━━━━━━━━君の奏でる音楽━━━━━━━━
僕は小さい頃歌手になるのが夢だった。
だから、僕は自分で歌手を作ってメロディも考えて自分だけの歌を作ってはいつも歌っていた。
でもクラスの子からは「耳障りだから歌うな」と言われ、親にも「歌ってる暇があるなら勉強しろ!」と怒られた。
そして、決定的だったのが
「お前の作った歌は変なんだよ!!」
それ以来、僕は歌うのを辞めた。
そのまま音楽から遠ざかってから6年すぎ僕は高校1年生になっていた。もちろん歌は歌っていない。
今日も早く家に帰って勉強だ。でも今日は親が出張で家には居ない。
「……久しぶりに歌おうかな…」
僕は屋上に行った。ここなら小さく歌えば誰にも気付かれないから。
「•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*♩」
久しぶりに歌ったらとても気持ちよかった。
誰にも邪魔されない特別な時間になった。
「……•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎•*」
違う声が聞こえた。気づいた時にはその声とハモリながら歌っていた。その声は、あ〜とか、う〜とか、ラ〜とかで綺麗にハモってくれた、今歌ってる歌は自分で作った歌なのに、分かってるかのようにハモってくれて、とても気持ちよかった。
時間はあっという間に流れて声の主がやって来た。
「上手だね君」
出てきたのは1つ上の男の先輩だった。
「えっと、ゴメンなさい!こんな所で歌って…」
「なんで?放課後は自由時間だよ?何処で歌っても変じゃないけど…」
「それに俺が今歌ってた歌自分で作った歌なんです。変な歌でしょ?」
僕がそう言うと先輩は黙って僕に近づいた黙って僕のことを見ている。
「……さっきの歌お前が作ったのか?」
僕は黙ったまま頷いた、きっと軽蔑されてるんだと思った、でも先輩の反応は僕の思った反応と違った。
「お前すげぇな!!」
先輩は目をキラキラさせながら興奮したように言った
「めっちゃ歌詞の内容が共感できてさぁ!聞いててめっちゃ楽しかったんだよ!おかげでハモちまった!!」
「……キモく…ないんですか?」
「はぁ?なんでキモイとか思うんだよ。すげぇじゃんか自分で考えて歌詞作ってメロディ付けて……俺出来ねぇもん、そんなすげぇ事。」
初めて認められたクラスの子にも先生にも親にも変だって言われたモノが初めて、そのせいか僕は
「!?なんで泣いてんだよ!!?」
僕はいつの間にか泣いていた子供みたいにどばどばと涙を流しながら「ありがとうございます」と泣きながら言った。先輩はそんな僕に引くこともせず僕の背中を撫でて慰めようとしてくれた。
「…なぁ、俺お前のこと全く知らねぇから気の利いた事も言えねぇけど、お前は凄い!それだけは分かるぜ」
「だからまた歌ってくれよ。お前の作った歌俺好きだからさ」
「……はい!!!」
僕は、その1件以来歌を作り続け新作が出来ては先輩の前で歌っている。
後、先輩とも仲良くなったお昼とか放課後とかは先輩と一緒に過ごしている。そして、過ごしていく内に
「俺、お前が好きだ!男同士だけど
…俺と付き合って下さい!!!」
先輩に告白され無事にお付き合いを始めた最初は少し照れて全然喋れなかったけど先輩のお陰で今は普通に話せるようになった。付き合ってから気づいたけど先輩は凄く一途で僕には凄く甘々だった。でもそのお陰で、毎日楽しく過ごせている。
それと……親と衝突した。僕が歌手になりたいって言ったら大激怒した。でも、僕も負けじと自分の思いを怒鳴りながら言った。数日はギクシャクして家に居づらかったけど、最終的には認めてくれた。大学の費用も出してくれる事も約束してくれた。あと、謝ってくれた。今までお前の意思や意見を無視して悪かったって。
なんだかんだで、良い両親だって思った。
そのまま月日が流れて……
僕は今大学3年生になった、もちろん先輩とはお付き合いは続いていて今は同棲もしている。変わった事といえば先輩が大学卒業してから過保護さが増した事かな。
でも、全然悪い気はしないからそのままにしている。
1度諦めた夢、今度は絶対に諦めない。必ず叶えてやる
、
、
、
、
、
僕は今や世界を駆け巡る歌手となった。先輩とはそのまま進み、つい先月結婚をした。親には大層泣かれた。でも、幸せになれと言われた。何処までいい両親だよ。
さぁ今日も僕だけの音楽を奏でに行きますか
8/12/2024, 12:33:09 PM