『好きじゃないのに』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
好きじゃないのに
「好きじゃないのになぁ」
「まだ言ってるんですか? それ」
隣に座るその人はどこか嬉しそうに笑っていた。好きじゃないと言われ続けているのに、彼が諦めたところを一度も見たことがなかった。
「好きじゃないよ、君のこと」
「それなのに五年も付き合ってくれるんですね。先輩ってやっぱりやさしー」
「優しいのは君の方でしょ? こんな人に五年も費やすなんて、バカだよ」
「バカでいいよ。その代わり、先輩は俺に一生愛されていてください、ね?」
絡み取られた指先にキスをされ、先程付けられた指輪がキラリと光ったのが目に入る。
「好きじゃなかったのになぁ」
呟いたそれが過去のことであることはとっくの昔に気づいていた。
そう、これは君に向けた最初の言葉だ。
君のことは好きじゃない。いつもいつも私の意思関係なしで話しかけてきて一方的に話し続ける。それに面白い話かと言われればそこまで面白くもない、つまんない話をすることの方が多かった。
いつも通り机に落書きされいつも通り嘲笑われる。
、、、今日も酷いね。、、、
クラス中に君の声が響いた。
君がいつもどおり話しかけてくるのを無視して私は階段に登り屋上の扉を開ける。フェンスを飛び越え今にも飛ぼうと思っていたのに。
…聞こえたのは君の声だった。
君のことなんか好きじゃない、好きじゃないはずなのに君と離れたくなくなった。
面白い話をしているわけでもないのに自然と笑ってしまった、またそれと同時に涙が溢れた。私の意思関係なく私の口から出た言葉は、、、ありがとう、、、
きょうは 天気がよくて気持ちがいい。
桜クリームソーダを頼んだ。
炭酸はそんなに好きじゃないのに。
しばらくして目の前に置かれたのは可愛いピンク色の飲み物。
もちろんさくらんぼも載っている。
可愛さに心が揺れる。
グラス越しに見える光が染まっている。
ふと窓の外を見ると、桜が咲いている。
ああ、春の陽気に乗せられたんだ。
炭酸はたいして好きじゃないのに。
ようこそ、春。
好きじゃないし、といつまでも意地を張る姿がかわいらしい。いや、そろそろ認めてほしいけれど。
こっちはもう沢山愛して甘やかす準備が出来ているのに。君は一向に認めてくれない。
「いつになったら好きになってくれるの?」
「……百年後」
「お。この前は『アンタなんか好きじゃないしならない!』って言われたけど、進化した」
「っ……本当、ポジティブだよね……」
そりゃあそんな真っ赤になられたら、期待するしか無いじゃん。
最初はおれだって不安で、君に告白したのもダメ押しだった。しかも、返事は保留。失恋確定だと思ってたけど。
健気なおれはそれでも時折話しかけた。……諦めが悪いんじゃない、多分。
君は全然話してくれなかったけど、顔がさくらんぼみたいに染まってて。
あれ、この反応、と。君はすごく綺麗だから、恋愛経験が無いわけでも無いだろうに。
ぐっと近付けば逸らされる顔。負けじと覗き込んだら上を向かれたのだ。
「……な、なに」
「んー……?別になんにも。そっちこそなんでおれの方見てくれないの」
「私もなんでもないし。ほら、離れて!」
そう言われて仕方なく距離を取ったっけ。あの時もっとグイグイ行っとけばとっくに恋人になれてたかなぁ。
ぼーっとそんな事を考えていれば、真ん前に居た君に心配そうな目で見つめられた。
「……」
「そんなに見られると恥ずかしいよ」
「見てないけど」
相変わらずツンツンしてる。かわいいけど、いつまでも折れない所は、ちょっと好きじゃないかも。
(追記 お題若干捉え間違えました……すみません。)
目が合えば
ケンカばかりの
私たち
好きじゃないのに
小指が触れる
【好きじゃないのに】
女 ってめんどくさい
そこまで仲良くもないのに 誕プレ贈ったり
聞きたくもない奴の 惚気け話聞いてあげたり
思ってんのかわかんないけど
とりあえず 可愛い って褒め合ったり
変な時に 友情 持ち出して
意味もなく 団結 してるし
かと思えば 即解散 だし
何したいんだ
とか言ってる自分も女だから
どうしようもないな
好きでもないのに いい子ちゃんな女
演じちゃってますよ
つまんないの。
_ ₀₆
あんな根暗女なんか好きじゃないのに。
なんでこんなやつが、席隣なんだよ。
男友達がいたら最高だったのによ。
入学早々、最悪だわ。
好きじゃないのに。
ボソボソしてる喋り方とか、
ずっと下向いて何かひたすら呟いてたり、
授業中のペア活動も、俺と目を合わせないで話したり。
だからずっと一人で、お先真っ暗なんだよ。
……好きじゃ、ないのに。
髪の隙間から覗く綺麗な瞳とか、
不意に見せる笑顔とか、
俺が忘れ物してきた時、優しくしてくれるとか、
まじ意味分かんねぇ。
何なんだよアイツ。
――嫌いじゃないのに。
あれ、いつの間に俺……アイツのこと……
〜好きじゃないのに〜
雨上がり また笑顔を作った
水溜り 卑屈な僕が映った
気付かない ふりをしてまた目を瞑った
眠れないままの朝日 昨日の綻びを綴った
好きな事のためになら
好きじゃない事もするんだよ
いつかなりたい自分になれるから
違う色に染まったふりをするんだよ
#好きじゃないのに
なぜ、あの子を見るだけでこんなにもドキドキするのだろうか…?
