小さな世界へ

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 歳をとってから昔のことをよく思い出す。楽しかった思い出とか嫌な思い出とかそういう青いモノではなくて、あーすればよかった、こーすればよかったという暗くて叶わない願い。
 思えば思うほど、感情が溢れ出していく。苦しみに耐えられなくて叫びそうになって悲しくて涙目になって、心を消耗する。
 どうせ無理だ、お前にはできない。もう一人の自分がいつも自分の気持ちを沈めていく。呪いの言葉は消えない。
 高鳴る鼓動も希望に満ちた目標も、いつも自分で殺していた。そして、ここに残ったのは何もできないまま時間を食い潰したどうしようもない人間だけだった。
 死にたいと考えても実行することなどなく、ただただ考えるだけ。
 後ろを向いたまま前に進むことをやめなかったから、後悔ばかりが先にあるのかもしれない。できなかったことがいつも自分を抉っているけど、そこから学ぼうともしなかった。
 天国と地獄があるというのなら、自分はどこにいくべきなのだろう。自分に嘘をつく者が天国に行けるとは思えないが、地獄に行くほど悪いことをしたとも思えない。そもそも死んだらそれで終わりだと思うが。
 日付が変わる。明日は休みだ。でも、特にすることもない。スマホを眺めて一日を怠惰に過ごすのだろう。ああ、いつものことだ。

5/27/2024, 2:48:37 PM