『夏』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【夏】
毎年、夏が来ることに恐々としている。
暑いのもつらいが、気づくと側にいるでっかい虫が怖い。田舎住まいなのに虫が苦手なのは変わらず、遭遇したら逃げ回るばかりだ。
ドラッグストアで虫除けを眺めるのが恒例行事になってしまう季節、夏。
私の心は変わらなかったのに、彼女は何処に行ってしまったのか。会えるとは、宿に来させるためだけの策略だったのだろうか、心がモヤモヤとした。帰る前に、思いきって宿の者に彼女の事を聞くと、彼女は病気になってしまったとのことだった。案内されて裏の座敷に行くと、縁側の柱に寄りかかり目を瞑る君がいた。夏の風物詩の風鈴が、呼び鈴のようになると、閉じていた目が私を捉えた。すると花は、あの時のように、いらっしゃいと微笑んだのであった。そして、その姿はなんとも妖美で、私の心を再び捕らえたのだった。
冷たいビールと花火
砂の照り返しと波音
貝殻とシーグラス
瓶ラムネと鮮やかな夏野菜
木陰で聴く蝉しぐれ
揺れる稲の緑のざわめき
すぐそこに夏が来てる
#夏
No.43『夏』
夏はあまり好きではない。
友達とあまり会えないし、夏課題は多いし、暑いし、その暑さで毎日体調が悪いし。
でも普段会えない幼馴染と遊びに行けるのは嬉しい。
今年の夏もそれを楽しみに頑張って過ごそう。
そう思う。
夏
ツンと冷たいアイスを豪快にシャクシャク食べる。歯に残る余韻が熱い風で忘れられていく、たちまち海の匂いで満たされた。
砂浜の大きな石ころを、足つぼ代わりに踏みしめる。スッと寄ってくる波がくるぶしまで覆った。勢いで服のままザブザブと奥の方まで。持ち上げたスカートの裾が、水を吸って藍色に。元の色よりこっちがいい。
「夏」(一行詩)
デッキブラシは夏の思い出か道具の一つに入る訳で
◆
タコ焼きをアテに冷酒を飲み干す
◆
炎帝の元で冷や甘酒のかき氷を食らう
◆
少年の夏の盛りはカブト虫と野球帽子
夏が好き
高く青く突き抜ける空
真っ赤に焼ける夕日
ホタルが飛ぶ星空
爽やかに吹いている風
すべてが飲み込まれそうで
まっさらになれる
夏が好き
夏が好きだった。
夏休みもそうだけど明るくて自由に創作ができる時間だったから。
でもね。去年からは夏が来るのがどうしても耐えられないぐらい怖くなったよ。
あー。もう1年は半年しかないのかな。
あー。来年の今頃は何をしているのかな。
大人になんてなりたくないよ。
20歳になれば人生は終わると。もう人生謳歌したと思いたいのになぁ。
終わりは始まりって誰かが名言じみた事いうけどさ、成人したら1人で社会に出なきゃいけないんだって。
これからが本番なんだってさ。
保育園の先生は将来の夢は何にでもなれるって言ってたけど。
ペンギンにはなれませんでした。
魔法使いにもなれませんでした。
大人になるのが怖いです。
- 夏 -
風鈴の音色でお出かけ
三角形のちいさなお城
鳥の囀りが呼んでいる
川が側にある所が好き
流れる星が届きそうな
静かな森の住人になる
火を囲む人は肉を焼く
太陽のリズムを刻んで
宴もたけなわ眠る時間
寝袋にすっぽり入って
少し家が恋しくなって
インかアウトか私の扉
ベッドの中で思い出す
蝉が鳴いていたあの日
『夏』
芸術家の男が一人、キャンバスに向かってひたすら筆を向けていた。
そこへ突然、友人の男が飛び込んできた。
「夏だ――――っ! 海行こ!」
「待て待て待て。お前、家に鍵かけてたのにどうやって入ってきた」
「俺達の間柄に鍵なんて無意味」
「意味わからん! そんで、海行く準備万端だな!?」
男は大きな浮き輪を抱え、格好といえば、アロハシャツにハーフパンツ、ビーチサンダル、そして麦わら帽子を被っていた。
「海の王に俺はなる!」
「麦わら帽子で著作権やばくなりそうな発言やめろ! まだ行くって承諾してないし、承諾したところで予定合わせて後日行こうとかじゃないのか? 今すぐなのか!?」
「お前の冷めた心とは違って、俺のこの真夏の熱いパッションは止められない」
「そうだよ。冷えっ冷えだよ。それに、今作品展に向けて絵を描いてるから無理」
「部屋にばっか篭もってたらカビるぞ!」
「そんなことにならないようにちゃんと除湿してるから大丈夫だ」
「そうじゃなくてー! お前自身の心がカビちゃうだろー? 外行こう外!」
浮かれた男が乗り気でない男の腕を引っ張る。
