REINA

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君の奏でる音楽



君の歌は心が安らぐ。
君が奏でる楽器は心が軽くなる。
君の笑顔は、いつだって僕の心を捕らえて離さない。




上司と揉めて、会社を辞めた。
スッキリしたが、お金が稼げなくなる不安は拭えない。
そんな時、路上ライブをしている君を見た。

いつもは足を止めることなんてないけれど、何故だか耳に残る声だった。

歌詞が僕の心にすっと入ってきた。
心地いい音楽だった。

その日の夜はぐっすり眠れた。




転職活動中も、彼女の路上ライブを見に行った。
お客さんは変わらず疎らだった。
こんな綺麗な声なのに、見る目がないなと思った。
それと同時に自分だけが知っている大切な音楽になっていた。

不採用をもらった日も、面接で落ち込んで帰った日も、彼女の音楽を聴いて帰った。

自作のCDがギターケースに並べられていた。
本当は欲しかったけれど、お金が無い俺は買えなかった。

採用をもらった。
その日は、僕以外にも何人か足を止めているお客さんがいた。

出社日の帰りも聴きに行った。
歌っている彼女と目が合ったような気がした。

初の給料日はお金をおろしたあと、聴きに行った。
CDが置いてあったことにほっとした。
売り切れておたらどうしようかと思った。

初めて最後まで聴いた。

彼女が片付けをしているときに声をかけた。
「あの、素敵な声ですね。CDいいですか?」

緊張して声が上擦った。
彼女は「いつもありがとうございます」と綺麗な声でそう言った。

自然と「また明日も聴きにきます」と伝えた。
彼女は嬉しそうに微笑んだ。

8/12/2024, 12:30:48 PM