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もぞりと起き上がり欠伸をする、隣からは規則正しい呼吸音。昨日のは夢じゃないんだなと、嬉しさで緩む口を片手で隠しながら口角が自然に上がる。

昨日は、蒸し暑い風を感じてバテそうになるが、駅でおまえの帰りを待っててよかった。目を見開いて、慌てて駆け寄ってくるおまえに、こんなやさしさなんていらないだろうけど、この気温で少しぬるくなってしまった炭酸を渡す。ありがとうと感謝を述べて炭酸を一口飲んだおまえは、何か閃いたようで、コンビニ行って早く帰ろと手を握ってくる。

帰ってから、コンビニで買った氷をグラスに入れ、家にあった緑のかき氷シロップと先程のぬるい炭酸を注ぐ、炭酸で氷が溶けてカラリと鳴る。そのグラスに無理やりアイスを乗せるから、アイスも少し溶けて、かさ増してこぼれてしまう。でも、おまえは慌てながらもこぼれたアイスクリーム見て、これも一つの思い出になるのだと満足そうに笑う。

好きだなって言葉がポツリと口から出る。それを聞いたおまえは、私もだよと顔を近付けてきた…。

これは、真夏の記憶の一部である。

夢じゃない(8/9)風を感じて(8/10)やさしさなんて(8/11)こぼれたアイスクリーム(8/12)真夏の記憶(8/13)

8/13/2025, 8:39:55 AM