『太陽のような』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
太陽のような。
太陽のような笑顔なんてよく言うけど、そんなに底抜けに明るいと、人間生きて行けないと思う。さざ波の立つような心とか、凍えそうな胸の奥とか、美しさを見て微笑む余裕とか。そういういくつもの心がないと、そんな笑顔は出ないのではないか。
でも、きっと、そんな心なんか無い方が、太陽のような屈託のない、悪意や敵意なんてない意味での笑顔が浮かぶのではないだろうか。
では、悪意はないのか。
難しい問いかけだ。
太陽みたいに眩しい君の笑顔と
深い海のように真っ黒な僕の瞳
君はいつもそんな僕を照らしてくれた
僕が酷く落ち込んでいる時も
僕がめずらしく君にサプライズした時も
いつでも君はその笑顔で僕を信じ続けてくれた
でももう君はいなくなっちゃったね
全部僕のせいだよ
きっと君も辛かったんだろうな
僕が太陽みたいになれたら...
貴方は太陽のような人だった。いつも暖かな光で私を照らしてくれる、そんな存在。いつまでも私のそばにいて、その光で私を照らしていて欲しい。そう願っていた。
永遠を願うことは罪なのだろうか。私が貴方を心から愛することも罪だと言うのだろうか。
ある日突然、彼が別れを切り出してきた。何故と問いただしても、彼はただ呆けたように
「嗚呼、私が全て悪いのです。」
そう言って彼は、痩せこけた頬を歪ませるだけであった。しかしよくよく見ると、それは笑みであった。彼の頬があんまりにも痩けているので最初の内は気の付かないでいたが、次第に笑っているのだとわかった。
私はかっと頬が熱くなるのを感じた。それは羞恥のためではなく、怒りからであった。顔全体が熱くなって、頭から湯気がたつと思われるほど怒りがわいてきた。しまいにはぶるぶると身体中が震えてきて、思わずうつ向いた。身の内に煮え立つほどの怒りはあれど、茹で蛸のような顔を彼に見られるのは、何とはなしに恥ずかしかった。
すると彼の方では私がなにも言わずにうつ向いたのを、深い悲しみのためとでも思ったのか
「君も辛いだろうけど、これは仕方のないことなんだよ」
その言葉に私は呆然として、思わず顔を上げた。そこには今まで太陽のように私を照らしてくれていた彼はいなかった。変わりに、うらぶれた男がいるだけだった。
嗚呼、彼はこんなにも痩せっぽっちだったのか。
嗚呼、彼はこんなにも軽薄そうな笑みを浮かべる男だったのか。そう思うと途端に今までの思い出が全て色褪せて見えた。そして、彼の全てが憎らしくなった。彼の姿、仕草、声音。果ては彼の顔形さえ見るのも、吐き気のするほど嫌になった。知らずうつ向いていた視線は、彼の薄汚れた外套に止まった。そして、その傍らには薄っぺらい鞄が一つ。そこで私ははっとして彼を見た。すると彼の方でも私を見ていた。互いに身動ぎ一つせず、見つめあっていた。
知らず握りしめた手が震えている。今度は怒りのためなどではなかった。ましてや、もう彼を憎む気持ちもなかった。今はただ、彼の顔を姿をこの目に焼き付けていたかった。
どれくらいそうしていただろう。
気が付けば、私の目からは涙が溢れていた。止めどなく溢れる涙が畳に染みを作る。その内私は、たまらなくなって蹲った。そうして、おいおいと泣いた。
「これが別れと言うのなら、あんまりじゃないか」
嗚咽混じりに言って、私はまた泣いた。
彼はしばらく黙っていたが、おもむろに立ち上がって部屋を出ていった。
「愛してる、これからもずっと」
部屋を出る直前、彼のそう言う声が聞こえた気がした。
外では雨がざあざあ降っていた。彼の出ていった部屋にざあざあと音が虚しく響いている。
太陽のような人。
彼らはその輝きで誰かの目や肌を焼いていることに気づかない。明るく照らされることだけが救いではない。また太陽は己の身すらも焼き尽くしている。
時には木陰で一人、休むことも必要だ。
逃げているわけでも、目を背けている訳でもない。あの光に耐えうる心を得るために、ただじっと己の影と対話する。
