『君の奏でる音楽』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「君の奏でる音楽」
気まぐれに甘えた時の
ゴロゴロの音
大好きなおやつを食べる時の
むしゃむしゃの音
1日に何回も聞く
カリカリ爪とぎの音
いろんな感情を教えてくれる
ニャーの鳴き声の音
君の奏でる音楽は
可愛くて
愛おしいくて
幸せな音楽
君の奏でるは生命の音楽
その軽やかな足音
擦り寄る体温の下の確かな鼓動
耳を掻く足捌き
心を奏でる尻尾のタクト
一瞬はためく軽快な耳のスピン
そして、ニャアオに込められるたくさんのメッセージ
君の奏でる音楽は生命そのもの
確かで儚く愛おしい音楽だ
*君の奏でる音楽**
━━━━━━━━君の奏でる音楽━━━━━━━━
僕は小さい頃歌手になるのが夢だった。
だから、僕は自分で歌手を作ってメロディも考えて自分だけの歌を作ってはいつも歌っていた。
でもクラスの子からは「耳障りだから歌うな」と言われ、親にも「歌ってる暇があるなら勉強しろ!」と怒られた。
そして、決定的だったのが
「お前の作った歌は変なんだよ!!」
それ以来、僕は歌うのを辞めた。
そのまま音楽から遠ざかってから6年すぎ僕は高校1年生になっていた。もちろん歌は歌っていない。
今日も早く家に帰って勉強だ。でも今日は親が出張で家には居ない。
「……久しぶりに歌おうかな…」
僕は屋上に行った。ここなら小さく歌えば誰にも気付かれないから。
「•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*♩」
久しぶりに歌ったらとても気持ちよかった。
誰にも邪魔されない特別な時間になった。
「……•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎•*」
違う声が聞こえた。気づいた時にはその声とハモリながら歌っていた。その声は、あ〜とか、う〜とか、ラ〜とかで綺麗にハモってくれた、今歌ってる歌は自分で作った歌なのに、分かってるかのようにハモってくれて、とても気持ちよかった。
時間はあっという間に流れて声の主がやって来た。
「上手だね君」
出てきたのは1つ上の男の先輩だった。
「えっと、ゴメンなさい!こんな所で歌って…」
「なんで?放課後は自由時間だよ?何処で歌っても変じゃないけど…」
「それに俺が今歌ってた歌自分で作った歌なんです。変な歌でしょ?」
僕がそう言うと先輩は黙って僕に近づいた黙って僕のことを見ている。
「……さっきの歌お前が作ったのか?」
僕は黙ったまま頷いた、きっと軽蔑されてるんだと思った、でも先輩の反応は僕の思った反応と違った。
「お前すげぇな!!」
先輩は目をキラキラさせながら興奮したように言った
「めっちゃ歌詞の内容が共感できてさぁ!聞いててめっちゃ楽しかったんだよ!おかげでハモちまった!!」
「……キモく…ないんですか?」
「はぁ?なんでキモイとか思うんだよ。すげぇじゃんか自分で考えて歌詞作ってメロディ付けて……俺出来ねぇもん、そんなすげぇ事。」
初めて認められたクラスの子にも先生にも親にも変だって言われたモノが初めて、そのせいか僕は
「!?なんで泣いてんだよ!!?」
僕はいつの間にか泣いていた子供みたいにどばどばと涙を流しながら「ありがとうございます」と泣きながら言った。先輩はそんな僕に引くこともせず僕の背中を撫でて慰めようとしてくれた。
「…なぁ、俺お前のこと全く知らねぇから気の利いた事も言えねぇけど、お前は凄い!それだけは分かるぜ」
「だからまた歌ってくれよ。お前の作った歌俺好きだからさ」
「……はい!!!」
僕は、その1件以来歌を作り続け新作が出来ては先輩の前で歌っている。
後、先輩とも仲良くなったお昼とか放課後とかは先輩と一緒に過ごしている。そして、過ごしていく内に
「俺、お前が好きだ!男同士だけど
…俺と付き合って下さい!!!」
先輩に告白され無事にお付き合いを始めた最初は少し照れて全然喋れなかったけど先輩のお陰で今は普通に話せるようになった。付き合ってから気づいたけど先輩は凄く一途で僕には凄く甘々だった。でもそのお陰で、毎日楽しく過ごせている。
それと……親と衝突した。僕が歌手になりたいって言ったら大激怒した。でも、僕も負けじと自分の思いを怒鳴りながら言った。数日はギクシャクして家に居づらかったけど、最終的には認めてくれた。大学の費用も出してくれる事も約束してくれた。あと、謝ってくれた。今までお前の意思や意見を無視して悪かったって。
なんだかんだで、良い両親だって思った。
そのまま月日が流れて……
僕は今大学3年生になった、もちろん先輩とはお付き合いは続いていて今は同棲もしている。変わった事といえば先輩が大学卒業してから過保護さが増した事かな。
でも、全然悪い気はしないからそのままにしている。
1度諦めた夢、今度は絶対に諦めない。必ず叶えてやる
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僕は今や世界を駆け巡る歌手となった。先輩とはそのまま進み、つい先月結婚をした。親には大層泣かれた。でも、幸せになれと言われた。何処までいい両親だよ。
さぁ今日も僕だけの音楽を奏でに行きますか
君の奏でる音楽
俺の愛器 ヤマハのスパニッシュギター
が放つ ラスゲアードの音色を
おまいは 事もあろうに
「うるさい!」 などと・・・・
無遠慮にも 本音をサラリと 言い放ったな!
