってんだ大馬鹿野郎ッ!
なんてことを叫ぶ代わりに、
「寒ーい」
とおどけて、私は自席に着いた。
『寒さが身に染みて』
多くの人々は扱いづらい娘だと思うだろう。だが目の前で物理的な圧力をかければすぐに懐く。懐くように見せて機会を伺っているのだとしても…それでも愚かで健気で扱いやすい。
小さな顎を掴んで一口アルコールを飲ませる。慣れたのか咽ることなく嚥下していく。
「うまいか」
一気に色白な肌が上気した。まだ17かそこら。
「おいしくはない」
鼻に掛かる声。こちらの鼻息で前髪が躍る。面白いか面白くないか決めるのは自分だ。年寄りたちの戦略はもう古い。この娘を使おう。
寒さが身に染みて
「じゃあ、またね」
電車で帰るキミを駅まで送り、家に戻った。けど
「何か淋しいし、寒い」
さっきまでキミと過ごした部屋は静かで、キミのぬくもりが消えて寒い。
「…1人には慣れていたはずなのに」
キミがいない部屋の静けさと寒さが身に染みて、キミとずっと一緒にいる未来を早く手に入れたいと思うのだった。
寒さが身に染みて
4年前の今日、母親が突然死んだ。俺は知らなかった。母親が病気で苦しんでたことを。母親は最後まで教えてくれなかったんだ。俺は、妹に教えて貰って葬式に出席した。親父は俺を殴った。「母さんは、最後までお前の名前を呼んでた!なんで来なかった?!なんで、母さんの最後を看取らなかったんだ!」俺は言い返したかった。「病気のことを知らなかったのに最後を看取れるわけないだろ!」でも、口が動かなかった。口が震えていて何も言えなかった。目頭が熱くて、頬に冷たいものが伝う。父さんから見れば俺は、親不孝者だろう。父さんは俺の状態を見て頭を冷やせと雪が降っている外に俺を放り出した。ジャンパーと携帯を渡して貰えただけましだった。目の前には自分の吐いた白い息とチラチラと雪が舞っている。その日、今までで1番寒さが身に染みた日だった。火葬場に俺は行かなかった。行ったら、もう涙でぐしゃぐしゃになってかっこ悪い姿を晒す訳にはいかなかった。それは言い訳だ。母親に、自分のために泣いてくれてるいい息子という感覚を植え付けたくなかっただけだ。母親には、最後まで反抗期の嫌な息子という印象であってほしかったから。
『みをよせて』
寒さが身にしみて
いつもより元気もなくて
つめたっ...
今日は、いつもと反対だね
わたしの方が手あったかい
ポケットの中で
しっかり手を握ってくれた
だれも気づかないけれど
しっかり手をつないで歩いた
『寒さが身に染みて』
子供の頃もよく叱られていたけれど、大人になってからもそれなりに叱られている。
コンスタントに、定期的に、そして忘れた頃に。
相手の勘違いや、やり取りの行き違いも含めると、これ死ぬまで無くならないんじゃない?
こんな時は、何か美味しくてあったかいもの食べて元気出すしかないよね。
――と、仕事帰りにお気に入りの和食屋さんに立ち寄ったところ。
値上がりしてるー!
そんな……新年早々……
ああ、世知辛い。
寒さが身に染みるぜ。
普通の冬の装いだけでは『寒さが身に染みて』しまうお年頃になった私にとって、ダウンベストはもう欠かせない存在だ。
初めは外出用の一着だったのが、室内用にもう一着を買っていた。あったかいのに身動きの邪魔にならないところがいい。夜寝るとき以外ずっと、ダウンベストを着ている──うん? 待てよ?
寝るときには、羽毛布団。
起きてるときは、ダウンベスト。
……ダウンベストって。
言ってみれば、ウェアラブル羽毛布団、だったり?