何故こんなにも光が痛く苦しいのか。
眩しくて目も開けられないのか。
己に光の元を歩く資格がないというのか。
そんなことを考えていれば、どんどんと光は遠ざかっていくのだろうか。
いいえ。
私たちの冷えきった心に、太陽は熱すぎるだけのこと。
心が温まれば、また光の元を歩けるだろう。
凍りついた心は中々溶けないだろうけれど、それは鎧。
心を守るための鎧。
無理に溶かしてはならないもの。
いつか、氷は溶ける。
どんなに不安でも、木陰から出たくなくても。
そして、遠ざかってしまったと思った太陽は、いつも、いつでも、そこにある。
ともだちがいるから、いっしょにげんきにあそべてたいようのようにあかるくてらしてくれて、おちこんでいてもなやみをきいてくれる。
その世界の中心には、大きくて真っ赤な炎が立ち上っていた。その炎はいつからあるのか、どうしてあるのか誰も知らない。人々は古くからその炎を囲うようにして街を作り、生活を営んできた。炎のあたたかさで地上は寒さを知らずに過ごせ、光に恵まれた大地から豊かな実りがもたらされる。
まさにその炎は人々にとっての生きるための糧だったのである──。
******
「もう止めましょう」
旅人は切実な声で訴えた。
「それはできないよ。これが僕の役目なんだ」
旅人から少し距離を置いた場所に座る男は穏やかな態度で答える。そんな男の様子に旅人はいてもたってもいられなかった。
旅人の前にはあの大きな炎が轟々と燃えていた。そしてそのすぐ手前には男が小さな椅子に腰を掛けている。けれどとても奇妙なことに、座る男の傍らにはこんもりと大量に積まれた薪の山があった。男はその山から薪を一本取り出すと炎へと投げ入れる。
ぱちりと火の爆ぜる音が辺りに響いた。
「どうして貴方ばかりが、こんな辛いことをしなければいけないのですか?」
男の皮膚には長い間熱い炎にあてられたためにできた、いくつもの火傷の跡があった。
世界を巡りに巡った旅人は、この場所に辿り着くまで知らなかった。この世界の仕組みを。
まさかたったひとりの力が、皆の平穏を形作っていることを。
「辛いこと? そんなこと思ったこともないよ。これは僕の役目で仕事なんだ。ずっと昔に神様からもらった僕の使命さ。この使命のおかげで僕は誰かの役に立てるんだ。こんな素敵なことってないだろ? だから、君がそんなふうに気にすることはないんだよ」
男は笑って、また薪を一本投げ入れた。
この世界を支える炎が消えないように番をすること。それが男が昔、神様とやらからもらったたったひとつの生きる意味らしい。
「さぁ、もう行きなさい。慣れない者がここに長くいると、炎の熱さで倒れてしまうから」
男はそう言って旅人を送り出した。旅人は離れ難かったけれど、確かに肌に受ける熱はとてつもなく熱くて、呼吸もしづらいことを自覚していた。
「──どうかお元気で」
男がそう言ったのを最後に聞いて、旅人はその場から去った。あれから一度も男には会っていない。何故か再びあの炎の近くへ行こうとすると、いつも辿り着けずに元の場所へと戻ってしまうのだ。
旅人はあたたかくて眩しかった、男の笑顔を思い出す。
強くて、優しくて、ひたすらに痛い。
ああ、何て表せばいいのだろう。
そう、彼は、まるで──。
【太陽のような】
太陽という存在がない、どこかの世界でのお話。
【太陽のような】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
2/23 PM 2:10
(わ~、ぽかぽかだ~)
干していた洗濯物や掛け布団が
あったかくて気持ちいい。
それを部屋の中に取り込みながら、
やっぱりお日様の力ってすごいと
再認識する。
現実の世界でも、虚構の世界でも、
太陽に喩えられる人の存在は大きい。
その明るさで、誰かを元気にしたり、
笑顔にしたり。
日だまりのような優しさで包み込んで、
安心感を与えてくれたり。
絶対的な強さと影響力を発揮して、
仲間たちを導いてくれたり。
太陽のような人には、実は様々なタイプが