話してもなく、近寄るだけでもドキドキする…
なんでだろう…?別に好きじゃないのにな…
授業中、ボーッとした時間。
ずっとあの子のことが頭から離れられない。
この気持ちはなんだろう。
…………
これが、きっと"恋"なのだろうか────。
大っ嫌いだった。憎んでると言っても過言ではないくらい。ただただ嫌悪していた。そこに一欠片の嘘も誤魔化しもない。本当に疎んでいた。
けれど,それは きっと誰よりも。ほかのどんな人物よりもずっと,心の奥底 一番深く仄暗い感情の在処に居座る存在。
忘れたくても忘れられない。必要不可欠で,この身を形づくる要素。それ無しで語ることが出来ないくらい絡みついて纏わり付いた呪縛。一生解けない鎖。
僕が毒と名付けたそれを あなたは愛と呼んだ。罰と呟けば祝福と囁いた。不幸の種と笑えば春の風だと微笑んだ。
いつもいつも隣にあった。熱を感じるほど傍に。きっとどこまで行っても交わらない。ねじれた関係。永遠に触れられない,同一平面上にすらあれない関係。
……知ってたのに。
終わりが嫌いだった。始まりを恐れた。別れを嫌った。出会いを避けた。手を伸ばせなかった。
「なんでだろう」
零れ落ちた生暖かい何か。揺らぐ視界と淡い色の世界。冷たい空気が喉を塞ぐ。
「好きじゃないのに」
はじめて吐いた嘘は,心無い強がりは 空気を震わせて消えゆく。誰にも拾われずに意味もなく。
「……一緒に,見たかったな」
飾り気のない本音を,叶わない願いを 攫うように薄紅色が吹雪く。責め立てるようにも慰めるようにも思えるそんな風。
一人の幼子は月明かりが射すそのときまでただそこに。
3/25
テーマ : «好きじゃないのに»
やわらかい机。やわらかい椅子の足についたまるいボール。
「これなぁに」
「たぶん、こう、音が鳴らないようにするやつだよ」
セラちゃんが立ち上がって椅子をひきずった。悲鳴をあげるようなこともなく布がこすれる音がする。
「す、すごい!先生がやったの?かしこーい!」
「たぶん、たぶんね。たぶんだよ?」
「すごいねぇ!」
「たぶんだからね」
間違えるのが怖くて『たぶんねロボット』になっている。
わかったよ、もう。それよりも。
「あのさ、じゃあさ!ユリのツノにもこれしたらいいよね!」
自分のツノは珍しい形をしている。背中の真ん中の骨からびーんと伸びていて、寝返りもできないからハンモックで寝ているのだ。降りる時は先生に抱きかかえてもらわなきゃ降りられない。怖くて。
今だって背中が空いた服しか着られないから外で遊べなくて退屈。おまけに寒がりで冬は教室から出たくなかった。
「そしたら先っちょ尖ってても引っかけたりしないよ。やすりがけは、じいんとするから嫌いだし!」
「うん、いいね」
セラちゃんはロボットからツノノコに戻って笑う。それから、もそ、もそ、と自分の頭をかきわけてツノを見せてくれた。
「セラのこれもね、ユリちゃんのと違うけどね、ツンツンしてて嫌だから同じのしよ」
ずい、と押し出してきたのを押し戻す。
セラちゃんのツノは頭から生えてるけど面白い形なのだ。2組のオオガキくんは鬼のツノみたいに立派なので、いつもズルいって口を曲げている。
先生たちはツノを大事にしなさいって言うけど、ツノノコのツノは牛や羊のツノより早く成長するし、お手入れも必要で面倒なのだ。なければいいのに!ってみんな言う。
「職員室行こー!」
一緒によーいどんしたのに置いて行かれた。
普段はのんびりさんのくせに足はすごく速い。ユリからすればそれもなんだか可愛いしかっこよくてズルいと思うんだけど。
