『天国と地獄』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
天国と地獄。
「ねーね?問題でーす!天国と地獄は上か下か!どっちでしょう!お兄さん!!」
『うーん…難しいなぁ笑』
「ちゃんと答えてよね!お兄さん!!!」
『…天国と地獄は中立や』
「?…お兄さん、上か下かだよ〜?」
『ごめんなぁ…これだけは譲られへんのや。
辛いと感じたことあるやろ?
楽しいと感じたことあるやろ?
だから天国はお空でも地下でもなく、地獄はお空でも地下でもない。ただの皆が生きている地上だヨ!』
「そっかー。…またね!!お兄さん!」
『おう!またな〜……ってこりゃぁ逃げられたなぁ…笑』
『まぁ…自分が悪いねんけどな。天国は何処も存在せんよ…地獄は上と真ん中と下。全てやねぇ…』
『地獄を生きてる俺らを称えてくれよな…笑』
天国と地獄、
私は昨日天国に行く夢を見た
天国ではみんなが笑っていて笑い声話し声が聞こえすごく幸せそうだった
神様も優しかった
私は今日地獄に行く夢を見た
地獄ではみんなが辛そうな顔をしていて後悔するような声が聞こえすごく辛そうだった
閻魔様は険しい表情をされていてすごく怖かった、
2024/05/27
今日も運動頑張ったー🏃♂️
凄く疲れた😲けど!ね、ちゃくちゃくと毎日やってから、少し楽になってきた😂(動くのが)
今日もダイエットダンスしたよー!腕立て伏せもした!
今続けて3日だけど、三日坊主にならないと良いんだけどね?
今日はここまで!さようなら〜🙆♀️
《天国と地獄》
私はもう数年間、外に出ていない。
部屋でずっと休んでいた。
確かに退屈だったけど、外は危険しかないって、あの人が言ってたから、これでいい。
ある日、大きな音とともに、部屋のドアが破られた。
「発見しました!」
その人は私を外へ連れ出していく。
ああ、ここが地獄か。
渦巻く負の感情
儚い生の感情
私を形どる出来事
どう感じるかは私次第
どう感じるかはあなた次第
それが楽しいのか苦しいのか
それは嬉しいのか悲しいのか
それが普通の感情なのか特別な感情なのか
まさに
天国と地獄
#天国と地獄
天国と地獄
儘ならない世界に
憤りや憎しみを募らせ
自ら地獄へと追いやってしまう
でもいつしか時が少しずつ苦しみを持ち去り
募らせた思いを薄めてくれる
そして固執していたものを
手放せたとき
そこは天国になる
さぁどちらへ行く
歳をとってから昔のことをよく思い出す。楽しかった思い出とか嫌な思い出とかそういう青いモノではなくて、あーすればよかった、こーすればよかったという暗くて叶わない願い。
思えば思うほど、感情が溢れ出していく。苦しみに耐えられなくて叫びそうになって悲しくて涙目になって、心を消耗する。
どうせ無理だ、お前にはできない。もう一人の自分がいつも自分の気持ちを沈めていく。呪いの言葉は消えない。
高鳴る鼓動も希望に満ちた目標も、いつも自分で殺していた。そして、ここに残ったのは何もできないまま時間を食い潰したどうしようもない人間だけだった。
死にたいと考えても実行することなどなく、ただただ考えるだけ。
後ろを向いたまま前に進むことをやめなかったから、後悔ばかりが先にあるのかもしれない。できなかったことがいつも自分を抉っているけど、そこから学ぼうともしなかった。
天国と地獄があるというのなら、自分はどこにいくべきなのだろう。自分に嘘をつく者が天国に行けるとは思えないが、地獄に行くほど悪いことをしたとも思えない。そもそも死んだらそれで終わりだと思うが。