あるけれど、共通するのは、
《なくてはならない存在》ということ
だと思う。だとしたら。
(わたしにとっては、 太陽=宵ちゃんと
真夜(よる)くんってことになるよねぇ)
2人のことを思い浮かべるだけで、
心が暖かくなって、笑顔になれる。
こんなにもたやすく満たされた
気持ちになれるなんて、本当にすごい。
――そんな風に浸っていたら、
不意にLINE通話の音が鳴った。
「もしもし~。宵ちゃん、どうしたの?」
「暁、今、家にいる?」
「いるよー。洗濯物取り込んでたの。
あと、宵ちゃんたちのこと考えて
ニマニマしてた」
「何それ……」
「宵ちゃんたちは、いつだってわたしを
幸せにしてくれる存在ってこと」
「はいはい。じゃあもっと幸せになれるかも
しれないから、暇ならうちに来なさい。
これから真夜がスコーン作るって
言ってるわよ」
「わぉ。それはすぐ行くね!」
「作って焼けるまで、ある程度時間が
かかるんだから、洗濯物畳んでから
来なさいよ」
「分かった~」
洗濯物を片付けて、スコーンに合う
紅茶の缶を鞄に入れて。
わたしにとって、太陽のような2人に
会いに行く。
今日も素敵な休日になる気がした。
太陽のような
太陽のような人
出会ったことないかな。
ひなげしのような人
大輪のバラのような人
百合のような人
海のような人
焚き火のような人
闇夜のような人
1人、1人浮かべる知人、友人。
太陽は、いないかな。
いつか、太陽のような人に
出会ってみたいけど
眩し過ぎて近づけないかな。
夕暮れのような人なら
大丈夫かな。
太陽のようなものだ。人というのは。
茫漠たる宇宙に散逸する欠片々々、破片々々。
寄せ集まり、衝突し、あるいは再び散逸し。
そうして生まれる。
生まれた太陽は、膨大な熱と光を出す。
限度を知らない。
厚顔無恥で、この宇宙で一番偉いかのように君臨する。
己が輝きのせいで、周りを見ることもロクにしない。
時折、他の太陽に惹かれるかもしれないが、
衝突すれば、一方が取り込まれるか、両者爆散するか...。
孤独に、ひたすら孤独に銀河の中を、
旅をしていると知りもせず、
ぐるぐる、ぐるぐる。
数十億年ぽっちの命を使いきったその残骸は、
また次の太陽のための欠片々々、破片々々になり、
あるいは光をも飲み込む「死」の暗黒天体になり、
茫漠たる宇宙に漂うのだ。
人のようなものだ。太陽というのは。
太陽のような貴方が好きだ
太陽のように明るくて、元気でー
そんな貴方が好きだ……った
私は貴方とは釣り合わない
だから私は諦めた
甘く、苦しい
最初で最後……だと思っていたこの恋を
ーそれでその後どうなったの?
ー聞きたい聞きたい!
そう娘に諭され、私は言った。
それは勿論……ハッピーエンド、だよ!
太陽のような君の笑顔と
綿菓子のような君の優しさが大好き
「明日の試合、負けないからな」
そう宣戦布告をした彼は、笑みを浮かべながらこちらを見つめた。
野心に満ち溢れ、ギラリと炎が揺らめく瞳は
煌々と輝く太陽のようだった。
#太陽のように
太陽のような緋色の実が、風に揺られては鈴のように音を鳴らしていた。
そんなはずはない、と、耳を澄ましても、たしかに、音は揺れる南天の実から聞こえている。しゃん、しゃら、しゃりん、りん。神楽鈴のような音だ。一歩、木に近づけば、音はその分だけ大きくなった。
しゃん。鈴が鳴る。
しゃん。赤い実はいつしか眼前からなくなり。
しゃん。幾重にも連なる鳥居になっていた。
しゃん。一歩踏み出した足は何かに呑まれ、
――――南天はただ、風に身を任せるばかりだ。
―太陽のような―
太陽のような
皆を照らすあなたの笑顔は
私にはまだ眩しすぎて
吐き気がするわ
でもいつかは
その笑顔の隣で笑ってたいと思う
だから少しずつ日陰を出られるように
今頑張ってる
「太陽のような」
その太陽のような笑顔で
私を照らして
眩しくて
あなた以外見えなくなるくらいに
月。
たまにしか見ないけど
うわぁってなるくらいキレイ。
逆に月みたいな太陽って
薄暗く感じて
ちょっと怖い。