こういうの隣の芝生は青いって言うらしい。つまり、友達のツノは羨ましいってこと。
先に着いたセラちゃんが説明していたみたいで、遅れて部屋に入ると先生が真っ先に答えてくれた。
「先生はちょっと、反対だなぁ」
「えー!なんで!」
先生が言うには。成長の過程とやらがわかりにくいらしい。
ツノは先が一番新しいので、それを隠すのは反対って言っていた。
「それに、よく考えてみて」
難しい顔をして見せてから一度奥に戻って、腕に板を抱えて戻ってくる。姿見という大きい鏡だった。
セラちゃんの肩を押して姿見に写し、白衣の大きなポケットからボールを二つ取り出す。
先生のポケットってなんでもあるんだなぁ。
「ほら、どう思う?」
セラちゃんの頭に二つ、ボールをあてる。
すぐにセラちゃんが返事をした。
「だっさい!」
そんな!
「そんなことない!ないよ!野球のボールがダサいんじゃん!ちっちゃいボールで、たとえば、クマ!クマの耳みたいに塗ったら可愛いよ!」
先生の手からボールをむしり取った。こんなボール、ユリだって嫌だよ。
でも一緒に盛り上がった友人にもう熱はないみたいで、振り返って怒ったようにイーッ!と綺麗な歯並びを披露する。
「クマ好きじゃない!」
そんなぁ。
「特別彼女のことを愛してるってわけではなかったんだけど、この子が好きって気持ちはこれから先も変わらないだろうなって思って、僕からプロポーズしたんだ」
いつだったか。
なんの気なしに、彼に結婚を決めた理由を聞いてみたことがある。
ハンガーに吊るされたシワ1つない白いシャツを羽織りながら、彼は言った。
さっきまで私に優しく触れていた指で、他の人がアイロンをかけたシャツのボタンを丁寧に留める。
「それじゃあ、ありがとうね」
今日もいつもと同じようにお互いに求め合い、満たされれば、私は平凡な日常へ戻るし、彼は特別愛してはいないけれどこれから先も好きな人の元へ帰っていく。
彼が帰った後のベッドに飛び込む。
Tom FordのBlack Orchidの香りが、私は好きではない。
でもシーツに残る、このむせかえるくらい甘ったるい香りでしか、私はあなたの気配を感じることが出来ない。
【好きじゃないのに】
アナグマが、冬を快適に過ごすために巣を作っている。どんぐりを食べてまるまる太っている。
アナグマがどうやって巣を作るのかずっと観察してみる。それを真似して部屋を改装してみたりしようか。
リスがどんぐりを集めるのを手伝ってあげてもいい。適当に配分してあげるのだ。
「はい、これは君の分。こっちは君」とアナグマとリスに手渡す。2匹ともお礼も言わずに受け取るのだろう。
森の中が好きなわけじゃないけど。アナグマとリスが格別好きなわけじゃないけど。そんなことしている時間はそれはそれで楽しいのだろう。思いがけないことも必ずあるだろう。
アナグマに巣穴に入るよう誘われたりとか。
リスがどんぐりを預けてくるやもしれない。
…どうやって断ろうか、少し悩むな。
『好きじゃないのに』3/25
あぁ、目障りだ。目が覚めて、一番にそれが目に入る。窓際に花に飾ってある、赤い花と枯れた花。
はぁ、面倒だ。花瓶の水を取り替えて、窓際の光が指す場所に置く。
花は朝日に照らされて、水滴がキラキラと輝いている。
本当に目障り。早く枯れてしまえばいいのに。
ピンポーン、、、もう、そんな時間か。頬が緩む、軽快な足音を立てて玄関へ向かってしまう。
あのさ、花なんて貰っても迷惑だから。
あとどれだけ、部屋に枯れた花が増えるのやら
「好きじゃないのに」
何だろう、この気持ち。
分からない。
なんだかもやもやする。
あぁ、あの人かっこいいなあ。
あれ?
