ふわっと香る、ダージリン。思わず深呼吸する。
毎朝私が目覚めた時タイミングよく運ばれてくる、この紅茶が好きだ。
私が生まれる前からここにいる執事さん。
もうおじいちゃんと呼んでもいい年齢だけど、その優秀さは全く衰えない。
「お嬢様、おはようございます。本日のお茶はだーじりんてぃーです。」
……カキカケ……
【紅茶の香り】
たった一瞬の このきらめきを
食べ尽くそう二人で くたばるまで
ー感電 米津玄師
''きらめき''が題のお話を考えようとしたら、このフレーズとMIU404が頭を埋めつくしてだめでした。
あの相棒コンビ大好きなんだよな……(頭抱え)
余計なことを考えず
鳥のように
すいーっと空を流れてみたい
風が頬を切る感覚
身体が宙に浮く
緩やかに落下していく
背後には小さな太陽、快晴の空
想像だけでもなんか良いね
カミングスーン夜の海
「…君の奏でる音楽が好きなんだ。
僕のHPを回復してくれる時の、''やすらぎ の ねいろ''。
でも満タンになったら演奏は止まってしまう。
心地いい音が途切れるのが惜しくて、せっかく君に怪我を治してもらっても、いつも寂しいような嬉しいような複雑な気持ちになって。
で、レベルが上がればHPゲージも増えて、今より長く聴いていられるはず、そう思ってさ……ごめんって。」
今ヒーラーの彼にこっぴどく叱られている。
普段よりちょっぴり高難易度な洞窟にソロで挑んで、うっかり瀕死になっているところを発見されたからだ。
リスキーな道を選んだ自覚はある。
手っ取り早く経験値が欲しかったけど、ただひとりの仲間を危険に晒したくなくて。
「黙って行ってごめん。もうしません……やるとしても相談するから。」
『おい、ちゃんとわかってるのか?俺がもし間に合わなかったら瀕死どころじゃ済まなかったんだからな。それに、そんなに生き急がれると心配になる。俺を哀しませないでくれ、相棒。』
彼は僕に釘を刺して部屋を出ていく。
これは相当怒らせてしまったな。でもちゃんと回復して簡易的な加護魔法までかけてくれてる。
…不安にもさせた。反省。
ーーー
『…演奏くらい、頼まれればいくらでもするのに。』
お互いに不器用なアタッカーとヒーラーの話。