(・・・・ジツハ オレジシン スコシダケ ソーオモッテタンダケド?)
そんなストレートに言われたら
俺だって傷付くだろ!
せっかく気持ちよくひーてたのにぃ!
おまいにとって俺のスパニッシュな調べは
「君の奏でる音が苦」 なんだな!
ちっくせう!
君の奏でる音楽
君の歌は心が安らぐ。
君が奏でる楽器は心が軽くなる。
君の笑顔は、いつだって僕の心を捕らえて離さない。
上司と揉めて、会社を辞めた。
スッキリしたが、お金が稼げなくなる不安は拭えない。
そんな時、路上ライブをしている君を見た。
いつもは足を止めることなんてないけれど、何故だか耳に残る声だった。
歌詞が僕の心にすっと入ってきた。
心地いい音楽だった。
その日の夜はぐっすり眠れた。
転職活動中も、彼女の路上ライブを見に行った。
お客さんは変わらず疎らだった。
こんな綺麗な声なのに、見る目がないなと思った。
それと同時に自分だけが知っている大切な音楽になっていた。
不採用をもらった日も、面接で落ち込んで帰った日も、彼女の音楽を聴いて帰った。
自作のCDがギターケースに並べられていた。
本当は欲しかったけれど、お金が無い俺は買えなかった。
採用をもらった。
その日は、僕以外にも何人か足を止めているお客さんがいた。
出社日の帰りも聴きに行った。
歌っている彼女と目が合ったような気がした。
初の給料日はお金をおろしたあと、聴きに行った。
CDが置いてあったことにほっとした。
売り切れておたらどうしようかと思った。
初めて最後まで聴いた。
彼女が片付けをしているときに声をかけた。
「あの、素敵な声ですね。CDいいですか?」
緊張して声が上擦った。
彼女は「いつもありがとうございます」と綺麗な声でそう言った。
自然と「また明日も聴きにきます」と伝えた。
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
君の奏でる音楽は
遠い星星から聞こえてくる
宇宙の調和の音のように
自然の中に溶け込んでいる
「君の奏でる音楽」
私は最期の鼓動を
聴く事は出来なかったけど
それで良かったのかもしれない。
君の奏でる音楽が消えないように
君じゃない君に目をつぶって
僕の知ってる君だけを見て、
それでいいのである
音など目に見えないのである
本音だって隠れているのである
バレなければいいのである
音漏れ防止、俺病気
「…君の奏でる音楽が好きなんだ。
僕のHPを回復してくれる時の、''やすらぎ の ねいろ''。
でも満タンになったら演奏は止まってしまう。
心地いい音が途切れるのが惜しくて、せっかく君に怪我を治してもらっても、いつも寂しいような嬉しいような複雑な気持ちになって。
で、レベルが上がればHPゲージも増えて、今より長く聴いていられるはず、そう思ってさ……ごめんって。」
今ヒーラーの彼にこっぴどく叱られている。
普段よりちょっぴり高難易度な洞窟にソロで挑んで、うっかり瀕死になっているところを発見されたからだ。
リスキーな道を選んだ自覚はある。
手っ取り早く経験値が欲しかったけど、ただひとりの仲間を危険に晒したくなくて。
「黙って行ってごめん。もうしません……やるとしても相談するから。」
『おい、ちゃんとわかってるのか?俺がもし間に合わなかったら瀕死どころじゃ済まなかったんだからな。それに、そんなに生き急がれると心配になる。俺を哀しませないでくれ、相棒。』
彼は僕に釘を刺して部屋を出ていく。
これは相当怒らせてしまったな。でもちゃんと回復して簡易的な加護魔法までかけてくれてる。
…不安にもさせた。反省。
ーーー
『…演奏くらい、頼まれればいくらでもするのに。』
お互いに不器用なアタッカーとヒーラーの話。
#7 君の奏でる音楽
君と出る最後の吹奏楽コンクール。