日付が変わる。明日は休みだ。でも、特にすることもない。スマホを眺めて一日を怠惰に過ごすのだろう。ああ、いつものことだ。
「天国と地獄」
お前の罪は私が背負おう。だから、何も心配する必要はない。
そう言われたのは、わたしが赤い目の男に会って数ヶ月したところだったと思う。
赤い目の男と会う前のわたしの人生は、全てが苦痛でしかなかった。元々、愛想の良いわけではなかった。そのせいか、親戚にたらい回しにされ、結局引き取られた先でも捌け口にされる。わたしの年は、いくつか忘れてしまいかけていたけど、確か12であったと思う。
無論、学校でも自分の噂が流れているのでいい気はしなかったが、幾分かマシだった。
そんなとある日だった。
夜遅くに家の外へ追い出されたのは、きっと酒でも飲んで気がおかしくなっていたのだろう。髪を掴まれ引きずられながら外へほっぽり出された。
雪が積もっていて、朝まで生きられるかどうか。
いっそこのまま眠ってしまえば楽なのではないか。そう思いながら目を瞑った。
何らかの気配を感じ、顔を上げる。月明かりが眩しい夜だった。
目の前には人。自分よりも遥かに大きかった。180…いや190センチであろうか。そんな事よりも、どうして人がこんなところにいるのだろう。
赤い目が、ぎらりと光ったのを今でも覚えている。
それが、赤い目の男とわたしの出会いであった。
その赤い目の男は、わたしを見るなり奥歯をぎしりと音がするほどに噛んで、わたしを抱えた。
寒さでおかしくなったのだろう。疲れと寒さで目が閉じる。
そのあと起こったことは知らない。
気付いたらマンションの一室にいて、赤い目の男がご飯をくれて。
どうしてこの男は私にこんなに尽くしてくれるのだろう。
不思議でしょうがなかった。
赤い目の男。
初めて会ったはずなのに、どうしてこんなに。
わからない。しらない。私は知らない。
ただ赤い目の男の眼を見ると、どうしても嫌なものが映る。
誰だ。私はお前なんて知らない。
弓矢で射られたその男を、、私は知らない。
【天国と地獄】
それは紙一重
ついさっきまで幸せに感じていたはずが
今はまるで、突き落とされたかのような気分になる事がある
自分次第とはよく言った物だ
“流されて動いた結果”
“やらされて動く”
そうじゃない
自分の行動に責任を持ち、自分でやる
相手や状況の意向、事情によって物事を決めた
“あなた次第”ではダメって事だね
天国も地獄も自分で決めて判断して
努力して歩まないと
周りからどう見えたとしても
結局、後悔ではどちらでも同じ事
「天国と地獄」
「地獄」と思った事は、思い出すと涙と後悔、悔しさが止まらない。
「天国」は打ち上げ花火のように、あっという間に思い浮かんでは終わってしまう。
「天国と地獄」
ささやかな出来事で「天国だ。」とか、
「地獄だぁ。」とか、言い過ぎている気がしないでもない。
こんな事を感じて文字にしている今を、当たり前を、平和で「天国」だと気づいている人間は、どの位いるのだろうか。
「天国と地獄」
個人的に、地獄だ天国だと感じても、この世全てを通しては、私の気持ちなど、ほんのささやかなのだ。
『聖域にて』
誰も知らない穴の中で暮らしている 天国が真綿のように降り注ぎ 赤褐色の地獄をみたよ 誰に伝えるわけじゃなし 穴の中にそっと埋めよう 眼球貫く光が聖域を照らして 新たなバトンが生成された
天国と地獄(足掻いたところで)
同棲一年目。
初めて二人で迎える夏は、暑かった。
「猛暑猛暑って聞き飽きたわ。ていうかそれ聞くだけで体温1℃上がってんだろ、これ。絶対気のせいじゃない」
ソファでうだうだと呟く彼に彼女は無言で近づくと、真っ赤に染まる列島の横で涼しい顔をしているおねえさんの画面をぷつりと消してしまった。