ああ……そういえば。
昔、ダウンジャケットが出始めた頃に人が着ているのを見て「なんだか布団みたい、クスクス笑」って、思ったこともあったっけ(昔のダウンは今のよりもっとモッサリしてた、と思う)。
若かった頃は「そんな布団みたいなの着てまで防寒するなんて、クスクス笑」とか言えちゃうくらい、寒さにはそんなに弱くなかったんだけど。
月日が過ぎ、気がつけば私も"お年頃"になってしまったからね、ためらいもなくダウンを重宝している、という訳です。
うん、こんなに軽くてあったかいウェアラブルお布団──薄手のダウンがある時代で、本当に良かった! こうなったら、ダウンスカートも買っちゃおっかなー?
雪の朝、寒さも重なって布団から出るのが
大変だ
夜積もった雪もゆうがたには溶けてなくなる
最近はわりとはかない雪景色だ。
夕方また寒くなってきた明日はどのくらい
寒くなるのかな
「寒さが身に染みて」
昨日から、土曜日の夜から気温がぐーんと下がり、雪予報でした。
日曜日の早朝、愛犬とワクワクしながら散歩にいきましたが、外には、雪の「ゆ」の字もなく、ただただ、寒い。
寒さが身に染みて、ガクブルになる程。
だけど、雪が降ってないし、もちろん雪も積もってない。
残念すぎる朝でした。
寒さが身に染みて、じゃなくて骨身にまで染みるのが、厳冬期の洗面台の水。
給湯器のお湯になるまで、文字どおりに手が骨まで冷たくなり、そしてそのまま痛くなって、最終的には手が鈍く無感覚になってただ泣きたくなる。
これがぬるま湯になるまで、毎年どれくらいの水道料金を無駄にしているやら…
でも、蛇口からジャバジャバ流しとけばお湯になるだけマシで、学生時代の宿舎なんか洗面所共有だったから、給湯器なんてついてなかった。手が紫になって、タオルで拭うと痛かった。暖房で温めてもさらに痛くなるって、本当に悲しいし、昔の人たちは苦労したんだろうな。
題:頬が赤いのは寒さのせい
真夜中のシークレットデート。私はこれを楽しみにしていました。
シークレットデートなんて……特別感ハンパなくないですか!?子供の頃のクリスマスよりも楽しみです!今なら寒い雪も祝福しているとしか思えません……。
あ。
「ロゼッタさん!」
きゃー、待ってましたよリンクさん!私、楽しみすぎて爆発しそうです!
「リンクさん!」
「さあ、行きましょう」
優しくエスコートしてくれるリンクさん、真摯で素敵……。
はっ、見惚れてる場合じゃない!今日は二人共予定がない貴重な日……!楽しむのよロゼッタ!
真夜中といっても、少しは人いるんですね。変装しなくていいんでしょうか……。
「ロゼッタさん、あのカフェはどうですか?」
リンクさんの指差したカフェは、茶色を基調とした落ち着いた雰囲気のカフェでした。
まさに私好みのカフェです!さすがリンクさん!好き!
「良いですね、ああいうカフェは好みです」
「そうなんですか?それは良かったです」
私だってリンクさんの好みの雰囲気とか分かってるんですから!愛なら私も負けてませんよ。
カランカラン、と可愛らしいスズランの形のドアベルが鳴りました。人はいない……てことは貸し切り状態!?最高じゃないですか!