本番前の舞台袖、君と「きっと大丈夫、頑張ろう」って言い合う。深呼吸を一度。舞台に案内される。
僕は君の奏でるホルンの音が大好きだった。
柔らかくて、でもその中に凛々しさがある音が好きでたまらなかった。
いつも君の音に聞き惚れていた。
いよいよ本番だ。今日まで金賞目指してずっとずっと頑張ってきた。その成果を出すとき。
胸が高鳴る。緊張で気が狂いそうだ。落ち着け。いつも通りに。落ち着け、落ち着け__
ちらと君を見やる。偶然、目があった。不意に笑みがこぼれる。
きっと大丈夫だ。僕らなら、きっと__
指揮者を見据える。
君の音色は誰よりも輝いているだろう。
指揮棒が始まりを告げた。
最近曲で良いなぁーって思ってる曲があるんですよ✨その曲名は「奏で」って言う曲なんですよ!めちゃサビが良いので是非!聴いてみて下さい!!
君の奏でる音楽は、私に安らぎを与え、時には感動をもらい、そして優しく寄り添ってくれる。
私にとって貴方は、何物にも代えがたい一番星なんだ。
たとえその光の強さのあまり目が眩んだとしても尚、私は貴方のメロディーを、歌声を、輝きを欲するだろう。
私の奏でる音楽は、醜く、時には私を救い、落ち着かせ、そして激しく焦りを覚える。
星が眩しければ眩しいほど、夜空の暗闇は深くなるばかりだ。
私は星空の存在を知っているが、星々は私の存在など知る由もない。
君の奏でる音楽は、私を救う讃歌であると共に、私を地獄へと誘う焦燥曲だ。
君の奏でる音楽は
とっっっても汚く、聞いてられないほど
クソみたいな音楽だ
でも、それが良いと感じる人もこの世にいるらしい
その意見を頭の念頭に置きもう一度君の音楽を聞いた
うーん、何度聞いてもクソはクソだった
しかし、クソなりに努力はしたらしいから
嫌味みたいな事は言わないようにしていた
だけど、俺一人がそんな事をしたって周りの人は
「下手くそ」とか、「無音の方がいい」とか、
物事考えずに、感じたことをそのまま口に出すサルがいる
そいつらのせいで君は音楽の世界から追い出されるように
姿を消していった
君は未だに批判によって出来た傷口が癒えず
ピアノは弾くものの、それを俺以外に公開することはない
君の奏でる音楽は未だにクソだけど
聞いてられないほどのクソではなくなった
俺はクソな音楽を奏でる君が好きだ
俺もこの気持ちを音楽にして君に伝えてみようかな
君の奏でる音楽
私は君の演奏が大好きだった。
優しい曲調なのにどこか力強くて。
まるで君自身を表してるみたい。
思い出すだけで幸せなの。
もっと聞きたかったな。
『君の奏でる音楽』
色鉛筆を広げ、一角獣の群れを描いていく。私は、この架空の生き物が好きだ。なぜかと訊かれれば、ただ一言だけ、「尖っているから」と答える。穏やかなオーラしか出せない自分とは違うものを生まれつき持っている一角獣に、私はどうしようもなく惹かれてしまう。
精神科デイケアには、ひどくゆったりとした時間が流れていた。今は、アートのプログラムが行われている。といっても、参加しているのは私も含めて僅か六人だけだ。大半の人たちは散歩のプログラムに参加しているため、外出中だ。
「うちの旦那が、まるで家事をしてくれないのよ。こっちは精神障害者だっていうのに、ワンオペ家事で毎日疲労困憊状態。息子は来年中学受験だから、仕方がないんだけどね」
そう言いながら、曼荼羅塗り絵に取り組んでいるのが中山さん。旦那の愚痴と子供の自慢を長々と披露しながら、器用に図案を塗り潰していく。一方、独身の坂野さんは、中山さんの話に相槌を打ちながら、雑誌の切り抜きを写している。坂野さんは中学・高校と美術部だったそうで、写実的な絵を描くのが上手だ。今描いている絵も、まるで写真のように題材を正確に写し取っている。
「ちいちゃんは今頃、次の個展の準備かぁ」
坂野さんが呟いた。そして、いつものセリフを吐く。
