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1/21/2026, 7:16:54 AM

深い眠りから、海の底から地上に上がる様に意識が浮上する。最初に聞こえるのは誰かの寝息、続けて聞こえるのは柔らかな心音、目に写るのは白い天井と蛍光灯、左には点滴の管、右のお腹辺りにはうつ伏せで寝る彼だ。右手を動かして頭を撫でながら、何時間ぶりに声を出す。

「おきたよ」

海の底(1/21)

1/20/2026, 2:47:19 AM

「うむ、即興でやると思うようにまとまらんな、まぁ、面白い展開が見れれば御の字か」

事の始まりは2ヶ月前、部下の抜き打ちでもしようかと、露店の近くのカフェで暇を潰していると、
露店の前で1時間ぐらいウロウロとしている女が居て、面白そうで声を掛けると、最近好きになった人に御礼としてプレゼントを買いたいけど、どんなものが良いのか迷っているとのことだった。

それならば、部下を貸して面白いのが見れたらと思いオススメの店を紹介した。後日、そのお嬢さんを任せた部下に話を聞くと、どうやら先輩部下の彼女だったらしく、素行調査のダブりと私に接触したことにより別派閥がお嬢さんを私の彼女と勘違いしてストーカーしているという、面白展開になっていた。

大当たりだ。部下の色恋沙汰ほど面白いものはない、彼の忠実心や器の大きさ、行動力の見れるのはいい機会だと部下たちに色々やらせていると、とある部下が場所を貸して欲しいと志願してきた。上がる口角を手で隠しながら承諾して、新人の部下にごみ袋とお嬢さんが発注していたプレゼントを持たせて、朝方に工場に向かうように指示した。

どんな結果になろうとも、お嬢さんに感謝だ。できるなら、もう一度君に会いたくてしかたないよ、私の部下を狂わせたお嬢さん…

君に会いたくて(1/20)

1/19/2026, 5:16:46 AM

「いてぇ、もう先輩の手また血出てますよ…」
「せやな…」

芋虫の人の隣に座り込み見つめている先輩、先輩に春が来たようで、リーダーが面白がって工作するのも無理はないかなぁと思う。一歩間違えば好きな人を…リーダーの考えることは、えげつないわ~

「先輩、取り敢えず、なんかで止血しましょ、倒れますよ」
「後でな…なぁ、俺これからどうしたらええと思う?」
「…愛の逃避行?またはリーダーにカチコミ?」
「もう一遍ビンタすんで」
「遠慮しときます!…そうや!その芋虫の人が生きてたら、リーダーから渡すように言われた物があります!」

ごみ袋に入れていた小包を先輩に渡す。

「もー、あの人なんなん?人のドラマチックな恋愛劇好きなん?そしてなんコレ?つぶれとるやん?」
「つぶれとるのは、先輩が俺を伸したせいですぅ!」

冗談交じりに怒ったふりしながら、先輩が容赦なくワイルドに小包を開るのを見てると、コトリと膝に高そうなライターが落ちる。そのプレゼントの意味を考えて、ええ贈り物やんと一人で納得する。

「ホンマもう…リーダーの作に騙されて、間違ってコイツ伸さんでよかった…」

先輩が芋虫の人を愛おしそうに撫でくっている。芋虫ちゃん(仮)が真っ赤なのはこのせいか…

あー、工作された資料の紙をごみ袋に詰めながら、この先輩の青二才の恋愛もリーダーの手のひらの上で、極秘の閉ざされた日記にルンルンで記載されるんやろな、先輩かわいそー、笑える。


閉ざされた日記(1/19)

1/18/2026, 12:46:36 AM

どれくらい時間が経過したやろか、煙草を吸いたくなって、ポケットに手を入れてライターを探しとると、めんどくさい事に語尾に星が付きそうな後輩が、やる気満タンでやって来た。

「おはようございまーす!お邪魔しまーす!先輩のとっても可愛い!生ごみ回収の後輩ちゃんですッと、うわぁ…先輩、床が血だらけじゃないッスか」
「おぅ…」

きちゃなぁ~いと、出入口らへんでごみ袋を持って、そわそわする後輩が後ろから、真っ赤になって横たわる芋虫状の奴を見て、顔をちょっぴり顔面蒼白させる。

「あらら、先輩その人、完全に〆ちゃったんッスか?」
「…へんわ」
「え、なんて?」
「〆てへんわ!ボケ!季節外れの木枯らしみたいに冗談寒いわ!」
「えー、でも心は小辛しっぽいですやん!…俺、例え上手ない?少しツラい先輩の事をこがらしって、ふふっ、あっ、でも血が…?」
「ブロークンハートに、風が沁みるわってか?アホ…よぅ見てみぃ、そいつの血やないわ」

実際に殴ってもない、怒りで手を握り締めた時にボールペンで怪我した傷口が開いただけ。予想より多く血が出たせいで、床が真っ赤な花畑やし、床のコイツはビビってまた気絶しただけ、頭痛いわ…

「ほんで、お前はなんでココに来たん?」
「…えーっと、リーダーがここの作業場に来たら面白いもん見れるゆーたんで、超ワクワクして参上したッス!がっ!?」

床に綺麗にスライドする後輩と、後輩のポッケから出てきてくるくる回るライター、また広がる新しい紅い花

「ちょい、お前殴っていい?」
「殴った後に言わんといてくださいよ!」
「おっ、ライターやん借りるわ」

煙草に火つけて、肺を煙で満たしながら心を満たす。はぁー、沁みる…

木枯らし(1/18)

1/17/2026, 1:55:10 AM

作業台の上にあった紙を捲り

「まずは報告の嘘な、アンタな付き合ってる人は居りませーん俺だけよ~って言っとったけど、調べるとガッツリ二股やし、と思っとると、それどころか三股やん、馬鹿にしとるん?」

少しシワの入った紙を、芋虫みたいに転がった奴に投げつける。

「次は連絡の嘘、その日バイトだわって言った日にアンタさん、他の奴と遊んどったやろ?そんでもって、相談の嘘は、ストーカー被害にあってる気がするから助けてだぁ…アホなんか?頭に虫でも飼っとるんか?実際は飽きた男の処理に困っとっただけちゃうん?」

呆然として此方を見る奴は、わなわなと唇を歪ませた後に一言、知らない…です。と言った。

「…は?」

頭にカッと血が上ったなと思った時には、緑の床に美しい紅い花が咲いてしまっていた。

美しい(1/17)

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