「聞きたくないなら消しなさいよ」
―――暑さで苛ついているのは察するに余りある。
八つ当たりするなよ、と心の内だけで吠えてみるが、口に出そうとは思わなかった。
さらに体温が上がる面倒な羽目に陥るのは目に見えている。
彼は渋々引き下がったが、しかしあろうことか、次の瞬間彼女は別のリモコンに手を伸ばした。
「は?」
ピッ、と。
短い機械音と驚愕の一言が重なる。
そして容赦なく、それまで快適―――とは言えないまでも適度に温度調整を保っていたそれは、無情にもその動きを止めた。
「何してんだ、エアコン止めるとか! 正気か!?」
「仕方ないでしょ、電気代高いんだから。節約節約」
「死ぬぞ!?」
「何言ってんの大袈裟な。さっきの天気予報、明日からでしょ? 今日は30℃越えてない」
さらりとそう言い窓を開け放つ彼女に、彼は食ってかかろうとして―――やめた。
昨日『家計対策』と称して家計簿アプリをスマホに入れていたのを不意に思い出したのだ。
「………地獄だ」
ぼそりと呟いたのが彼女の耳に入ったのか否か。
彼女はつと冷蔵庫に足を向け、それを取り出すと彼にはいと差し出した。
―――手には、アイス。
「………。節約じゃねーの?」
「いらないの?」
「頂きます」
ははー、と恭しく頭を下げてそれを受け取る。
素直でよろしい、との返事に俺はさっきの地獄の気分もどこへやら、ご機嫌でそれを袋から取り出した。
「はい」
「ん?」
―――徐に掌を突き出され、俺はその意図がわからず困惑する。
「お買い上げ誠にありがとうございます」
………。
どうやら俺の修行は始まったばかりらしい。
―――この悪魔に対抗する術はあるのだろうか。
俺は溶け出すアイスの存在も忘れて震えた。
END.
“天国と地獄”
数えきれない程の人を手にかけてきた。
手にかけてきた人だけじゃない、その人の周りの人々の幸せだった人生をどれだけ刈り取ってきたのか。
俺にはわからない。
だから、死んだときには間違いなく地獄へ行くのだろう。そしてそれは、俺と同じくらいに人をあやめてきた彼もきっと同じだ。
頭の中に一人の男の後ろ姿が思い浮かぶ。
しゃんとまっすぐ伸びた背中は、身長や体格こそ俺の方が大きいというのに、どうしてかとてつもなく大きく見える。パッと見では性別がわからないほど綺麗な顔に似合わず男前で。そしてついぞ一度も伝えることができないまま別れてしまった、俺の初恋の人。
その端正な顔立ちはきっと幼い頃には天使の様なと耳にタコができるほど言われていただろうに、行き着く先は俺と同じ地獄の底になるのだ。
あの頃、まだ顔を合わせて話ができた頃言葉にはできなかったが俺たちは多分、そうだった。
俺も彼も男で、そしてそこは戦場だった。
言ってしまえば、聞いてしまえばきっと変わってはいけないものが変わってしまいそうで俺たちは結局手の一つも繋がないままだった。
そして今となってはお互いに、お互い以上に守りたいものができていた。
直接顔を合わせることは、きっともう死ぬまでないだろうけど。死んだら地獄の入口ででも彼を待っていようかなと思っている。
生きているうちには伝えられなかったことを言えたら。
触れられなかった手を握りしめられたら。
誰にも何も言われない場所で、ただただ彼のことだけを見つめられたら。彼に見つめてもらえたら。
きっとそこがどんな地獄でも、俺にとっては天国なのだ。
天国とはなにか、地獄とはなにか、いつもそれを考える。
私が今窃盗や、殺人事件ん起こせばきっと地獄行き。天国に行けることは絶対に無いと思う。なにか理由がない限り、命令されたとか、恐怖に晒されながら罪を犯す、それは別でどうなのかなと私は思う。