「席はどこにしますか?」
「そうですね……窓際の席にしましょう」
席の場所まで聞いてくれるなんて……紳士な人ですね。
それぞれメニューを頼むと、リンクさんと色んな話をしました。どれも面白くて楽しくて、いつまでも聞いていたいほどです。
「どうぞ。ごゆっくり」
間もなくして頼んだものがきました。とても美味しそうです。
「うわ、美味しい!」
笑顔を浮かべるリンクさん。その笑顔は私だけのものですよ?…ヤバッ可愛い。
食べ終わると、真夜中の街を散歩しました。
とても新鮮で、とても楽しかったです。
あ〜……、時間がきてしまいました。
「ではロゼッタさん、また明日」
「はい、リンクさん、また明日」
手を振って家路に着きました。名残惜しい気分です。
……あれ、頬が赤い。なぜでしょう。
もしかして、リンクさんの……。
いえいえ、きっと頬が赤いのは寒さのせいです!そんな、リンクさんが恋しいなんて……。
お題『寒さが身に染みて』
私、永遠の後輩こと高葉井の、
永年の推しが「自称ニワカキャンパー」だった、
……という夢を見た。
「まぁ、少なくとも確実に、経験は浅い方ですよ」
何かの諸事情で宿泊先の、稲荷神社の宿坊の、
モノホンの漢方医の御狐様から追われたらしくて、
東京に仕事に来てた推しが、夜の屋外キャンプ場にご降臨あそばされた、
夢を見た。
夜だからか、他のテントから距離を置いてるからか、何かもっと別の理由か、
彼がここにロープを張って、なにか分厚くて丈夫な布でテントみたいなのを作って(なんかタープがどうとか言ってた)、
焚き火して、コーヒー沸かしてるのを、
誰ひとり、気付かないみたいだった。
すごい解像度だった。
すごいリアルで、すごい高音質で、
すごい、VRを超えたナニカだった。
「光の関係です」
「ひかり」
「そこに吊り下げているランタンで、多くの客から逆行になっているのです」
「はぁ」
「ランタンを移動させて順光にしますか?」
「やめてとめてくださいガチでやめてください、
しんじゃう、わたし、しんじゃうッ
笑わないでくださいよガチでホントにガチに言ってるんですからホンキでナシでお願いします」
ツー様とかツく部長とか呼ばれている推しは、
某管理局の法務部に勤めてて、即応部門っていう部門の副部長だか、副部門長だかをしてる。
管理局はビジネスネーム制を採用してて、
推しが貸与されてるネームは、ツバメ。
だから一部のツー様推しは、「ツく部長」と呼ぶ。
なおここではツー様に付随する二次創作的な右とか左とか上とか下とかは語らないものとする
(お察しください)
「さぶい」
「冬は苦手ですか。高葉井さん」
「寒さが見に染みてきてます」
「そうですか。それは良かった」
「ヨカッタ……??」
さぁ、どうぞ。
推しのツー様が焚き火から、吊り下げてたヤカンみたいなものを下ろして、タパパトポポ。
ツー様の上司のルー部長が普段使ってるというマグを失敬して、コーヒーを淹れてくれた。
「良かった、でしょう?」
私の推し、夢の中のツー様が言った。
「おかわりが必要なら、いつでもどうぞ」
キャンプ場の夜の寒さが身にしみてくるのも、
寒さが身に染みてる状態で温かいマグを持つのも、
温かいマグからコーヒーを胃袋に収めるのも、
全部ぜんぶ、私の夢だ。
夢の中で私とツー様は、まるで毛布の中にとどまる優しいぬくもりのように、
ぬくもりの、ように——…
…——「毛布にくるまってて良かったっけ?!」
アサデスヨコウハイ!オキナサイ!
ツー様のアラームボイスで目がさめた。
毛布からバンって跳ね起きたから、体が毛布の外の室温に馴染んでなくて、
夢の中の例のキャンプ場と違う意味で、寒さが身に染みてきた。
朝だ。
お手製アラームボイスが鳴った。
私の頭は半分寝ぼけてて、半分強制覚醒してた。
スマホのトップに貼り付けてるカレンダーを見た。
今日は、おやすみの日だった。
「は…… はぁぁ……」
そうだった忘れてた。寝てて良いんだ。
いつものアラームを消し忘れたんだ。
私は大きなため息を吐いて、もぞもぞ。毛布の中に潜って戻って、コテン。
休日だから、二度寝を決め込んだ。
「アラーム消しとけば良かった」
ちょっと毛布の中から暖気が逃げただけなのに、
毛布の中はそれでも、一瞬にして冷えた。
推しへの執念と執着とその他諸々とで、再度推しの夢を引き当てたけど、
日頃の不摂生のせいか、
寝て起きたら一気に正午まで時間が進んでた。
良い夢は見れたけど、私の休日の残り時間は、
すごく、すごく、減ってしまってた。