私、最近あの人のことばっかり考えてる気がする。
これって、もしかして!?
ドアスコープから見える光景に思わずフリーズした。
玄関前に大男が立っている。もちろん知らない人だ。
脚に力が入らなくて、その場にしゃがみこんだ。
どうしよう、外出れないじゃん。このままだと遅刻しちゃう。その前にこの人誰?会ったことないよね?というかなんで家の前にいるの?用があるならピンポンするよね?ひょっとして不審者?
…再び外を見ると、大男はまだそこにいた。
視界の端で大男の右手が何度か上下に動く。
あー、これはインターホンを押すかどうか
迷ってるっぽいな?
ともかく、そこからどいてもらわないと困る。
意を決してそーっとドアを開けてみた。
大男は何も言わず、じっと見下ろしてくる。怖い。
「あ、あの…うちになにか、ご用で…?」
おそるおそる話しかけてみた。やばい、声が震える。
すると大男はようやくボソボソと喋りだした。
「どうも…隣に越してきた、山田です…。」
そう言って大男改め山田さんは、
左手に持っていたビニール袋をつきだしてきた。
反射的に「あ、ども…。」と受け取ってしまう。
そんな私を見て、役目は果たしたと言わんばかりに
踵を返し、隣の202号室へ消えていく山田さん。
隣人というのは本当なんだな、と思いながら
私も部屋へ戻った。
不審者じゃなかったけど、変な人だったな…。
落ち着いて、ふと時計を見る。はい、遅刻確定。
仕方ない、1コマ目の授業は諦めよう。
あの隣人のことはどうも好きになれそうにない。
まぁいいや、挨拶には来てくれたんだし、
無愛想なだけで本当はいい人なのかもしれない。
初対面で相手のことを判断するのは良くないよね。
そう思い直し、あらためて渡された袋の中身を見た。
「…みかん、好きじゃないのにな…。」
隣人とうまくやっていくには、
まだまだ道のりが長そうだ。
#好きじゃないのに
「好きじゃないのに」
※前提として私は先生に恋をしています
先生、私の事好きじゃないのに
なんでそんなに優しくするの?
なんでそんなに話しかけるの?
なんでそんなに笑顔を見せてくれるの?
優しくするのは、話しかけるのは、笑いかけるのは
私が生徒だから?
先生として当然のことをしているだけ?
普通の先生だったらそんなこと気にならない。
でも私は先生が好きだから。
先生のその一つ一つの行動に
ドキドキしちゃう。でもそれと同時に悲しくもなる。
好きじゃないのにそんな事しないで。
そう思っちゃう。
自分勝手でごめんなさい。
自分の心に言い聞かせます。
先生のことなんて好きじゃない。って。
人間関係って妙なものですよね。
好き嫌い言ってられない場面はしばしば。
好きじゃないのにって思ってても
もしかしたら相手の方こそ思ってたりして。
そんなふうに考えると怖いね。
いつか、何かが変わるんじゃないか。
そんなことを思ってた。
ただそこに立っていただけなのに、示された先は無数に枝分かれしていて。
どれを選べばいいのか解らなかった。
だからこそ、無難な道を選んだ。誰もが行く、その他大勢の道を選んだ。
才能も、努力も、お金も、時間も、何もかもを持ち合わせていないからこその道で。
それが正解だったのかと問われたら、恐らく”否”と答えるだろう。
同時に、どうあっても”特別”になれないことくらい解っていた。
いつか、何かが変わるんじゃないか。
それは、変化を恐れなかった者の言葉で。
変化を嫌い、無知を好み、現状に縋り付く姿は、無様で、滑稽で、惨めでしかない。
”好きじゃない”世界に留まることを選んだ”のに”、いつだって逃げ出したいと願う様を、ただわらうしかなかった。
好きじゃないのに
忙しい日々に
すり減ってゆく優しさが
消える前に
不安に姿を変えて
ココロが
少ーしづつ
欠けて逝く…