「なんでお前はそんなアグレッシブなのにニートなんだ」
「俺の熱いパッションをこの社会に収めておくことはできないから」
「ちょっとかっこいいこと言ってないで働け」
思わず溜息を吐く。
どうせこいつは諦めないんだろうな。知ってる。なんだかんだで長い付き合いになる。腐れ縁というやつだ。こうしていつも無茶ぶりに付き合ってきた。
それでも、別にこいつのことが嫌いじゃない。むしろ好k」
「勝手なモノローグ付けるなー!」
「心の声を読んだだけだよ」
「あーもう。……しょうがない。今描いてるのがもう少ししたら出来上がるから、そしたら行ってやる。ちょっと待ってろ!」
「やった――――――――!!」
描き上がったその絵は、夏の青空が広がる爽やかな海の風景だった。
『夏』
・1『夏』
私が。
私が、
天気を操っております。
雷を起こし、豪雨を招きます。
暑くて、ひどく暑くて、
入道雲なんて、見ないでしょう。
私が消したんです。
恨みがあって
そうしました。
あの人の好きな夏が
もうやってこないように。
花火大会は全部潰します。
【続く】
「夏」
還暦を過ぎた私にとって、「夏」は、今は都会でそれぞれ一人立ちしている、私の2人の娘たちと、プールや山のキャンプ場で過ごしたことが懐かしく思い出されます。上の娘は花火大会で空高く上がる、あの素晴らしく美しい花火の大音響がとても恐いらしく、幼稚園児の頃はよく泣いていました。それをあやしながら、川沿いの土手を、抱っこして、長い時間歩き続け、私の腕がとても痛かったことを覚えています。親戚の人たちは、幼稚園児だから、自分で歩けばいいと言っていましたが、私は、この子ももう少し大きくなれば、抱っこさせてもらえなくなるから、この時期だけの私の楽しみと思い、何時間でも抱っこをしていました。「夏」の思い出です。
夏
生暖かい風がわざとそうやって背中を押しているみたいで
夜が短くなるのも活動しろって言ってるみたいで
空の澄み渡りようと打って変わった嫌悪するには十分すぎるくらいのうだるような暑さだった
君がクーラーをつけて、毛布で贅沢しますとはしゃぎながら夢の中へ行ったのには笑みをこぼしてしまった
『夏がきたら』
夏がきたらどうしようか
祭りを楽しむのも良い、海を眺めるのも良い、花火を見上げるのも良い、冒険をするのも良い、こう見ると、夏には様々なドラマが詰め込まれていることがわかる
厳しい暑さばかりで外にはあまり出たくないが、少しくらいは夏を楽しもうか
夏
みんなが大好きな夏
あついあつい夏
宿題が多い夏
アイスの夏
私の夏
君の夏
夏至祭に生を選んだ指さきで小蝿の掬われたミルクティー
『夏』
真夏の夜の話です。
「ひと狩りいきませんこと?セバスチャン」
「あの、どちらへ?」
「ずばり!ヘラクレスオオカブトを
捕獲しにですわ」
虫取り網やその他諸々を持って夜の海岸へ
訪れた悪役令嬢と執事のセバスチャン。
今回の標的は「昆虫王」の肩書きを持つ
世界最大級の甲虫、ヘラクレスオオカブト。
悪役令嬢は、フクロウが館長を務めている
博物館へ寄贈するため、日夜コツコツと
虫や魚を集めているそうです。
目指せ図鑑コンプリート!
この虫は夜行性で夜になると活動を開始し、
樹液が出ているヤシの木に集まります。
視界が悪い暗闇の中、ランタンの明かりと
セバスチャンの嗅覚を頼りに
樹液の出る木を探していると────
「主、いました」
ヒソヒソ声で悪役令嬢に話しかけるセバスチャン。
彼が指さすヤシの木にはアリやカナブン、
そして待望のヘラクレスオオカブトの姿が!
ランタンの明かりを落として、
そーっとそーっと気付かれないように、
虫取り網を構えながら忍び足で近づく悪役令嬢。
手に汗握る緊張の瞬間────
樹液を呑気に吸う標的の背中に
網をバサッ!と被せます。
中を確認すると、
英雄ヘラクレスの武器のような大きな角と
光沢のある黒褐色のボディがお目見え。
「やった!捕まえましたわ!」
ヘラクレスオオカブトを掲げながら、
決め台詞を言い放つ悪役令嬢。
「ヘラクレスオオカブトゲットだぜ、ですわ!」
「おめでとうございます。主」
お目当ての虫を手に入れルンルン気分な彼女は
帰り際、執事にこんな話を語り始めます。
「セバスチャン知ってますか。
木を揺するとたまにお金の入った袋や
不思議な木の葉が落ちてくるのですよ」
「へえ、知りませんでした」
「ふふん、試しにお見せしましょうか」
悪役令嬢は丁度いい木に目星をつけて
ゆさゆさと揺らします。
ドサッ!