「ちいちゃんの絵、私には未だによくわからないんだよなぁ」
先ほどから、隣の部屋で誰かがピアノの練習をする音が聞こえる。最近流行っているポップスを何曲か練習しているようで、重みのあるメロディを軽やかなタッチで弾きこなしている。私の足は机の下で自然にリズムを取り始めた。音楽の苦手な坂野さんに付き合って、アートや手芸などのプログラムを選択しているけれど、私は音楽も好きだ。音楽を聴くと心が軽くなる。
「りんちゃん。さっきから集中してるね」
坂野さんが声をかけてくる。人の好い笑みを浮かべる坂野さんのことを、私は決して嫌いになれない。
その時、隣の部屋で演奏している曲が変わった。軽いタッチで演奏されるその曲は、私もよく知っているものだった。原曲はもう少しロックな雰囲気があったのだが、ピアノで弾くと違った色を持つ曲に様変わりするようだ。
この曲の主人公の気持ちが、私にはわかる。デイケアに来る前の私は、常に周りの顔色を窺っていた。嫌われたら生きていけないという思いから、毎日周囲に目を配り、ちょっとした気配にも怯えていた。でも、坂野さんに出会ってから私は変わった。坂野さんはのんびりしていて、私のことを決して嫌ったりしなかった。この人から離れてはいけない、と私の直感が告げていた。
現在、私はデイケアで、坂野さんの金魚の糞と言われている。でも私は、それで何が悪いのかと思う。どんな危険がやってくるかわからない外の世界よりも、今のデイケアでの生活の方が、坂野さんと一緒にいる人生の方がずっと安心なのだ。危険を避けたくなるのは人間の本能だろうと、私は開き直っている。
一年に一回行われる面談でも、私はスタッフに宣言した。私、角田倫子はデイケアにお嫁に行きます、と。
曲が、ラストサビ前の盛り上がる部分に差しかかり、不協和音を響かせて一旦止まる。そしてラストサビが始まり、華やかに後奏へと向かっていった。曲が終わった時、私は心の中で拍手をしていた。
キーンコーンカーンコーン
チャイムと同時に鞄を持って走り出す。
今日も友達に遊びに誘われたが最近はそれところでは無い。
階段を上がり渡り廊下に着くと早速聞こえるいつもの音色。
滑らかなピアノの旋律が僕の心を惹かれる。
2つ年下の君はいつもこの曜日だけ授業が1時間早く終わる。
1時間分聞けないのは少し残念だが彼女がここで演奏していることを知っているのはきっと僕だけだろう。
渡り廊下から眺める最上階の夕焼けは彼女の演奏によってより一段と美しいものに変えていく。
運動部の掛け声と相まって更に良い。
今日こそは勇気を出して話しかけてみようかな。
渡り廊下を抜けてそーっと音楽室に近づいていく。
曲中に入るのは少し失礼な気がするからせめて曲が終わるまでは扉の下で身を潜めて待つ。
……
曲が終わった。
思い切って扉を開ける。
「あ、あの…さっきの演奏凄く素敵でした!曲名教えて欲しいです。」
初めて見た黒檀色(コクタンイロ)のストレートの髪の毛は腰辺りまであり、前髪はぱっつん、横の髪が少しある俗に言う姫カットと言われる髪型で、制服から出る手は雪のように白い。
俯き加減で少し肩をビクッと震わせる彼女。
脅かしてしまったかな。
「さっきのはラルゴ 変ホ長調。もうすぐピアノの発表会があるからその練習です。あまり上手く弾けないけど。」
「そんな事ないよ。いつも放課後になったら聞こえる君の音色が好きなんだ。君さえ良ければもっと聞かせて欲しい」
その瞬間彼女は目を大きく開けてこっちを見た。
「え、私のでいいんですか?今はYouTubeとかで調べたらいい曲いっぱい出てきますよ」
「君が弾く曲だからいいんだよ。音楽経験はないけれどわかるんだ、君の良さ。」
また俯いて、そっぽ向く彼女。
「また来週も来ていいかな?」
「はい。でもこの事は他の人には秘密にして欲しいです。ちょっと恥ずかしいので。」