かんだか可哀想だな。
太陽のような/
太陽のような笑顔で笑って
僕の心をずっと明るくしてくれていた人
今は天に昇って
空を笑顔に
晴れにしてくれています
あなたは太陽のような笑顔で笑う。
みんなはそんなあなたが大好き。
だけど私は大嫌い。
その笑顔でどれほど私が不幸になったか知らないくせに。
まぁ、あなたからしたらどうでも良いんだろうけどさ。
とにかく私はあなたが大嫌い。
私もそんな笑顔で笑ってみたいのに、いつもあなたは私の先を行く。
昔からそうだよね、お姉ちゃんは。
仙台で初めて自分で借りて住んだ部屋は、毎日昼夜問わずラップ音なのか音が鳴り響いていた。壁や天井や床が鳴るなら家鳴りで片付けられたが、カーテンレールから音が鳴ったり窓が大きな音を立てたりとおかしなことが続いていた。
照り返しの厳しいむすような暑さに心身ともに疲弊していた夏の日、仕事が早く片付いたので近所のスーパーで酒と夕飯の材料を買い込んで帰宅。駐車場に車を停めて、共用階段を登り左に折れた廊下を月あたりまで進むと私の部屋だ。鍵を開けて部屋に入るとサウナのように暑苦しい空気が立ち込めているが、二階の角部屋でそれも西に面していることがそれを助長していた。手を洗い、リビング奥のガラスの引き戸を引くとカーテンが揺れていた。窓は閉めておりエアコンもプラグを抜いている。引き戸の為、開け閉めしたところで空気の流れは生じない。この時はきっと外から帰ってきて扉を開け閉めしたことで、空気が動いてカーテンを揺らしたのだと考えた。後日、リビングの引き戸を全開にしたまま仕事に出かけた。帰宅して鍵を開けて扉を開き、引き戸の先に垂れるカーテンが目に入る。揺れていない。試しに玄関扉を開け閉めしてみるが、カーテンは揺れるどころか少しもなびくことは無かった。気持ちの悪さを感じながらも特に気にすることなく過ごしていると、やはりたまに揺れるカーテンを目にする。そして、カーテンレールは誰かに強く叩かれたように音を鳴らす。窓ガラスは小石が当たっているかのような高い音を鳴らし、床は人の歩くような音を鳴らしている。下階の同僚からは自室が変だと呼び出され、駆けつけてみれば意味不明な現象を目の当たりにした。社長と打ち合わせの為、恋人を残して部屋を後にすれば帰宅して目にするのは怯える恋人。私の居ない部屋で、シャワーがひとりでに勢いよく流れだし私の歌声が聞こえると訴える。恋人と電話をしていると、恋人が部屋に持ち込んだヘアアイロンの箱が大きな音を立てて弾き飛んだこともある。人が蹴り飛ばしたような凹みまで出来ていた。
私には幼い頃から人と違うことがあった。それは他の人には見えないものが見えるということだが、幼い頃というのは私には当たり前に自然と見えるものだったので特別意識をしたことは無かった。しかし兄弟に指摘されたことで、他の人には見えないものを見ているのだと知った。成長するにつれて見える頻度や度合いは随分と減ったが、いまでも聞こえたり感じたり頭の中のスクリーンに目には見えないものを見たりすることはある。例えば、兄を助手席に乗せて仕事帰りの帰路を運転していると先の横断歩道を人が歩いているのが見えて還俗をする。すると助手席の兄は何事かと疑問を口にする。歩行者が歩いていたことを伝えると、そもそも周囲に人はいなかったという。おかしいなと考えてみれば、そうか確かに人はいなかったのだ。横断歩道を渡る黒い影のような足しか見えていなかったと思い出す。仕事帰り、夕方も日が沈みかけて暗がりが広がる頃。同じく兄を助手席に乗せて運転をしていると、少し先に煙とも霧とも違う白いモヤが立ち込めていた。速度を落としながらそのモヤの中を進むが、視界が悪い。時間にしてみればほんの数秒だがとても長く感じる。白い空間を抜けて兄にあれはなんだったのかと訊くが、やはり何も無かったという。この体験は過去にもあった。あれは夏も終わりが近づき、夕方から少しずつ過ごしやすい気温になってきた頃だった。件のアパート下階に住む同僚と稲川淳二の怪談ナイトを楽しんだあとの事。