すると鈍い音と共に蜂の巣が落ちてきました。
「えっ」
衝撃にびっくりしたスズメバチが巣から
飛び出してきて、悪役令嬢を襲い始めます。
「いやーっ!助けてくださいましっ!」
「何やってるんですか……」
悲鳴を上げてスズメバチの大群から逃げる
悪役令嬢をセバスチャンは呆れた様子で
見つめていました。
その後、セバスチャンに救出された悪役令嬢は
無事に屋敷へ戻ることができましたとさ。
夏
梅雨があけて夏がやってくる
子供の頃は、夏休みが早く来てほしくて楽しみにしていた。親に海や川、花火大会など沢山の場所へ連れていってもらい楽しかった思い出がいっぱいある。
大人になった今では、毎年のように暑さに辟易しながら過ごすようになった。
海や川には流石に行かなくなったけど、花火大会や夏祭りには今でも行く事がある。
あの頃欲しく買ってもらった、キャラクターの絵が入ったわたあめを懐かしく思い買って食べたが、あの頃のように特別に感じていた気持ちもなくただ懐かしい思い出を思いだせた。
今の屋台は豊富で親と出かけた時に、あれは昔からあったね、これは新しいね等と話ながら屋台を巡ることは楽しい。
今年は、新しい思い出がまた一つでも増えるといいな。
夏
夏は夜…はじめから四季折々
春は、あけぼの。
やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。
夏は、夜。
月のころは、さらなり
闇もなほ
蛍のおほく飛びちがいたる、また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くも、をかし。
秋は、夕ぐれ
夕日のさして、山のはいと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ、三つなど、飛びいそぐさへ、あはれなり。
まいて、雁などの列ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。
日入りはてて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。
冬は、つとめて。
雪の降りたるは、いふべきにもあらず。
霜のいと白いも。
また、さらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。
枕草子
清少納言
今っぽくしてみました。
春は、夜明けがいいー
だんだんと白くなってゆく山際の空が、少し明るくなって、紫がかった雲が、細くたなびいているのを見るのが好き。
夏は、夜がいいー
月の明るいころは、言うまでもなく。
月のない時もまたいい。
蛍がたくさん乱れ飛んでいるのや、また、たくさん飛んでいなくても、ほんの一匹二匹と、ほのかに光って飛んでいるのも、雨が降ってもいいものである。
秋は、夕ぐれがいいー
夕日が映えて、山の端にぐっと近づいたころに、烏が巣に帰ろうとして、三羽四羽、二羽、三羽と、飛びいそいでいる様子が心ひかれる。
それに、雁などが列をつくって飛んでいる様子が、とても小さく見えるのがとても好き。
日が沈んでしまって、聞こえてくる風の音や、虫の声なども、とても好き。
冬は早朝がいいー
雪が降っている朝も 朝に霜が真っ白におりたのもいい。
また、雪や霜がなくてもとても寒い朝に、火を急いで起こして、部屋へ炭を持って行くのも、冬らしくていい。
昼になって、薄ら暖かくなると、丸火桶の火も、白い灰になってしまっている…。
清少納言さんは洞察力が優れているな~と何時も読むたび思います。
日本の四季折々を楽しもうとして見ている視点に共感し日本人としての喜びを感じます。
1000年前の季節を楽しもうとする姿を通して、なんでも愛しみ愛で楽しもうとして視る目を持ちたいと思わされます。
そのものが好きでも嫌いでも、合っても合わなくても、楽しもう愛しみ愛でようとする気持ちがあれば、自然言葉も視線も愛敬のある言い様見様に変わるのであるのでしょう。
ものは言い様見様ですよね、清少納言様。
私は、夏の早い朝の
少しひんやりとした空気を感じる
新聞配達の音が遠くに聞こえる
時間が好きです。
2024年6月28日
心幸
息を吸い込むと生ぬるい、湿度の高い風に対して夏が来たのだと体が判断する
また、君がいない夏が始まる。
夏は君に摂取されている。かき氷を見れば君の笑顔が思い浮かび、暑いと感じれば彼女への熱を感じる。私はそうやって摂取されることでしか生きていけなくなっているのかもしれない。でもそれでいい
それが、彼女を生かして置ける手段なのであれば