じゃあ反対に、天国に行ける人はどういう人だと思いますか?それはきっと誰にでも優しく、心が広い人なんだと思います。私はそういう人に今日も憧れる。地獄に行こうとは思わないから、日々なにかいいことを心がけたい。憧れを見つけるのもいいと思う。
私は、天国に憧れる。
昔々、世界を赤の女帝が支配していた時のこと、女帝に叛旗を翻した貴族の男がいた。
名君と謳われた女帝。だが、女帝に仕える貴族達は権力を求め、廷臣達は賄賂を望む。政治は滞り、民は虐げられた。家も食物も無く流浪する民。彼らを蔑む貴族達。男は怒りに震え涙を流した。人間の魂は皆等しく美しい。世界は天国であるべきだ。
男は女帝に腐敗した政治を一新するよう求めた。だが、女帝は沈黙するばかり。貴族や廷臣達は、男に無実の罪を着せて抹殺を図った。女帝に助けを求める男。男を見殺しにする女帝。男に残された道は叛乱だった。
男の元には虐げられた者達が続々と集まった。女帝と貴族達を圧倒する力を得た男は、自ら黒の皇帝と名乗り、自身が望む天国を作る為に戦った。
十年に及ぶ戦争。
大地は血でぬかるみ、無数の命が散った。
世界は憎しみに溢れ、無数の難民が生み出された。
男の慈悲と甘美な理想は、いつしか執念と醜悪な憎悪へと変わっていた。
天国を求めた男が作ったものは地獄だった。
男を捕らえたのは、銀獅子と呼ばれる若き騎士だった。
自らに不殺の掟を課す高潔な騎士である彼は、女帝に男の助命を嘆願した。
男は宮殿の牢に繋がれた。
戦争終結。
その直後、女帝が崩御した。
即位したのは若き皇帝。
皇帝を操り、実権を握ろうとする貴族や廷臣達。権力闘争を始める彼らを皇帝は嘲笑した。人間の魂は闘争を求める。世界は恐怖と憎悪渦巻く地獄だ。
皇帝は陰謀を仕掛け、邪魔者を暗殺し、権力を握った。そして、かって世界を滅ぼした怪物を復活させて操り、民を恐怖で支配せんとした。
民を救うべく銀獅子が立ち上がった。
彼は金龍、天馬、紅烏ら名だたる騎士らと協力し、死闘の末、怪物を倒した。
追いつめられ、自害せんとする皇帝に銀獅子が手を差し伸べた。
人間の魂は自由だ。世界は天国でも地獄でも無い。人間はどちらを選ぶこともできる。世界は変えることができる。
皇帝はその手を振り払った。
生ぬるい天国より灼熱の地獄を選ぶよ。
皇帝は自害した。
銀獅子は剣を捨てた。
人と人、国と国の間にあって、憎悪の芽を摘み、愛と信頼の種を蒔く。彼は残りの人生を捧げた。
彼が生きている間、世界には一つの争いもなかった。
彼が死んだ時、民は皆こう言った。
彼こそは王の中の王、誠の王、戴冠せざる王であったと。
天国と地獄_____
感情にコントロールされて。
感情の起伏が激しくて。
ごめんね。
でもそんなこと周りに言えるほど強くなくて。
いっぱい迷惑かけたね。
今日もまた私だけが疲れたんだとか思ってるけど、そんなわけなくて。
あぁ、明日も、ごめんね。
< my >
天国と地獄
ああ偉大なる王よ、お助けを。
シルクに包まり、子羊の肉を喰らい、贅を持て余せし王よ。
この我に救いを。
「爺さん、また変な祈り捧げてんのか?」
「ああミシェル、可哀想なミシェル、どうしたんだい」
「爺さんに伝言を届けに来た。 置いたから、じゃあな」
ミシェルは薄汚れた紙切れを机に置き、出ていった。
皺まみれの手で紙切れを手に取った。
裏面の焼印から察するに、聖職者の寄せ集めの組合からだろう。
「『過去からは逃れられない』? ……偉大なる王、偉大なる王よ……私の罪は、貴方が為の……!!」
ああ忌々しい王子よ、裁かれよ。
血に溺れ、火を喰らい、負債に生まれし王子よ。