仙台で怪談ナイトで涼しくなった後、南相馬に向けて車を走らせていた。南相馬市に入ろうかという辺り、暗闇に包まれた34号線を走っていると100メートル程先の右手に民家が見えた。夜遅いがお風呂を沸かしているのだろうか、家の横手に見える煙突から白い煙が上がっていた。更に湯気なのか煙なのか、家周辺も真っ白い空間が拡がっていた。やけに白いし濃いなと同僚に話しかけてもなんの反応もしない。減速して徐行を始めるが、白いものはずっと広がっているようでなかなか抜け出せない。二十秒ほど徐行しただろうか、後ろから接近していたのであろう車が横をエンジンを唸らせながら走り去る。気がつけば白いものは消えていた。ミラーで後ろを見ても、さっきまで拡がっていた白いそれは忽然と消えていた。同僚に先程のものはなんだったのだろうと尋ねてみるが、そんなものはなかった。私がひとりで変なことを言っているから独り言だと思って無視していたという。今起きていたことを説明すると、気味が悪いから今は忘れようという。この同僚も私と同じく感受性が高いのか人に見えないものを見たりすることがある。そんなふたりでいながら、私には見えて同僚には見えなかったのだから尚更に気味が悪い話だ。次の週末に南相馬での仕事を終えて仙台に向かう際に、あの時に体験したあれはなんだったのか。そこに何があるのか帰りがてら確認をしてみようと二人で話しながら車を走らせていると、二人の記憶通りの場所に到着したが肝心の民家がなかった。民家があったはずの場所は木々が生い茂る林だった。こうなると更に訳が分からないが、謎は深まるばかりで考えるだけ無駄だった。なぜこの二件とも同乗者には見えていなかったのか、そもそもあれはなんだったのか分からない。
仕事場でパチンコやスロットが大好きな職人さんと話をしていると、勝っただの負けただのと毎日一喜一憂しては私に話をしてくれる。そんなある時、いつものように話を聞いていると知らないパチンコ店が頭の中に浮かんだ。そのパチンコ店の場所がどこか分からないが、大手であることは名前で分かった。気になりながらも職人さんの話を聞いていると、今度は入店して行く様子や職人さんがいつも遊んでいるスロット台の椅子に座る様子が主観で見えてきた。気になって訊いてみれば、まさにその店のその席であっていると言っては何故分かるのかとはしゃいでいた。分からないが今見えたのだと言えば、幽霊やらオカルトなんぞは信じないが、目の前でこんなことがあると信じられると目を輝かせている。最近は負けてばかりと話を聞いていたからか、買って欲しいと思っている自分がいたからなのか分からないが続きが見えてきた。それは、どこの何という台で何回転まで遊んでその後にどこの何という台で遊べば当たるというものだ。私自身、俄には信じられないが見えたことをそのまま伝えてみる。疑いもせず、こんなことがあった後だからと喜んでいた。
翌朝、現場で顔を合わせた彼は透視能力ってのは本当にあるんだなと興奮していた。私の言った通りに動いてみれば、その通りの台で回転数で当たったという。それも二十万円ほど勝てた、負けを取り返したと喜んでいた。この話というのは、実はこの不思議な予知能力なのか透視能力なのか分からないが、これが出来なくなるというオチがある。理由は単純なもので、私が欲をかいたからだ。私が言った通りのことをして勝ったなら私にもお小遣いをと欲張ったことから、パタリと見えなくなってしまった。しかし、その後に二度ほど透視のような事を体験したことがある。アプリで青森の方と知り合い、夜な夜な通話をしていた。青森に住んでいる同い年という事しか知らなかったが、その日は色んなことを知ることになった。いつものように通話をしていると、古い民家が見えてきたのだ。二階建ての入母屋造の母屋と、母屋と繋がっている木造のガレージ。恐らく元々は納屋だったのだろうことは、様子を見て分かった。通話をしながらもイメージの中で動いてみると、ガレージの中にあるガラス戸から家の中に入ることが出来た。ガラス戸を入ってすぐ右手に廊下が伸びており、その廊下を歩くと左手に十二畳程の広い和室。その和室に入ると左手に真っ直ぐ二階へ伸びる階段があった。階段を登り切ったところで突き当たりを右に曲がると、扉ではなくカーテンが入口に掛かっていた。カーテンを開けると、通話をしている相手と、何かのキャラクターが散りばめられた黄色いカーテンが見えた。和室のその部屋には大きな布団が一枚敷かれており、黒い猫と白い猫が一匹ずつ寝転んでいた。
