Omu

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「…君の奏でる音楽が好きなんだ。
僕のHPを回復してくれる時の、''やすらぎ の ねいろ''。
でも満タンになったら演奏は止まってしまう。
心地いい音が途切れるのが惜しくて、せっかく君に怪我を治してもらっても、いつも寂しいような嬉しいような複雑な気持ちになって。
で、レベルが上がればHPゲージも増えて、今より長く聴いていられるはず、そう思ってさ……ごめんって。」

今ヒーラーの彼にこっぴどく叱られている。
普段よりちょっぴり高難易度な洞窟にソロで挑んで、うっかり瀕死になっているところを発見されたからだ。

リスキーな道を選んだ自覚はある。
手っ取り早く経験値が欲しかったけど、ただひとりの仲間を危険に晒したくなくて。

「黙って行ってごめん。もうしません……やるとしても相談するから。」
『おい、ちゃんとわかってるのか?俺がもし間に合わなかったら瀕死どころじゃ済まなかったんだからな。それに、そんなに生き急がれると心配になる。俺を哀しませないでくれ、相棒。』

彼は僕に釘を刺して部屋を出ていく。

これは相当怒らせてしまったな。でもちゃんと回復して簡易的な加護魔法までかけてくれてる。
…不安にもさせた。反省。

ーーー
『…演奏くらい、頼まれればいくらでもするのに。』


お互いに不器用なアタッカーとヒーラーの話。

8/12/2024, 12:27:57 PM