この我に復讐を。
地に這い、偉大なる王の元で忙しなく国に尽くした日々を思い出す。
黄金の城と白銀の騎士が地の果てまでを征服したあの日々を。
右腕として執政に携わり、卜者として占いをし、聖職者として信仰を広めた。
だが偉大なる王と、見目麗しき女王から生まれた王子は悪魔に取り憑かれていた。
王子が成長し、次代の王として戴冠するあの昼下がり、彼は暴虐の限りを尽くした。
「お爺様、"悪魔"の巡回がそろそろですわ。 ほら、早く地下室へ行きましょ」
「アンナ……わかっとる」
王子は城を乗っ取り、一夜にして城下町を、一日にして国を地獄へと一変させた。
紫紺の城と黒曜石の騎士が国を支配する時代へと変貌させてしまったのだ。
ああ忌々しい。
やつのいる城は、やつにとっては天国だろう。
だが、私にとっては城も国も時代も地獄としか言いようがない。
「ああ、アンナ」
「はい、いかがなさいましたか?」
「この地獄はいつになったら終わる?」
「……"天国"が地獄になれば、地獄と表現せずに終わりますよ」
真昼の小学校の前を通った時、どうやら徒競走の練習をしていたようで、あの音楽が聞こえてきた。
笛が鳴る。日傘越しの、そのまたフェンス越しに、数多の紅白帽たちが一箇所に集まるのが見えた。目がチカチカして、思わず目を逸らし歩を進めた。
いや、本当のところ、勝ったら天国、負けたら地獄、そんな無邪気さが集まった光景があまりにも眩しくて、思わず目を逸らしたかっただけなのかもしれなかった。
「地獄に堕ちろ。」
遠い昔。俺が殺し屋を営んでいた頃、誰かに言われた言葉だった。そんな事を思い出しながら、俺は今日も笑う。
「あの世でも、暴れてやるよ。」
これが、俺の最後の言葉だった。俺は、趣味で殺し屋を営んでいた。別に、人殺しの理由なんてない。ただのストレス発散だ。そんな狂った日々を過ごしていたが、ついに捕まってしまった。判決は、死刑。当たり前だ。特に驚きはしなかった。むしろ、あの世への生活を夢見ていた。俺は、笑顔で地獄へ堕ちて逝った。
『ここが、地獄か?』
辺りは真っ暗で、何もなかった。ただただ、冷たかった。
『お前はここで、侵した罪を償え。』
突然、低い声で告げられた。周りを見渡しても、誰も居ない。
『俺は何もしていない。償うことなんてない。』
声の主は、深くため息を付いた。
『ならば、二度とお天道様を拝めないだろう。』
それだけを言って、声の主は消えた。何が、罪を償えだ。上から物を言いやがって。いつか、下からの景色拝ませてやる。
『それにしても、地獄ってあるんだな。地獄があるなら、天国もあるのか?まぁ、どうでもいいか。』
独り事を言いながら、俺はこれからの事を考えた。このまま地獄で暮らすのは、退屈だ。ならば、これはどうだろうか。俺は、一つの考えを思いついた。
『天国をここに作ればいいんだ。』
俺はあれから、天国と地獄のボスを殺した。勿論、物理で殺したのではなく精神を殺した。生前に身に着けた技の一つだったので、すんなりと精神を侵食できた。今では、俺に逆らう事はない。
『天国と地獄。二つが交わった場所。これこそが、俺の王国にふさわしい。』
俺は今日も、笑い続けた。
"天国と地獄"
シリンダー錠が外される音、そのすぐ後に扉を開く音と革靴の足音が聞こえた。
「おかえりー」
「みゃあ」
廊下の奥まで聞こえるよう声を張り上げ、家主の帰宅を声で迎える。ハナはドーム型のケージの中で、メッシュ素材の窓を覗き込みながら鳴き声を上げる。
すると、ゆっくりとした足音を鳴らしながら、家主がリビングに入ってきた。
「夜勤お疲れ。飲み物いるか?」
「スポーツドリンク」