今見えたものを話してみると、間違いなく今住んでいる実家だという。不思議なことがあるもんだと驚いていたが、私がそういうものに感が働くと知ったのだろうか相談を持ちかけてきた。聞くと、黄色いカーテンで隠している窓の外にいつも決まった時間に人影が現れるという。何かわからないか、若しくは対処法はないかという。私は感が働くが、所謂霊能者や霊媒師とは違うので適当なことは言えないと断ったが、今も頭の中で見える状況から察するにただの通りすがりの魂だろうと伝えておいた。というのは、窓の外に霊道が走っていたからだ。
私は見えたり聞こえたり感じたりするが、相談した霊能者の先生によればとにかく連れてきやすい体質だという。いつどこで憑依されてもおかしくないのに、一人しか憑依していないのは守護している存在が龍神様であるからだと言う。そして、この龍神様は白龍様でとても慈悲と慈愛に満ちた存在なのだそうだ。一人憑依しているのは、白龍様が引き込んだからだと。自ら命を絶ってしまった後悔や口惜しさ、寂しさや苦しみに苛まれていたところに私が通りかかったので取り憑いたのだそうだ。私についていけば、浄化されて天国に上がれるからという理由で悪さをする気は全くないことから守護に阻まれなかったという。今まで、夜に誰もいないのに耳元で名前を呼ばれたり話しかけられたりしたのも私に取り憑こうとしたものが寄ってきていたからだという。
霊能者に言わせてみれば、私は太陽のような存在なのだそうだ。私の傍にいれば次第に浄化されていくのだという。暖かくてとても穏やかな温もりと優しさを感じるのだという。白龍様の力もあるそうだが、私のエネルギーの強さが白龍様の姿や力を強くしているそうで合わせてまさに拠り所なのだという。加えて私のお人好しというのか、優しすぎる性格故に私を頼ってきてしまうのだという。私に取り憑いた女性の霊もただ浄化されたいだけで、なにか影響を与えるつもりはなくそっとしておけばいいとの事。しかし、いま彼女の気配はどこにもない。彼女の気配があった時は、定期的に陰湿な夢を見ていたがパタリとみていない。いや、それが昨年末頃に夢で見た。いつも夢の中で見ていた建物は真夜中なのだろうかあかりもなく真っ暗で、カビ臭く湿気が酷くジメジメしており床も軋んでいた。それが、昨年末に見た夢では明るくて暖かい空間に変わっていた。サンルームから見える庭には手入れが行き届いていないのか花や雑草が繁茂しており、雲ひとつない空からは暖かな日差しが差し込んでいた。夢の中でいつも見てきた為、一階も二階も間取りは覚えていた。私は明るく不気味さなどなくなったこの家をひたすら探索していたが突然誰かに呼びかけられたような気がして目が覚めた。私は、あの日から私に取り憑いていた彼女が天国に旅立っていったのだと感じている。どうか安らかに眠って欲しい。
俺の名前は朝日太陽!
〇〇ゲームが大好きな中学生!
「おーい太陽!今日俺ん家でゲームしようぜ!!」
『 いいよー』
「俺も行きたい!」
「そういや太陽ん家の近くにお前の好きな
〇〇ゲーム売ってるよな!寄ろうぜ!」
『 行く行く!』
「よっしゃー!今すぐ行くぞ!!」
『 おいてかないでよ!』
「あらあら、廊下は走らないでよ! 西川太陽くん!」
『 はーい!先生!!』
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ハハッ
バカだよね、、名前が同じだけで
日向くんの真似するなんて、、、、
本当は〇〇ゲームなんて、、好きじゃないし、、
本当に西川くんは俺と違って
「みんなの太陽のような、、、、」