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私の心は変わらなかったのに、彼女は何処に行ってしまったのか。会えるとは、宿に来させるためだけの策略だったのだろうか、心がモヤモヤとした。帰る前に、思いきって宿の者に彼女の事を聞くと、彼女は病気になってしまったとのことだった。案内されて裏の座敷に行くと、縁側の柱に寄りかかり目を瞑る君がいた。夏の風物詩の風鈴が、呼び鈴のようになると、閉じていた目が私を捉えた。すると花は、あの時のように、いらっしゃいと微笑んだのであった。そして、その姿はなんとも妖美で、私の心を再び捕らえたのだった。

6/28/2024, 10:22:44 PM