そう言う顔は少しやつれ、一瞬見えた足取りは重々しかった。
どんなに体力があれど夜勤は身体に相当こたえるようで、夜勤を終えて帰ってくると十中八九この様子である。
それに本人もいい歳になっている。今後はもっと酷い様子で帰ってくるに違いない。
そんな事を思いながら冷蔵庫の扉を開け、五百mLのスポーツドリンクを取り出す。
「はいよ」
「ありがとう」
スポーツドリンクを手渡すと、ダイニングチェアを引いて腰掛けてキャップを開け、中のスポーツドリンクを流し込んだ。
立派な喉仏が上下に動いて、ペットボトルから口を離すとキャップを閉めてテーブルの上に置く。
「飯にするか?」
「そうする。何を作った?」
「シチュー。米炊き終わってるし、切り分けたバゲットもある。その前に着替えてこい」
そう言うと「分かった」と立ち上がって自室に向かった。
時々──特に夜勤明け──、ご飯を作りに飛彩の自宅に来ている。
ハナを迎えてからは来れていなかった──マンションなので動物を連れてくるわけにはいかず、かと言って誰かに預けるのも心配だった──ので、ドーム型のケージを設置してくれた時に「また作りに来られる」と話していた。
飛彩の家のキッチンに立つのは本当に久々で心配だったが、俺が再び作りに来た時の為に調理器具の配置を変えずにおいてくれたのだろう。以前のように作れて安心したし、なによりその配慮が嬉しかった。
部屋の扉が開き、中から部屋着姿の飛彩が出てきた。
「今盛り付けるからちょっと待ってろ」
「分かった」
そう頷くとケージに近付き、メッシュ素材の窓から中を覗き込んだ。
飛彩の声とハナの鳴き声が聞こえる。それなりに距離があるのでなんと言っているか聞き取れないが、ハナが窓越しにじゃれているのは分かる。
微笑ましく思いながら、シチューを深皿に盛り付けていく。色の違うランチョンマットの上にそれぞれ置いて、その間に切り分けたバゲットを入れた小さな籠を置く。
白米をつごうと茶碗に手を伸ばす。
「風呂上がりに茶漬けを食べたいから、今はいい」
背後から声がかかり、手を止めて振り向く。
「わーった」
少し顔を引きつらせながら返事をして、茶碗に伸ばしかけていた手を引っ込めてキッチンから出る。
──風呂上がりに茶漬けって、どんだけ食べる気だよ。
いくつ歳をとっても、胃袋の衰えを一切感じない。
本人がよく動くからなのか、それとも元から胃が大きくて多少衰えても許容量が減らないのか。どちらにせよ化け物。
だが飛彩の場合、おそらく両方だろう。化け物以上だ。
ケージに近付き、傍に置いていたリュックからハナのご飯皿とドライフードと水皿を出し、キッチンで水道水を入れて戻り、ご飯皿にドライフードを盛り付けてケージのファスナーを開け、中にご飯皿と水皿を置く。
ケージの中のクッションをこねていたのを止めて皿の前に陣取ると「みゃうん」と声を上げて食べ始めた。
ファスナーを閉めてダイニングに近付く。既に座って待機していた飛彩の向かいのダイニングチェアを引いて座る。
どちらからともなく手を合わせ、「いただきます」という声がユニゾンする。
「……うん、美味い」
「あっそ」
素っ気なく返してシチューを口に入れる。
正直言うと、以前と味が変わっていないか。変わっていたとしても、飛彩の口に合わない味になっていないか心配だった。
だから「美味い」と言われて、心底ほっとしている。
「また大我の手料理が食べられて嬉しい」
微笑みながら言ってきて、ドキリと心臓が跳ねる。
「……そーかよ」
バゲットを一つ取り、スプーンでシチューを掬いバゲットの上にかけて食べる。シチューの塩味と小麦粉の甘さが相まって癖になる。
「こうして食べるのも美味いな」