「分かった、そうする。ここ、座ってもいい?もっと聞いていたいな。」
入口から近くの席を指す。
「どうぞ。」
「ありがとう」
彼女の顔の赤さも僕の頬が火照る感じも夕日なのか別のものなのかは分からない。
今後もずっとこの時間が僕と彼女だけのものでありますように、なんて思う高3夏。
『君の奏でる音楽』
君の奏でる音楽が好き。
とっても安心するんだ。
耳だけが聞こえるって最初は絶望だった。
でも、おかげで最後は幸せ。
だから、
何年ぶりに聞いた音。
君のこの音楽があるだけで、
安らかに眠れる。
ずっと前に独学でウクレレを始めた…
教本を買ってウクレレを買って
毎晩、楽譜とにらめっこしながら
気がつけば3年が過ぎた…
一階のリビングで練習を重ねて
そこそこ弾けるようにはなったが
2階に寝ている家族の睡眠を邪魔しない
ように、息をひそめて弾いていた…
上手くメロディが繋がっている時は
耳障りではないが、止まったり間違ったりで、その度に「何だ?」と思うらしい…
だから遠慮してどんどん音は小さくなった
「君の奏でる音楽」は家族に気を使い過ぎて、大きな音が出せなくなった自己流の
ウクレレの音色だ…
色々揃えて準備はバッチリだったが
一番肝心な、素直に音が出せないという
致命的なクセで今だ中途半端だ…
おまけに最近は多忙を言い訳に
見て見ぬふりを決め込んでいる
こんなんじゃ、また最初からやり直しだな…
【君の奏でる音楽】
ピンクでキラキラでとにかく君みたいに可愛い曲。
声だって少女みたいに若々しい。
君の曲は可愛くない私を可愛くしてくれる。私と同じような人がいるってことも君の曲を通じて知れたし、辛い時だって一番寄り添ってくれたのは君の曲だった。
だから君の性格が悪いせいで、スタッフに対する態度が悪くても、アイドル仲間にヒステリックになったとしても、炎上しても、私達には笑ってくれるから。救ってくれたから。嫌いになれない。嫌いにならない。
大好きって簡単に言えちゃうくらい大好きだよ。
黄色い声、という言葉がある。
主に女性や女の子の甲高い声援を指す言葉。
けれどあのとき私が見た彼の歌声は、比喩でも慣用句でもなく、本当に黄色だった。
教室の戸の隙間から流れ出るパッキリとしたレモンイエロー。そこに明るいオレンジやチェリーレッドがポンポンと浮かんでは消え、ポップでアップテンポな曲を彩っている。
それは、この分厚い曇り空を吹き飛ばすくらいに鮮烈で。
「──ねえ。あなたの声──いや、あなたの歌ってた音楽。すっごく黄色いんだね。明るくて、綺麗で……。私、この曲好きかも。なんて曲?」
「──え。うわ!? 誰!? き、聞かれて──!? ここなら誰にも聞かれずに練習できると思ったのに……。え、ていうか、黄色ってなに!? 俺の声高いって意味?」
思わず教室に踏み込みたずねた私に、中にいた男子生徒は慌ててスマホから鳴っていた音楽を止めた。
あの綺麗なレモンイエローが水に溶けたみたいに消える。
バタバタしながら矢継ぎ早に言う彼に、私はちょっと悪かったかなと思いながら微笑んだ。
この話はあんまり他人にしていないんだけど、まあ自分から振った話だし。
「確かに高い方だと思うけど、私が言ってるのはそういう話じゃないんだな。共感覚って知ってる? 簡単に言えば文字や声に色とか触感を感じる人のことなんだけど、私はメロディーに色を感じるの。だからあなたの歌声が“見える”。それとね、ここは文芸部の部室。入り口にちゃんと書いてあるはずだけど、見てなかった? そして私は文芸部部長。さあ、私の自己紹介はしたよ。あなたは?」
「俺は──」
6月の半ば、梅雨の真っ盛り。
分厚い灰色の雲の下、それを貫くような鮮やかな黄色い歌声に導かれて。
私と、彼は出会った。
20240812.NO.20「君の奏でる音楽」