#7 君の奏でる音楽
君と出る最後の吹奏楽コンクール。
本番前の舞台袖、君と「きっと大丈夫、頑張ろう」って言い合う。深呼吸を一度。舞台に案内される。
僕は君の奏でるホルンの音が大好きだった。
柔らかくて、でもその中に凛々しさがある音が好きでたまらなかった。
いつも君の音に聞き惚れていた。
いよいよ本番だ。今日まで金賞目指してずっとずっと頑張ってきた。その成果を出すとき。
胸が高鳴る。緊張で気が狂いそうだ。落ち着け。いつも通りに。落ち着け、落ち着け__
ちらと君を見やる。偶然、目があった。不意に笑みがこぼれる。
きっと大丈夫だ。僕らなら、きっと__
指揮者を見据える。
君の音色は誰よりも輝いているだろう。
指揮棒が始まりを告げた。
8/12/2024, 12:27:04 PM