すると俺と同じ食べ方をした飛彩が、感心した声色でまた「美味い」と言った。その目はまるで、新しい遊び場やおもちゃを見つけた子どものようだ。
「シチューなら、まだいっぱいあるぞ」
そう言って、シチューをまたバゲットの上にかける。
「その食べ方、気に入ったんだな」
「……うっせぇ」
短く吐き捨てて、半ばやけくそのように一口食べる。
すると少し離れた所から水の、ぴちゃぴちゃ、という音が微かに聞こえる。ハナは既に食べ終えたらしい。
「本当に大きくなったな」
咀嚼を終えて飲み込むと、ハナが入っているケージを見ながら呟くように言葉を紡いだ。
「あぁ。うちに馴染んできてから、運動不足で真夜中に暴れ回られると面倒だから毎日おもちゃで遊んでやってるが、でかくなって筋力も付いてきて。散歩なんて、ハーネス付けてなきゃ何処にでも行きそうでよ」
もう大変、そう言ってシチューがけバゲットを食べる。
「あそこまで利口に育ったのは、お前が親代わりになったおかげだろうな」
「いやいや本人……本猫?、の元からの賢さだろ。俺はただ駄目なもんは駄目だと言ったり、色んなものを見せてきただけだ」
「子は親の背を見て育つ。先程のようにご飯を食べる際一声鳴くのは、お前の礼儀正しい所を見て育った確たる証拠だ」
そう言って、再びバゲットにシチューをかけて食べた。
「……ふん」
いたたまれなくてそっぽを向く。数秒の間、沈黙が降りる。
「帰って少し寝たらハナを風呂に入れなきゃな」
無理矢理話題を変えようと口を開く。
「そうか。暖かくなってきたから、そろそろ換毛期か」
ハナを風呂に入れたのは、ハナを保護した時のみ。
あの時は少し暴れたが鳴き喚く事は鳴く、少し湯船の中に入れたら大人しく洗わせてくれた。
久しぶりだし、あの時のように大人しく洗わせてくれるか心配だ。
「うちの風呂場を使えばいい」
「駄目だ。洗ってる最中に鳴いたりしたら近隣からクレームが入る。そもそもシャンプー持ってきてねぇし、近くにペットショップねぇから無理」
「そうか。ただ湯で洗い流しても、シャンプーを使って洗わないと意味が無いか」
「……だからって猫用シャンプー買うなよ。ここでハナのシャンプーする気ねぇから」
「分かっている」
本当か?、と疑念を持ちながら最後の一口を食べる。手を合わせ「ご馳走様でした」と言うと、またユニゾンした。同じタイミングで食べ終わったらしい。
「片付けは俺がやる。ゆっくり座っていてくれ」
そう言うと食べ終わった食器をまとめて手に持ってキッチンに入り、洗い物を始めた。お言葉に甘えてソファに座る。
「残りのシチューは、夕飯に温めて食べる」
「また食うのかよ」
飽きねぇのか、と半ば呆れながら言うと
「折角の料理がもったいないだろ」
「……んで?この後風呂に入って、風呂上がりにお茶漬け食べるってんだろ。……まさか白米も全部食べる気か?」
「白米は茶漬けを食べた後小分けして冷凍する」
「ならいい」
水道水の音と食器同士が当たる音のみが響く。ソファに座りながら目を閉じて音に耳をすませていると次第に音が止み、次に太腿に重力を感じた。
目を開けると、組んでいる足の上に頭を乗せている。頭を持って組んでいた足を解き、太腿の上に載せる。
「……男の膝枕なんて固いだけだろ」
「大我のだからいい」
「……物好きだな。お前も、ハナも」
そう吐き捨てると、後頭部を向けながら笑い声を転がした。
笑うな、と言おうとして口を開くと、穏やかな寝息が微かに聞こえてきた。
──こんにゃろ……。
だが起こす気にはなれなくてそのまま膝枕をしていると、穏やかな寝息につられて眠くなっていき、目を閉じて意識をゆっくり手放した。